比喩ではなく…。(^^;)
● (株)サクラクレパス ボールサインiD 0.4mm (ナイトブラック) ¥200+税
最近は、各メーカーの筆記具にとんがった特徴を備えたものが増え、それはそれで嬉しい楽しい大好き♪なのですが、「…これ、使ってみた?」と、疑問に思うモノにたまに出会います。
たぶん、私がとても保守的な頭の固い年寄りで、細かなところに目くじらをたてる、偏屈偏狭を具現化したようなひとだから、そう感じるんでしょう…なんか書いてて悲しくなってきたわ(^^;)
さて、本日ご紹介するのは、ボールサインiD。
何がiDなのかは謎です…後述する形状(円弧形状を示すDと直線的なI)から取ったのかもしれません。
軸の色はセッティングされた芯径により、青みがかった薄いグレーが0.4、黒に近いグレーが0.5となっています。
嫌味なく色づいた軸の、しゅっとした無機的な佇まいはなかなかにカッコよく、おしゃれなヘアサロンでカルテを作るときに渡されそうな雰囲気(?)。
このノックの背中側から、ノックボタンの上空を経由して、手前に織り込まれた厚めの金属クリップが特徴的。このお尻の感じが結構イケます(^-^*)
SAKURAのロゴが入った樹脂でノックに固定され、ループ状になっているため、チャームを付けたりネックストラップからぶら下げたりすることも(邪魔でしょうが)出来そうです…いや、しないか(^^;)
ノック部分のカラーがインク色に対応していますが、インク色はノックよりも、もう少し黒強めだったり明るかったりするので、売り場での試筆をお勧めします。
リフィル交換時には。ネジ止めの首軸をはずします。
シルバーの首軸はプラスティック製で、粒子ムラが目立つ個体があります。気になる方は購入前に要チェック。
並べて撮影したのは以前紹介した「大人のクーピー」こと、SAKURA craft.lab 002。
それぞれのリフィルは、軸の長さが違うだけに見えるので、上手くいけばiDのリフィルを切断して002に使用できるかも。002のリフィルは黒だけなので、ボールサインiDの6色が自由に使えたならば、こんなにうれしいことはありません(^-^)。
握ってみました。
クリップとノック構造がボディや首軸とくらべて若干重いので、重心は後ろ目にあります。いや、それよりも…重さや長さや重心といった特徴が、些細なことのように感じるぐらい、とても「気になる事」があります…が、それはあとまわしで。(^^;)
インクの色名は「ナイトブラック」なんですが、これじゃまずいと思ったのか、本体に貼られたシールには(ブルーブラック)とも記載されています…じゃぁ初めからブルーブラックでいいやん…とも思いますが(^^;)
0.4mmという細さの割に、芯の書き味は抜群に良くて、色合いも青味が強すぎず、とても素敵な好みのB.B。ますます002に入れたくなります。(^-^)
見た目(特にお尻)も良いし、リフィルも良いのですけれども…それらを帳消しにしてくれる最大の難点は胴軸の形状。
はっきり言って、まぁ持ちにくいったらありゃしない!
六角軸の向き合う角2つに、それぞれアールをつけた形状に見えますが、逆で、断面が楕円形状のパイプの細い方を削ったような、おかしなバランスになっています。
メーカ公式の商品紹介ページに、「手にフィットする、新感覚iD設計」とありますが、新感覚であるけれど、手には全くフィットしません。こんなにフィットしない胴軸は、初めてとは言いませんけれど、国産品の日常筆記具では滅多にお目にかからない代物。
3方向からの力のバランスで、固定して筆記するというのが、六角軸に対するグリップのセオリー。そして、その六角軸の一つ飛ばした辺を、親指、人差し指、中指でタッチして筆記します。3本の指で正三角形の空間を作るイメージですね。そのトライアングルの中を斜めに筆記具が突っ切って、細かく力の制御を行って文字を書くのです。
ところが、こんな形状にしたらどうなるか。
1本の指を「安定する平面に添わせる」と、残る2本の指は「アールの部分が切れるか切れないかの所にタッチ」することになります。その2本の指は当然滑ります。必ず2本の指は不安定な状態になるのです。
コンテやパステルのように、2本の指でつまんで使わない限りは、こんなへんてこな形状で、安定して書けるはずはありません。
100歩譲って、面と面の間が8mm程度の細い軸(鉛筆サイズ)なら、指同士が接して補助することで、まだマシだったかもしれません。しかし、この子は10mm程度のポピュラーなペンですから、お互いの指がフォローも出来ず、ただただ握りにくさをかみしめるのみ。
試筆の出来る文具屋さんで、「吾輩は猫である」の冒頭でも書いてみてください。「無い」あたりでイラッとする事請け合いです。
解決方法はひとつ。素敵フォルムに対して申し訳ありませんが、どこかを物理的に削るしかないでしょう。
グリップ部分のアールと平面の継ぎ目を削って、円に近づけるか、アールを斜めに削って、平たくするか…。やるなら肉厚な「面の両端」を削って、断面を円に近づけたほうが良いように思います。
いっそリフィルを短くして、002に入れて使うか…このもやもや感を解決するには、一番手っ取り早いけれど、それでは根本解決になりませんね…(^^;)
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軸の考察興味深く読みました。
「無罫フォント」の猫町です。
先日はブログにコメントをありがとうございます。
「わあ…『さんてんり~だ』さんだ…すごい…」とオロオロしているうちに日が過ぎていき、このままではいかん!とご挨拶にうかがいました。
サクラクレパスのボールサインiD、軸に(!?)となったのは自分だけではなかったのですね。
もちろん良い意味の(!?)ではありません。
普通に握りにくいですよね…
「新感覚であるけれど、手には全くフィットしません。」
という簡潔なコメントにすべてが言い表されていますが、軸も含めて評価している皆さんはちょっとどんな持ち方をされているのか、少々のことでは動揺しない軸対応力があるのか謎です。
自分は興味がすぐに替芯に向かってしまい(替芯は素晴らしい)、スタンダードなジェットストリームの軸でも満足できるタイプなので軸のことは記憶から消し去ってしまいました。
しかしこうしてあらためて丁寧に分析されているのを読むとふむふむ、と思います。
新しい筆記具を世に出す時というのはメーカーも本気だと思うのですが、このアイテムに関してはちょっとこりすぎたのではないか、と素人の自分などは思ってしまいます。
しかしサクラクレパスは芯はよくてもノックが病気だったり、一筋縄ではいかないところがありますね。
見守りたいです。
見守り~
いち文具好きに身に余るご評価…恐縮です…(^^;)
>もちろん良い意味の(!?)ではありません。
>普通に握りにくいですよね…
やっぱり…(^^;)。
パッと見のしゅっとした格好良さと、常用し辛い形状のアンバランスさを、どう表現していいものか…と何度か書き直したんですが、どう温和に書いても、「握りにくい」としか言いようがないんですよねぇ…。
たぶん、ぱぱっと単語を書く分には、違和感を我慢できてしまうので、あまり気が付かないのかもしれない…ということもあり、試筆で「吾輩は猫である」冒頭程度の長文ををお勧めしてみたり(^^;)
そのうち、バランスが良い「The サクラクレパス」的なものがリリースされるのを、私も気長に待つつもりです。
今後とも、ともに見守りましょう~(^-^)/