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正岡

おたくな奥様快楽通信

スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」の感想

2024年12月11日
歌舞伎・演劇・ライブ 0
スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」の感想

観劇日
2024年2月中村隼人回

2023年3月市川團子回
新橋演舞場


◆中村隼人回の感想

一行感想。ありがとう、天翔る中村隼人。

 4年前に回転劇場で見るはずだった隼人様の「ヤマトタケル」。去年の夏に見るはずだった四代目のシネマ歌舞伎「ヤマトタケル」。世が世なら團子様の「鬼滅歌舞伎」。……などといろいろ複雑な思いを胸にしまって、久々の新橋演舞場。
 やっぱいいなあ、この劇場。私、初めて生で見た歌舞伎は「新三国志」で、ここ新橋だったし。四代目の襲名公演もここだったな。
 「ヤマトタケル」は映像でも公演でも何回か見てるので、どんな場面があるのか、お話の流れも一応知ってる。今まで特に疑問もなく、アートなスーパーお衣装をまとった役者をうっとり眺める舞台…くらいの認識だった。
 歌舞伎ってのは、そのくらいお気楽に見れるものなのよ(^_^;)
 今振り返るに私は、四代目の何が好きだったのか。顔とか声とか姿しか見てなかったような気がする。三代目のヤマトタケルは映像でしか知らないけど、四代目とどこが違うかなんて考えたこともなかった。そういう意味で私はミーハーで庶民で安いお客なのね。


英雄叙事詩
 今まで何も考えないで見ていた私だが、今回は予習してしまったせいか、父子のつながりが、いや、これそういう話か?とか初めて考えながら見て、そこはちょっと失敗したかなと思ったりした。気が散るじゃん? 実は私、ヤマトタケルに扮した隼人様を見たいだけだったのかも。
 このお話は、ヤマトタケルという英雄の生涯だ。西は九州、東は関東まで転戦し、最後の戦で倒れ、故郷には帰りつけず、王にはなれなかった。
 その年月経過と国をまたいだ旅、のような英雄叙事詩的スケール感が、中村隼人タケルに感じられて良かった。特に後半。ただ前に進むだけ。運命や己の使命は後から自ずとわかる。そんな武人だから家臣が従う。…のような、何か脚本以上のものが宿る隼人タケルだったと思う。
 これは、回転劇場だったらこんな感想は抱けなかったかも。何しろあれから4年経っているのだ。

実はところどころセリフを直している歴代タケル
 帰宅してから、四代目版、最近放送があった三代目、の両方の録画を見た。四代目版は劇場と映画館とTV放送と何回も見てるから私には一番印象が強いが、この四代目版は三代目版(初演から9年後らしい)をほぼ踏襲していると思う。しかし今回の隼人・團子版とはあちこちセリフが違う箇所がある。実は上演のたびに、セリフの手直しをしてきてるのね。
 正直な感想としては、何が正解とは言えないかな。
 なるほどこのセリフは無くてもいい。情報が多すぎると印象が散漫になるから、ここは切ったんだろう。このセリフでちょっと印象変わるなあ。などなど。その時々の三代目の判断で、手を入れてきたんだろうと思うのね。
 あと、ロマンス方面のセリフは、いやいやこれは違うのではないか(^_^;)とか私もいろいろ感想はあるんだけど、三代目のいない今となっては、もう書き変わることもないのだな。

中村米吉の橘姫
 「ヤマトタケル」は新作歌舞伎とはいっても、意外に上演回数が多く、登場人物のカタチのようなものがすでにある。というのを、公演始まって早々に思った。兄姫、弟姫は前任者が誰だったのかわかるような感じだった。あれ?米吉って? でも翌月に2回目を見たら、そうなんだ!これが米吉か〜! 両姫とも少ないセリフで感情を出す、しかも言ってる言葉そのままの意味じゃない、みたいな役だから、観客の想像力も加わっていろいろ考えちゃうよね。この後、福岡まで行くと、どんな米吉に会えるのかな。


◆市川團子回の感想

一行感想。喜慰斗のy遺伝子。

 前に市川團子を見たのは去年の秋だったはずなのに、なんだかもう別の人?いい意味で。こうなると、團子タケルの後半戦はどうなってるのか気になる。博多まで追いかけて行きたい気持ちになる。
 とにかく、ああやっぱり三代目の孫なんだ。顔見てわかるメンデルの法則?。三代目の若い頃って白黒写真しか見たことないけど。四代目とも共通するものがあるような。
 いや、外見の話はやめよう。まだ20歳なんだから、この後まだ何がどう覚醒や進化があるかわからないぞ。
 ラスト、白鳥になって飛び立つ場面。四代目はあの時、三十代半ばで襲名公演だったので、「やっとここまで来た。ここから宇宙開拓が始まるだ(≡゚∀゚≡)」みたいな、ロケット打ち上げをわくわく見守る気持ちで、私は見上げたのだった。今回は、
 私は、正直いうと、本当は市川團子の鬼滅歌舞伎を見てるはずだったのに、いったい何を見せられているんだ?と一瞬思っていた。私は未練がましい観客だった。沢瀉屋内外の事情が先に立って、市川團子の芝居そのものに入り込めなかったのかも。ヤマトタケルじゃなくて市川團子を見てしまっていた気がする。
 幕切れは、市川團子は大きな翼を広げて華やかに離陸して行った。これは結末ではない。まだ何も始まってない。きっとここから長い長い一人旅が始まるのだろうな。


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正岡
この記事を書いた人: 正岡
■生涯一腐女子。腐女子の本懐を極める。追っかけ中→小西克幸。市川猿之助。松田龍平。蒼井翔太
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