Author:やる夫達のいる日常
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1/18
読者投稿:和歌のテクニック「本歌取り」について
/ _ 、\
////〉:/ .::::/ .::::', :::::.ヽ 〈ヽ:::::::\\
. /:// 《/:/:::::/::: :::::::',:',::::::.\\\::::::ヽi
/:/::/ ||/::/l::l:::l::::: :::::::::l::::::::::::. \《 l::::::くヘ
|/::::l/::::::ソ∧l:::l:::l ::l l :::::/| ,、.!、::::. ::ヽ'::::::::::::l どうも、こんにちは
| .::::l::::::::〃| .l|N」:::l:::l l .l/ ..!'.」|_ヘ:::.l .|::::|:::l:`i、::|
| l:|::l::::::l | .!‐!二N:|:::|:i :l / ]|二∨! |::::|:::l::::レ::l
レl:|N::l:::l | <仆リ`|、/l:::lV^´仆ソ> リ l::::l:/l::::lレ' 近頃スレ内で和歌が詠まれることが多いですが
!|:::N:l:l ト、  ̄ レ'  ̄ //::,::'::::レ'!
. i|ヽ|::l:レ、_ 〈l ,ィ'-‐':/:/:/|::l 今回は和歌の代表的なテクニックの一つ
V|\\ヽ ___, ノ:::://:/:/,:レ'
`ヘゞ>一 /:/::/:/´ 本歌取りについて語ってみようと思います
lヽ,'\\ , 'へ:∧∨´
_ イ-‐∧\ヽ _ イ _/) \
, ´ /三/ 〉、 \三>´ / |三ニ=‐‐-、
/ |三 | ∧ へ lニl r彡\ |三三L ヽ
/. . . . ./. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
. . . . . /. . . . . . . . . . . . | . . . . . . . . . . . . . . . . .
|. . . . .| . . . . . . /. . . . . |. . . . . . . . . . }. . . . . . .
|. . . . .| . . . . . . |. . . / . |. . . . . | . . . . }. .| . . . . .
|. .. .|. . . . / . |. . /}. ∧.|.. .| . . . . }. .| . . . . . まず本歌取りとは、古い歌を下敷きにして
|. . . . И.. ./|. /|. 厶}/‐-V|. . .| . ./. ハ .| . . . . .
|.. . . . ..|. /. |/. |/ .斗‐-ミ八 . |. /}/‐‐-|∧ . . . 新しい歌を作り出すことですが
. | . . . . .|/ . . 人 V(ン ` V./ /斗r-ミ }. ./
八 . | . . . . . . . . \ / / vソ 丿人/ なにかと著作権に厳しい現代では
. )∧ . . . . . . . . . . . { /. . |
_」∧. . .{\. 〈\〉 〉 __彡'. .. .| パクリだ、いやオマージュだインスパイアだと
/ / 〉 . {. . \〉 、 _ . . /. . /|ノ
/ / / \〉V\ /}/И/ なかなか評価しづらい一面があります
_」 {/ . .....\
/ \ /ハ〕T爪 |............
\ .′ } /............|
.
2/18
/:{´/7 イ ヘ::. \ヽ `ヽ :::l::::::',
//l/ // / / ヽ:::::..ヽ\ }:. :l::::::',
l´/l /l / / ヽ、ノ:〉 l::::.. :l::::::',
/ l.V :/l .:/ .::/ / / / l:..l::....l::...\:::ノ:::::::::..:l::::::l
.l |/l :l :/:/:{ / l .::::l / .::∧:l::::ヽ::::::ヽ:::::ヽ::::::::::::::l:::::l .ただ個人的な考えですが、本歌取りの本質は
{ l /l l l /|:/| .::l .:::/l ./:l .:/_'lヽ、::ヽ:::::ヽ、::ヽi:::::::::l::::l
', V::/l::l :/―-ト、∧:::/ ',::| Vこ ̄,, ̄ヽ|〉::::::::\:::l::::::::::l::l 他者の優れた表現を利用することそのものよりも
', V ::l:| ハ z'''心 V `| r'てバ`= /:::\::::::::::::l:::::::::::リ
', l: il:::ヘ` 、い' .Uiリ ノ /:::::::::l::::::::::::l:::::::l/ 結果的に起こる「圧縮」にあるのではないかと思ってます
', l:ヽ:ト:::ハ //z i /Z ̄ ノ /:::::l:::::::::::::l::::/
ヽl l |ヽ:::ヽ、 ノ イ ::::イ::::::::::/:l::/
',::::l l:::\ ヽ ___ // :://::/:::/:/l/ 31文字という枠が定められている中で、いかに多くの
', :l', l:::::::`ヽ、 ..:::::/ //:://l/
N ヽ l:::::iヘV:へ、 _.::イ/ /イイヘ 情報を詰め込むかが和歌では一つの武器になるところ
\::| `(ーこ_:::::://彡イ:::::',
\ 〕::::l::::::::/:::::::::',:::::::::::l, この「圧縮」は時に有効に働くからです
_.--'7/ ノヽ:L:::/:::::::::::::}:::::::::::::\
__.......-=7::::::::// /ヽ/ :::::::::::::l彳',:::::::::::/:::ヽ、
r''"´ ̄ //:::::::::/ く ::::::::::::::::::〉:::::::ヽヽ:::::::::ヽ、
/ /:::::::::/ ヽ :::::::::::<::::::::::::::\::::::::::::>.、
. , -―-ォy、, -―- 、
,イ__ / r‐-、\
. //,.'´ \ 《\\
. /{《/ ./ i .i .ヽ》 l ' ,
. /,ィ レ′l i l. | l `v′ ',
// ハ i | | . | ト、. ', ヽ |
/ l. i | N .|. |!. ┼,ム-\ | ハ と、言葉で言ってもピンと来ないかと思いますので
. | | ヽ !‐ハ |ヽMl ,r,___, \ | .}
| .∧ 〈 __ヽ!. '⌒´ / `ヽ. | ,イ 具体例を挙げていきましょう
. V! .lヘ. Y´⌒〉 /イ ./ /リ
. ヽ| ヽ! ヽ , ' / / /
!. \. ` ´ /イ /リイ まずはこの歌
ヽイハルv'ヽ. / ,イ
. `T´__,/,仁}
rh r'-‐'」 |_____ 『大空は 梅の匂いに かすみつつ
___rャイ |」 イヘ /::::::/´ ̄ ̄`ヽ.
, ィ'´ /::;イ , , ___,〉.《:::::《 f⌒ハ .ヘ, 曇りもはてぬ 春の夜の月』
yfvハ /;イ `ヽ!」/´ ∥:::∥ .ゝ'ィ′∥
|ゝイ ,イ::/ fj .fj |l;ヘ::lL,__ .|
.| .ィililj. 〈ililililililil∧ ゝヽ_
.l {/ , , ',ililililililiヘi!、 `ヽソ
} ,r' / .l ...... }ililililiソ ヽiliト、_____|
y' { :::.... /,.ヘ,! ..:::::::::::::::::::ノililili/ \ililililil|
.
3/18
-─ `ー―- 、
/ ⌒丶
./ \ これは本歌取りの技法を確立させた
..,′.::::.:/)/:::/:.:.: :ヽ: ::.(\:: ヽ.
i/::./:(/:∧::{::::.:.: : j::.: }.:\)::ハ 歌人・藤原定家の詠んだ歌で
|:::/::/:.::ノ⌒从:: /:::.八/::./:.:.:ノリ
V{::イ:イ斗ぅ犾∨/rセV厶イ / 鎌倉時代に編纂された新古今和歌集に
V八从.弋)ソ ヒソ //:./
\ヽ::ゝ /_彡'′ 収録されています
/ > _` ´_..イ"´
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
_ _ _
_ _ _
_ -ニ 〕iト
/ \
, ./ _ _ ヽ ヽ
/./ ., :|ニニニ=‐=ニニニ| | ∨
/./ :| | |二二|ニ|二二| | :| :∨
, :. :| | | {二/ ̄\二} :| | ∨
. | | | | | . ̄ | | | ̄ | :| | :| 現代語訳はほぼ必要ないですねー
. | | | /|斗七 | | | `jー/丶:| | | |
. | | |' ゝ― ' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ V :.:.| | |
. | | | ィ苳ミ、 ィ苳ミ、| | | |
. | | :|〃 _):::ハ _):::ハ ; , j:.:| 大空は → 大空は
. | :. ∧ 乂 ツ 乂 ツ j! j! |
. | :. ∧ , .: / / :.| 梅の匂いに .→ 梅の匂いに
:| 丶 丶 ∧ ___ , :/ / | |
, | :ヽ 、 ∧ { } ,' ., | | | かすみつつ → かすんでいて
/:.:.:.| | | ∧ ゝ―‐ ' ,/ / :| | ∨
/ | , |ヽ | ≧s。 イ | /| :| | :∨ 曇りもはてぬ → 曇りきっているわけではない
/ | / :| :| |/ |  ̄ |-| :|| :| | ∨
| :| | /-j j :|ノ |):| :| ヽ...:::| | :∨ 春の夜の月 → 春の夜の月
| :,. ┴| :| :/ / }i j :∨ | |、_| :|
| /二ニ|! :乂ノ }i j / / lニニヽ :i
ヽ/ニニニ |\ \> }i / <_ ノ :,ニニニ:|ノ
, ニニニニ ! }i , -'、 7ニニニ i|
|ニニニニニ| ヽ/ ∧:ヽ 7ニニニニ |
|ニニニニニ∨ / /∧ヽ ヽ 7ニニニニ|
|ニニニニ/ニ二二二二/ //)(\、\:l__/ニ∨ニニニi|
/ニニニ:7ニニニニニニニ / ´// l\` |ニニニニニ ∨ニニニ!
【藤原定家(仮) 1162 ~ 1241】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
.
4/18
_,、-──- 、ヽ __
,、-'"´ `´ `ヽ、
/ _ \
// ヽ |iー-、 ヽ
/ __ \ ヾ、 `r! ヽ ちょっと分かりにくいのは、「曇りもはてぬ」の
/ ,ィi´ / i \|| `l \ ヽ
/ //// / | ヽ-' \ \ ゙! 「はてぬ(果つ+ずの連体形)」の部分でしょうか
/ /| {{ / | | | | | ト、 \ ヾ!
/ /| | ∨ | | | | | .∧ |、ヽ ヽ \/
| |.! し' || |! | ! | |/ ハ\!ヾ\ ヽ / これは「疲れ果てる」や「困り果てる」という時の「果てる」で
| .! | | | | | || |、 ', リ/|/ ,. -r‐vYリ、. |.! | /
| | ',| | レi‐| ッ=ミ、ヽ. | l/ '´ l:::`i´ // ∧ || | V 「疲れ果てる」が「すっかり疲れきってしまう」となるのと同様に
ヽ! ヽ!|ヽヽ|ヽ`i´ l::‐l`\ | '"´ // / ∧川 /
ト、|\|ヽヽ `´ ` // / / /レi/ 「曇り果てる」で「すっかり曇りきってしまう」となります
ヽ || i|\`ー=‐ j // / // /
|| ハ \ `ー、 ` -一 /,.ィ'/!ノ) )
〉 H ト、 |゙i┬``‐、 '´/__//∧ そこに否定を意味する「ぬ(ずの連体形)」がついているため
/ ヽ! ∨ ヽ ||! |ヽ iヾi|` ー '´二___,/ |
_/ ! __>ゝリ/ヽト、|」 / ____| _,,| 「すっかり曇りきっている、というわけではない」
/:::l / r‐' Y `´ l__| r'´ ヽ
_|:::ノ /ト、/ ヽ 」 | /ヽ みたいなニュアンスになります
/ヽ'′/::::|::::::| レ‐、 ,、-─'´ | | ヽ
/ /::::::::::|:::::| | レ'´ | | ヽ
/ /::::::::::,、-'´ `'´ / | ヽ
,. -──-- 、
/. : : : : : : : : : : :.\
/. : : .,: : :,: : : : : 、: . :ヽ
/. : .,:' . ;: . .; . . : :',: . :.ヽ
/. : :,'.: : :i: : : .!: . . : : :i: : : :.',: :',
',: : /: :,:':ハ: '; :.!: : : : ,!;ハ:,i: ; :', : :} つまり、現代語訳はこんな感じですが……
',: :i: :/:/-弋:、:i: : :,:ル‐l/、:; :.',:i:!
!: !:/レく 下!` ヾ;:ノ イ丁yi:; : iN
',:.ゞ: ゝ `´ `´ /.: : ;i
'、 : :、:\ ' /.:'/.〃 『大空は 梅の匂いに かすんでいて
`、: :゙:ミゝ ⊂ 彡':,:'/
ヾ:.ミl\ イレ';/" 曇りきっているわけではない 春の夜の月』
,.ィーj _`´ .::|ー-,、
__/ ゙、/_ノ .::::`ソ :ヽ、
∠_ __,.-' /_ _./ :.\_
,ィ:':::::::フ´ 、 \ト、` ´/ ,. -‐:':´: ̄ス これ訳したところで、意味わかります?
/ ヽ/´ 、ヾ:、ヽ.-;‐うイ:.:..::..:..:.:.:.:.:/::ヽ
/ /.:入 ヽ '、ヽ_j-'il´.:..::..:..::.. .:.:/.: :',
/ ノ :.___゙ァ'ヽ_j';;;,!;iヽヾ/.:..::.:..:.::/ :',
/ / ;イ::::.:.:.::.:!i│ ;;i`:.:.:..::.:::/ ::l
/ :/ ハ:::::.:.:.:.:.:!;| i;;!::::::::::/、_ :.:.:l
. 〈.: :/ ./.: :,!:;:;:;:;:;:;:L!. /レ;:;:;:;:;:゙!:.:.:.`ヽ、 :.ヽ
.
5/18
/  ̄, ´ ̄ 丶、
/ . ..:::/'´::::::::::::::::::::\
/ .. :/.::::::::::::::::;:::::::::::::::::\ なんとなくイメージは沸くけれども
// ./ .. :;ィ:::::::;::::/::::::::;::::::::::::::゙、
1 / //ィ''フ<l:/l::::/:::;::::::::';:::', いま一つ掴みにくいと感じるのではないでしょうか
i '´:::::´i マヲハレ l::/:;イノ:::::::;':ハ
', :::::ハl ¨` ,、-lノレ':/
', ト:::::lヽ . f'ノ.i_ノjノ それもそのはず、この歌には本歌があって
\!ヽ:l ‐- '´/:l
ノ ヾ ヽ .. ィ::´:/ そちらを知らなければ不明瞭なのです
┌‐/ f ¨´テ/レ'
ノ  ̄¨‐- 、.l..__
/'⌒¨‐-、 \ヽ\ というわけで、こちらが本歌
,.ケ‐--、:::::¨‐-、...ヽ! /、
. l/ ∨::::::::::', ィスヽ>
/ ∨::::::::',ヽイトヽ.| 『照りもせず 曇りもはてぬ 春の夜の
. i/ ノl\/::::', l_l ヽ!l
/ l / /::::::::::', ', ! 朧月夜に しくものぞなき』
/ l/:::::::::::::::} ,' ',
. / l::::::::::::::::::l.ノ / ',
-─ `ー―- 、
/ ⌒丶
./ \ こちらは平安時代の歌人
..,′.::::.:/)/:::/:.:.: :ヽ: ::.(\:: ヽ.
i/::./:(/:∧::{::::.:.: : j::.: }.:\)::ハ 大江千里の詠んだ歌でして
|:::/::/:.::ノ⌒从:: /:::.八/::./:.:.:ノリ
V{::イ:イ斗ぅ犾∨/rセV厶イ / やはり新古今和歌集に収録されていますが
V八从.弋)ソ ヒソ //:./
\ヽ::ゝ /_彡'′ 詠まれたのは平安時代前期です
/ > _` ´_..イ"´
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
}:.
:.:: }:.
.:.:: ::.:
.:.:.: :.:::.
,.:.:.:.!. ::.:.:
..:::´ ̄::.′:.:i:::〕iト. :.:. !
/ ::::::::::: /:. :. :;::::::::::::::::`::}:.:.l
..::::::::::::::::::::::{: : : :ム::::::::::::::::: ;: :.:
/:::::::/::::::::::::::: ,(〃人ヽノ:/: : :} こっちも現代語訳だけなら簡単やね
.:::::::::;:::::::::::::::::∧ ノ:::乂∧ソハ .ハ::.
.′::::i{::: / ::::::/ .::::::::::::ハ::::::}! .:::::∧
.:::::::::::i{::::{::::::::; i(:ぅ:::::::{Uj::::::}!ィ:::::/::ハ
i{:::::::::::::::::i!:::r==ミ l八:::::::i:|r:っ::}! :::::i!::::::::: 照りもせず .→ (月が)照っているわけでもない
i{:::::::::::::::::i!:::ゝん)心 \从〈/リ i::::i!::::::::}!
从 :::::: i!::::i!::::::i! ` ィぅ笊ミ从 :::::::::}! 曇りもはてぬ → 曇りきっているわけでもない
}圦:::i!::::i!::::::i! ___ ′ ~ヾソノ::::::}!::::::::::
}从:::i!::::::i! V⌒ヽ7 .::::::::::::::::::::; 春の夜の → 春の夜の
, ´ ̄`ヘ圦 込、 乂:::ノ イ〈::::::ハ::::/
. / )ル}ト\___ 。s个〈:ハ/ ::/ 朧月夜に → 朧月夜に
. _{ \:i:i:i) (/ ノ'
/∧\ V }i` ゝゝ‐<  ̄`ヽ しくものぞなき → 匹敵するものはない
,:/: :.マハ }´ ノ:L ‘:, } ハ
. 〈 : : : : \〕iト..i! ⌒ 、:i:`ヽ }ハ' /:人
\: : : : : V.......} Y:i:iム {:i〕iト.. : \
人 : : : : V..八 ノ:i:i:i:i; :i:i:i:i:i:i:i:}: : \
ゝ:.:\: : : :V.....} イ:i:i:i:i:i:i/ V:i:i:i:i:i; : : : 人_
【大江千里(仮) 900頃に活躍】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
.
6/18
_,.. -:' ` ー'  ̄ ヽ. __
/ ,.二 、 ̄ \ \
. __//,' /, / ハ ヽ. \ヽ!
 ̄}/, / / ,' ! , ヽ| .ヽ
/.,:┐//i i. j | i \ | ヽ}
,.ィ/,.イ/イ/!. ハ. 亅,ハ.\ V!|V 「曇りもはてぬ」は、先ほどの解説の通り
〃/,二 -:っ_j人ハハ. /j/ィ二ヽ}メノ 〉
i/,二つトゝ't{i厂`∨ . {iリ ノ彳 j | あと分かりにくいのは「しくものぞなき」の「しく」でしょうか
| ハ、 }ヾj、 ̄ j〉 ク1i/リ
| 〉 ハii l.i. 、 ‥ /iイ/ シ
」 ,/,人{ヘ从ト |丶. _/, こちらは漢字で書くと「如く」であり
/ ./ ,r‐| /┐
. / /-―< ̄ 'く_ _/ ̄`> -- 、 現代ではあまり使われない言葉ですが
/\ ̄/ ,ハヽ:: :: :: ::\_ \` ´ノ ,.ィ:: :: :: :: ::.ト、
. / / / ',. ',:: :: :: :: : ヾト、\//} |:: :: :: :: :/ ,ハ 「なんのこれしき」や「百聞は一見にしかず」とかの
.. 〈 / / ヽ}:: :: :: :: :: ::| >介rく |:: :: :: :: { / |
/ ∧ |ヽ:: :: :: :: ::く// }.ト、〉.|:: :: :: :::|' |`ヽ 定型的な言い回しに残っています
, / _,.} |/ ヽ:: :: :: :: L/ ん! |:: :: :: :: | }
〈 __‐'_,/ 〔 /丁 :|:: :: :: :: :::| }:: :: :: :: | /
 ̄ \___,}/ | |:: :: :: :: ::.|. /:: :: :: :::/ |
\ !:: :: :: :: :|. i:: :: :: :::/ /
\ヽ:: :: :: ::\ー'ア|:: :: ::.〈‐-r一'
_ . -‐━‐-‐‐-ミ
. /. ./ . . . . . . . . . . . . \_
/. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .\
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .\
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ゚。
. 〈/〉 . . . . . . . . . . . . . . . . . . | . . . . . . . . . . . . . 意味は漢字の通り、まさに「ごとく」です
/. . . . . . . . . . . |. . . . . . . . .| . . . . . . . . . . . . . .
|. . . . . . . . /.|.. .| . . . . . . . ∧. . . . . . . .. . . . . ..|
. И. . ..|. . ./|7ト/| . . . . /. / __゚。. .| . . . . . . . . |. | たとえば「なんのこれしき」は「なんだ、これごときこと」
. |. . . |. ./‐-ミ |. . |. /}/´ } ハ . . . . |. . .| .|
. |∧/∨}{り ` |/|/ 斗r-ミ, }.. . . .|. . .|/ つまり「なんだ、この程度のこと」という意味であって
} . . } vり 〉 人/|丿 . .
ノイ . 乂_ 、 /.. . . . . . . ./ そこから「この程度のこと(なんでもないぞ!)」
|. . .<⌒ __彡. . . . . . . . ./
| . . . 人 ‐- 〉. . . . . . . . . といったニュアンスになるわけですね
И . . . /\ 厶イ. ./}/
. 人/〈/ ー-‐=≦ 〈/__
. -‐= } _」ニ \
_/ |/} ´ \
............\ | / -‐==‐-ミ
/..................\___ | / . ´...........................\
. .′......................... | \|_/-‐=ァ'´............................. -┐..〉
.
7/18
_, . .- . .-‐ー- 、_
,. :'´/_ ̄ー_,>‐ヽ:ー:\、
/: .:; ィ'´ノ'´/: : : : : : ̄ヽ: \
/:/:/〃//: : : .:/: : : i: : : ヾト、ヽ
/ / { jlイ :/: .:/: .:l: : :i: :| : .:.:lヘヽ〈i
/:/:/ 〉イ///:.:.:/ :/.:| :!.:| .:j :.:l :l .:V.∧ 「照りもせず~」の歌の中での「しくものぞなき」も
|// /: :〃:.:/.:イ才> !:|.:l /j_r」/ .:.:Y::::l
l|;' :{ : :i :|;イK‐' 1アリヾ !|:l :/;∠!//:〈:/:i} 「春の夜の朧月夜のごときものはない」
N: !: : l: :ハヘ ` ' ノ'´'Lソ ク::/::|:イ|!
!ハl: : :!: : トヽ\ :、 イ/:|::! ′ つまり「肩を並べるものはない」や「匹敵するものはない」
!ヘ : :l.:.:.:!:k ̄ ‐- ´ ‐'´/:イ/
ヾヘ:.:ト:ヽ\ , イ::/// といった意味合いになります
〉`¨7'‐=、`_‐く;∠イ '´
/ ,イヘ、 |:::/〉
/-∠、_  ̄ `" !
/-―- 、 \`‐、 ヽ
-─‐v―- 、
, -< \
/ _ \
/ / / `ヽハ
|イ / { } Vl 要するに、この歌の言ってることは
| l / / /人 ト、j_ 从 l |
ヽ.| :| />ォ匕\_{∨ィ≠<{ ,'│ 装飾を取ればこれだけなんですね
. ハ/八゙ r':;;:} r';;;::} ´7∨ ,'
レ{ l ヽゞ‐' ー'' / , /
V{ヽ_> __ " 彡 /j/
\ハ >r - r<イj/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
・ .,. ;:;: ,.:;,;,:,:,; ;., ;,::;
;:;;: , .,., .,. ;:;:。 ,.:;,;,:, *:,; ;.,;,::;;。,... .. ;:
;:;;: , .,., .,. ;:;: :. :. .: : -‐- :. .:.::. .:.: :. .:.: ,.:;,;,:,★:,; ;.,;,:: .,...
;:;;: , .,., *., . : ,r'´. `ヽ: .. : :. .:.::. .:. . . ;:;: ,.: ;,;
+ .: ..: :' ..:. ゙; ::: :. :. .:.:. .::;:;;: , .,., .,. ;: ; ,;,:,:,; ;.,;,::;;,... .. ;:
: :. ::.. .: :. .:.::. :. . :. ;:;;: , .,., .,. ;:;:。 ,..l{.;,:, * ...}l
;:;;: , .,., .,. ;:;: ,.:;,;,:,..: ..: :ヽ ::::... ..... ,.': :... :. :. . :.::,; +;.,;,:: .,... .. ;:. |:', ,':|
;:;;: , .,., *.,::.. :..:. :` ー- ‐ ''"... . .::: . ;:;: ,.:;,;,:,:,; ;.,;* |:.:',... .. ;:. ,':.:|
:: . ::. ::::. ::.. ::.. ;:;;: , .,., .,. ;:;: ...l: : ', ,' : l
;:;;: , .,., .,. ;:;: ,.:;,;+ ,:,:,; ;.,;,::;;,... .. ;: l ,、‐……‐ 、l
;:;;: , .,., .,. ;:;: ,.:;,;,:,:,; ;.,;,::;;,... .. ;: ,.,., .,イ:::::::::::::::::\::::ヽ
/:::::::::::::::::::::::::::`''ー‐''
l:::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::ヽ 春の朧月夜は最高だぜ
|::::::::::::::',::::::\::::::::::::::::'、
',::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::从ヽ
∨::::ト、::、::、::ト、ハ/}/ ′
}从l }zzzz{ `
,,、、、 -''寸天ム
,′ `'<
_{___ ,. `ヽ
l'´: : : : : : : : : :`ヽ、 _____}_
∨: : : : ―卜、: : : : : : : : : : : : : : :}
/:: : : : : : :人: :`''~、:_____/
∨ : /: : : :V : :,、丶` : : : : : イ: : :〉
//: : : : :V: : : : : : : : : :ヽ―: \
{/ : : : : /l三三三三<⌒: : : : ノ>、
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.
8/18
,、- -フ- 、
/ \
/ /フ 下ヽヽ 複雑な心理や奥行きなどを売りにするより
/ 八 l Vへ!
|{ ハハ::{ l | 从 い{ 言葉の響きや美しさでストレートに魅せる歌ですね
VⅣL上ヽ乂り≧弋リY
ヽ心「[J └リ从リ
ヾ;く '_ 彡ルイ 当時からこの歌は人気を得まして、源氏物語の
ヾ(ヽ、_,.∠Y'
円厂。 } 第八帖「花宴」のヒロイン「朧月夜の君」の登場シーンにも
,、-/^く フ 〈`ゝ、_
/ /_/ 丘 | 〈 \ この歌が印象的な使われ方をしているほどです
h /::| ノ`::〈 l
リ |::::/ ヽ::::::) 「|
| Y 〉:/ 〉 鎌倉時代に藤原定家が「大空は~」の歌を詠んだ頃も
| /::'、 ,..., ノ:::| /
V::::ノ^く (:::9) ‐'〈::::| / この「照りもせず~」の歌は一般教養だったことでしょう
〈::::\: : :)マ 厂::メ::::| l
|::::::::{⌒ ∥ ⌒/::::::リ 知らなきゃ人間扱いされないくらいの常識です
{\::::ゝ- J /:::_ノ|
| 〉:::::::::二> ' ⌒Y 了
└‐r――--― 、_ノ 〉
/ / く:::::\<
ノ ィ/ l ヽ了ヽ \
/ /7 .:| |/ /ヘl l |、\_} \ ヽ
l/|_/:| | l:|::|/|/∠__\ト \\ |\| 藤原定家も受け手側が知っているのを
| /| l:l_| l:|//'ヘ_厂X/ヽ|l \\|\|
|ヘ N〈リN / / |/|:::|\ト、| 前提に、「曇りもはてぬ 春の夜の」と
〉:トく イ///|::||/|/トV
|.::::ト -― ∠///|/:::/::l|/ 12文字をまるまる引用したのです
|/|::|\ /イ///|/
l/l/lハ.._ //イ:::/ 「月」まで含めれば14文字です
|/|N:〉=-ー'´ィ彡/
}V´ r-‐i´ Y ___
___ _ノ  ̄} └┬¬ ̄ `ヽ こんな構成をされたら、受け手側としては
/ 7:::7< n _>‐¬::::\ }
/n /::::/ `|_|/ ̄ 〉_:::|_ r=z、 | 下の句を聞いた瞬間に、大江千里の
/ソノ__/::_/´ /7/7 /´:::::M::::::|ゞ=イ |
ノ /::::::>ム7 ´ ´ 〈:::::::::/::|::::/ | 「照りもせず~」の歌が表現する世界が
/ 〉:::::// 、 / ';::::::::/|:〈 |
/__<::::// } / |::::/ |::::\ /| .半自動的に頭の中に想起されてしまいます
 ̄::::::::::/ {:.. ノ { .}/ |::::::::::\|
:::::::::/ \::::::::::::::/:rヘ ヽ、 .....:::::::ノ/ |::::::::::::::::|
:::/ `r┬ー[ ヽ/ 7‐---‐ヘ::/ |::::::::::::::::|
.
9/18
,ィ_,.. -‐‐-- 、..
__(i/.:".:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ、
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ .:.:.:\
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:!.:.:.:.:.:.::.:.:.:i.:.:.:.:.:.ヽ. 「曇りきっているわけではない春の夜の月」
/.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:ト.:.:.:.:.:.::.:.:.:|_.:.:.:ヾ.:.!
|.:.:.:l.:.|.:.:.:!.:.:.:.:!.:| ヽト、.:.:.:トイハ:.:!:.:トリ 藤原定家はこう歌に詠んだだけで
|.:.:..:V.:.:,イ.:.:..:ハナ二゙ ! リ,rj゙) ト、!:|
! .:.:.:| /.:i.:.::.:! <tヅ` レ' 、` ノイ:|゙ 朧月夜が美しいとも最高だとも言っていないのに
ヽ、:V:.:.:|.:.:ハ、_¨ ' ノi.:.:!
\.:.:.:∨.:.:.:> c /!ハ,ノ
`‐-、`二ニ=-_ ./ 大江千里が31文字かけて表現した
r‐、-/ `ヾヽ `/ ̄´
,イ `゙‐-、_`゙ ! 晴れても曇りきってもいない美しい朧月夜の風景と
// `ヽ!、
r'::::ノ`゙‐‐-=----、..__ i そんな夜が最高であるというメッセージを
!:::::| /"::::::::::::::::::::`ヾ!_
,ハ::::| ! /::::::::::::::::::::::::::::!::lヘ`ミ!
/ !:::| /::::i::::::::::,r‐‐--、ヽ:ト、V 藤原定家の下の句14文字の中に
r‐' |::::l /::::::l::::/ 、 ゙!〉:}レ゙
j {:::v::::::::::r'| ! |::::i 受け手側は勝手に見出してしまうわけです
/ -‐|:::!:::::::::::!| l |::!
/ _,,ニ=-ヘ::!::::::::::::| ヽト!
´ 〉!:::::::::::i ゙i、,-‐、
、_ く::j::::::::::| |_,ィヘ_゙!
|`゙‐-‐ィ'ーヽ、:::::| l-、‐'゙J
! _,.-j:\:| 、 jj_ハj゙j
`ー--‐‐|::::::ヾ:└‐┬i _,ィ'"´
/::ヽ::‐ニ二::| `ー‐"|7
/:::::ニ≧、::--| !|
\. : . :.i: : :/: . : . :/: : :イ: //: : : :|: :i: : : : : : : : : : : :.\
ヽ: : |: :/: : : :/レ'´ ソ /i: : : : i: :|: : : : :',: : : : : : : : :ヽ
V|!/: : イ -‐―-k 、ハハ: : |i :;,. : . : .|: ; : : : ;: : : : ', これこそが本歌取りの「圧縮」であり
:|: ./ | 、ヽリ! / i |: . : .i!: .|: . : .i: : : : :|
' レ' ! ア兀㌧、 レ从Vヘ; : :/ |: :i|: : : |:i : : : i 大江千里が31文字を費やして描いた世界を
| ', ヽjz2_ノ レ' レイ: : : :|: : i: :.:|
| , i | ヽ __ ̄ヽ|: ' :./: :/:. } 藤原定家は下の句の14文字に圧縮しました
i i |i | ハ ヤfjヽ i / /|: /
i ト、 ト、! .ゞソ /レ' / | /
ハ i i ト、 | 〉 /,' レ'´ レ' そうすることで、余った上の句の17文字に
ヽ ヽ、 ト、 ! ヽj 、 ´ /, '.': i
\\ ', \ i  ̄ /: ':/ / 更なる情報を詰め込められるようになったのです
Y´\! ヽ!丶 /,:',:',:'/ /
| \ ,. '´ /,:'//レ'
| Tー-‐'´ メレ´´
.
10/18
.....
. ´ `´ ̄` 、
/ ⌒ヾ´ 、
〃 ヽ \
/ :/ :/ \ .
/ :/ :/ :/ :/ Ⅵ i 藤原定家はそこに梅の匂いを持ってきました
,: ; i Ⅳ:i: i ://\ | i| } }
i|: | |:斗ヘ{: | //─-ハノ| И ,
jИ:{: Ⅵィ=ミ、: :|!| xfテミメ} i :′ 「大空は 梅の匂いに かすんでいて」ですね
|ト:\{ Vリ\Ν Vり / .: .:/
ノハヽ\ ノ イ / //
|\ミー `、 , 彡イ/// もちろん梅の匂いに色がついているわけがないし
八ハ i\ / |'//
从介ー |__ 空が梅の匂いでかすむなんてこともありえません
__/ / | \ノ ヽ
,< { / \
/.::::‘, ‘,、 , -/ /ヽ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
。 )\(⌒'….\| / ; \ . : : |/ . :|// / / / :|/ / | (: :/: . )/
∵;。 o ) \ (⌒ ∨ / / : .  ̄∨ |: : . . . . : :/ , ,′ / | し / . : : .
、 \(⌒ヽ { ⌒ヽ ) / i | 、 `' : , | : .. / ̄ i, ,′: // / \ | ゚| ;:/. : : :
'´`':, ) .γ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ |..:\/. : / . . : : , / |/ ...,ン\| |/ //°
。 \ と..,,__. | けれど梅の花から放たれる |./ ∨::/:/: . . :| ‘, /: .. ; / |,.,~ |/ / ̄`
° 、 )ヽ、 | 香りがあまりに強烈で |..\ ∨/: . . し'´ ∨/ ノ'´ ;'´ ; /゚ / . . : ´
´` ⌒\ノ ) `乂_______________ノ . \| |/ . : ´ , . : ' ´ ´"'' ′'~''´ ,..:∵/: . ._/ . . : :
, . ' ´´``丶\ ``丶 . . : : . .|:. .:∨: . . . : | |/ ノ j/ γ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
"´´`"''‥ ``: : . . . : . 、丶\ :, . . : ′ \ .,., ̄|::| ,,‥ /. | 本来なら目に見えないその芳香が |
\ ー‐‐' 、、. : : 、 / '"´ `"´´ ,.:゙. . . . : : . | まるで湯気のような色彩を持って |
.′ _ _ _ . . . : : : ´´"´ ':, ′/ 、:.... '´ // _, . 乂__________________ノ
{ _ . : ' ´ . . : : . . ..::... . . : :.∨: . _ \\/ ::/ / ̄ 、 i:| /: . ,. ' ´ _,、丶\∴
}'´ . . . : : . 、  ̄ ̄` ' : . , _ . . : :\|. . : 〉/ ヽ \::. ..: . : : . . ´´´...:/ / .:、'´ : : . . . ´ ´' '´
;' ´ ̄` : : . . `丶、 、. . : :/゚ ‐= __\_/、 : ⌒つ. ...:/ ::-- - _//:/ ̄`丶 `¨ ¨´ ̄ \ ̄
′ __--: : : : : ..___,,.. -‐ '' ゚マ"´  ̄>,'´``'∵トミ \ ´ . :∨⌒ノノ .::}: . // \ノ 、 `: .
⌒>- "´ ”“'' ..,,_ \ ,、丶´,,ノ ノ.._) ノ^: : . ,.,.,.,. ノノ⌒Tつ'´/__/--‐‐ _\ -‐ ` ' ' ' ヽ,.
γ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ. . . : :。 ̄\ rf´{ /二と,.,.,.....,.ン⌒ ̄ ̄ \_,, . : ' ´ \ _ノ . . : :
--| 周囲に立ち込めているような | ..,,__ '"´`'∵/ |:// . . : _,,. -‐ "´と::::|/ ..,,__, : ' ´ 、 ´ " '' ー‐
°| 空高くまで立ち昇ってゆくような |. . . .辷___ ,ン%,//o / ̄o_. . : ' ´ ___ソ|v::Z⌒_ _ . . : `:,_:_:,,..;‘’|
´´乂_________________ノ. , 、`′''゚ ,ンし'/゜///o℃/ ゚∵. . : : :.|:::::/ / ̄ ̄\ ̄ ̄`\: .//_|/
;'´ . : :ノrf⌒ )_/。゚ノ゚ o_____ノ´"%。 % ̄ノ,,_,.ノ'c,´'∵( |::::/ // / ̄ o。_. : ゚\: . |:::/ /‰。: . .。 \: :\゚ :|// ̄ //
‘’ . . :_、rf⌒ ℃‘ ノ゚ )厂 '´ \\|::::| /// ^つ'…ー=ミ、:::|: . >ー---\ ∨/ //
゜∵ ゚'. . ,、-‐‐'"´`ヽ、. . . .... . ,,---、. . . . ._. . .--=''"´´´.γ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ. . ..\|::|_//. .
. . . . . . . . .´´´´ ' ' ' ''´. . . . .. . .´"""" _、‐''゛:::::::::`''-、_´´""" | そんな幻想的な情景が、歌の中で | |::::/. .
.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .:´"''ー‐‐‐‐‐‐‐‐‐_、‐''゛.:.:| 揺らめくように広がってゆきます | .....|::::|
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ー‐‐‐‐-乂__________________ノ .. ..|::::|
x.:.:.:.:.:.:.:.:.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::. .::. |::::::|.::.::.::.::´""´.::.::.::.::.::.::.: : : : : :|:::::::|: . . . . . .|::::|: .
爻x.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:.:.:|:::::::|.::.::.::.::.::: : : : : : : : : : : : : : : :|:::::::|__,,,,........、、、--┴┴……¬
爻爻x.:.:.:.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:: : : : : : __,,,...、、、--‐‐‐┴ー┴………¬¬冖冖ニニ¨¨¨ ̄ ̄. . . . . . : ; : ; : ; :;.:,:;.:,:;.:,:;.:,:;.:,:;.:,
"""""""""""´´´´´´´´´"""""´´´´´ ̄ ̄ ̄ . . . . . . . . . . . : : : : : : : ; : ; : ; ; ; : ; : ; ; ; : ; ; : ; ; : :;.:,:;.:,:;.:,:;.:,:;.:,:;.:,:;.:,:;.:,:;.:,:;.:,:;.:,
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
.
11/18
. -‐…━‐- .
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
/ . . . . -‐━‐-ミ. . . . . . . . . . \
/ . . . . /〔_____ ℃ハ . . . . . . . . . . .\
. /. . . . . . . ー- __〕__丿 . . . . . . . . . . . . . .
. _. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ゚。 実際に周囲に霧が立ち込めていて、その霧を梅の花から
//. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
〈 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . \ . . . . .\ . . . . . . .\. . . . 放たれた匂いに見立てているのかもしれません
V . . . . . . . . . . . . 、. .、 . . . . . . . . . . . \〉 . . . . . .\. .
. . . . . .|.. . . . . . .{\「\. . . . .}. . . . . . . . . . . . . . . . . ト\
{. .i. . . .|. . . . ./.{ 斗=ァ. . } . . . . . . . . . . . . . . . . l| 実際に月に薄雲がかかっていて、その雲を梅の花から
{. .|. . .八__. . . . . {/ 弋ソ ト. .\. . . . . . .}| . . . . . . 八
{ ∧. . . ._\{\. .{ '′ } . \〉. . .. . .八 . . . . ./ 放たれた匂いに見立てているのかもしれません
{ \ . . . vり \〉 }. . . . . . . .}/ . . . . . . ′
. \〉∧ノ ノイ . . . }| . . . . . . . . . {
V. . ` } . . . }| . . . /. . . . ∧〉 あるいは実際には霧も雲もない晴れた夜なのに
}ハ .\ r_ァ 丿イ . 八. . .{ . . . /
}∧.\ |/ \∧/. { まるで月がかすんでいるように見えるくらい
/ 丿. . . . __ . イ ______Ν
∨ハノ V⌒¨¨___________〔 目がおかしくなるくらい、感覚がおかしくなるくらい
}厂
} <⌒) ____\ 梅の匂いが濃厚だと表現しているのかもしれません
丿 . `丶
/ / ー┐
{ハ . |
厂 /{ }==|
/ / >ヘへ、  ̄\
/ // \ \
/ / / | \ トl ヽ、 \
{// !/ /ト、\ ヽ、 从 ヘ\\ヽ そんな、かぐわしい梅の匂いと幻想的な空を
| | | //土_\ヽ | /土ヘ | } ) )
〉 N/イ'”ヒソ` ヽ|/|/'ヒリ.`〉ソ〈 表現した上の句に続いてくるのが
|ヘ \`=-‐ i, /イ::::ハ
\ヽ \ -- /|:::/|/ | 下の句の美しい朧月夜の風景です
\|ヽト __.イV/レ|
__| rrn_ L__ そんな夜は最高だというメッセージです
_ノ´ヽく /||i⌒il l〕 | \_
_/ ヽ./7 )\/ \_
/ :\__ | //.)ヘヽ}____/ \ 圧縮したからこそ、梅と空そして朧月夜と
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヘ>j/〈.〈∧ V|_/j.:.:.:.:.:.:.:.∧
<_.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\| ト } }/.:.:.:.:.:.:.:.:.:j..:.> 魅力的な情報をふんだんに詰め込められたのです
| ト、_.:く.:.:.:.:.:l::::j /〈 |.:.:.:.:.:.:.:\:.:/|
| \ ̄l_.:.:.:.:.:/ /:| l\ \.:.:.:.厂イ │
.
12/18
-─ `ー―- 、
/ ⌒丶
. / \
. ,′.::::.:/)/:::/:.:.: :ヽ: ::.(\:: ヽ この多くの情報を咀嚼すると
i/::./:(/:∧::{::::.:.: : j::.: }.:\)::ハ
|:::/::/:.::ノ⌒从:: /:::.八/::./:.:.:ノリ たとえば意地の悪い見方をすれば
V{::イ:イ斗ぅ犾∨/rセV厶イ /
V八从.弋)ソ ヒソ //:./ このような解釈も成り立つでしょうし……
\ヽ::ゝ /_彡'′
/ > _` ´_..イ"´
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
/ / /≧o。__ 。o≦} ', ‘, `、
/ / /ニニ/=/ニニニ} | i ‘, ‘,
/ ′{ニニシ≠ミニニ/ i| | ‘
∥ i| | ヾイ │ \/ / │ i |
∥ 八│ 斗 | ┼- 、 / | │ | 春の朧月夜は最高だって
/ イ| | | i| / /\ | |
| | __ __ : | | 昔の人は言ってたみたいですけど
| |xてh アうミメx, | | | |
l |i{ {i:i:} {i:i:i:i:ハ }i | | | . . .
, λ弋ソ 弋Ξソ | | / そんな春の朧月夜さえかすむほど
', { |〃 、 〃 / / / /
' ⅵ _ / / / 梅の匂いは最高ですよね
/ ', 从 {:: :: ::丶 / / / : |
/ ∧ ∨\ 乂:: ::_ノ / | ∥│ |
/ ∧ ∨ \ __ -=/ l ∥ l ですから朧月夜さんには、梅の匂いの
/ / /∧ V √ │ , ∥| 八 ‘,
│| / :} } { | { : | \ ‘, 引き立て役になってもらいましょうねー
|│ | / .八 ∨/| ', |: \ ∧ ‘,
Ⅵ |// /,,,、 丶` /フ ', i| / |: \ ∧ ‘,
| ∨ ./=/ / / i| / |i /ニ-_ ‘,
| / イニ/ / / | 八{ 八 /ニニ/ニ_ \
/ /ニニ/ /\ / |/ \/ニニ/ニニニ- \
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
, .-= .小‐……‐-小.
./ : : : :.||: : : : : :, .||`.
. /´: .: : : : :||: : : : : : :.|| : i
/´: :/: : : :/ |:.:: |(天): : || :i
{: : : : : : :/. l从l/(O)ヽノ ハノ ウチが踏み台に……
. ‘, : i: : : :i:.:.: ○ ○ jイ
. }从: : : |:.:.:.: □ .ノ:|
`ヽ{≧=‐- -‐=≦!
/ { ( ))), 、(())}}:ヽ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
.
13/18
-─ `ー―- 、
/ ⌒丶
. / \
. ,′.::::.:/)/:::/:.:.: :ヽ: ::.(\:: ヽ 先人へのリスペクトを踏まえつつ
i/::./:(/:∧::{::::.:.: : j::.: }.:\)::ハ
|:::/::/:.::ノ⌒从:: /:::.八/::./:.:.:ノリ より深みを増していこうとする挑戦心を
V{::イ:イ斗ぅ犾∨/rセV厶イ /
V八从.弋)ソ ヒソ //:./ 読み取ることもできそうです
\ヽ::ゝ /_彡'′
/ > _` ´_..イ"´
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
_ ――- _
_ -ニ ニ- _
/ \
/ ヽ
., / l ヽ
, _ _-ニニl :| .∨
./ /ニニ-_ _-ニニニ l :| ∨
.| :| ||ニニニニ(ニ)ニニニニ.l :.|、 | | :∨
:| :| ||ニニニ-' ̄ -ニニ ' :| ∨ :! | V
. | :| | ゝ- ' | |匕 ̄ ̄ l` ∨| | .|
. | :| 斗fセ | ....| | | V .| | 春の朧月夜がステキなのはもちろんですけど
. | { .| |__:|__|_ jI斗劣ミ | | |
. | .{  ̄ ̄ 〃 ん:::芯ヾ | |_ | そこに梅の匂いが加わればもっとステキですよね
. | | {:::::J::::} 》 j | ∨ |
. | ∧ ,x==ミ、 乂⌒ソ j i ./ :|
} ∧ j i/ .| せっかくですから贅沢に楽しみましょうよ
、 :∧ ` j ; .|
| ハ j i |
| ∨. 、 、 ノ j i :| 人間には五感があるんですから
| : ∨ .\ /' i |
/ ヽ }i> ィ 7 / .| | 視覚だけしか使わないなんてもったいないですよ
./ 丶 :}i ≧s。s< 7 ./| :| :|
/ _∨ .}i__ / || 7 / :| .|、 :|
, /l ∨ | l 7 / .| / ー- _ !
| /ニ l .∨ ! .l .7 ./ /.j ./ /ヽ
l 7ニ.l / } ./ .l l l // /ニニ.ヽ
\|、.7ニニl / ノ \ .l | | / アニニニニ }
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
, .-= .小‐……‐-小.
./ : : : :.||: : : : : :, .||`.
. /´: .: : : : :||: : : : : : :.|| : i
/´: :/: : : :/ |:.:: |(天): : || :i
{: : : : : : :/. l从l/(O)ヽノ ハノ 聞こえのええこと言うとったって
. ‘, : i: : : :i = = jイ
. }从: : : | u cっ ノ:| ダシにしとるのは変わらへんのやな
`ヽ{≧=‐- -‐=≦!
/ { ( ))), 、(())}}:ヽ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
.
14/18
, -‐'´ - '´ `ヽ、
∠--- \
,r彡´ \ ヽ
// / | 、 \ '、 ヽ
// / / / / | |. l | | \ \ ヽ ', どういう解釈が正解であるか
/// / l / |! |l | | |、 ヽ ヽ \ ',
l/.!,ィ' /| | | | || |l | ハ| ヽ ヽ ヽ \ \. l .限定するような歌の詠み方ではありません
! | || |/ | ハ| |. ! |l |l | / ||__ヾ__. lヽ ヽ ヽ ヽ \ |
| || l.、 | |__|lL|l. |l、 | |/'"´|! __ゝヽ.|ヽヽ ',. | ヽ /
ヽ!ヽ| \| !、.._ヽ|ヾヽV ッ'"´l-'::::/ |//ヽヽ | | ヽ / 妖しく美しい夜の魅力を重層的に表すだけ表して
ヽ ト、|∧` l-'::! ヾ! ‐''" // ∧'、 |/ ヽ. V
ヽ!|ヽヾミ、"´ / / /〃 ∧ | | V あとは知らん顔とばかりにほっぽりだしています
| ヽミ', / //!/// / ', l | /
ヽ| | `iト、`` _ __ , ,ィ'l/ / ,ィ' ′ l/ | レ'′
| | || l\ - 彡/// //ル'′ ですので受け手側も、差し出された多くの情報から
ヽヽ!\l |l\ //// ,ィ'/l/l/
ヽ `ヾl、|| ハヽ、 , -'´|川/ |lイ/! ! 好きなように思いを馳せていればいいのです(たぶん)
`ヾ!ハ|  ̄ | |
|! ! | /, -──‐┴‐ 、
_レ'´ __ |
/ '´ ∠ -'、
/ , --------- 、 ヽ
/-'´::::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ、 ヽ
/, -----、::::::::::::::::::::::::::::::::::::``ヽ、 ヽ
ノ_ -‐ 、
, '´  ̄ ̄ `ヽ、
, イ \
l´ ノ k \
l/ .:.:.:.:.:.:. , l 丶.:.:.: ' ,
/ / .:.:.:.:.:. イ / ./ / l .:.:.:\.:.: i ただ一つ言えるのは、これだけ複雑で
l l .:.:.:/ /、 l l l .:.:.:.:.|l.:.:.: l
l ! .:/ ,イ.ィェ、\l| l / ; .:.:.:' }.:.:l.:.:.l .多角的な魅力を備えた歌が成立するのも
l l /∧ .:.:l ヒリ ヽ l|l/l ∧ / //.:.:/
N ト、∧ .:l `´ l/メ、|/lノ /.:.:/ 本歌取りによる「圧縮」がうまく
\|l ヽト、l lツヽ ///.:/
/ ゝ ノ//ノ彡' 作用したからだろうということです
/ \ ` < /
/ `‐ ≦彡'/
/ ̄`ー‐-、 / いかに天才歌人・藤原定家といえど
/ __ \ >、
ム-‐´__:::::::::\\ 本歌取りというテクニックを駆使しなければ
| .//'´ ハ`ヽ::::\`、
レ'/ ノ l l:::::::::く々 たった31文字という物理的な限界の中で
,〈::ノ `く|:::::::::::^i|
|:::l .:: l:::::::::::::l」ヽ ここまで複雑な世界を詠むのは
|:/ .:: l:::::::::::::::l l
/ .:: l::::::::::::::::l/ できなかったのではないかと思います
. 〈_ .:: l|::::::::::::/
|`ヽ_ ___ノ|::::::::::::|
/:::::::/「 ̄ l {::::::::::::l
`ー〈 .| l 人::::_::::l
_〉| l'´_:::::::ノ
{_l l___]´
/::::.l l::::::::::::::l
/:::::::::::| l::::::::::::::::l
. /::::::::::::::l l:::::::::::::::::|
.
15/18
_,,,,-‐―---、,,_
,-―< ̄ 、‐z,‐、 `i_
/ , ヽ::. \i. ヘ ヽ
/ / , ヘ::. ヽ」 . |
/ /, , i ,、 ,、 : ヽ : . | そうしたわけで、成功すれば絶大な
|/| i | ., |/__|/_||: : :ヽ : : |
i| l:N|:l:::l/|、__|,, || i i i i : | 効果のある本歌取りですが
| | >::|∧ |j > ||> i l | | l /
//::::i:ノ /.|i: |: : | | / |/
/::::i:K //|: |/ : / | / .当時から、こうした手法については
|::i、:ハっ ノ, /ノ|: i ::i :/ /
||| li::iヘ ノ/ヘ: /|: / / ./|/ 剽窃だとの批判もあったようです
| iリ|/|ハ_',,-|/_|/:l/レ'|イ`l/|/
| | l"ノl∧l j_____|_
|r―-r――'、 また失敗に終わり、駄作や盗作と
.|:| ,―| ::|
/" `ー| ::| 断じられる作品も多かったと伝わっています
/ j ::|
/ / ̄ ̄ ::ヽ
-─ `ー―- 、
/ ⌒丶
. / \
. ,′.::::.:/)/:::/:.:.: :ヽ: ::.(\:: ヽ 藤原定家も安易な本歌取りには
i/::./:(/:∧::{::::.:.: : j::.: }.:\)::ハ
|:::/::/:.::ノ⌒从:: /:::.八/::./:.:.:ノリ 危機感を募らせていたようで
V{::イ:イ斗ぅ犾∨/rセV厶イ /
V八从.弋)ソ ヒソ //:./ こんなコメントを残しています
\ヽ::ゝ /_彡'′
/ > _` ´_..イ"´
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
-‐ ― ‐-
. : ´. . . . . ⌒Y´. . . . . ` 、
/. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . \
. /. . . . . . ./. . . r‐-、__,r‐-、 .ヽ. . . ヽ
/. ./ . . . . {. . . . }-=ニ{⌒}ニ=-}. . .!. . . . .',
,'. ./ /. . ./ l. . . . }ニr‐个-、/,. . .l. . . . . l
.: ./ /. . ./. イ {. . .{. . .{. . | . . } . }. .イ. . . . . | ・少なくとも80年以上前の歌から!
. .: .l ,'. . . .l. 八ハ___ハ. .ハ. イ. . イ. / .八 . . . . |
. ,イ. | l . . . |/ ⌒\_`⌒´ ⌒/⌒ ヽ . . }| ・同じ位置に同じ語句を配置するなら2句まで!
//. .| | . . . レ⌒ア≧s。 _ 八斗_ 。s≦rケ} . . }|
. . : ´/. . .| { . . . { 乂//ツ 乂//ツ イ . . 八 ・違う位置に配置するにしても、2句+3~4字!
//イ. . . |./,. . . { `¨´ , `¨´ ハ. . /込
. //´ 丿. . 人 /,. .人u 」L / . ./ 八 \ ・元ネタとは違うテーマで!
// / . / . ∧./, .込 )~~~( 7「,'. . ./ /. ∧ \
. { l/ . // . . 八 /, .个s。, イ. . ./ /. . . ∧ }
、__У . : ´ /. . . r=-┤ /,人r'ノ≧s。 _ _ 。s≦/. . .,' .从 . . . . \/ これくらい意識しなきゃ
. . . . /. . ./ . /ハ ! . 人. .〈 ト, ,/. . ,イ. .{r‐ 、. . . . . .` 、
. . . . . . ./ . /=ニニl / / !. . } ! } . ./ !.八ニ= ' ,. . . . . . . . \ 単なるパクリになっちゃうじゃないですか!
. . . . . ./ . /-=ニニ| イ .! !. .∧‐- r‐! !. . { Y ハニ= } . . . . . ト、. . .
. . . . . . . / -==ニ |八 { ノル' ' , / 从ト( ,イ}. .lニ= } {. . . . .| \.
. . . . . . /-=ニニニ∧人乂 \ / /八/ニ=-} {. . . . .!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
.
16/18
/,/ , .l l || | `| | | |l i | |
".| / |l | | | | l、 | /l l `l | |.l / |
|l.| ||| .l l | l, |ヽヾ、 | /'"二 ̄l | ./ |
゙ l,.|ヽヘト, |_,-一'ゝ,l.||l '"l ソ`ゝソ// /
V 、N,\'"「ソ`ゝ '"//./i|
| |ヽヽ‐`ゝ ヽ //// | もっとも藤原定家の心配をよそに
| ト\>`ヽ.、 ‐ ///|/
| l \l \ヽヽ> ._/ |'" " 残念ながら当然と言いますか
゛ ゛ ヽ. ヽ`>'"| |‐- 、
/´ \ t | \ 現代では本歌取りなんてほぼ死んでいます
,. ・'" ヽ / `ヽ、
,・'" ̄ ̄`` ー- 、 ゛、/ .,. ・'"´:::`丶、
/ `ヽ,::::::::::::::::::::::| `> <´|:::::::::::::::::::::|`l 理由は著作権的なあれこれや
/ ヽ:::::::::::::::::::::| / イl,,ヽ.|::::::::::::::i::::/ |
| ゛、::::::::::::::::<.ノ /:||:iヽゝ::::::::::::|:/ | 引用される側への配慮などもあるでしょうが
| | ゛、::::::::::::::::l /:/.|:| |::::::::::::::| i |
.l | ゛,:::::::::::::::::| |:」 |:| |:::::::::::::::| / |
/ | ∧::::::::::::::::| /:::::::::::::::|/ | なにより受け手側が「そんな元ネタ知らないよ」と
/ | l" l::::::::::::::::| |::::::::::::::/ |
/ | .| |::::::::::::::| /::::::::::/ | 平然と言えるようになったことが大きいでしょう
/ | ヽ |:::::::::::::| /::::::::i'" |
《‐ 、 /`i.ヽ|::::::::::::|__.l':::::::::i' |
` ‐`l~`ヽ、 | .〕:::l:::O:::::::::::::::::O|:〔 /
/ ``'´ ` 丶、
/:. ヽ
/:::::::: . / ..:. ゙、
,':::::::::::.:...::. ,'::.:::::.::::::.::...:. ヽ. ', 本歌取りは、受け手側が本歌を
,':::/::::::::::l:::::..i:::;:::::::i::::::l:::::l::::...',::.. i
';':::/::/ハ:::::ト、!:::::::l:::;イ:::::;!、::::i::::;' 知っていることを前提にしているだけに
i/:l/、‐_.-ヾ゙ ヘ::i:イ/斗レ‐トヽ:l;/
ヽ::、:',ヽ'iフト ヽ' ' ィアi゙ゝ//:::/
丶:';:ヾ  ̄ ,  ̄,イィ::/ 「本歌を知っていることが当然で
>ヘヽ. _゙ _ ,.イ/丶、
_,,.. <¨´ ',> 、 ,.イ/ > ..,,_ 知らない人間は公然と排除される」
∧:::::::::::::':.., '、-、 ¨ ,.-/ ,..:':::::::::::::/ヽ
/´ lヽ;::::::::::::::'::..、 ', / ,,..:'::::::::::::::/ `ヽ という圧力が認められる場でもないと
/ __ヽ\:::::::::::::',ヾヽ、 /,..イ//:::::::::::::::// i
/ !\\-、:::::::::::::', ¨‐-l\f‐ニ /::::::::::::::/,..-、 l テクニックとして成立しえないのです
. / l \\\::::::::'r''"´7ヽ \:::::::::/ /l i
/ l \\\::ヽ__/ ヽ/::::::/ / l l
.〈 l \\\ /:::::::::/ / l ,ノ
.
17/18
-─‐v―- 、
, -< \
/ _ \
/ / / `ヽハ
|イ / { } Vl むしろ現代で「大空は~」のような歌を詠んだら
| l / / /人 ト、j_ 从 l |
ヽ.| :| />ォ匕\_{∨ィ≠<{ ,'│ 詠み手側の方にこそ敬遠という名の排除が
. ハ/八゙ r':;;:} r';;;::} ´7∨ ,'
レ{ l ヽゞ‐' ー'' / , / 待ち受けていそうです
V{ヽ_> __ " 彡 /j/
\ハ >r - r<イj/
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元ネタ解説されても
大江千里とか知らんがな 面倒くせぇとしか思えんし
∧,,∧ ∧,,∧
∧,,∧ (´・ω・)(・ω・`)∧,,∧
( ´・ω)(∧,,∧) (∧,,∧(ω・` ) やだね、こういうご立派な
l U l ( ´・) (・` )l と ノ .教養を要求されるのって
ま、好きな人が内輪で .u-u ( l). (l ) u-u'
楽しんでりゃいいんじゃね? `u-u' `u-u'
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
___
_ -ニ ̄  ̄ ニ- _
/ _ -― \
, / ヽ
/ ./ ./ ∨
, / / r- _ _ | |
j ./ / :|ニニ二ニニ|.| | |
j ./ / | ゝ-'⌒ヽニl ! ! | |
, .l /`_ー--| | | / /| | | クソッ!
/ | | /(\  ̄ ̄ ` ー`_ー/ :| / j
/ :| | | \\ _ |' ,' なんて時代だ!!
/ / | | |(二二 ノ ┌ _´ イ /' :/
/ , | | | \\ .// /
/ / _ -‐ | :. :|i ~- _ u // /|
/_ア゚ / }ニ ∨ :. ヽ> ___ .イ/ /:|
/ :/ ヽニ/ /ヽ ヽ / \ / / :|
/ :// :| | | | ヽ } ./ { l ::.
| ./ :| | | | }/ ./ :| | }
| ./{ /=| |、 :|――'―'- _ / 、 :{ }
:ヽ/{ \ ./ニニ\l\lニ/⌒ヽO⌒ヽ_./| \/ ノ
/ \. \_ , 'ニニニニニニニ ゝ―/⌒ヽー'ニニ.| ∨
/ .\__ /ニニニニニニニニニニ /ニニニ ∨ニニ | :∨
/ / / \ニニニニニニニニニ/ニニニニニ∨ニ:/ )
, / _/ニニニ\ニニニニニニニニニニニニニニニ./ /
/ イ _/ニニニニニニヽニニニニニニニニニニニニ.イヽ__/|
/ / ._/ニニニニニニニニ三三三三三三{ ̄ |
, ./ _/ニニニニニニニニニニニニニニニニニニ:∧ |
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.
18/18
_ _ _
/ `'  ̄\
/ \
, ´ , `、
j l l l
/ | | | |i . `、 そうしたわけで、本歌取りを使いたいならば
/ ! ト、 |i, |i /|| ト、| |
| l ! ,ム |‐\ト{\|レ',‐リノ-N ! N 受け手側がまず知っているであろう元ネタを
レ| | レ'/ ,,|.-=、 ` ,=ー、,, 〉 ト. |
VV \ /|/ |/ 選出したいところなのですが……
| i ト. ゝ_ l、 u.∠ /
| |l |i.\_> {  ̄} <_/ /
N `!\レ!`r、`-´ /|∧ノ|/ 今の時代、そんな和歌は存在しません
┌| `ー' |┐
___/ \ / {___
/「ii. | /ユ`V´ム. | ii | ̄\ あえて言うなら君が代が該当しますが
/ | ii レ'「 ゝ, ¨ノ |\| ii | i \
/ i | ii ii | } { | ii .ii | / i 別の理由で元ネタにするのが難易度インフェルノです
/ l | ii ii | | | | ii ii | / |
/ | | ii ii `、! レ' ii ii |/ / |
/ {| ii ヾ、∨ 〃 ii |j / |
- ― 、 、
. / // / l ヽ ヽ ヽ`ヽ
/ //‐、 ' l! ヽ ヽ, '⌒ 、
// / //'⌒l ! l! ヽ ヽ〈 ヽ
.. // / / {O //, ! 、 | \_ノ、 まぁ、元ネタを和歌に限定せず
/// / , ー ' | ! ! 、 !、 ! l !
.. / ' / { l | | ! ヽ| ヽ ! l | 受け手側が知ってるかどうかも気にせず
. // | 、 从!ヽヽ| 、 |ィ示 l、! , ,
. |/ ! ! ヽ lィ示示 ヽ | ヒ:ソ 从/ / 分かる人にだけ分かればいい、くらいのノリで
. ヽl | ヽ! ヒ:ソ ` ノ/ /
. ヽ !\ \ ' / / 個人で楽しむには悪くないかもしれません
ヽl\\ \ ‐ //
ヽl  ̄l≧ r≦l/ , ‐,- 、
, ⌒rzヽ ヽ_ヽ、 / / ,ヘ l どうせ今は和歌も個人の趣味
/ ヽ ̄ヽ'ヽ` 、 / l/, へl
(ヽ } ヽ ⌒ヽ ,ヽ ー⌒l 平安貴族みたいにマナーや挨拶として
丶 , 、 八 _ ノ丶 ) 「、,-, ー/
ヽ\〈 〈 l∧__〈/〉 Y∧ / / 彡(ヽ 要求されるわけでもないですからね
\ヽィ≦三ヽ_l_,r≦ヽ' ー―'ノ
ヽヽ三≦、 ヽヽ r‐, /
ヽヾ彡'___ ノ___ '
) ll ∨
.
以上です。ありがとうございました。
和歌スレに投下予定だったのが、
安倍さんの事件が起こってスレがあわただしくなって、なんとなく放置してたやつです
投稿乙
(インターネットミーム)を上手く使ってもっと面白いこと言った奴が優勝!
みたいなノリかな?
これは力の入った作品 面白かった
乙でした
乙
語録を捩ってコメントする文化が受け継いでなぁい?
1/8
読者投稿:月を見よう
//: /:,ィ 〉:// . : : / .: : : : : . 〈⌒ヽ : . \\
/: /:/》 /.:// . : / / .: : , '; : : . ヽ 《\: : .\\
,ハ : /. :/ 〃/.:// : : / /.: : : : :', '; : : : . ヽ\_\: : .\〉
/: : /. :/ Ⅳ :/イl : :│:|: : : : : : :', '; : : : .' , Ⅵ | : : . ヽ
|: :/. :/|_/. :/,イ ト、 │:|l: . l ; : /l', ∧ |\: .' , \ノ : : : : .ヘ
Ⅳ:l: :| . : : //l│l Ⅵ :|l: : | l |八|l/__| |__∧.: .l l: .| :/l .:lヽ.:| 今日(2022年9月10日)は中秋の名月ということで
|:| :|: :|: : : :l |‐=爿=∨|l: : | レ「 /l「 ̄レ| ̄∧: | |: .|/ ;l .:Ⅳ.:|
|:| :|: :|: : : :l |,彳「行`ト、|ト、.:レ| |〈ノ彳「行`ト、 V| |: .| /:l .;| レ' 月に関する和歌を一首、ご紹介します
|:| :l: :|∨: :l | ` 辷リ l| ∨!レ| 乂 辷リ ´// /. :/ .:lノl ′
Ⅵ l :| :Ⅳ:l ト、 |′ / /:/ .:// l
`l.:| : lⅥ:ト、\ 〈| // / .:/,イ :l 『月見れば 千々にものこそ 悲しけれ
l:|\!: ト| `≧=‐ __ _, ‐=彳´// .:// | /
l Ⅵ|:∨> 、 //.:/l .:/〃 l/ 我が身ひとつの秋にはあらねど』
Ⅵ: .\\ \ /< // Ⅵ/
\ヽ: .\ト 、丶 イ -=彳 |ト、
, -≦三l| 〈\ヽ、 ` ´ , =彡' / |l三≧、_
_, ´ /三三l| ト、_\≧==≦彡' │ |l三三l| ` 、
/ 」 三三l| /\≧」三/ ̄ r=≦リ \ |l三三l| `
-─ `ー―- 、
/ ⌒丶
./ \ こちらは>>1197でも紹介した
..,′.::::.:/)/:::/:.:.: :ヽ: ::.(\:: ヽ.
i/::./:(/:∧::{::::.:.: : j::.: }.:\)::ハ 平安時代の歌人・大江千里の詠んだ歌でして
|:::/::/:.::ノ⌒从:: /:::.八/::./:.:.:ノリ
V{::イ:イ斗ぅ犾∨/rセV厶イ / 古今和歌集にも収録された他
V八从.弋)ソ ヒソ //:./
\ヽ::ゝ /_彡'′ 後に百人一首にも選ばれています
/ > _` ´_..イ"´
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ハ
., ; .ハ
.i i ' !
.{ :、 .{ {_.... ―- ..._
, :, .イ! V::::::::::::::::::::::::::::`::...、
:、 ィ土)ノ} :、:::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/ハ人ノ::::、 V::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ
,::::::::ハ:::::::::::、 }::::::::::::::::::、:::::::::::::::::::::::. こういう歌は、あえて現代語訳せん方が
{:::::::U::::::::::::{` i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i
ヾ:::::{!:::::!::::::{ i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i 情緒が伝わるかもしれんけど……
斥 :::、{ヾ:-:.、 i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ソ ィ炒^ヾ:. i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i
〈 ´ i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i
::、 , /7:::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::' 月見れば → 月を見れば
:::. ̄ __.. ィ /.イ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'
::::、/ _'ノ::}:::::::::::::::::::;:::::::::ノ:::::::::イ
':::::i=云{:::ニ≦ニ}:::::::::::::::::::ノ:::::/::::::イソ 千々にものこそ .→ いろいろな物事が
ヾ!⌒^i::、ヾニニ}::::::::::::::::イ^< '" "
i i )、 {::::/ ∠__` 、
{li .i / }iiイニニニニニ≧、_ 悲しけれ → 悲しく感じられてくるものだなぁ
/| :, // / {!ニニニニニニニニ≧、
/ニニi V /ニニニニニ`ニ、ニニニニ\
≦ニニ! }:、r-'ニニニニニニニニニ\ニニニヽ 我が身ひとつの → 私ひとりの
≦ニニニi }ヘニニニニニニニニニニiニニニ\ニイ
≦ニニニニii }ハヽニニニニニニニニニ!ニニニ'
{ニニニニヽニヘ ,: }ニヽニニニニニニニニiニニニ、 秋にはあらねど → 秋ではないのに
ハニニニ/⌒<:、 { {ニiニ、ニニニニニニニiニニニニ)
/ニ≧ニ/ r≦>' 、 ヘ^:, }ニニニニニニニiニニニノ
ニニニニニ≧ ―<_ヽ_ヽ_}_ノノ>ニニニニニlニニニイ
【大江千里(仮) 900頃に活躍】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
.
2/8
_,、-──- 、ヽ __
,、-'"´ `´ `ヽ、
/ _ \
// ヽ |iー-、 ヽ
/ __ \ ヾ、 `r! ヽ
/ ,ィi´ / i \|| `l \ ヽ さて、ここから私の感想に終始しますが
/ //// / | ヽ-' \ \ ゙!
/ /| {{ / | | | | | ト、 \ ヾ! この歌で目につくのは、やはり
/ /| | ∨ | | | | | .∧ |、ヽ ヽ \/
| |.! し' || |! | ! | |/ ハ\!ヾ\ ヽ / 「月を見ていると悲しく感じる」という部分ですね
| .! | | | | | || |、 ', リ/|/ ,. -r‐vYリ、. |.! | /
| | ',| | レi‐| ッ=ミ、ヽ. | l/ '´ l:::`i´ // ∧ || | V
ヽ! ヽ!|ヽヽ|ヽ`i´ l::‐l`\ | '"´ // / ∧川 / ここは、「悲しいから月を見る」とか
ト、|\|ヽヽ `´ ` // / / /レi/
ヽ || i|\`ー=‐ j // / // / 「つらいことがあって心が打ちひしがれてるから
|| ハ \ `ー、 ` -一 /,.ィ'/!ノ) )
〉 H ト、 |゙i┬``‐、 '´/__//∧ 慰めに月を見る」とか、そういうことではありません
/ ヽ! ∨ ヽ ||! |ヽ iヾi|` ー '´二___,/ |
_/ ! __>ゝリ/ヽト、|」 / ____| _,,|
/:::l / r‐' Y `´ l__| r'´ ヽ 「悲しい」が先なのではなく、「月を見る」が先なのです
_|:::ノ /ト、/ ヽ 」 | /ヽ
/ヽ'′/::::|::::::| レ‐、 ,、-─'´ | | ヽ
/ /::::::::::|:::::| | レ'´ | | ヽ
/ /::::::::::,、-'´ `'´ / | ヽ
_ . -‐━‐-‐‐-ミ
. /. ./ . . . . . . . . . . . . \_
/. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .\
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .\
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ゚。
. 〈/〉 . . . . . . . . . . . . . . . . . . | . . . . . . . . . . . . . 「特に悲しいわけじゃなかったけれど
/. . . . . . . . . . . |. . . . . . . . .| . . . . . . . . . . . . . .
|. . . . . . . . /.|.. .| . . . . . . . ∧. . . . . . . .. . . . . ..| 月を見ていたらなんとなく悲しくなってきた」
. И. . ..|. . ./|7ト/| . . . . /. / __゚。. .| . . . . . . . . |. |
. |. . . |. ./‐-ミ |. . |. /}/´ } ハ . . . . |. . .| .|
. |∧/∨}{り ` |/|/ 斗r-ミ, }.. . . .|. . .|/ それなら月なんて見なきゃいいじゃないか
} . . } vり 〉 人/|丿 . .
ノイ . 乂_ 、 /.. . . . . . . ./ ということにもなりかねませんが
|. . .<⌒ __彡. . . . . . . . ./
| . . . 人 ‐- 〉. . . . . . . . . この歌で詠まれている「悲しい」は
И . . . /\ 厶イ. ./}/
. 人/〈/ ー-‐=≦ 〈/__ たぶんもうちょっと別のことです
. -‐= } _」ニ \
_/ |/} ´ \
............\ | / -‐==‐-ミ
/..................\___ | / . ´...........................\
. .′......................... | \|_/-‐=ァ'´............................. -┐..〉
.
3/8
. -‐…━‐- .
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
/ . . . . -‐━‐-ミ. . . . . . . . . . \
/ . . . . /〔_____ ℃ハ . . . . . . . . . . .\
. /. . . . . . . ー- __〕__丿 . . . . . . . . . . . . . .
. _. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ゚。
//. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . たとえば仕事や生活に追われ、せわしなく日々を過ごし
〈 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . \ . . . . .\ . . . . . . .\. . . .
V . . . . . . . . . . . . 、. .、 . . . . . . . . . . . \〉 . . . . . .\. . 心のゆとりもずいぶんとすり減らしてしまっていたところ
. . . . . .|.. . . . . . .{\「\. . . . .}. . . . . . . . . . . . . . . . . ト\
{. .i. . . .|. . . . ./.{ 斗=ァ. . } . . . . . . . . . . . . . . . . l| ふときれいな月が浮かんでいるのに気づき
{. .|. . .八__. . . . . {/ 弋ソ ト. .\. . . . . . .}| . . . . . . 八
{ ∧. . . ._\{\. .{ '′ } . \〉. . .. . .八 . . . . ./ 「あぁ、月ってこんなにきれいだったんだなぁ」
{ \ . . . vり \〉 }. . . . . . . .}/ . . . . . . ′
. \〉∧ノ ノイ . . . }| . . . . . . . . . { なんてしみじみと感じていたら、それを呼び水として
V. . ` } . . . }| . . . /. . . . ∧〉
}ハ .\ r_ァ 丿イ . 八. . .{ . . . / 日ごろ心の隅に追いやっていたもろもろの感情が
}∧.\ |/ \∧/. {
/ 丿. . . . __ . イ ______Ν あふれるように湧き出てきた
∨ハノ V⌒¨¨___________〔
}厂
} <⌒) ____\ ここで詠まれているのは、たぶんそんな心境です
丿 . `丶
/ / ー┐
{ハ . |
厂 /{ }==|
ノ ィ/ l ヽ了ヽ \
/ /7 .:| |/ /ヘl l |、\_} \ ヽ
l/|_/:| | l:|::|/|/∠__\ト \\ |\|
| /| l:l_| l:|//'ヘ_厂X/ヽ|l \\|\| 悲しいというのも、特定の何かで
|ヘ N〈リN / / |/|:::|\ト、|
〉:トく イ///|::||/|/トV 心が痛むとか嘆きたくなるとかよりも
|.::::ト -― ∠///|/:::/::l|/
|/|::|\ /イ///|/
l/l/lハ.._ //イ:::/ いろんな感情があふれ出てきて
|/|N:〉=-ー'´ィ彡/
}V´ r-‐i´ Y ___ 高ぶって切なくて涙がこぼれそうになる
___ _ノ  ̄} └┬¬ ̄ `ヽ
/ 7:::7< n _>‐¬::::\ }
/n /::::/ `|_|/ ̄ 〉_:::|_ r=z、 | みたいな繊細さや豊かな感受性を
/ソノ__/::_/´ /7/7 /´:::::M::::::|ゞ=イ |
ノ /::::::>ム7 ´ ´ 〈:::::::::/::|::::/ | ひっくるめて「悲しい」という言葉で
/ 〉:::::// 、 / ';::::::::/|:〈 |
/__<::::// } / |::::/ |::::\ /| パッケージしているように感じます
 ̄::::::::::/ {:.. ノ { .}/ |::::::::::\|
:::::::::/ \::::::::::::::/:rヘ ヽ、 .....:::::::ノ/ |::::::::::::::::|
:::/ `r┬ー[ ヽ/ 7‐---‐ヘ::/ |::::::::::::::::|
.
4/8
, -: : -. .、
, ィ: ´: : : : : : : : : : : `ヽ _
, : :´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.ヽ
, ': :r:': : : : : : :.r‐z- 、: : : : : : : : : : ∧
. ,.イ: : :.|: : : : : : : : \\ eヽ: : :\: : : : :∧ そして、続くのが下の句の
/ : : /|..: : : : : : : : : :\}__〉: : : :\: : :..: :.
,:/:/} | | :i: : : : : : : :.| : :、: : : : : : : ト、:ヽ.: : : :. 「私ひとりの秋ではないのに」
. i:l〈 ノ/:..| :|: : : : :|:..l: ハ: : :ト、: ヽ: : :.|: :\{: : : :
. ノ:!:.ヽ/:i: :|: | : :、:..:|:..|/x≦:{_ ヽ:.i\:.|: : : : : : :.′
. |:.ト、: :ヽi斗ト、:ヽ:|:..| '"弋:ソ /ヽ!:..ハ}: : : :..: :/ ここは2通りのアプローチがありまして
. ヾ:. ヽ:ト、く弋:);ハj从 /:/: :/ : : : : : : /
ヾ iヾ:、ノ / /:/:/..: : : : ; ′ 1つは「秋は私だけに訪れたわけではないのに」
|:..:乂ヽ // : /: : : :./
ト、:..l :へ´ /:/:/://
ヾ{\: :l.ヽ-r≦イェノ /ェl、 家族、友人、恋人、上司や部下……
ヾ{`:,ノ  ̄ ̄∨/¨{、
_x::::´ヽ∈≡=- V ゞi、 すべての人に秋は等しく訪れているのに、私だけが
, - ‐‐ ´ ノ:::/ n ヾ:ヽ、
, ′ r:':::::/ l l ゞ:::ヽー- 、 こんなにも深く秋を感じ入っているみたいだ
_/ ヽ:_}_ Y ` i::::| ヽ
| i f⌒Y ////∧ r┐r┐ i__|__ i そういう孤独さですね
ヽ! :弋_,ノ ///////}´ :|/|::|/| V//} ハ
| ///////´ `´ `´: ヾソ /:ノ
| V////Y ; :. ヽ厂
: /i////{ .: xュ : ヽ
′ jiハ//i∧ /γ⌒i: ,′
.' ̄} //ヽ \//7 、 ,. :' 弋_ノ :. .ノ
,{ :/ /i} i `¨´_` ¨¨ ´! ゞソ 厂}/
. ′/ イ/l ゝ 、 {:r:‐:‐:`=::ゝ、 {i ,ノィ:´ヽ
/:{´/7 イ ヘ::. \ヽ `ヽ :::l::::::',
//l/ // / / ヽ:::::..ヽ\ }:. :l::::::',
l´/l /l / / ヽ、ノ:〉 l::::.. :l::::::',
/ l.V :/l .:/ .::/ / / / l:..l::....l::...\:::ノ:::::::::..:l::::::l
.l |/l :l :/:/:{ / l .::::l / .::∧:l::::ヽ::::::ヽ:::::ヽ::::::::::::::l:::::l そしてもう1つのアプローチが
{ l /l l l /|:/| .::l .:::/l ./:l .:/_'lヽ、::ヽ:::::ヽ、::ヽi:::::::::l::::l
', V::/l::l :/―-ト、∧:::/ ',::| Vこ ̄,, ̄ヽ|〉::::::::\:::l::::::::::l::l 「私はひとりぼっちではないのに」
', V ::l:| ハ z'''心 V `| r'てバ`= /:::\::::::::::::l:::::::::::リ
', l: il:::ヘ` 、い' .Uiリ ノ /:::::::::l::::::::::::l:::::::l/
', l:ヽ:ト:::ハ //z i /Z ̄ ノ /:::::l:::::::::::::l::::/ 私には家族がいる、友人や恋人もいる
ヽl l |ヽ:::ヽ、 ノ イ ::::イ::::::::::/:l::/
',::::l l:::\ ヽ ___ // :://::/:::/:/l/ 日ごろは決して寂しいわけではないのに
', :l', l:::::::`ヽ、 ..:::::/ //:://l/
N ヽ l:::::iヘV:へ、 _.::イ/ /イイヘ 月を見ているとなぜだが無性に切なくなってくる
\::| `(ーこ_:::::://彡イ:::::',
\ 〕::::l::::::::/:::::::::',:::::::::::l, そういう孤独さですね
_.--'7/ ノヽ:L:::/:::::::::::::}:::::::::::::\
__.......-=7::::::::// /ヽ/ :::::::::::::l彳',:::::::::::/:::ヽ、
r''"´ ̄ //:::::::::/ く ::::::::::::::::::〉:::::::ヽヽ:::::::::ヽ、
/ /:::::::::/ ヽ :::::::::::<::::::::::::::\::::::::::::>.、
.
5/8
/,/ , .l l || | `| | | |l i | |
".| / |l | | | | l、 | /l l `l | |.l / |
|l.| ||| .l l | l, |ヽヾ、 | /'"二 ̄l | ./ |
゙ l,.|ヽヘト, |_,-一'ゝ,l.||l '"l ソ`ゝソ// /
V 、N,\'"「ソ`ゝ '"//./i| どちらのアプローチにも共通するのが
| |ヽヽ‐`ゝ ヽ //// |
| ト\>`ヽ.、 ‐ ///|/ 「人間関係に恵まれていても感じる孤独」です
| l \l \ヽヽ> ._/ |'" "
゛ ゛ ヽ. ヽ`>'"| |‐- 、
/´ \ t | \ 月を見て、いろんな感情を思い出しているうちに
,. ・'" ヽ / `ヽ、
,・'" ̄ ̄`` ー- 、 ゛、/ .,. ・'"´:::`丶、 人間関係の豊かさでは解消しきれない孤独さも
/ `ヽ,::::::::::::::::::::::| `> <´|:::::::::::::::::::::|`l
/ ヽ:::::::::::::::::::::| / イl,,ヽ.|::::::::::::::i::::/ | 思い出してしまった、と
| ゛、::::::::::::::::<.ノ /:||:iヽゝ::::::::::::|:/ |
| | ゛、::::::::::::::::l /:/.|:| |::::::::::::::| i |
.l | ゛,:::::::::::::::::| |:」 |:| |:::::::::::::::| / | どちらにせよ月を見るのをやめて、日常に戻れば
/ | ∧::::::::::::::::| /:::::::::::::::|/ |
/ | l" l::::::::::::::::| |::::::::::::::/ | すぐに忘れるような孤独さなんですけどね
/ | .| |::::::::::::::| /::::::::::/ |
/ | ヽ |:::::::::::::| /::::::::i'" |
《‐ 、 /`i.ヽ|::::::::::::|__.l':::::::::i' |
` ‐`l~`ヽ、 | .〕:::l:::O:::::::::::::::::O|:〔 /
/  ̄, ´ ̄ 丶、
/ . ..:::/'´::::::::::::::::::::\
/ .. :/.::::::::::::::::;:::::::::::::::::\
// ./ .. :;ィ:::::::;::::/::::::::;::::::::::::::゙、 .ただ、ここで上の句に帰りますと
1 / //ィ''フ<l:/l::::/:::;::::::::';:::',
i '´:::::´i マヲハレ l::/:;イノ:::::::;':ハ 「月を見ていると悲しくなる」のは
', :::::ハl ¨` ,、-lノレ':/
', ト:::::lヽ . f'ノ.i_ノjノ そういう孤独さも思い出してしまうから
\!ヽ:l ‐- '´/:l
ノ ヾ ヽ .. ィ::´:/ という一面もあるでしょう
┌‐/ f ¨´テ/レ'
ノ  ̄¨‐- 、.l..__
/'⌒¨‐-、 \ヽ\ それもひっくるめての「悲しい」です
,.ケ‐--、:::::¨‐-、...ヽ! /、
. l/ ∨::::::::::', ィスヽ>
/ ∨::::::::',ヽイトヽ.| そんなふうに、月を見ていると悲しくなる
. i/ ノl\/::::', l_l ヽ!l
/ l / /::::::::::', ', ! 皆さんもそんな経験はありませんか?
/ l/:::::::::::::::} ,' ',
. / l::::::::::::::::::l.ノ / ',
.
6/8
-─ `ー―- 、
/ ⌒丶
./ \ この歌、古くから高い評価を得まして
..,′.::::.:/)/:::/:.:.: :ヽ: ::.(\:: ヽ.
i/::./:(/:∧::{::::.:.: : j::.: }.:\)::ハ >>1195でも紹介した藤原定家が
|:::/::/:.::ノ⌒从:: /:::.八/::./:.:.:ノリ
V{::イ:イ斗ぅ犾∨/rセV厶イ / 百人一首を選ぶ際にも、この歌を
V八从.弋)ソ ヒソ //:./
\ヽ::ゝ /_彡'′ 大江千里の一首として選んでいます
/ > _` ´_..イ"´
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
_ ――- _
_ -ニ ニ- _
/ \
/ ヽ
., / l ヽ
, _ _-ニニl :| .∨
./ /ニニ-_ _-ニニニ l :| ∨ 分かりやすく、美しく、情緒にあふれ
.| :| ||ニニニニ(ニ)ニニニニ.l :.|、 | | :∨
:| :| ||ニニニ-' ̄ -ニニ ' :| ∨ :! | V 「千々に」と「(我が身)ひとつ」の対比という
. | :| | ゝ- ' | |匕 ̄ ̄ l` ∨| | .|
. | :| 斗fセ | ....| | | V .| | テクニカルな面もある
. | { .| |__:|__|_ jI斗劣ミ | | |
. | .{  ̄ ̄ 〃 ん:::芯ヾ | |_ |
. | | {:::::J::::} 》 j | ∨ | まさに教科書的な秀歌ですね
. | ∧ ,x==ミ、 乂⌒ソ j i ./ :|
} ∧ j i/ .|
、 :∧ ` j ; .| 私がいま進めてるプロジェクトの
| ハ j i |
| ∨. 、 、 ノ j i :| 初心者向けアンソロジー(百人一首)にも
| : ∨ .\ /' i |
/ ヽ }i> ィ 7 / .| | 入れておきましょう
./ 丶 :}i ≧s。s< 7 ./| :| :|
/ _∨ .}i__ / || 7 / :| .|、 :|
, /l ∨ | l 7 / .| / ー- _ !
| /ニ l .∨ ! .l .7 ./ /.j ./ /ヽ
l 7ニ.l / } ./ .l l l // /ニニ.ヽ
\|、.7ニニl / ノ \ .l | | / アニニニニ }
【藤原定家(仮) 1162 ~ 1241】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
, .-= .小‐……‐-小.
./ : : : :.||: : : : : :, .||`.
. /´: .: : : : :||: : : : : : :.|| : i
/´: :/: : : :/ |:.:: |(天): : || :i
{: : : : : : :/. l从l/(O)ヽノ ハノ またお前か……
. ‘, : i: : : :i = = jイ
. }从: : : | u cっ ノ:|
`ヽ{≧=‐- -‐=≦!
/ { ( ))), 、(())}}:ヽ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
.
7/8
_ _ _
/ `'  ̄\
/ \ そういうわけで皆さん、月を見ましょう
, ´ , `、
j l l l たまには月を見て、その美しさに心を打たれ
/ | | | |i . `、
/ ! ト、 |i, |i /|| ト、| | 日ごろ忘れているもろもろの感情を
| l ! ,ム |‐\ト{\|レ',‐リノ-N ! N
レ| | レ'/ ,,|.-=、 ` ,=ー、,, 〉 ト. | 呼び起こしましょう
VV \ /|/ |/
| i ト. ゝ_ l、 ∠ /
| |l |i.\_> {  ̄} <_/ / 人間、使わない部位は衰えます
N `!\レ!`r、`-´ /|∧ノ|/
┌| `ー' |┐ 歩かなければ足が衰えるように
___/ \ / {___
/「ii. | /ユ`V´ム. | ii | ̄\ 心を動かさなければ心が衰えます
/ | ii レ'「 ゝ, ¨ノ |\| ii | i \
/ i | ii ii | } { | ii .ii | / i
/ l | ii ii | | | | ii ii | / | いろんな心の動かし方をしましょう
/ | | ii ii `、! レ' ii ii |/ / |
/ {| ii ヾ、∨ 〃 ii |j / |
/. . . . ./. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
. . . . . /. . . . . . . . . . . . | . . . . . . . . . . . . . . . . .
|. . . . .| . . . . . . /. . . . . |. . . . . . . . . . }. . . . . . . そしてこの歌が古くから
|. . . . .| . . . . . . |. . . / . |. . . . . | . . . . }. .| . . . . .
|. .. .|. . . . / . |. . /}. ∧.|.. .| . . . . }. .| . . . . . 多くの人に受け入れられてきたということは
|. . . . И.. ./|. /|. 厶}/‐-V|. . .| . ./. ハ .| . . . . .
|.. . . . ..|. /. |/. |/ .斗‐-ミ八 . |. /}/‐‐-|∧ . . .
. | . . . . .|/ . . 人 V(ン ` V./ /斗r-ミ }. ./ 月を見ていろんな感情が湧き上がってくるのは
八 . | . . . . . . . . \ / / vソ 丿人/
. )∧ . . . . . . . . . . . { /. . | 月を見て不思議なくらい切なくなるのは
_」∧. . .{\. 〈\〉 〉 __彡'. .. .|
/ / 〉 . {. . \〉 、 _ . . /. . /|ノ 月を見て深い孤独さを感じるのは
/ / / \〉V\ /}/И/
_」 {/ . .....\ なにもあなただけではない、ということです
/ \ /ハ〕T爪 |............
\ .′ } /............|
.
8/8
/ ヽ
/ / \ \ト _
/ .::/ .! \ ヽ≦¨
/ :/ :/ .::| \:ヽ. \ .:ハ
. l ′′..:| :l .{ .:|、 .::.ィ :! :ヽハ それも普遍的な人間の感情の一つです
. V :l :从 以 :\ :l:l:斗七オ.::l .::l :!
. `l :{ :|:{ 斗=ト、‐ゝ.从|ィ斤K .:! :! |
い .:ヘ.::斗='  ̄イ/| :l :! あなたの隣にいる人も、ふと月を見上げ
∨\ ::廴`_ 彡' .::/レ'
ヽ ::ヽ、 ≦_ _ '_, ´Zィj/}/ 「どれだけ人間関係が豊かでも自分は孤独なんだ」
__>、 _ヽ≦¨` イ≦‐' 、__, ―‐ 、
/ r / ` ーィ´ニう V| \ なんて感じているかもしれません
/ ∧′ヽ、 と ‐_‐< _ _, ィ´/∧ ヽ
.′ .∧ ` 、/ヽ≧‐、 ヽ ¨>‐' /__lノ ∧、 |
. | /!  ̄l ヽ∧ l'/ヘヽ_/∨ 〉\ .′ ですのであなたもたまには月を見て、心を洗って
.| / ∨ / 厂Uハ ヘ '∨ / ', ′
.l .′ V__ / } _}/ / vVヘ | └― ' | | 人間そんなもんだとなんとなく切なくなりましょう
.|' |厶 ' / ,l Vヘ′ | |
.l| | / ./、 | V{ | |
,'| | } /廴r、 |_ ノ! V | |
,' | |ノイ 廴f_厂V.lV ト、| 今夜は全国的によく晴れているそうです
レ'| /l l 人 l | ∨ |、.|
イ/} /{ | !_ ,. |o|ヽ._| !{ V l ヽ ぼんやり月を見るにはいい夜ですよ
. 〈 ' l /}ノ l | |ol | !丁∨ } |
ヽ / ) | | | 」 .| ! ) V ' /
\ / ]7 | l廴厂.} {,¬,| ! L \ /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ー― '  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ー‐" ̄ ̄ ̄
_ , ‐- _
'´ 丶、
_ -- -‐ - 、 丶
l l ,、 l 丶、
|l_/|_/| / ヽ |ヽ \
 ̄「 |:::::::::| l/ T::::‐i-L ∨ l え? 私?
、 |l:::::::::l l::::::::l / l
:..:.. \ l !::::::::| l::::::::| / /:. l 月より団子、ですかねぇ……
:..:..:..:..:.. ヽ\l ゝ ' ゝ::ノ / /:..:.. l
:..:.___lー-- ゝ '´ \:. l
/ ヽ l:. l
! O O l /∨
ゝ .ノト 、 ______ , ィ´ /
:::::::∨:::::l \ / | l/|
.
以上です。ありがとうございました。
投稿乙
おつー
月見をする日にふさわしい歌ですわね
乙
雲が出て月は見えないが、見えないなら見えない月を想う事とする
1/8
読者投稿:藤原道長「十六夜? そんなの関係ねぇ、俺にとっては今夜が満月だ!」
_, . .- . .-‐ー- 、_
,. :'´/_ ̄ー_,>‐ヽ:ー:\、
/: .:; ィ'´ノ'´/: : : : : : ̄ヽ: \
/:/:/〃//: : : .:/: : : i: : : ヾト、ヽ
/ / { jlイ :/: .:/: .:l: : :i: :| : .:.:lヘヽ〈i
/:/:/ 〉イ///:.:.:/ :/.:| :!.:| .:j :.:l :l .:V.∧ 今日ご紹介するのは
|// /: :〃:.:/.:イ才> !:|.:l /j_r」/ .:.:Y::::l
l|;' :{ : :i :|;イK‐' 1アリヾ !|:l :/;∠!//:〈:/:i} 藤原道長の有名な一首
N: !: : l: :ハヘ ` ' ノ'´'Lソ ク::/::|:イ|!
!ハl: : :!: : トヽ\ :、 イ/:|::! ′
!ヘ : :l.:.:.:!:k ̄ ‐- ´ ‐'´/:イ/ 『この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の
ヾヘ:.:ト:ヽ\ , イ::///
〉`¨7'‐=、`_‐く;∠イ '´ 欠けたることも なしと思へば』
/ ,イヘ、 |:::/〉
/-∠、_  ̄ `" !
/-―- 、 \`‐、 ヽ
-─ `ー―- 、
/ ⌒丶
./ \ はい、歴史の教科書にも載っている
..,′.::::.:/)/:::/:.:.: :ヽ: ::.(\:: ヽ.
i/::./:(/:∧::{::::.:.: : j::.: }.:\)::ハ たいへん有名な歌ですね
|:::/::/:.::ノ⌒从:: /:::.八/::./:.:.:ノリ
V{::イ:イ斗ぅ犾∨/rセV厶イ / 1018年10月16日(旧暦)に、宴会の席で
V八从.弋)ソ ヒソ //:./
\ヽ::ゝ /_彡'′ 詠んだと伝わっています
/ > _` ´_..イ"´
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
,.、
/ l、
/ .!.l
/ | l
/ l. l
/ j l
/ /! l
/ / `ヽ,l 意訳も教科書に載ってて、皆さんご存じでしょうが
j 、、_____ ,l
ノ、、 \ / '、 まずは基礎を抑えておきましょう
ノ__ `ヽ、 ` r' _」
l-- ニニニヒニ‐t!、
ノ/ /||佐ぇ ィッ刋.l.ト、、
// ,{| l! i: .:::l.l.| ト、`' .、 この世をば → この世こそ
,.'//l l,|l .__ ',:::::/|.l | l'、ヽ、`ヽ、
,/// l ljヘ!l|ヽ、 .:イl リl | l、ヽ ` 、 \
/ /Lト7 `| 、 `::´:/.:ヽ‐、!.l ヽ`、 `' 、 ヽ、 我が世とぞ思ふ → 俺の世だと思うぜ
_,、-''7, ! {チー─|─`ー'──' j!l、 '、 ヽ、 `ヽ、
rく´´ /イ! T`ー‐十─┬──''゙ l.! ``''ー-`-i ヾ'、 、
ヽ,)、 ::::::;',' |{ .::: } l ..::::::::: ll ::.. :::::.....|ト、 '、'、ヽ、 望月の → 満月の
j' ヽ:::i.! l!::: {! ::::::::::::!:::::::: l! ::::. ::i リLヽ '、'、
「ヽ ::::::l::!i::::::! l !:::::::.... ! :::: ::!/!/ | '、 iヽ
.i! :::ヽ:::::!::i!::: ! ::::::::::::::::::::::::::: |::/ | }! lト.ヽ 欠けたることも → 欠けていることも
i:! .. ::::.ヽ!:::'、 i ..::::::::::::::::i:. l' |`'、!ノ} ゙、'、
l:ノ.::::::.. ::::|::::. ` ! ..::i::::::::::::::::::::::::::!::| .. l l:`'、 ',.}
l//、::::::::::...!::::::... ! ..::::::::::::!::::::::::::::::::::::::::i:| l::::::! !::::\!i なしと思へば → ないと思えばさ
. l' l `` ::::!i::::: : ..:::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::::::l|:. l::::: :. !:::::::'!、
. l. l ..::::: ::::i:::!:. i:::::::::::::::::::::::::::!:::::::::::::::::::::::::::{:: l::::. ::.. !:::::::}、
l. l .::::::::::!i::::::i:::! :!::::::::::::::::::::::::::l::::::::::::::::::::::::::::l: l::! :::::. !:::::::` 、
l l::::::::::::! l::::::l::::i ::i!::::::::::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::::::::::l. l:! ::::: !::::::::::::`ヽ、
l l :::::::i l:::::::l::::! :::l!::::::::::::::::::: !::::::::::::::::::::::::::::l l!i ::::!:::::::::::::::::::::\
【藤原道長(仮) 966 ~ 1028】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
.
2/8
/ ``'´ ` 丶、
/:. ヽ
/:::::::: . / ..:. ゙、
,':::::::::::.:...::. ,'::.:::::.::::::.::...:. ヽ. ',
,':::/::::::::::l:::::..i:::;:::::::i::::::l:::::l::::...',::.. i ここからこの歌をどう解釈するかなのですが
';':::/::/ハ:::::ト、!:::::::l:::;イ:::::;!、::::i::::;'
i/:l/、‐_.-ヾ゙ ヘ::i:イ/斗レ‐トヽ:l;/ まずはこの歌が詠まれた宴会について
ヽ::、:',ヽ'iフト ヽ' ' ィアi゙ゝ//:::/
丶:';:ヾ  ̄ ,  ̄,イィ::/
>ヘヽ. _゙ _ ,.イ/丶、 道長の三女が入内し、後一条天皇の中宮(正妃)に
_,,.. <¨´ ',> 、 ,.イ/ > ..,,_
∧:::::::::::::':.., '、-、 ¨ ,.-/ ,..:':::::::::::::/ヽ なったことのお祝いとして、彼の邸宅で宴会が開かれ
/´ lヽ;::::::::::::::'::..、 ', / ,,..:'::::::::::::::/ `ヽ
/ __ヽ\:::::::::::::',ヾヽ、 /,..イ//:::::::::::::::// i 酒が進んだところで、この歌が即興で詠まれた
/ !\\-、:::::::::::::', ¨‐-l\f‐ニ /::::::::::::::/,..-、 l
. / l \\\::::::::'r''"´7ヽ \:::::::::/ /l i というのが出席者の日記で伝わっているそうです
/ l \\\::ヽ__/ ヽ/::::::/ / l l
.〈 l \\\ /:::::::::/ / l ,ノ
,. -──-- 、
/. : : : : : : : : : : :.\
/. : : .,: : :,: : : : : 、: . :ヽ
/. : .,:' . ;: . .; . . : :',: . :.ヽ
/. : :,'.: : :i: : : .!: . . : : :i: : : :.',: :', そう、この宴会で詠まれた道長の歌が
',: : /: :,:':ハ: '; :.!: : : : ,!;ハ:,i: ; :', : :}
',: :i: :/:/-弋:、:i: : :,:ル‐l/、:; :.',:i:! 現代まで伝わっているのは
!: !:/レく 下!` ヾ;:ノ イ丁yi:; : iN
',:.ゞ: ゝ `´ `´ /.: : ;i 公式文書でも道長本人の日記でもなく
'、 : :、:\ ' /.:'/.〃
`、: :゙:ミゝ ⊂ 彡':,:'/ 出席者の日記のおかげなのですね
ヾ:.ミl\ イレ';/"
,.ィーj _`´ .::|ー-,、
__/ ゙、/_ノ .::::`ソ :ヽ、 道長も日記をしたためていましたし
∠_ __,.-' /_ _./ :.\_
,ィ:':::::::フ´ 、 \ト、` ´/ ,. -‐:':´: ̄ス 宴会のこと自体は触れていたようですが
/ ヽ/´ 、ヾ:、ヽ.-;‐うイ:.:..::..:..:.:.:.:.:/::ヽ
/ /.:入 ヽ '、ヽ_j-'il´.:..::..:..::.. .:.:/.: :', この歌のことは記されていないみたいです
/ ノ :.___゙ァ'ヽ_j';;;,!;iヽヾ/.:..::.:..:.::/ :',
/ / ;イ::::.:.:.::.:!i│ ;;i`:.:.:..::.:::/ ::l
/ :/ ハ:::::.:.:.:.:.:!;| i;;!::::::::::/、_ :.:.:l
. 〈.: :/ ./.: :,!:;:;:;:;:;:;:L!. /レ;:;:;:;:;:゙!:.:.:.`ヽ、 :.ヽ
.
3/8
, -‐-'´ー- 、._
,、' : : ,:-'´: : : : : : :\
/: : :/: : : : : : : : : : : : \
/:/ : /: : :, : : : : : :/: : : : : : : ヽ
!': : :/: :/;.、=7;、イ;i: : |: : : : 、: ヽ となると気になるのは、「このよをば」や
!: : /': :'´ ;| 'iァz;、,'ト|: :/;イ: : : }: i l
!: : : : : : :{ `''゛'` !/'´/イ;ィ:/: リ'! 「我がよとぞ思ふ」の「よ」についてです
'; : : : : ;|ヾ ,ィ')y'/;ィ:/
ヽ:|'; :{ヘ _ ゝ./!'´ !'
/' ヽ! 、 ´,. ィ':i/ 宴席で即興で詠まれた歌であるところ、「よ」が
_,,..../ /` ‐' ´l/リ゛
ノ `丶、 {、 ´ 漢字表記で「世」になるという根拠はあるのでしょうか?
/ ' ‐- 、 \トヽ、
,イ;;;:::、:_:::::::`ヽ、 _\!`)、
i;/ ヽ::::::::::::', `>ヶ、:> まさか後から日記の作者が、自分の日記に残すため
! '、:::::::::::',∨|:ハ! ',
/ iヽ、:i::::::',. |:| ';〉 i 道長本人すら自身の日記に残してない歌について
/ l /::::::::',.L! ';. !
/ | ! /::::::::::::l ハ 「あの歌、『このよをば』の『よ』は漢字で『世』なんでしょうか?」
/ V::::::::::::::::l / / ',
/__,.、 -‐┐ l::::::::::::::::l / ,〉 なんてわざわざ確認したわけでもないでしょうに
`| '7:ー‐'、:::::::::::/ /|__/|
| |;;:::::::::):::::::〈 |:ヽ |
_,.. -:' ` ー'  ̄ ヽ. __
/ ,.二 、 ̄ \ \
. __//,' /, / ハ ヽ. \ヽ!
 ̄}/, / / ,' ! , ヽ| .ヽ そしてもともと和歌は歌というだけあって
/.,:┐//i i. j | i \ | ヽ}
,.ィ/,.イ/イ/!. ハ. 亅,ハ.\ V!|V 文字として記して読んで楽しむよりも
〃/,二 -:っ_j人ハハ. /j/ィ二ヽ}メノ 〉
i/,二つトゝ't{i厂`∨ . {iリ ノ彳 j | 声に出して耳で聞いて楽しむものでした
| ハ、 }ヾj、 ̄ j〉 ク1i/リ
| 〉 ハii l.i. 、 ‥ /iイ/
」 ,/,人{ヘ从ト |丶. _/, つまり漢字での表記にどこまでこだわる
/ ./ ,r‐| /┐
. / /-―< ̄ 'く_ _/ ̄`> -- 、 必要があるのか、という考え方もあります
/\ ̄/ ,ハヽ:: :: :: ::\_ \` ´ノ ,.ィ:: :: :: :: ::.ト、
. / / / ',. ',:: :: :: :: : ヾト、\//} |:: :: :: :: :/ ,ハ
.. 〈 / / ヽ}:: :: :: :: :: ::| >介rく |:: :: :: :: { / | たとえば当時の和歌の文脈においては
/ ∧ |ヽ:: :: :: :: ::く// }.ト、〉.|:: :: :: :::|' |`ヽ
, / _,.} |/ ヽ:: :: :: :: L/ ん! |:: :: :: :: | } 掛詞として「世」と「夜」を重ねるのも
〈 __‐'_,/ 〔 /丁 :|:: :: :: :: :::| }:: :: :: :: | /
 ̄ \___,}/ | |:: :: :: :: ::.|. /:: :: :: :::/ | 誰しも思いつくような一般的なテクニックでした
\ !:: :: :: :: :|. i:: :: :: :::/ /
\ヽ:: :: :: ::\ー'ア|:: :: ::.〈‐-r一'
.
4/8
_ . -‐━‐-‐‐-ミ
. /. ./ . . . . . . . . . . . . \_
/. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .\
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .\
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ゚。
. 〈/〉 . . . . . . . . . . . . . . . . . . | . . . . . . . . . . . . .
/. . . . . . . . . . . |. . . . . . . . .| . . . . . . . . . . . . . . そしてこの歌が詠まれた宴席が、16日に開かれたということ
|. . . . . . . . /.|.. .| . . . . . . . ∧. . . . . . . .. . . . . ..|
. И. . ..|. . ./|7ト/| . . . . /. / __゚。. .| . . . . . . . . |. |
. |. . . |. ./‐-ミ |. . |. /}/´ } ハ . . . . |. . .| .| 旧暦では月の満ち欠けに従って暦が進みますから
. |∧/∨}{り ` |/|/ 斗r-ミ, }.. . . .|. . .|/
} . . } vり 〉 人/|丿 . . 何年何月だって1日は新月ですし、15日は満月です
ノイ . 乂_ 、 /.. . . . . . . ./
|. . .<⌒ __彡. . . . . . . . ./
| . . . 人 ‐- 〉. . . . . . . . . 16日なら十六夜、つまり満月の翌日であって
И . . . /\ 厶イ. ./}/
. 人/〈/ ー-‐=≦ 〈/__ 満月より少し欠けた月が、少し遅い時間に上ります
. -‐= } _」ニ \
_/ |/} ´ \
............\ | / -‐==‐-ミ
/..................\___ | / . ´...........................\
. .′......................... | \|_/-‐=ァ'´............................. -┐..〉
\. : . :.i: : :/: . : . :/: : :イ: //: : : :|: :i: : : : : : : : : : : :.\
ヽ: : |: :/: : : :/レ'´ ソ /i: : : : i: :|: : : : :',: : : : : : : : :ヽ
V|!/: : イ -‐―-k 、ハハ: : |i :;,. : . : .|: ; : : : ;: : : : ',
:|: ./ | 、ヽリ! / i |: . : .i!: .|: . : .i: : : : :| 以上を踏まえて、「よ」に「夜」の意味を込めると
' レ' ! ア兀㌧、 レ从Vヘ; : :/ |: :i|: : : |:i : : : i
| ', ヽjz2_ノ レ' レイ: : : :|: : i: :.:| こんな感じになるでしょうか
| , i | ヽ __ ̄ヽ|: ' :./: :/:. }
i i |i | ハ ヤfjヽ i / /|: /
i ト、 ト、! .ゞソ /レ' / | / 『今夜こそは俺の夜だと思うぜ
ハ i i ト、 | 〉 /,' レ'´ レ'
ヽ ヽ、 ト、 ! ヽj 、 ´ /, '.': i (実際にはもう欠け始めてる)月だって
\\ ', \ i  ̄ /: ':/ /
Y´\! ヽ!丶 /,:',:',:'/ / まだ欠けてないって思えばいいさ』
| \ ,. '´ /,:'//レ'
| Tー-‐'´ メレ´´
.
5/8
. -‐…━‐- .
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
/ . . . . -‐━‐-ミ. . . . . . . . . . \
/ . . . . /〔_____ ℃ハ . . . . . . . . . . .\
. /. . . . . . . ー- __〕__丿 . . . . . . . . . . . . . .
. _. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ゚。 この夜は十六夜ですから
//. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
〈 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . \ . . . . .\ . . . . . . .\. . . . 満月との違いもあまりありません
V . . . . . . . . . . . . 、. .、 . . . . . . . . . . . \〉 . . . . . .\. .
. . . . . .|.. . . . . . .{\「\. . . . .}. . . . . . . . . . . . . . . . . ト\
{. .i. . . .|. . . . ./.{ 斗=ァ. . } . . . . . . . . . . . . . . . . l| お酒が入っていれば、ますます
{. .|. . .八__. . . . . {/ 弋ソ ト. .\. . . . . . .}| . . . . . . 八
{ ∧. . . ._\{\. .{ '′ } . \〉. . .. . .八 . . . . ./ 細かい差異なんて気にならないでしょう
{ \ . . . vり \〉 }. . . . . . . .}/ . . . . . . ′
. \〉∧ノ ノイ . . . }| . . . . . . . . . {
V. . ` } . . . }| . . . /. . . . ∧〉 この解釈からはそんな、嬉しすぎて
}ハ .\ r_ァ 丿イ . 八. . .{ . . . /
}∧.\ |/ \∧/. { ちょっとテンションが上がっちゃったおじさんの
/ 丿. . . . __ . イ ______Ν
∨ハノ V⌒¨¨___________〔 たわいない一幕が見えてきます
}厂
} <⌒) ____\
丿 . `丶
/ / ー┐
{ハ . |
厂 /{ }==|
/ _ 、\
////〉:/ .::::/ .::::', :::::.ヽ 〈ヽ:::::::\\
. /:// 《/:/:::::/::: :::::::',:',::::::.\\\::::::ヽi
/:/::/ ||/::/l::l:::l::::: :::::::::l::::::::::::. \《 l::::::くヘ
|/::::l/::::::ソ∧l:::l:::l ::l l :::::/| ,、.!、::::. ::ヽ'::::::::::::l もちろん「よ」には「夜」だけでなく
| .::::l::::::::〃| .l|N」:::l:::l l .l/ ..!'.」|_ヘ:::.l .|::::|:::l:`i、::|
| l:|::l::::::l | .!‐!二N:|:::|:i :l / ]|二∨! |::::|:::l::::レ::l 「世」の意味も込められているのでしょうが
レl:|N::l:::l | <仆リ`|、/l:::lV^´仆ソ> リ l::::l:/l::::lレ'
!|:::N:l:l ト、  ̄ レ'  ̄ //::,::'::::レ'!
. i|ヽ|::l:レ、_ 〈l ,ィ'-‐':/:/:/|::l 「夜」のニュアンスも入ることを念頭に置けば
V|\\ヽ ___, ノ:::://:/:/,:レ'
`ヘゞ>一 /:/::/:/´ 「世」のニュアンス100%と限定するよりも
lヽ,'\\ , 'へ:∧∨´
_ イ-‐∧\ヽ _ イ _/) \ 印象はずいぶんマイルドになるのではないでしょうか
, ´ /三/ 〉、 \三>´ / |三ニ=‐‐-、
/ |三 | ∧ へ lニl r彡\ |三三L ヽ
.
6/8
-─ `ー―- 、
/ ⌒丶
./ \
..,′.::::.:/)/:::/:.:.: :ヽ: ::.(\:: ヽ. だとすると、道長本人がこの歌を
i/::./:(/:∧::{::::.:.: : j::.: }.:\)::ハ
|:::/::/:.::ノ⌒从:: /:::.八/::./:.:.:ノリ 自身の日記に残していないのも
V{::イ:イ斗ぅ犾∨/rセV厶イ /
V八从.弋)ソ ヒソ //:./ こんな理由かもしれませんね
\ヽ::ゝ /_彡'′
/ > _` ´_..イ"´
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
」 ヽ イ
ム、ヽ、 \ / l
/: : ヽ、ゝ、 ノ .! γ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
./: :ノ: : : :`ー 二_ - _ / l | 1.日記に残すほど価値のある |
,:':/: : : : : /:l: : l : i:ーr, 二_ ー- ム. 」 | 歌とは思っていなかった |
/: : : : : :ノY': : :l!: ナナぇ 、_ ` ー-┐-┤ 乂________________ノ
/: : : : : : :/rテl: : : i!:; :メゞ;;テベミヽ ,ィヒ: :l
./;: : : : : : : :.k 。 !: : : :i!:/  ̄ ィツノ: : :ヽ
〃/: : : : : : : : :,':::>-|: : : :メ、 l ハ: : :ヘ
/ /: : : : : : : : : :l::::j .!: : : ; ヽ ノ /: :}: : ハ
_/ /: :_:_:_: : : : : : :|::/、 l: : : :l \. 、_ _ ノ: : :l: :/ i! あぁ、そんな歌も詠みましたっけ
| ̄ i! `ー― 、/ ヾ,|: : : ト、 ヽ ` ´ /: : : ノ:/ ノ
| .i! / `丶, |: : : i. ヽ \´: : : : :〃:| /
| .i! / `丶; :ト、 冫ー ´\ヽ、;_: : : ノ/ そんなのいちいち覚えてるなんて
| i! / /\ .ソ | \ _ヽ \`ー.メ、
│| i! / / \┴ 一 ' ´{. ヽ .{ もの好きですねぇ
| .i!. / / ヽ、_, -′ }. l
|. .i!. / / , ヘ ノ ′ ハ
| i!. / / , ′ ヘ、 / l
| .i!. / / , ′ \ l! i!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
γ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
| 2.酔っていい気になって詠んだ |
| 黒歴史だから残したくなかった |
,i---、 乂_________________ノ
. /|;;;;;;;;;;;;;i
| |;;;;;;;;;;;;;;;i
| |;;;;;;;;;;;;;;;;;i
. |/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i
|_了;;;;;;;;;;;;;;;;;;l
. /j_ ̄ _λ::::::::::::.l あ、あれはアルコールのノリですから……
|::|l` ´ い|::トv::::.i
!|( __ u|::|r':゙;;:::.i 忘れてください
|::::>-=jノ〉ュ:::゙;;::.i
// ̄ ̄]~| ̄\l::.i
|/ | `!j;リ
/ 〃 |、 ゙i
\ 〃人 、 __,!
. ( `iーロ-' `ーロj′ )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
|::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::|
}:::.. ! ..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| γ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
|::::::..│ ..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| | 3.酔いすぎて、こんな歌を詠んだ |
|::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::: ::::::::::::::| | ことすら覚えていなかった |
|::::::::::|:::::::::::::::::: .........::::::::::::::::::| 乂_________________ノ
|::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
「二二工二二二二二二二ニニニニコ
/:::::l__ノ ゝ、_ ヽ:::::::::::::l|::::::l:::::::::::::l
/:::::::l `゙ !:::::: :::l|::::::l:::::::::::::l
l:::::::::l 0 0 l:::::::::::l|::::∧:::::::::∧ 私が? そんな歌を?
|::::::::l ヽ) |:::::::::::|l::::|`ヽ:::::::::∧
|::::::::| l:::::::::::|.!:::|o丿:::::::::::∧
|::::l:::l r─-、 l:::::l::::| l:::「::::::',::::::::::::∧ すいません、全く記憶にないです……
lイ:l::::ヘ. l ) !::::l:::|, l::ト、::::::\::::::::::∧
l l::l::::|:::\  ̄ l::::l:::|斗:!‐\:::::::\:::::::::',
|::l::::ト、::::l::> _ 斗┼:l:::| l::| \::::::\::::::',
|::l::::| ヽ:斗イ\/ |:::l:::| l::| \::::::ヽ::::',
|::l::/「ニ二二二二二二l::l:::|ニ|::l二二二二\::::l::::',
/ / |::l::l |::l /\::::::',
,.イ| / |::l::l |::l / \:::',
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
.
7/8
ノ ィ/ l ヽ了ヽ \
/ /7 .:| |/ /ヘl l |、\_} \ ヽ
l/|_/:| | l:|::|/|/∠__\ト \\ |\|
| /| l:l_| l:|//'ヘ_厂X/ヽ|l \\|\|
|ヘ N〈リN / / |/|:::|\ト、|
〉:トく イ///|::||/|/トV そして翌年、1019年3月
|.::::ト -― ∠///|/:::/::l|/
|/|::|\ /イ///|/ 道長は(恐らくは)病が元で出家します
l/l/lハ.._ //イ:::/
|/|N:〉=-ー'´ィ彡/
}V´ r-‐i´ Y ___ 満月がすぐ欠けてゆくように
___ _ノ  ̄} └┬¬ ̄ `ヽ
/ 7:::7< n _>‐¬::::\ } 自身の栄華が長くは続かないことを
/n /::::/ `|_|/ ̄ 〉_:::|_ r=z、 |
/ソノ__/::_/´ /7/7 /´:::::M::::::|ゞ=イ | この歌を詠んだ時点でなんとなく
ノ /::::::>ム7 ´ ´ 〈:::::::::/::|::::/ |
/ 〉:::::// 、 / ';::::::::/|:〈 | 察していたとしたら、どうでしょう?
/__<::::// } / |::::/ |::::\ /|
 ̄::::::::::/ {:.. ノ { .}/ |::::::::::\|
:::::::::/ \::::::::::::::/:rヘ ヽ、 .....:::::::ノ/ |::::::::::::::::|
:::/ `r┬ー[ ヽ/ 7‐---‐ヘ::/ |::::::::::::::::|
/ / >ヘへ、  ̄\
/ // \ \
/ / / | \ トl ヽ、 \
{// !/ /ト、\ ヽ、 从 ヘ\\ヽ
| | | //土_\ヽ | /土ヘ | } ) ) 欠け始めた十六夜も、満月と思う
〉 N/イ'”ヒソ` ヽ|/|/'ヒリ.`〉ソ〈
|ヘ \`=-‐ i, /イ::::ハ
\ヽ \ -- /|:::/|/ | そこには強がりや、先への不安からの逃避
\|ヽト __.イV/レ|
__| rrn_ L__ せめて今夜だけは嫌なことを考えず
_ノ´ヽく /||i⌒il l〕 | \_
_/ ヽ./7 )\/ \_ 純粋に楽しみたいという繊細さ
/ :\__ | //.)ヘヽ}____/ \
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヘ>j/〈.〈∧ V|_/j.:.:.:.:.:.:.:.∧
<_.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\| ト } }/.:.:.:.:.:.:.:.:.:j..:.> いろんな気持ちがせめぎ合っていそうです
| ト、_.:く.:.:.:.:.:l::::j /〈 |.:.:.:.:.:.:.:\:.:/|
| \ ̄l_.:.:.:.:.:/ /:| l\ \.:.:.:.厂イ │
.
8/8
. , -―-ォy、, -―- 、
,イ__ / r‐-、\
. //,.'´ \ 《\\
. /{《/ ./ i .i .ヽ》 l ' ,
. /,ィ レ′l i l. | l `v′ ',
// ハ i | | . | ト、. ', ヽ | この歌は有名ですし、いろんな解釈があるでしょうが
/ l. i | N .|. |!. ┼,ム-\ | ハ
. | | ヽ !‐ハ |ヽMl ,r,___, \ | .} 単に自身の権勢を誇って詠んだというよりも
| .∧ 〈 __ヽ!. '⌒´ / `ヽ. | ,イ
. V! .lヘ. Y´⌒〉 /イ ./ /リ こんなふうに解釈する方が、私の好みです
. ヽ| ヽ! ヽ , ' / / /
!. \. ` ´ /イ /リイ
ヽイハルv'ヽ. / ,イ 今日(2022年9月11日)は十六夜
. `T´__,/,仁}
rh r'-‐'」 |_____ そんなことに思いを馳せながら月を眺めてみるのも
___rャイ |」 イヘ /::::::/´ ̄ ̄`ヽ.
, ィ'´ /::;イ , , ___,〉.《:::::《 f⌒ハ .ヘ, いいかもしれません
yfvハ /;イ `ヽ!」/´ ∥:::∥ .ゝ'ィ′∥
|ゝイ ,イ::/ fj .fj |l;ヘ::lL,__ .|
.| .ィililj. 〈ililililililil∧ ゝヽ_
.l {/ , , ',ililililililiヘi!、 `ヽソ
} ,r' / .l ...... }ililililiソ ヽiliト、_____|
y' { :::.... /,.ヘ,! ..:::::::::::::::::::ノililili/ \ililililil|
/. . . . ./. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
. . . . . /. . . . . . . . . . . . | . . . . . . . . . . . . . . . . .
|. . . . .| . . . . . . /. . . . . |. . . . . . . . . . }. . . . . . .
|. . . . .| . . . . . . |. . . / . |. . . . . | . . . . }. .| . . . . . 最後に、今回の投稿は下の記事の内容や
|. .. .|. . . . / . |. . /}. ∧.|.. .| . . . . }. .| . . . . .
|. . . . И.. ./|. /|. 厶}/‐-V|. . .| . ./. ハ .| . . . . . この記事を読んで私が思ったことを
|.. . . . ..|. /. |/. |/ .斗‐-ミ八 . |. /}/‐‐-|∧ . . .
. | . . . . .|/ . . 人 V(ン ` V./ /斗r-ミ }. ./ 適当にまとめたものです
八 . | . . . . . . . . \ / / vソ 丿人/
. )∧ . . . . . . . . . . . { /. . |
_」∧. . .{\. 〈\〉 〉 __彡'. .. .| 興味を持たれた方は、是非
/ / 〉 . {. . \〉 、 _ . . /. . /|ノ
/ / / \〉V\ /}/И/ こちらにも目を通してください
_」 {/ . .....\
/ \ /ハ〕T爪 |............
\ .′ } /............|
ttps://www.sankei.com/article/20181102-YS4HKLCBEVMKDJJUWYDCLILWFQ/
子供の幸せ喜ぶパパの歌? 藤原道長の和歌「この世をば-」の別解
ttps://www.yomiuri.co.jp/column/japanesehistory/20210628-OYT8T50054/
この世をば…藤原道長の「望月の歌」新解釈から見える政権の試練とは
以上です。ありがとうございました。
乙
昨日中秋の名月で今日は十六夜だよなぁと思って読んでたら言及あった
そらそうか
乙ー
おつー
教科書通りに読むと傲慢な天下人な道長も色々な顔が浮かんでくるものですねぇ
おっつおっつ
乙
相手側が返歌を断って、出席者一同で何度もこの歌を詠んだのですから、
おぼえていなかったはちょっと考えにくいと思う
乙です
たしかに十六夜が出ている状況で読んだとするなら「世」より「夜」のほうがずっと自然に見えますね
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単なるパロディではなかったんだなあ