「Another」SSです。柿沼さんは出ません。
配役的には大野くん→恒一、鳴ちゃん→野口さん、杉山くん→勅使河原、丸尾くん→赤沢さん、長山くん→望月。①はこちら。

キートン「翌日」

まるこ(なんだか居心地が悪いなあ…みんなも同じみたい。いつもはあんなに騒がしいクラスなのに、今日は静まり返っているよ…)
まるこ(野口さん、どうしているだろう…ああ、野口さんの方を見たい。でも、そうしたら、野口さんを『いるもの』として扱ってしまうことになる…)
まるこ(そういえば今日は丸尾くんがお休みだねえ…)

先生、入ってくる。
先生「おはようございます。みなさん、今日もクラスの決めごとはきちんと守りましょうね」
みんな「はーい…」
まるこ(みんな元気がないねえ)
先生「さてみなさん、大野君がきょうからこのクラスに戻ってきます。大野君、入ってください」
大野「みんな、久しぶり!」
みんな、反応に困っている様子。
大野「―なんか新学期早々事故に遭っちゃって、まだ怪我が治りきってないけど、夏ごろにはサッカーもできるようになるからよ!よろしくな!」
控えめに拍手がある。大野、戸惑う。
大野「先生、なんかあったんですか?」
先生「では、大野君はこちらの、さくらさんの隣に座ってください」
大野「はーい」
先生「みなさん。大野君にいろいろ教えてあげてくださいね。今日は丸尾君がお休みですが、クラスの決めごとはきちんと守るようにしましょう」

休み時間。
大野「それでさ、びっくりしたよ―トラックがさ、目の前にどーんって!」
杉山「ほんと大変だったよな。サッカーできないし、大野の怪我が治るまで、教室の中でできる遊びを考えようぜ」
関口「教室の中でできる遊びかぁ…」
ブ―太郎「メンコはどうだブー」
はまじ「学校に持ってきちゃいけないって言われてるだろ」
まるこ「そうだ、牛乳瓶のふたをメンコにするってのは?」
杉山「さくら、たまにはいいこと思いつくじゃないか!」
はまじ「それなら学校にあっても怒られないもんな」
まるこ「へへっ」
大野「よし、頑張るぜ!」

教室の隅の汚れた古い机に野口さんが座っている。それは前日に先生がどこかから持ってきたもの。『いないもの』は代々、この机を使うのが決まりらしい。

大野「なあ、あれ」
杉山「どうした?」
大野「なんか野口の机、めちゃくちゃ汚くねえ?なんであんなの使ってんの?」
杉山(顔をそむけて黙る)
大野「杉山?」
みんな、大野君と目を合わせないようにして黙っている。
大野「どうしたんだよ…まあいいか。おい、野口!」
はまじ「おい、まずくないか(小声)」
ブ―太郎「どうしようブー。丸尾君は休みだブー」
関口「先生はちゃんと説明してないのかよ」
杉山「なんか、生徒同士のほうがいいからって言われたんだけど…説明するタイミングを逃しちゃって」
まるこ「ああ…どうするんだよ…」
大野「その机なんだよ?もっときれいなのと取り換えればいいのに。そこの城ヶ崎の机と取り換えちゃえば?つーか、先生に言った?」
野口「…」
大野「机になに書いてんの?―死者は、誰?ってどういう意味?」
まるこ(大野君はなにも知らないんだ…でもこれ、大丈夫なのかなあ…大野君は野口さんのことを『いるもの』として扱ってるわけで…)

 お姉ちゃん「お母さんだって危ないんだからねっ!」

まるこ(昨日は野口さんかわいそう、と思ったけど…でも、あたしゃモモエちゃんに会うまでは死にたくないし、お父さんやお母さん、お姉ちゃんが死ぬのも嫌だよ…)
まるこ(ああ、どうしたら…)
大野「無視んなよなー!なんかみんな、今日はおかしいぞ?」
まるこ(丸尾君さえいてくれればなんとかなっただろうに…)

杉山「おい大野!『いないもの』の相手をするのはよせ!ヤバいんだよ、それ!」
大野「なに言ってんだ?」
杉山「えっと…なんていうか…とにかくこっち戻ってこいよ、そこから離れて!」
大野「なあ、みぎわ」

近くにいたみぎわさんを大野君が呼び止める。

大野「なあ、何でみんな、こんな変なことになってるの?野口になんか問題あるの?」
みぎわ「野口?誰なの?それ」
大野「野口だよ野口!ここにいるじゃん」
みぎわ「知らないわ!私そんな人知らない!そこには誰もいない!」
大野「え…?」
キートン「丸尾君が休んだせいで事情を知らされていない大野君は困惑するばかりなのであった」

キートン「翌日」
丸尾「みなさん!昨日はズバリ、申し訳なかったでしょう!一週間前の饅頭を食べたら中ってしまって…」
杉山(ヒソヒソ)
丸尾「な、なんとーーーーーー!ズバリ、それは大変なことになっているでしょう!」
杉山「どうしたらいい?」
丸尾「少し考えさせてください…」

先生「昨日言った通り、今日は分数のテストをします」
まるこ(うっかりだよ…野口さんや大野君のことで頭がいっぱいで、さっぱりテストのことを忘れていたよ…)
まるこ(どうしよう…一問目からさっぱりだよ…ああ、算数のテストをするとみんなが不幸になる、っていう現象が起きていたら、こんなテストなんてしなくても
よかったはずなのに…現象さんももう少し空気を読んでほしいよ)
キートン「まことに自分勝手なまるこである」
野口さん、教室を出て行く。
まるこ(あれ?トイレかな?)
それを追いかけて、大野君まで教室を出て行く。
杉山「大野!どこ行くんだよ!」
丸尾「ズバリヤバいことになったでしょう!」
まるこ(大野君…野口さんが心配なんだ…そりゃそうだよ、みんなが野口さんを無視してるなんて、『現象』のことを知らない大野君から見たらただのいじめに見えるもんね…
正義感の強い大野君が野口さんを気にするのは当たり前だよ…)
先生「みなさん、落ち着いてください!先生が大野君を追いかけますから…―?!」

教室のドアが開いて、教頭先生が入ってくる。

教頭「みぎわさん!三年三組のみぎわさんはここにいますか!」
みぎわ「はい、私ですが」
教頭「大変です!お母様が―」

まるこ(そのあとのことは、あたしは現場を見たわけじゃないんだけど―みぎわさんのお母さんが急に病気で倒れて、みぎわさんは病院に向かおうとした。でも、みぎわさんは辿り着けなかった。
階段で滑って、そのときみぎわさんが持っていたカサ、お気に入りのピンクのカサがみぎわさんの喉に突き刺さり―
みぎわさんのお母さんも同じころ、病院で亡くなったという…)

笹山「みぎわさんのこと…あれ、やっぱり、『現象』なのかな…」
城ヶ崎「『いないもの』を作ったのに、なんで『現象』が起こるのよっ!」
笹山「大野君…話しかけてたじゃない」
城ヶ崎「大野君のせいってこと?」
たまちゃん「大野君が悪いわけじゃないよ…だって、大野君はなにも知らなかったじゃない?」
まるこ「そうだよねえ、たまちゃん」
城ヶ崎「ええ。そうね、だとするとほんとうに悪いのは…」

山根「大野君、やっぱりこのクラスの雰囲気、おかしいと思ったよね?」
大野「ああ」
小杉「おい、山根!」
山根「もう犠牲者は出ちゃってるし…『いないもの』を作っても何の意味もなかったってことだろ。じゃあ、もうやめてもいいと思うんだ。ねえ大野君、何か聞きたいことない?
なんでも答えるよ」
大野「じゃあまず…野口のことについて。野口を無視するのはどうしてだ?」
山根「野口―野口さんは…その…」
山根、腹を押さえて急に苦しみだす。
山根「ぐっ!ぐはっ!がはっ!胃が!胃腸が!」
小杉「山根ええええええええ!」

まるこ(山根が死んだ翌日、大野君は野口さんと一緒に「いないもの」にされた。もうひとり「いないもの」を増やせば、もしかしたら「現象」から逃れられるかもしれないって誰かが言いだしたんだ)
まるこ(ふたりはいったいどんな気持ちだろう)
母「まるこ、ごはんよ」
まるこ「ううん…あんまり食べたくないんだ(布団を被る)」
母「そう…いろいろあって辛いのよね…」
ひろし「まるこ、みぎわさんと山根のことは…大変だったな」
母「続けてふたりもクラスメイトが亡くなるなんてねえ…」
ひろし「けどな、お前がそんなふうに、何も食べないで嘆いてばっかりじゃあの二人の供養にはならねぇぞ。お前は早く元気になって、あいつらの分まで生きねえとよ」
母「いまのまるこにはちょっと、難しいと思うわ…」
ひろし「みぎわさんも山根もきっともっと生きたかったんだよ!お前がなぁ、自分の命を粗末にしたらあの二人が悲しむじゃねえか!」
友蔵「まるこや…」
母「おじいちゃんは先にご飯食べててください」
友蔵「まるこやと 呼べども呼べども 初夏の宵 友蔵心の俳句」
まるこ(お父さんもお母さんもこんなに優しい…)
まるこ(ひろしなんてあんなにいつもウザいのに…やっぱりひろしはあたしの大事なお父さんだよ…大好きなみんなを死なせたくないよ…だから、あたしも、「いないもの」を作る気持ちはわかるよ…大野君を無視すれば、「現象」から逃れられるんだとすれば…)
まるこ(でも大野君も、野口さんも、あたしには大事な友達なんだ…どっちも大事で、どちらかを不幸にしないともう一方が助からないなんて…ああ、何かいい方法はないのかな)

 野口「でも、私が『いないもの』じゃなかったら、他の誰かを『いないもの』にしなきゃいけない…そんなのはもっと嫌だね」

まるこ(…!)

キートン「最近『翌日』としか言ってない気がするが、『翌日』」
たまちゃん「まるちゃん、おはよう」
まるこ「…」
たまちゃん「…?」
まるこ「野口さん、大野君、おはよう」
丸尾「…!さくらさん!」
城ヶ崎「ちょっと、何言ってるのよ!」
まるこ「決めた。あたしゃ『いないもの』になるよ」
みんな「ええっ!」
まるこ「あたしゃねえ、クラスメイトを『いないもの』にしてみんなで無視するなんて性に合わないんだ!それぐらいなら自分が『いないもの』になるよ!」
野口「クックックッ…」
まるこ「というわけで、よろしく頼むよお二人さん。みんなもあたしをしっかり無視してくれよ。たまちゃんもとしこちゃんもあたしに話しかけないでくれよ」
たまちゃん「まるちゃん…(ぐすん)」
花輪「こういうときはどうすればいいんだいベイビー」
丸尾「とりあえず、さくらさんの言い分を聞いて、それから先生の指示を…」
まるこ「ちょいと野口さん。野口さんってお笑いに詳しかったよね」
大野「へえ、意外」
まるこ「野口さんがおすすめする芸人は絶対に半年以内に売れるようになるんだよ」
野口「クックックッ…この目が教えてくれるんだよ。この左目が」
大野「なにそれ?」
野口「この左目はみんなには見えないふたつのものが見える目なのさ…クックックッ…ひとつはこれから売れる芸人のオーラ。それからもうひとつは」

先生が入ってくる。なんだか憔悴した様子。

丸尾「先生!実はさくらさんが…」
先生「おはようございます…みなさん…みなさんは、元気ですか?クラスの決めごとを、ちゃんと守っていますか?先生は…もう…疲れました…
先生はみんなでこの一年間を無事に過ごして、それで終業式の日までみんな元気で…そうありたかった、そうありたかったのに…もう駄目です、
こんなに犠牲者が出てしまった…ウワアアアアアアアア!」
丸尾「せ、先生ッ!」

先生、手に持っていた包丁で自分の喉を?っ切る。阿鼻叫喚。みんな、廊下に逃げる。
教室内に立ち尽くすまるこ、大野君、野口さん。

野口さん「…死の色」

キートン「数日後」
永沢「見事にクラスの大半が休んでいるね」
藤木「ああ」
永沢「女子なんてほとんどが来ていないよ」
藤木「花輪君も休みだね」
永沢「なんでも、『ある』年だってわかると、金持ちの奴は引っ越すらしいのさ。花輪君も引っ越したか、海外の別荘にでもいるんじゃないかな。城ヶ崎あたりもそのうち引っ越すだろうね」
藤木「(笹山さんはどうするのかな…)引っ越すと何かいいことがあるのかい?」
永沢「『現象』の範囲はこの清水市の中だけだって話さ。清水市から外に出れば死ぬことはないらしい」
藤木「そうか…」
永沢「僕は無理さ。うちにはそんなお金がないからね…ところで藤木君、いま君は、どうしたら引っ越せるか一生懸命考えていたね」
藤木「そ、そんなことないよ!僕はここで一生懸命頑張るつもりさ!永沢君、君と一緒にね!」
永沢「そういうところが卑怯だね、藤木君は。引っ越したいなら引っ越したいとはっきり言えばいいのさ」
藤木「うう…」
永沢「おや。『いないもの』がまた増えたようだよ」

杉山「よお、大野!」
大野「お前、俺と喋って大丈夫なのか?事情は野口とさくらから聞いたけど、―俺と喋るとヤバいんだろ?」
杉山「『いないもの』を増やしても『現象』が止まらないなら、俺がお前と喋ったところでこれ以上事態が悪化することはないだろ。これまで無視しちまってごめんな」
大野「いいよ。気持ちはわかるから…誰だって死にたくねぇよな」
長山「ねえ、僕も入れてくれない?丸尾君には連絡済みさ」
まるこ「一気に仲間が増えたねえ」
長山「妹を守りたいから君たちを『いないもの』にしていたけど…こうなった以上…ね。ふたりには本当に済まなかったと思うよ」
野口「クックックッ…」
たまちゃん「じゃあ私もまるちゃんと一緒に『いないもの』になるよ!」
まるこ「たまちゃん!」
たまちゃん「まるちゃんと私はずっと一緒だよ!」

大野「なあ、一度始まってしまった『現象』を止める方法ってないのかな」
まるこ「そんなのがあったとしたら、とっくに誰かが試してるよ…」
杉山「だよなあ」
長山「あのさ…僕、ちょっとこの件について調べてみたんだけど…実はね、上級生からある噂を聞いたんだ。一回、途中で現象が止まった年があるって」
大野「本当に?」
長山「それがね、2年前、さくらさんのお姉さんが三年三組だった年なんだ」
まるこ「お姉ちゃんが!そういえば、前、『あたしは助かったけど』って言ってた…」
長山「何があったのか、お姉さんに聞いてもらえないかな」
まるこ「うん!」

まるこ、家に帰ってくる。
まるこ(とはいっても…どうやって切り出せばいいのかな…もうずっと、お姉ちゃん、口を利いてくれないし)
廊下でうろうろしていると友蔵がやってくる。
友蔵「おお、まるこや。どうしたんだい」
まるこ「おじいちゃん」
友蔵「最近は本当に大変じゃな、まるこ。先生も亡くなったと聞いたぞ。おじいちゃんはもうこの年じゃから友達を見送ることも多いが…まだ若いまるこには本当に辛いことじゃ…」
まるこ「…うん」
友蔵「みぎわさんや山根君のおじいちゃんおばあちゃんも辛いじゃろうなあ…未来のある小さな孫が死ぬのは…本当に、本当に悲しいことじゃよ…もうわしは、葬式なんか…葬式なんか…」ボロボロッ
まるこ「おじいちゃん、泣いてるの?」
友蔵「…感情移入しすぎてしもうた…そうじゃ、まるこが…まるこが死んでしまったらどうしようと思ってのう…」
まるこ「あたしゃ死なないよ!これから、まるこもお父さんもお母さんもお姉ちゃんもみんな元気で幸せに暮らす方法を考えるんだ!」
友蔵(わしが入ってないぞ、まるこよ…)
まるこ「ちょっとお姉ちゃんと話してくるね」
友蔵「お、おう」
友蔵(まるこやい わしは死んでも いいのかい 友蔵心の俳句)

まるこ「お姉ちゃん…」
お姉ちゃん「…なによ」
まるこ「お姉ちゃんも、三年三組だったんだね…」
お姉ちゃん「なんであんたがそんなことを知ってるのよ…」
まるこ「友達がこのことを調べてて、それで聞いたんだ…ねえお姉ちゃん、お姉ちゃんの年は途中で『現象』が止まったんだよね?どうして止まったの?」
お姉ちゃん「え…?…ああ、そうだ、確かに…でも…なんだか霧がかかったみたいで…思いだせない…」
まるこ「…」
お姉ちゃん「夏…そうだ、林間学校…林間学校に行ったときに何かがあって、それで…そうだ、あのときに、何かを」
まるこ「林間学校?!」
お姉ちゃん「そう…あたしが、止めたの」
まるこ「お姉ちゃんが?!」
お姉ちゃん「死者を、……に」
お姉ちゃん、倒れる。
まるこ「お母さん、おかあさーん!お姉ちゃんが!」

病院。
お母さん「お医者さんによれば、命に別条はないそうよ」
まるこ「よかったぁ…」
お姉ちゃん「ま…こ…」
まるこ「どうしたの?大丈夫?」
お姉ちゃん「まる…こ…教室に…アレを…隠したの…探して…」

長山「さくらさんのお姉さんは『あたしが止めた』『教室にアレを隠した』って、たしかに言ったんだね」
まるこ「う、うん…」
長山「とすると、さくらさんのお姉さんは『現象』を止めることに関わるなにかを、この教室に隠したってことだ」
杉山「なにかってなんだよ?」
大野「道具とか…?」
たまちゃん「でもすごい前進だね!まさかまるちゃんのお姉さんが『現象』を止めたなんて!」
大野「よし、教室の中をみんなで手分けして探してみようぜ!」

教室の中を探し回る一同。

まるこ「野口さん、頭に何付けてるの」
野口「クックックッ…」
杉山「ないなー」
長山「机の中やロッカーの中じゃすぐに見つかって処分されてしまうから『隠した』ことにはならないよね…もっと人目につきにくくて、そして次に三年三組になる
生徒に確実に渡る場所…」
大野「…!掃除用具入れ!」
大野は掃除用具入れを漁り、その天井にガムテープで貼り付けられたカセットテープを見つけ出す。
長山「これだ!」

テープを聞いてみる一同。それは「お姉ちゃん」による、この先三年三組で理不尽な「現象」に対峙しなければならない後輩たちへのメッセージであり、そして、罪の告白でもあった。

 三年前の林間学校で「現象」の犠牲者がたくさん出て、クラスメイトはみんなパニック状態になった。そしてお姉ちゃんは友人とちょっとした口論の果てにつかみ合いのけんかになり、相手を階段から突き落としてしまった。相手の頭からは血がたくさん出て動かなくなってしまった。お姉ちゃんは恐怖のあまりそのまま部屋に逃げ帰り、一晩中布団をかぶって過ごしたという。
 翌日、様子を見に行ってみると、そこには倒れた友人も、血痕もなかった。ああ、死んだわけじゃないんだ、部屋に戻ったんだ、と思ったらしいが、朝食の時間になってもその友人はいない。そして不思議なことに、だれもその友人のことを記憶していないのだ。みんなの記憶から、その友人の存在が抜け落ちてしまっていた。
 お姉ちゃんが家に帰ってから名簿を見ると、その子の名前はどこにもなかった…
 
お姉ちゃん「あの子が死者だったの。あたしはクラスに紛れ込んでいる死者を殺した。それによって『現象』が止まったの…いい?『現象』を止める方法はただひとつ、死者を死に還すこと。死者を、もう一度、死なせることよ」

まるこ「お姉ちゃん…お姉ちゃんがそんなことをしたっていうの…?」
たまちゃん「私怖いよ、まるちゃん」
大野「でも、これをすれば…災厄は止まる」
杉山「やるしかないんだ…」
長山「でもどうやって『死者』を見つけ出せばいいんだろう…?僕たちには、それがわからないよ…」
野口「クックックック…」

キートン「後半へつづく!」

 実はこのあたりで原作の11話を見てしまい「コレ無理だよぉ・・・」という気分になってしまったので、SSはここで終わっております。俺たちの戦いはこれからだEND。 続きが読みたい人が多ければ考えます。