鉱山・電力開発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/22 18:37 UTC 版)
20世紀前半を通し、世界有数の鉄鉱石鉱床がラブラドール地方西部のケベックとの境界付近で発見された。モント・ライト(Mont Wright)、シェファーヴィル(Schefferville)、ラブラドール・シティ(Labrador City)、ワーブッシュ(Wabush)などの鉱床付近では、戦後鉱業開発と居住地建設が加速度的に進められた。現在のラブラドール・ウェストの自治体は、ほぼすべて鉄鉱石採掘の結果できたものといえる。カナダ鉄鉱石会社(The Iron Ore Company of Canada)は、500マイル南に離れたケベック州の港セットアイル(Sept Iles)へ鉱石を運ぶために「ケベック北岸・ラブラドール鉄道」(Quebec, North Shore, and Labrador Railway)を運営し、鉄鉱石はこの港からアメリカ合衆国はじめ世界へ輸出されている。 1960年代を通しての工事で、大西洋へ流れるチャーチル川(Churchill River、旧ハミルトン川を戦後改名したもの)はチャーチル滝の付近で流れを変えられ、スモールウッド貯水池と呼ばれる巨大な人工湖を形成した。これは戦後まもなく立案された、ラブラドール高原に水力発電用ダムを建設する計画が実現したもので、湖の水はチャーチル・フォールズ発電所に送られ、長大な送電線を通してケベック州などに電力を供給している。この発電所は水力発電所としては北米大陸でも第二位の発電規模を誇っている。 1970年代から2000年代にかけ、ケベック州のモント・ライトから発してラブラドール地方内陸部の集落を結ぶトランス・ラブラドール・ハイウェイの建設が始まった。モント・ライトから先はケベック州の、ひいては北米大陸の高速道路網へとつながっている。2000年代前半に開通したハイウェイの南部延伸は、ベルアイル海峡沿岸やラブラドール地方南部沿岸の陸の孤島状態の集落を結んだことで、それまでのフェリー網に大きな変化をもたらした。ただし、これらの道は名前こそ「ハイウェイ」で地元に対する重要性も高いが、実際には未舗装区間が相当ある荒れた道路である。このハイウェイに続き、ベルアイル海峡に海底トンネルを掘り鉄道を通し、車・トラック・バスを積んだ列車フェリーでニューファンドランド島へつなぐ交通網も研究されている。ただし経済的な効果が疑問視されている。
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