ネパールの仏教とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > ネパールの仏教の意味・解説 

ネパールの仏教

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/11 12:52 UTC 版)

本項では、ネパールの仏教(ネパールのぶっきょう)について、歴史的な「ネパール」地域(カトマンズ渓谷)と現代のネパールの両方に対象として解説する。

現代のネパールにおける仏教の諸宗派には主に、カトマンズ渓谷の都市部を中心に伝統的に信仰されるネワール仏教、近世以降に隣国チベットから大々的にもたらされたチベット仏教、今世紀に入ってから増大を見せる上座部が挙げられる[1][2]

歴史

そもそも仏教の開祖である釈迦の故郷であるルンビニは、今日のネパール領南部にあった[3]。仏教興隆に貢献したマウリヤ朝アショーカ王は、この地に仏陀生誕の地を示す石柱を建立し、近代に至りそれが決め手となってルンビニが再発見されることになる。

インドでグプタ朝が隆盛していた紀元後5世紀以降、ネパールに成立したリッチャヴィ朝によって、この地に仏教とヒンドゥー教が同時にもたらされることになった[4][5]7世紀に入り、王朝の支配者アンシュ・ヴァルマーは、娘ブリクティーを吐蕃チベット)の王ソンツェン・ガンポに嫁がせ、から嫁いだ文成公主と共に、吐蕃(チベット)に仏教文化をもたらし、ラサトゥルナン寺ジョカン大昭寺)建立のきっかけを作るなど、後のチベット仏教の嚆矢となった。

チベット仏教と同じくインド後期密教が受容されていく一方、ヒンドゥー教、カーストにも強い影響を受けた社会環境の中で、ネパールの仏教は、グバジュ(Gubhaju)と呼ばれる世襲の仏教特権階級を生み出しつつ存続してきた。

11世紀前半には、アティーシャがチベットへ赴く途上、ネパールに滞在した。同地に密教をもたらしたのが彼であったかどうかは諸説あるものの、ネパールでは、この時代前後に密教が伝播していったようである[6]

インド仏教がイスラム勢力の侵攻によって滅亡した13世紀以降、このネパール仏教がサンスクリット経典を継承する唯一の存在となった。1820年にネパール入りした英国の外交官B. H. ホジソンによってそれが発見され、1881年にRājendralāla Mitraの『The Sanskrit Buddhist Literature of Nepal』で紹介されて以降、欧米や日本の研究者によって、サンスクリット経典蒐集拠点としてネパールは注目されることになった[7]

日本のその分野の草分けである河口慧海のネパール・サンスクリット経典との関わりは、その著書『チベット旅行記』『第二回チベット旅行記』で詳述されている。

脚注・出典

  1. ^ 辻井 2018, pp. 84–85.
  2. ^ 日本ネパール協会 2020, pp. 82–86.
  3. ^ 仏陀生誕の地ルンビニとは - 世界遺産詳解/コトバンク
  4. ^ 石井 2019, p. 332.
  5. ^ 立川 2014, p. 154.
  6. ^ 石井 2019, p. 344.
  7. ^ 日本ネパール協会 2020, pp. 364–367.

参考文献

関連項目




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

','','','','','','','','','','','','','','','','','',''];function getDictCodeItems(a){return dictCodeList[a]};

すべての辞書の索引

「ネパールの仏教」の関連用語






6
8% |||||





ネパールの仏教のお隣キーワード
検索ランキング
';function getSideRankTable(){return sideRankTable};

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ネパールの仏教のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのネパールの仏教 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS