共用プール
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「福島第一原子力発電所における放射性廃棄物の処理と管理」の記事における「共用プール」の解説
1993年4月13日、東京電力は福島県知事の佐藤栄佐久のもとに共用プールの事前了解を求めてきた。この際、佐藤は保管燃料の搬出時期について確認を取るため、通産省に照会した。県庁に来庁した通産省の担当課長は2010年と明言した。しかし、1994年に策定された政府の原子力長期計画には「2010年ころに、再処理に関する方針を決定する」と趣旨が変えられていた。通産省に再度趣旨を糾したところ、説明した担当課長は異動していた。佐藤栄佐久はこの件で、ローテーション人事に乗っかった官僚の無責任さを痛感し、原子力政策に対する不信の原点になった旨を回顧している。 共用プールは1993年計画、1997年10月1日に完成し、総工費は約450億円であった。ただし、核燃料サイクルへの疑問から福島県が神経をとがらせ始めていた保管燃料の六ヶ所村再処理施設への搬出は六ヶ所での反対運動の影響で遅れをみせており、保管された燃料の先行きは佐藤栄佐久が1994年に懸念した以上に不透明な中での運用開始であった。 本発電所は日本でも初期に建設されたため、各号機建屋の使用済燃料貯蔵プールの容量が約250%(燃料集合体8310体)しかなく、後発のプラントの半分の容量であった。これを補うためには別に貯蔵場所を確保する必要があった。共用プールは技術的・法規的には既存の燃料プールの延長にあるもので、各号機の貯蔵プールと同様にステンレス鋼を内張りしたコンクリート製である。臨界を防止するため使用済み燃料は貯蔵ラックに収納される。燃料本数は1~6号機全燃料装荷量の200%に相当する容量であるが、1~6号機から1年に発生する使用済み燃料は700体のため、約10年分の貯蔵量である。集合体ごとに分割された使用済み燃料とは言え崩壊熱は発生しているため、プール水冷却浄化系が設けられている。冷却のために、大気を媒体としたファン式の空気式冷却塔を設置している。これはファンにより冷却媒体の空気を伝熱管束に導く熱交換器の一種だが、『原子力eye』1998年4月号での報告記事によれば、設置場所、共用プールの冷却法に制限があったため設置場所を選ばない冷却方式を求めた結果であるという。 主要寸法:横約12m、縦約29m 燃料集合体長さ:約4.5m プール水冷却浄化系:2系統 燃料取扱装置:1基 キャスク搬送台:1基 天井クレーン:2基 貯蔵容量:6840体
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