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息子の口から発せられる何かについての夫婦の見解の相違

生まれて11ヶ月とかになる息子がこの前までは「たっ!」「だっ!」「だっだっだ!」とか言ってたのが最近は「おった!」「おっだだん!」「だっだっおっだだ!」などと言うようになってるのを見て、嫁が「ほら、お母さんお父さんって言ってるよ」と言い出した。僕は「言ってねえだろ」「そう聞こえただけだろ」と思ったし言ったが嫁は「絶対言ってる」と言うので、そうかなぁと思いつつ「そうなのかなぁ、もう一回言ってみ?お母さん!お父さん!」と息子を煽る。息子は「だっ」とかもうちょっと長い「だっ」と何かを組み合わせた音を口から発する。嫁はそれを「ほら」と喜ぶ。俺はこいつが今の時点で喋ってようが喋ってなかろうがどっちでもいいんだが、俺はどっちでもいいことが「どっちか」にはさして興味はないし憶測で判断するのが大嫌いなのだが、そんなことより嫁が喜んでいることが楽しい。だからついつい「言ってるかも」「言ってるねえ」とか言ってしまう。俺と違う見解を持つ嫁に腹が立たない。それは俺が嫁を好きだからなのだろう。見解の不一致は本来腹立たしい事象であるはずだ。しかし、俺はついつい甘んじて「言ってる言ってる」とか言ってしまう。

付き合ってから結婚してから長らく二人でやってきて、なんやかんやあって、やがてこの彼が我が家にやってきた。

人間は三人集まると派閥を作ると言う。今この状況において、僕と嫁が「お母さんお父さんと言ってる派」で彼が全然そんなこと言ってない少数派なのか、嫁と彼が「お母さんお父さんと言ってる派」で僕がそれを信じない少数派なのか、それは誰にもわからない。わからないならわからないままにしておけば良い。

僕はどっちでもいいことが「どっちか」にはさしたる興味もないので、ただ楽しそうに俺には意味がわからん音を発する息子を妻と笑い合いながら見ている状況をただただ悪くないなと思った。以上です。