以前の記事で紹介したとおり、先月私は13冊の本を読みました。
自分でも驚きなんですが、読書の記録を付けるようになった2004年の3月からでは、この記事を投稿している現時点までの3年間に369冊の本を読んでいます。
これは平均すると10.25冊/月のペースになります。(もっとも、10冊という数を意識しているわけではないので、だいたい月ごとに読んでいる冊数は5~15冊位の間でばらつきがあります。)
今回の記事のテーマは、一介のサラリーマンである私がいかにしてこれだけの本を読破しているのかということです。
その秘訣をお伝えしたいと思います。(対象は主に実用書。)
読みたい本を見つける
さて、本を読む上で一番はじめの作業は、読みたい本を見つけることです。
これは非常に重要なステップで、この読みたいと思える本を見つけられるかどうかということが、「本を読む人」と「読まない人」を分けているのではないかという気がします。
もっとも、私自身はこの作業を意識的に行うことはあまりありません。
大抵はネット上、あるいは雑誌などで紹介されている本の中からその時気になった本を見つけます。
私がよく参考にさせていただいているブログを紹介しておきましょう。
- わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
- →プロジェクトマネジメント系の本や、小説の書評が充実しています
- 情報考学 Passion For The Future
- →テクノロジーまわりの書籍を沢山紹介されています
- たつをの ChangeLog
- →月ごとに読んだ本を紹介するのは、こちらのサイトをまねさせていただきました
- 404 Blog Not Found
- →こちらの記事で紹介されている速読映像がすごいです
近い興味を持つ人のブログをチェックしておくことが、自分の情報収集アンテナを強化することにつながります。
現在私のBloglines(RSSリーダー)には、約200のブログ巡回先が登録されており、時間を見つけてこれらをチェックするようにしています。
Bloglines
意識的に本を探すことはないと書きましたが、実は例外もあって、特定のテーマについて調べたいときなどはAmazonで関連書籍を検索し、目的にあっていそうな本を見つけます。
本を手に入れる
どのような経路にせよ、すこしでも気になる本を見つけたら、次はそれを入手するよう行動します。
とはいえ、気になる本すべてを購入することは、よほどの金銭的余裕がないとできません。
お金をかけずに気軽に本を読むためのポイントは、まずその本が図書館で取り扱われていないか検索してみることです。
最近の図書館システムがだいぶ進化していることをご存じでしょうか?
地域によるかもしれませんが、私の利用している図書館では蔵書をネット上から検索し、そのまま予約することが可能です。
貸し出し中や未取り扱いのリスクを軽減するたには、図書館は地元の他に勤務先周辺なども含めて、2館以上のカードを作っておくと良いでしょう。
予約しておいた本は貸し出しカウンターで受け取るだけなので、「前回借りた本を返却→予約していた本を借りる」というサイクルをうまく作ると、時間も短縮できて効率的になります。
どうしても図書館で手に入らない本は、Amazonのカートにでも入れておき、機会を見つけて購入を検討します。
本を読む環境
読みたい本を見つけて、手に入れるのが上手くなってくると、かなりの勢いで手元に本が増えていきます。
次は、これらの本を読みこなしていく方法について紹介しましょう。
まず、何はともあれ本を読むための時間をキープしなければなりません。
サラリーマンや学生にとっての定番の空き時間はなんといっても通勤通学の時間です。
この時間に寝たり音楽を聴いたりするのもよいですが、本を読めばより有効活用することができるはずです。
本を読むのになれてくると、片道30分くらいの往復だけで、新書が1冊読めてしまいます。
また、大型サイズの本やじっくり時間をかけて読むような本は、時間だけでなく場所にもこだわりたいものです。
私はこのような時、休日のベランダが読書の定位置になっているんですが、このようなお気に入りの読書スペースを見つけることが出来ると、より集中して本が読めるはずです。
本の要点を抽出する
本を読む上で重要なことに、読んだだけで満足しないということがあります。
人間の記憶はあまりあてになりませんから、読んだ時に「なるほど」と思ったことも、時間が経つとすぐ忘れてしまいます。
これは、一冊の本を読んでいる時の、数ページ読み進む間にも起こります。
せっかくその時頭に浮かんだことを、本を読み進める間に忘れてしまったのではもったいありません。
なので私は、本を読んでいて気になった部分は、残さずポストイットを貼り目印を付けておくようにしています。
図書館に本を返却する前には、このチェックした要点だけをテキストデータに書き出して読書メモが作れます。
購入した本であればペンで線を引いたり、書き込みをしておくのも良いでしょう。
この要点にチェックを入れていく読み方は、頭の一時領域を空っぽにして常に新しいポイントを探しながら本を読み進めることができるので、読書のスピードを高める上でも効果があるかもしれません。
本を読んだ後にすること
本を読み終えた後のフォローについて、私が実行していることは主に2つ。
- 読書記録の登録
- 読書メモの作成
「読書記録の登録」では、Schedule Watcherというフリーのスケジューラソフトを使って、その日読んだ本の名前を登録しています。
Schedule Watcher
この際登録名の先頭には「◎/○/△/×」の主観的評価を加え、必要であればメモ欄にコメントを追加します。
このようにスケジューラに読んだ本の名前を登録しておけば、一ヶ月間に読んだ本を、その読書日の分布も含めて一覧することが出来ます。
また、過去の読書履歴を検索するのも簡単です。
次に「読書メモの作成」では、前節でも書いたとおり本の中に貼った付箋のチェック箇所をテキストエディタに書き出して保存しています。
エディタは何でもかまいませんが、私のおすすめはリスト表示と自動保存機能のある紙copiというシェアウェアです。(読み返したり、書き加えたりするのに便利です。)
紙copi
多少の手間はかかりますが、これにより図書館で借りた本であっても手元に必要な情報を残しておくことが出来るわけです。
付箋が多すぎて全てを書き出しきれないような本は、自分にとっても非常に重要な本ということですから、新たに購入して付箋を移し替えるのもよいでしょう。
(これらは、私が個人的な習慣としている方法です。そのまままねする必要はないので、参考にでもしてよりよい方法を考えてください。)
知識からスキルへ
以上で、私が実践している読書法は殆ど書き出しました。
ただ、実のところ私自身これだけで十分だとは思っていません。
これらの方法によってたくさんの本を読むことは出来ても、知識を蓄えただけであれば、実際にはせいぜい気の利いた会話ができるくらいの効果しか得られないでしょう。
発想を広げるためにも知識は多いに越したことはありませんが、それがただ頭の中にあるだけでは何にもなりません。
新たな創造へと繋げるためには、「実行」する必要があります。
ではそのために、具体的には何ができるでしょうか。
私が最近意識しているのは、「読書メモ」をこまめに読み返すということです。(「読書メモ」を手帳のリフィルとしてプリントアウトして持ち歩きます。)
そうしてその内容を常に意識し、日常生活の中で本から得た知識を実際に活用してみます。(これは現在の目標であり、私自身は残念ながらまだここまで到達していません)
知識と経験とはまったくの別物であり、より役立つのは経験の方だと感じます。
ぜひ読書を通じて新たなスキルを獲得してゆきたいものです。
まとめ
芸術や発明などクリエイティブなものは、何もないところから生まれることはありません。
それまでにその人間が受けてきた外部刺激と経験によって生み出されるものであると私は思います。
本を読むことは、あなたのあらゆる可能性を広げる上で役立つでしょう。
まずは、自分の興味についてアンテナを高く張ることです。
そしてたくさんの本を読み、経験を積んでゆきましょう。(私も!)
参考文献
読書を自己投資としてとらえた考え方。非常に共感できる部分が多く、面白かったです。今回の記事でも特に後半はこの本の影響を受けてます。著者との唯一の違いは、図書館を使うこと。
情報に対して「受動的」ではなく「能動的」姿勢で接するための意識改革に繋がる本。単なるノウハウではない魅力があります。この本を読んで以来私は4色(3色+黒)ボールペンが手放せなくなりました。
個人的にはそれほど影響を受けた覚えがないんですが、読書をテーマにした本としては有名どころだと思います。一応載せておきましょう。
参考記事
- わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 図書館で夢をかなえた人々
図書館活用に関する記述あり 記事中で紹介されている本も読ませていただきましたが、面白かったです - たつをの ChangeLog: ちびポストイットを使おう
私が使っているのもこのポストイット コストパフォーマンスが高いので気軽に使えます - 年間300冊読む読書術
記事を書いた後で見つけました 上には上がいるものです - シゴタノ! - 読書を習慣化するコツ
「レバレッジ・リーディング」に関する記事をいくつか書かれています - 読書をシステム化する「レバレッジ・リーディング」の7ステップ - 発想七日!
やはり印刷して読み返すところに一つの壁がありますね - 読書観が変わる本、レバレッジリーディング _読書no.001:じだらく
同じようにとらえている人がいた。この方の読書メモはボリュームがハンパない。 - 404 Blog Not Found:怠翻 - 読書を一生の習慣にするための14の心がけ
なんとdan氏は月200冊とのこと。でも環境さえ整ってしまえば自然と読みたい本は増えてくるんですよね。
追記(2007/07/14)
私の場合は、ちびポストイットを気になったポイントごとに貼りながら読んでます。
横書きの本でページ内にポストイットが埋もれてしまう場合、ページ右上に目印としてもう一枚貼ります。このおかげでその本にポストイットをどれくらい付けたか一目で分かります。
これならページを折ることもなく、ペンで線を引くより手軽でおすすめ。ちびポストイットはコストパフォーマンスも高いです。
私も以前は3色ボールペンで線を引いていましたが、電車内でやると線が汚くなるのと、結局ダメ本だったときに古本として処分できるようこの方法に落ち着きました。そしてこれは、図書館で借りた本でも実践できます。
追記(2007/07/24)
こちらの記事では、のり付き付箋を図書館の蔵書に使うのは良くないと書かれています。しかし、本当でしょうか。図書館で本を借りているのは長くても2週間程度です。作りのまずい三流付箋ならともかく、3Mの付箋が2週間程度で本にそれほどのダメージを与えるとは思えません。
実際、書棚にあった数年前にポストイットを貼った本も確認してみましたが、まったく痛んでいる様子はありませんでした。本を綺麗に保存することはもちろん大切ですが、それよりはポストイットを使って読むことのメリットを考えた方がよいのではないでしょうか。
もっとも、図書館の蔵書であるか否かにかかわらず、物理的に貴重な本であれば、たしかに気をつけておく必要はあるかもしれません。(ちなみに、これは前回追記のリンクと同じ「ITmedia Biz.ID」の記事ですが、それぞれ書かれている人が違います)
Comments»
「休日のベランダ」いいですねー。子供が小さいこともあり、なかなか休日に時間が取れ無いので羨ましく思います。
読書ペース、図書館の利用サイクルと、「おお、自分と同じパターンだっ」と嬉しくなりコメントしてみました。とっても参考になる記事をありがとうございます。
#紙Copi、とっても便利に使いつづけているにも関わらず、未だ Lite (無料版)のままです。(いまいち有料版のメリットを感じることがなく、、。)
shunさんコメントありがとうございます~。
参考にしていただけたようでうれしいです。
私も最近は読みたい本はたくさんあるものの、なかなか時間が取れなくてつらいですね。
つい急いで読んでしまうので細部の注意がおろそかになったり。
「読んだつもり」だけにならないよう、気をつけたいところです。
紙copiの有料版ですが、個人的には重宝しています。
小箱が作れたり、Webスクラップの保存形式が改良されていたりするのがポイントでしょうか。
あと、アイコンがカッコよくなりますw
読書論(速読・多読含む)のまとめ…
なかなか意義深いエントリを見つけたのでここにメモ。
ついでにコメント程度ではおそらく深掘りできないだろうから記事を書くことにした。
・コンサルの面接で「74冊読 (more…)