ひまわりの種

毎日の診療や暮しの中で感じたことを、思いつくまま書いていきます。
不定期更新、ご容赦下さい。

祈り

2012å¹´03月11æ—¥ | æ±æ—¥æœ¬å¤§éœ‡ç½
      
 あの日から1年。

 あの夜、このキャンドルをつけ、眠れぬ夜を過ごした。

 ラジオ福島からは、アナウンサーが必死に呼びかけていた。

 時々、涙声になるのがわかった。

 この闇の中、沿岸部の方々は、今、どうしてるのだろう。

 毛布にくるまり、ただひたすら、夜が明けるのを待った。



 あれからいくつも太陽が昇り、沈み、

 春が来て、

 夏が過ぎ、

 秋を迎え、

 冬を越し、

 そしてまた春が巡ってくる。

 この1年のあいだ、ずっと、

 わたしたちは、試されてきたように思う。

 誰に?

 ・・・じぶんの、心に。




 海へ還ったひとたち。

 土に還ったひとたち。

 いま、大地にふんばっているひとたち。

 すべてのひとたちのために、今日は静かに祈りたい。









「大本営」は誰?

2012å¹´03月06æ—¥ | æ±æ—¥æœ¬å¤§éœ‡ç½
もうすぐ「あの日」から1年になる。
南相馬市の桜井市長は「あきらめない」のタスキをかけ、東京マラソンで完走した。
今も毎日8キロを走っているのだそうだ。

あきらめないで、頑張りたい。
福島県民は、みんな、そう思っている。

つい最近、週刊文春にとんでもない記事が載った。
ご存知の方々も多いと思う。

見出しは「郡山4歳児と7歳児に「甲状腺がん」の疑い!」

札幌に避難しているお子さんたちの甲状腺エコーで異常が見つかった、というもの。
実際には異常でも何でもなかったのだが・・・。

メディアは、相変わらずだ。

もう少し、ましな題はつけられないものか。
どいつもこいつも、バカの一つ覚えみたいに・・・。

これについては、北海道新聞がきちんと検証した記事を載せている。
「札幌避難の309人、甲状腺に問題なし 内科医らが子どもら検査」(平成24年2月23日)

当ブログにもリンクさせていただいている「杜の里から」のブログ主さんが、
それぞれの記事を検証した内容を書いて下さっている。
http://blog.goo.ne.jp/osato512/e/44bccaa2cc7c09d057f5791908019693

昨年末には、NHKは検証もいいかげんな番組を流した
(「追跡!真相ファイル: 低線量被ばく 揺れる国際基準」)
その「正しい」検証がこちら。↓
http://jein.jp/blog-masako/897-blog-78.html

原子力関連の専門家の方々も、NHKに以下の抗議文を送った。
「放射線の恐怖のみを煽(あお)るような“風評加害者”的報道は今後止(や)めるよう強く要望する」

ところが、そのことを報道した毎日新聞は、
「そのどこが<“風評加害者”的報道>だというのか。」と書いている。
そして最後はこう結んでいる。
「そもそも科学とは誰の、何のためにあるのか。報道とは誰のための営みか。
 こうした原点が改めて問われている。」

この言葉をそっくりそのまま、毎日新聞さんにお返ししたい。

同じNHKでも、大越健介氏はこのように書いている。
「正しく怖れる」
http://www.nhk.or.jp/nw9-okoshi-blog/100/107994.html
  その「覚悟の帰村」をしっかりと、そして温かいまなざしで見守りたい。
  それが、遠くに住むぼくたちにできる最大の支援であるように思う。

自主避難の人達も、ぼちぼち戻ってくる方々が増えている印象がある。
帰ろうかどうすべきか、迷っている方々もいる。

これまでの県内で実施された外部被ばく・内部被ばくの調査結果からも、
県内の子ども達の放射線による健康被害の可能性は極めて低いであろう、ということが、
ほぼ確実にわかりかけてきている。

それでも、不安な人はいる。

これはもう、どうしようもないことなのだ。
アタマでは理解できても、心がそれをよしとしない。
それは、責めることも非難することもできないことなのだ、と思う。
けれども、そのために、親兄弟や友人のつながりに、亀裂がはいること、
そして、そのような環境下で子ども達が生活している・・・。
このことの方が、余程将来の健康には悪影響ではないか。

今後は、このような心へのかかわり方が、より大切になってくるように思う。

そんな思いでいた最近、心ある記者さんに出会った。
1ヶ月ほど前に、ある育児雑誌の記者さんから、取材を受けた。
取材の時間は決して長くはなかったのだけれど、
短い時間の中で、自主避難の親御さん、ここで生活している親御さんたち、
それそれの気持ちを、わたしの予想以上に理解して下さった。
そして、限られたスペースながら、
「見出し」についても、ずいぶんと検討して記事にして下さったようである。

かつて日本は、「大本営」発表を真に受けて身の程知らずの戦争をしかけ、
神国日本は絶対に勝利すると信じて疑わなかった。
でも、負けてしまった・・・。
そのことが、日本人の大きなトラウマになっているように思う。
つまり、政府や自治体などの発表は全てがウソに違いない、という感覚だ。
たしかに、今回の原発事故に関しては、後出し情報があまりにも多かった。
SPEEDIは、福島県民にはちっともスピーディーじゃなかった。
(ナンで米軍の方が先なんだ!?)
メルトダウンは、事故後1週間後には懸念されていたというじゃないか。

福島県民として、言いたいことは、いっぱい、ある。

でも。
それと、現在の放射線被ばくによる健康被害の可能性云々とは、別だ。

同じ事実でも、見出しひとつで、伝わり方は大きく異なる。

時代は変われど、いや、自由にモノが言える時代になったからこそ、
センセーショナルな見出しをメディアの多くは用いる。
 「避難住民、後をたたず」とか、
 「福島の子どもの体調に異変」とか・・・。
結局それは、「大本営発表」と同じことだ。
すべてのメディアの方々には、このことを是非、心に留めて欲しいと思う。

最近出会ったその記者さんのような方が、他ににもたくさんんいらっしゃると信じたい。