スズキ「ソリオHV」、便利な機能が充実…広い車内、誤発進防ぐ機能など
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「ソ、ソ、ソリオ~♪」――俳優の橋本環奈さんが出演するコマーシャルをテレビで見た人は多いと思う。今回の試乗車は、そのスズキの小型乗用車「ソリオ ハイブリッド(HV)」だ。
ソリオはガソリンエンジンのほかに、2種類のHVがある。エンジンの加速時などにモーターをアシストすることに限定した「マイルドHV」とモーターによるEV(電気自動車)だけの走行も可能な「HV」で、今回は後者のタイプになる。
あれ?運転席パネルにメーターがない!
まず運転席に座ると、正面のパネル部分にメーター類がないことに気づく。そこは物を入れる収納ボックスがあり、自動料金収受システム(ETC)車載器が入っている。実は、メーター類は中央にあるカーナビゲーションのディスプレーの上に設置されている。画面では、自分の好みで速度計やタコメーター、平均燃費や航続可能距離などの項目を選ぶことができる。
最初は違和感があるのだが、運転時はカーナビ画面を見ることが多いため、そのついでにメーター類を見ることもでき、意外と早くに慣れることができた。
運転席の正面にはヘッドアップディスプレーもあり、速度、ドライブや後退のシフトレンジ、警告が表示されているので、カーナビ画面の上部ディスプレーを見なくても運転はできる。
フロントガラスが大きく、運転席からの見通しは良い。走り出しの最初の1、2速では変速時にショックを感じるものの、5速まであり、その後はスムーズに加速していく。車高が高く走行時には風の抵抗を受けやすいため、さすがに時速100キロを超えると車体のブレなども感じるようになるが、100キロまではキビキビした走りをみせてくれた。
後席でも余裕の空間、SUVよりもゆったり?
小型車にもかかわらず、室内は広い。車内高は1・365メートルもあり、後席でも頭の上に余裕があり、前席との間隔もゆったりしている。今人気のSUV(スポーツ用多目的車)のEVの中には、車体下部や後部座席下に大量の電池を置くため、後席の空間に余裕がないクルマが少なくない。この小型車は、それらSUVを上回る余裕がある。
後席がスライドドアなのも、小さな子どもがいる家族連れには使い勝手が良い。荷室も十分なスペースがある。35リットルの小型スーツケースであれば、5個(形状によっては難しい場合もある)を並べて収納でき、後部座席を倒せば最大1・39メートルの長さの荷物を積むこともできる。
直射日光を遮るシェード、誤発進を防ぐ機能も
女性が乗ることが多い小型車が得意なスズキだけに、細やかな気遣いもうれしい。後席ドアには窓から入る直射日光を遮るロールサンシェードが内蔵されてる。外からのぞかれることがないため、海辺の駐車場に止めたクルマ内部で子どもらが着替えることも可能だ。
また、天井部には後部座席に対応したスリムサーキュレーターが設置されていて、エアコンの温冷風が出て、前席と後席の温度差がないようにする工夫がなされている。
運転支援機能も充実している。クルマのエンジンをかけると、カーナビ画面に3D表示で発進前のクルマの周囲が映し出され、安全を確認してからの発進ができる。アクセルとブレーキの踏み間違いによる急発進を防ぐため、前方に壁などがある場合、ドライブレンジでアクセルを強く踏むと、最長5秒間、エンジン出力を抑制する機能なども付いている。
燃費面だが、一般道も含め約300キロを走ったが、リッター19キロ台であった。マイルドHVタイプとの差だが、燃費効率はHVの方が1~2割ほど良いものの、価格差は20~40万円ほどある。かなり距離を走る人でない限りは、マイルドHVで十分かもしれないと思った。(デジタル編集部 松崎恵三)
【仕様・主要諸元】(試乗したHV「SZ」の場合)
▼全長・全幅・全高(ミリ) 3790・1645・1745
▼総排気量(L) 1.242
▼燃費 WLTCモード(キロ/リットル) 22.3
▼価格 229.35万円(オプションは除く)