蠱毒とは? わかりやすく解説

こ‐どく【×蠱毒】

読み方:こどく

気づかれないように毒を盛って人を害すること。また、その毒。

「人の命を取ること鴆毒(ちんどく)、—より速かにて」〈浄・関八州繋馬


蠱毒

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/28 17:11 UTC 版)

蠱毒(こどく)は、古代中国において用いられた呪術を言う。動物を使うもので、中国華南の少数民族の間で受け継がれている[1]蠱道(こどう)、蠱術(こじゅつ)、巫蠱(ふこ)などともいう。

概要

を使用した呪術である犬神を使用した呪術である猫鬼などと並ぶ、動物を使った呪術の一種である。代表的な術式として『医学綱目』巻25の記載では「ヘビムカデゲジカエルなどの百虫を同じ容器で飼育し、互いに喰らわせ、勝ち残ったものが神霊となるためこれを祀る。このを採取して飲食物に混ぜ、人に害を加えたり、思い通りに福を得たり、富貴を図ったりする。人がこの毒に当たると、症状はさまざまであるが「一定期間のうちにその人は大抵死ぬ」と記載されている。

歴史

古代中国において、広く用いられていたとされる。どのくらい昔から用いられていたかは定かではないが、白川静など、古代における呪術の重要性を主張する漢字学者は、時代の甲骨文字から蠱毒の痕跡を読み取っている[注釈 1]「畜蠱」(蠱の作り方)についての最も早い記録は、『隋書』地理志にある「五月五日に百種の虫を集め、大きなものは蛇、小さなものは虱と、併せて器の中に置き、互いに喰らわせ、最後の一種に残ったものを留める。蛇であれば蛇蠱、虱であれば虱蠱である。これを行って人を殺す」といったものである。

中国の法令では、蠱毒を作って人を殺した場合あるいは殺そうとした場合、これらを教唆した場合には死刑にあたる旨の規定があり、『唐律疏議』巻18では絞首刑、『大明律』巻19、『大清律例』巻30では斬首刑となっている。

日本では、厭魅(えんみ)[注釈 2]と並んで「蠱毒厭魅」として恐れられ、養老律令の中の「賊盗律」に記載があるように、厳しく禁止されていた。実際に処罰された例としては、769年県犬養姉女らが不破内親王の命で蠱毒を行った罪によって流罪となったこと(神護景雲2年条)、772年井上内親王が蠱毒の罪によって廃されたこと(宝亀3年条)などが『続日本紀』に記されている。平安時代以降も、たびたびを出して禁止されている。

蠱毒の種類

瑪蝗蠱(ばこうこ) 泥鰍蠱(でいしゅうこ) 蝦蟇蠱(がまこ) 蛇蠱(だこ) 石蠱(せきこ) 癲蠱(てんこ) 三屍蠱(さんしこ) 蜈蚣蠱(ごしょうこ) 金蚕蠱(きんさんこ)[2]

脚注

注釈

  1. ^ 白川静『字統』によると、例えば「夢」とは人の睡眠中に蠱毒が夢魔となって心を乱すものだと古代中国では考えられていたとし、「夢」という漢字は蠱毒を行う巫者を象ったものであると言う。
  2. ^ 呪いのわら人形など。

出典

  1. ^ 黄潔「「鬼がついてること」西南中国トン族における憑きもの信仰」『日本文化人類学会研究大会発表要旨集』、日本文化人類学会、2017年https://doi.org/10.14890/jasca.2017.0_B10 
  2. ^ 『中国最凶の呪い 蠱毒』彩図社、2017年7月25日。 

関連項目




品詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

','','','','','','','','','','','','','','','','','',''];function getDictCodeItems(a){return dictCodeList[a]};

すべての辞書の索引

「蠱毒」の関連用語

1
蠱毒し 活用形辞書
100% |||||

2
蠱毒しろ 活用形辞書
100% |||||

3
蠱毒せよ 活用形辞書
100% |||||

4
蠱毒さす 活用形辞書
100% |||||

5
蠱毒させる 活用形辞書
100% |||||

6
蠱毒しうる 活用形辞書
100% |||||

7
蠱毒しそう 活用形辞書
100% |||||

8
蠱毒しそうだ 活用形辞書
100% |||||

9
蠱毒した 活用形辞書
100% |||||

10
蠱毒したい 活用形辞書
100% |||||

蠱毒のお隣キーワード
検索ランキング
';function getSideRankTable(){return sideRankTable};

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



蠱毒のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの蠱毒 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS