鞘翅目とは? わかりやすく解説

甲虫類

(鞘翅目 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/20 03:33 UTC 版)

コウチュウ目(甲虫目)・鞘翅目
生息年代: 299–0 Ma
Є
O
S
D
C
P
T
J
K
Pg
N
早期ペルム紀現世
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: コウチュウ目 Coleoptera
Linnaeus, 1758
英名
Beetle
亜目

甲虫類(こうちゅうるい)は、昆虫綱有翅昆虫亜綱コウチュウ目甲虫目鞘翅目(しょうしもく)とも)に分類される昆虫の総称。カブトムシクワガタムシカミキリムシゲンゴロウオサムシホタルテントウムシゾウムシなど、非常に多様な昆虫が所属する。

概要

昆虫類のみならず動物全体においても最大のである。名のあるものだけでも37万種が知られており、未だに次々と新しい種類が報告されている。食性も多様で、虫食、腐肉食、糞食、葉食、樹木食、樹液食、菌食、蜜食などがある。

成虫クチクラで形成された頑丈な外骨格が発達しているため、「甲虫」の名がある。前翅が硬化して、「鞘翅」という器官になっているのが特徴で、薄くて大きい後翅と腹部を保護する役割をしている。鞘翅目という名称もこの前翅の形状からつけられた。ただし一部には前翅が薄いものや、ハネカクシツチハンミョウのように腹部が大きくはみ出たものもいる。

飛ぶ時は前翅にしまわれていた膜状の後翅を広げ、羽ばたかせて飛び、前翅は主に平衡を保つのに使われる。ただしツチハンミョウや一部のホタルヒメボタルなど)のメスのように翅が退化したもの、一部のオサムシゴミムシのように2枚の前翅が互いにくっついて後翅が完全に封印されたものなどもおり、これらは飛ぶことができない。その一方で、ハナムグリのように、前翅を開くことはできなくても、その下から後翅を出して飛べる種類も存在する。

変態 - 幼虫 - - 成虫という完全変態を行う。幼虫には翅はなく、成虫とは似つかない姿をしており、成虫とは食物が違うものが多い。なおツチハンミョウなどは成長段階に応じて幼虫の期間内でも形態が変化するので「過変態」とよばれる。

分類

ナガヒラタムシ亜目(始原亜目) Archostemata

ナガヒラタムシ上科 Cupedoidea
  • ナガヒラタムシ科 Cupedidae
  • チビナガヒラタムシ科 Micromalthidae

オサムシ亜目(食肉亜目) Adephaga

ツブミズムシ亜目(粘食亜目) Myxophaga

ツブミズムシ上科 Microsporioidea
  • ツブミズムシ科 Torridincolidae

カブトムシ亜目(多食亜目) Polyphaga

ガムシ上科 Hydrophiloidea
  • ガムシ科 Hydrophilidae - ガムシ、コガムシなど
  • ホソガムシ科 Hydrochidae
  • セスジガムシ科 Helophoridae
  • マルドロムシ科 Georissidae
エンマムシ上科 Histeroidea
ハネカクシ上科 Staphylinoidea
  • シデムシ科 Silphidae - クロシデムシ、ヒラタシデムシなど
  • ハネカクシ科 Staphylinidae - アオバアリガタハネカクシなど
  • コケムシ科 Scydmaenidae - ムクゲコケムシ
  • タマキノコムシ科 Leiodidae - アカバマルタマキノコムシ
  • ムクゲキノコムシ科 Ptiliidae
  • ダルマガムシ科 Hydraenidae
コガネムシ上科 Scarabaeoidea
マルトゲムシ上科 Byrrhoidea
  • マルトゲムシ科 Byrrhoidae - ダエンマルトゲムシ
タマムシ上科 Buprestoidea
コメツキムシ上科 Elateroidea
  • コメツキムシ科 Elateridae - クシコメツキ、シモフリコメツキ、サビキコリなど多数
ドロムシ上科 Dryopoidea
  • ドロムシ科 Dryopidae
  • ヒメドロムシ科 Elminthidae
  • ナガドロムシ科 Heteroceridae
  • ヒラタドロムシ科 Psephenidae
  • ホソクシヒゲムシ科 Callirhipidae
  • ダエンマルトゲムシ科 Chelonariidae
  • ナガハナノミ科 Ptilodactylidae - ヒゲナガハナノミ
ホタル上科 Cantharoidea
カツオブシムシ上科 Dermestoidea
ナガシンクイ上科 Bostrychoidea
ツツシンクイ上科 Lymexyloidea
  • ツツシンクイ科 Lymexylonidae
カッコウムシ上科 Cleroidea
  • コクヌスト科 Trogossitidae
  • カッコウムシ科 Cleridae - アリモドキカッコウムシ
  • ジョウカイモドキ科 Melyridae - イソジョウカイモドキ
ヒラタムシ上科 Cucujoidea
ゴミムシダマシ上科 Tenebrionoidea
  • ゴミムシダマシ科 Tenebrionidae - ゴミムシダマシキマワリなど
  • コブゴミムシダマシ科英語版 - ディアボリカル・アイアンクラッド・ビートル英語版
  • ハムシダマシ科 Lagriidae - アオハムシダマシなど
  • クビナガムシ科 Cephaloidae
  • ツチハンミョウ科 Meloidae - ツチハンミョウマメハンミョウ、ミドリゲンセイ、スパニッシュフライなど
  • カミキリモドキ科 Oedemeridae - モモブトカミキリモドキ
  • ヒラタナガクチキ科 Synchroidae
  • ホソキカワムシ科 Mycteridae
  • ツヤキカワムシ科 Boridae
  • チビキカワムシ科 Salpingidae
  • アカハネムシ科 Pyrochroidae
  • アリモドキ科 Anthicidae
  • ニセクビホソムシ科 Euglenidae
  • ハナノミダマシ科 Scraptiidae - クロフナガタハナノミ
ハムシ上科 Chrysomeloidea
ゾウムシ上科 Curculionoidea
マルハナノミ上科 Scirtoidea
  • マルハナノミ科 Helodidae
  • マルハナノミダマシ科 Eucinetidae
  • タマキノコムシモドキ科 Clambidae
ナガハナノミダマシ上科 Artematopodoidea
  • ナガハナムシダマシ科 Artematopodoidae
ナガフナガタムシ上科 Dascilloidea

他にも多くの科が認められている。

参考文献

関連項目

外部リンク


鞘翅目

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 06:30 UTC 版)

鼓膜器官」の記事における「鞘翅目」の解説

ハンミョウ科 Cicindelidae およびコガネムシ科 Scarabaeidae においてのみ、鼓膜器官知られる両分類群鼓膜器官位置大きく異なり、したがってそれぞれ独立して進化したのである可能性が高い。 ハンミョウ科においてはハンミョウ属 Cicindela では鼓膜器官一般的であるものの、科レベルでは一般的ではないことが分かっている。ハンミョウ鼓膜第一腹節背板位置し地面にいるときには前翅および後翅によって被覆される場所にある。飛行中超音波感知した時、翅の動きによって超音波領域クリック音生成する行動観察されており、コウモリによる捕食から身を守るために鼓膜器官による聴覚機能させていると考えられるが、よくわかっていないことが多い。 コガネムシ科においてはカブトムシ亜科 Dynastinae2つの族、Cyclocephalini族および Pentodontini族においてのみ鼓膜器官存在知られている。これらの族における鼓膜器官は前胸(英語: Prothorax)の内側頭部付け根と胸前端接合部近くいわゆる「首」にあたる部分背側位置する超音波に対して感受性を示すため、本族の鼓膜器官による聴覚また、コウモリから身を守るために機能している可能性がある。Euetheola humilis の実験では、歩行時や飛行時には首をのばすことで鼓膜を体の表面露出させ、超音波感知すると首をひっこめる行動観察され、この行動によって聴覚感度調整している可能性示唆されている。

※この「鞘翅目」の解説は、「鼓膜器官」の解説の一部です。
「鞘翅目」を含む「鼓膜器官」の記事については、「鼓膜器官」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「鞘翅目」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

鞘翅目

出典:『Wiktionary』 (2021/08/04 12:33 UTC 版)

名詞

  鞘翅+ しょうしもく)

  1. 分類学》 コウチュウ目の、かつて標準和名(wp)現在異称学名ラテン語)"ordo (la) Coleoptera (la)" の漢訳(wp)

類義語

翻訳


「鞘翅目」の例文・使い方・用例・文例

  • 鞘翅目
Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', ''];function getDictCodeItems(index) {return dictCodeList[index];}

すべての辞書の索引

「鞘翅目」の関連用語

1
100% |||||


3
100% |||||

4
100% |||||







鞘翅目のお隣キーワード
検索ランキング
';function getSideRankTable() {return sideRankTable;}

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



鞘翅目のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの甲虫類 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの鼓膜器官 (改訂履歴)、円山川 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) and/or GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblioに掲載されている「Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ)」の記事は、Wiktionaryの鞘翅目 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA)もしくはGNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS