休むに似ている

「バカの考え」だけに(笑)。

『題名のない子守唄』

2008å¹´06月23æ—¥ | æ˜ ç”»
米子シネマクラブ例会 『題名のない子守唄』

ええと、まずエンニオ・モリコーネの音楽が素晴らしい。
エンディングまで延々と堪能。てゆうか、これだけでお腹一杯。

で、内容は……
過去のシーンやらトラウマやらが滅多矢鱈とフラッシュバックし、
脳内でそれらをコラージュして繋ぎ合わせ、
一つのストーリーを作り出す作業に えらく苦労しました。
まぁ『メメント』ほどじゃないけど(アレは何度も見返した)。
サスペンスとしては一級品なのかな。
素直に引き込まれますし、素直に集中できますし。
(実際、ズタボロに疲れてたけど集中できた)

でもねえ。結局この作品、内容がないよなあ(シャレに非ず)。
最終的な感想に関しては、これが近い(ネタバレあり)。

自分でも反芻し、家族で再検証してみましたが、
所々に未解決部分や矛盾があるような気がします。
「金はどこ行った」とか「子は全員産んだのか」とか。
もう一度でも見たらよく分るかもしれませんが、
なんか、もう一度観る気にはなりませんねえ。疲れるし。

歓びを歌にのせて

2007å¹´10月17æ—¥ | æ˜ ç”»
【公式サイト】
過去にシネマクラブでやった作品の感想も、
ちょこちょこ載せていかねば、と思っていたりする。


【以下、完全ネタバレ】


良い意味で、裏切られた作品。
「歌によって人生救われますた」「音楽の力ってこんなにスゴイんです」てな安直なテーマの話を想像すると、おそらくはラストで面食らうのではないかと。
音楽によって救われた、というより、音楽によって素直に(本能的に?感情的に?)自分の考え(多くは、主人公含む登場人物の抱えるトラウマ)を表明・主張できるようになり、自らの意思で自らの進む道を選べるようになった、と言った方が正しい。
その選択が正しかったのか、どんな人生になるのかは本人次第。

主人公が音楽を指導することにより、村の人々の抱える、そして今の社会にも通じる様々な問題が浮き彫りになる。これがまた、かなり生々しかったり。
しかし音楽もさることながら、この作品の真のテーマは、「依存からの脱却」ではないかと思えたし、少なくとも個人的にはそういう視点で見てた。ここでの「依存」とは教条的なキリスト教信仰であり、夫からのDVであり、閉鎖的な村社会にありがちの(ある意味陰湿な)人間関係であり、各人の過去のトラウマだったりするのだが、そういう固陋・無変化な体質や現実を切り裂き、「新たな価値観・人間関係」という新風を吹き込む役割が「音楽」であり「ハーモニー」であると。
ちなみに、この固陋な体質・現実により被害を受け、そして立ち直るのが、多くは女性(含む社会的弱者)であるのが、さすがはスウェーデンの映画とも思えたりして。

しかし、この時点で終わってしまっては、「音楽」が村人を変化させたはいいが、結局、人々の依存(信仰)の対象が主人公にスライドしただけになってしまうわけで。実際、教会で大騒ぎする姿なんざ、敬虔なキリスト教徒にとっては「サバト」にしか見えないし(笑)。村人が主人公を教祖的に慕う姿、教会を見捨てる村人、主人公の音楽指導における物言いなども、一歩間違えば新興宗教やらラエリアンやらみたく見えなくもない。敢えてそう見えるような演出したのかもないけど。

そして迎えるラスト。ウィーンのコンクールに出場する村人たち(聖歌隊)を襲う大アクシデント。愕然とする一同。
おそらく、このラストには賛否あるだろうが(現に、アンケート用紙を出した前の人は映画評「分からない」だったw)、個人的にはこのラストがあって初めてこの映画のテーマ(「依存からの脱却」)に一貫性が出、そこらに転がってそうな音楽映画とは一線を画す佳作になったのではないか、と思うところ。

幸福のスイッチ

2007å¹´10月15æ—¥ | æ˜ ç”»
米子シネマクラブにて。【映画の公式サイト】

若年層は上野樹里の魅力、高年齢層は沢田研二のイメチェン、
全体的には「古き良き日本的サービスと、それに気付く若者」
…という構図で、(その良し悪しは別にして)楽しめるのではないかと。

上野樹里は、相変わらず欠点ある人間を演じるの上手いなと。
モラトリアムな若人の自己中・わがまま・すぐキレるなどなど。
その欠点が、ムカつく反面、魅力的に感じられるから不思議。
現在進行形の若人は共感し、その時期過ぎた大人には、
「自分にもこういう時期もあったよね」と懐かしく感じられたり。
(ちなみに作中で、それを最も感じているのが親父の沢田研二)
唐沢さんの「欠点ある人にこそ惹かれる」との言を思い出す。

沢田研二、儲からない電器屋のコテコテ関西弁の親父を熱演。
イメチェン…というか、変わり杉でどうにもこうにも違和感が。
あのダミ声が、「勝手にしやがれ」のコブシに聴こえてしまう。
…いかんいかん。すみませんもうちと時間を下さい慣れるまで。
外面良くて(娘・談)、家の中では非常にすぐ怒鳴る身勝手な、
しかし不器用だけれど誠実で、芯は非常に優しい、という
ある意味、ステレオタイプな古き良き日本の親父の役柄。

脇を固める姉・妹役の本上まなみ、中村静香も良し。
瀬戸内の田舎の純朴な風景良し。住民も演技が臭いけど良し。
個人的にはデカブルー&アストロワンを演じていた林剛史が
出てたのがポイント高し。上野樹里の幼馴染の電器屋手伝い。
両者のクール&暑苦しい役柄と違い、今回は非常に軽い性格。

ちなみにこいつ、既に彼女いるのに上野樹里に迫ったりする。
この辺、父親の浮気疑惑とダブらせてあるんでしょう。
「所詮、男ってぇのは妻や恋人いても他の女を愛せる生き物だ」
…てな感じで。実際、男ってぇのはそういうもんですが(汗)
親父(沢田研二)だと、あんなに軽くもないでしょうし、
果たして妻や子を捨てて…てことには絶対ならんのでしょうが。
(でも、キリスト教の場合、そういう気を起こすこと自体が姦淫だったりする)

全体的に今の日本人の好きそうな映画。
地域密着、綿密な(しかし儲からない)アフターケアとサービス。
安売り大手の進出で経営青息吐息だが、スタンスは崩さない。
客の思い出を尊重し、付喪神が宿りそうなほど大切にする姿勢。
父の骨折を機に、実家の電器屋を手伝うようになった次女が
誰かの役に立つことの意味、本当の仕事とは何かを学んでいく。

映画の出来としても良いですし、内容も面白かったし。
しかし、映画とは別の意味で考えされられちゃいました。

SAW[ソウ]Ⅰ~Ⅲ

2007å¹´10月04æ—¥ | æ˜ ç”»
『SAW』公式サイト
『SAW2公式サイト』
『SAW3』公式サイト

三本連続で観てたら、気が狂いそうに。
とりあえず、勝手邦題的サブタイトル付けると
『幸せな余生の過ごし方』(笑)

SAW
名作の誉れ高い逸品。実際、名作だと思います。
DVDの特典映像インタヴューにて監督さん曰く
「最初から予算枠が決められていた」んだと。
つまり、低予算映画でも脚本・ストーリーを練れば
あれだけの名作を残れるんだということで。

目が覚めたら異様な状況下に置かれていた見知らぬ二人。
徐々に明らかになっていく二人の過去と現在と。
そして更に深まっていく謎と犯人の正体、その目的。
複線貼って「こいつ犯人かも」と思わせつつ、
それを見事に作中で忘れさせ視線を逸らせるテク。
最後の最後に起こるどんでん返し、あっ、と驚く結末。
そして明らかにされる、真犯人の正体と動機。
積み重ねられた抽象的な言語や謎がパズルのピースを
埋めていくが如く整合性を持って揃っていく快感。
いやはや、見事の一言に尽きます。

ちょっとだけ難を言えば、
別にあの時、足を切断する必要とか、なかったんじゃね?
服を脱げば、あの携帯取れたよな。安否も確認できるし。
まぁ切断しなければ、あの部屋を出るの不可能だったし
結果的に同じことだったんだろうけど。げーむおーばー。


SAWⅡ
Ⅰのヒットで予算枠が増えたんでしょう。
セットが豪華にメンバー複数にストーリー過激に。
基本的にスプラッターなのダメなんです。
あの注射器の穴に落とされるシーン、あ痛だだだだだ……

人数や場面の数の分、話が拡散してしまってるし、
妙に機械的トリック・トラップに頼ってはいるけど、
やはりキッチリしたルールに従って話が進行し、
謎や抽象的発言が一気に解決する快感を伴ったラスト。
そしてこれも見事などんでん返しも相変わらず。
名作の続編なのに、クオリティ保っただけで上々です。

これもちょっと難を言えば、
集められた人がもうちょい協力し合ってヒントを解けば、
上手くいけば全員に近い人数で、それも十数分ほどで
あのゲーム解決してしまったんじゃないかな。
まぁ、それを許さないためのゲーム参加だったのかも。
やはり、主催者も(一度は)ゲームの只中に参加して
死のリスクを負うというルールもあるのかしらん。


SAWⅢ
かなり異色…つーか、こんなんジグソウじゃないやい。
主催者自らがルール違反してちゃダメでしょう。
ゲームクリアを不可能にしちゃマズいでしょう。
何ですか、あの意味もないスプラッターな数々は。

……おそらく、観た者の誰もが抱いた印象でしょうが、
やはりそれらをひっくり返す結末と整合性。
ああ、そうですか、これもゲームの一部でしたか。
一応は納得……したけど、後味、無茶苦茶悪いなオイ。

こちらもゲームに関して難を言いますと、
ⅠよりⅡ、ⅡよりⅢと続くに従って、
アバウトさと残虐さが増しております。
全員助けてたら、下手すれば最後三人残るわけで、
一人も助けず十字架まで行けば、一人も残らないわけで
どちらにせよ、大幅にストーリーが変わってきます。
それもこれも含めて、寝たきり主催者による
ゲームだったのかもしれませんが。自分もコマにした。
でも、あのゲームで最後に一人も残ってなければ、
実行した主催者の一人勝ちになっちゃうんだうよな。


トータルして考えると、キッチリ整合性は取れてます。
が、結果、何一つ残るものはなかったわけで、
『不幸せな余生の過ごし方』と言えるかも。


これでキッチリ終わったのかと思いきや、
『SAW4』が出るみたいです→ 公式サイト。
ジグソウがクローン技術で甦って(それ違う「4」)

DEATH NOTE

2007å¹´09月10æ—¥ | æ˜ ç”»
公式サイト

遅まきながら、ようやく観ることができました。
しかし長かった前後編で合計4時間半。
当初の予定では、上映時間・約2時間の一作で
納めるつもりだったらしいが、無理ですよ無理。
死神の映画なのに、悪魔の映画になっちゃうよ(笑)

トータルとしてみると、うむ、良かった良かった。
てゆーか、頑張った頑張った。おおむね満足満足。
ライトもLもリュークも総一郎さんの演技も良かったし。
脇役とかエキストラの台詞が大根なのは…まぁ御愛嬌。
え、ミサミサですか? ……微妙~♪

原作を大胆に改変して、端折るとこ端折って、
しかもラストは、原作通りに纏めて中途半端で
終わると思いきや、良い意味で期待を裏切る大逆転。
「そうか、そういう方法もあったのか!」
…と、思わず膝を打つ。よく考えたなこんな結末。

動機や正義の定義やキラ支持者の行動パターンや、
もうちょい原作レベルの分析や深みが欲しかったけど、
ストーリー的にギリギリだったし、無理もなかろうと。

原作ファンも未読の人も、満足し得るレベルではないかと。
エンターテイメントとして楽しめる佳作という評価です。


 【以下、ネタバレ気味】




ただ難を言えば、原作を大幅に改変してるんだから
無理に原作通りのシーンを持ってくる必要なかったのに。
そこらで少しばかり矛盾・齟齬が生じているな、と。

特に前編の、南空ナオミ:瀬戸朝香。
かなり隙が多いというか、頭が良いんだか悪いんだか。
キラが名前で人が殺せると分かったら、いくら何でも
自分の名前が外部からバレることは注意しなくちゃ。
本人の口から、キラにヒント出してちゃダメでしょ。
しかも、あの偽名の名刺を作った意味とか全くないし。
考えてみれば、神父さんと口裏合わせ、偽名刺を利用して
上手いことキラを引っ掛けるもできたんじゃないか?
まぁ恋人の響鬼さん殺されて、動揺してたということで。
故・ナンシー関さん曰く「瀬戸朝香はレスラーが似合う」
やっぱ、頭脳よりも肉体派・行動派な南空ナオミでした。

それから、恋人の秋野詩織は南空に殺されているわけで、
月がキラを直接憎む動機にはなりにくいような。
むしろ、FBIとかLの方が憎まれても仕方ないような。
恋人をキラに殺されてトチ狂った人に殺されたわけなので、
まぁ憎悪の対象として繋がらないこともないんですが。

で、後編。あのラストは見事でしたが、
月=キラが、腕時計の中の切れ端に名前を書いても
あんまり意味ないんですよね。Lは殺せないし。
本編ではニア殺せば口車に乗せることできたけど。
ミサミサ殺しても、Lへの殺害シーンモロバレだし。
親父を殺しても、その他の警察官が黙っちゃいないし。
考えられるのは、あそこにいた警察官全員殺して、
その後でLも力ずくで……て、パターンのみ。
まぁこれも、ほとんどチェックメイトな状況下で、
ライトらしくない無理をせざるを得なかったと。

【映画】グエムル―漢江の怪物―

2007å¹´05月30æ—¥ | æ˜ ç”»
うう。後味悪~い。
あのエンディングで韓国的にはOKなのか。う~む。

怪獣映画の伝統のない韓国初の怪獣映画。
北の国にはプルガサリてのあるけど気にするな。
いやあ、面白かった面白かった。

群衆の中を走り回り蹂躙しまくる怪物。
あんないい意味で違和感のある映像とか余り見ない。
(別の意味で違和感ある映像なら山ほど見たけど)
いやもう映像、見入っちゃった。すごいすごい。
そりゃあ、怪物も滑ったりコケたりするわな。
妙にドジな怪物だけど、それで恐ろしさが減るかといえば
全然減らない。というか、妙なリアル感がいや増して。

あと、韓国の風俗習慣やら色々と興味深い。
日本人ならこういう発想してこういう行動取るけどな、
と、比較文化的側面からも興味深く見れたりして。
映画の作りも、日本やアメリカのとかなり違うなあ。
てか、何ですか最初の30分のあのテンションは。
んで、何ですかその後の冗長な人間ドラマは。

ちなみに公開された当初、一部のバ…心無い者が
「廃棄物13号」のパクリとか言ってた。
悪いけど、廃棄物13号より面白いです。
第一、廃棄物13号ってあんなに気持ち悪く動き回らないし。
似たようなシーンは、そりゃあるけどさ、
あんな形状の生物が動きまわりゃそりゃ似るだろと。
じゃあなんですか。廃棄物13号はこれのパクリですか。

ハッキリ言ってこいつら、両作品に対して失礼ですよ。

【特撮】笑う大天使(ミカエル)

2007å¹´05月10æ—¥ | æ˜ ç”»
公式サイト

カテゴリーは映画だけど、敢えて【特撮】と言ってみる。
監督の小田一生CG畑の人なんで、力の入れようがスゴイ。

なんか賛否が分かれる…というより、概ね酷評されてます。
岡山まで観に行ったマイミクさんもボロクソ言ってましたが、
個人的には普通に楽しみました。別にOKOK。
ただし、川原泉の漫画作品として見なければ、ですが。
原作ファンから見れば、どうも許せないようですが、
あの雰囲気自体を作れるのは、よほどの人間じゃないと無理。
つか、カーラ教授の作品実写化なら、あれでいいんじゃないかな。
万が一本人が作るとしても、原作にどこまで拘るか疑問ですし。

無駄なCGもあれはあれでアリだと。
雰囲気を出そうとして出し切れてないけどそれはそれで。
三者三様の格闘シーンは、おお、スパルタンX!(笑)
いやもう、三人合体して巨大化してもいいじゃない。
てゆーか、実写版エヴァですかあれは(笑)。

小ネタを挟んだり微妙に原作に忠実だったり、なんか中途半端。
拘るか壊すか、もうちょいハッキリしておればなお好。

あ、菊地凛子が出てたんだ。

【映画】妖怪伝 牙吉

2007å¹´05月09æ—¥ | æ˜ ç”»
『さくや妖怪伝』の真逆。

CG敢えて使わず(多分、予算不足で使えなかったと)
着ぐるみとアクションだけで魅せる妖怪モノ。
いや普通に面白かったですよ酷評多いけど。
『超星神グランセイザー』観た直後だったからかも。
全二部作品で、面白いのはやはり第一部の方だが。

人間と妖怪。
相容れない存在だが、どうにか調和を図ろうとする妖怪と、
最初から利用するだけ利用した挙句に排除する人間の相克。
ある種使い古されたテーマだけど、それだけ普遍的なわけで。

感情の変化も、「さもあろう」的に納得のいくものだったし。
『グランセイザー』みたく、やってること支離滅裂で
状況によってコロコロ態度や主張が変わるようなこともない。
……やっぱり、アレのアンチテーゼとして見てるのかなあ。

キャスティングも地味だけど、要所で清水健太郎とか重厚な役配してるし。
そういや、第一部には唐沢なをき・よしこ夫妻が出てる。
ごめんなさい判りませんでした。

【特撮】さくや妖怪伝

2007å¹´05月08æ—¥ | æ˜ ç”»
評判に違わぬ出来の良さ。佳作。

藤岡弘の日本刀と立ち姿は、流石に様になるなあ。
嶋田久作の憎まれ役兼忠実な部下もいい感じ。
何より松坂慶子の存在感と妖艶さが素晴らしい。
あれくらいインパクトある悪役って、最近見ない。
まずは、ベストキャスティング。

それから見どころは特撮。樋口さんの。
誰もがやってみたい富士の大爆発。ポスト日本沈没。
てゆーか、あの大爆発シーンをやり切っちゃったから
『日本沈没』では不完全燃焼にしたんじゃないか。
   (違いますかそうですか)
いやぁ、とにかく素晴らしい素晴らしい。

ストーリーとか関係なく素直に楽しんだ方が吉。
いやストーリーがないとか言うことじゃなくて。
あ、子河童の成長物語としても見れるかなと。