クロム‐こう〔‐カウ〕【クロム鋼】
クロム鋼
肉厚の厚い(質量の大きい)部品に対して心部まで焼き入れができるように、すなわち焼入れ性を向上させるためにクロムを添加した鋼である。大別して炭素量が約0.2%以下の浸炭焼入れに使用される肌焼き鋼と、炭素量が約0.3%以上の焼入れ焼もどしを施して使用する強靭鋼がある。クロム鋼はその一種で、マンガンとともにクロムが約1%添加されており、比較的安価なため広く使用されている。浸炭焼入れを施して使用される部品としては、小型のトランスミッションギヤなどがあり、焼入れ焼もどしを施して使用される部品としては、ボルトやピットマンアームなどがあげられる。
参照 浸炭焼入れクロム鋼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/25 05:58 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動クロム鋼(クロムこう、chromium steel)とは、炭素鋼に1%前後のクロムを添加した組成を持つ合金鋼のことである[1]。耐食性を向上させるためにクロムを10%以上含ませたものはステンレス鋼と呼ばれる。
合金鋼としては低廉でありながら、炭素鋼と比べ焼入れ性・焼き戻し軟化抵抗性・耐摩耗性に優れている[2]。焼入れ性は、直径約60 mm程度まで焼入れできる[3]。小物強度部材などで炭素鋼では不十分な場合に用いられている[2]。
規格
JISでは、機械構造用合金鋼鋼材として材質記号SCrとそれに続く番号で規定されている。炭素・クロム以外にも、ケイ素やマンガンの添加量が定められている。
種類の記号 | 炭素 | ケイ素 | マンガン | リン | 硫黄 | ニッケル | クロム |
---|---|---|---|---|---|---|---|
SCr415 | 0.13 - 0.18 | 0.15 - 0.35 | 0.60 - 0.90 | 0.030以下 | 0.030以下 | 0.25以下 | 0.90 - 1.20 |
SCr420 | 0.18 - 0.23 | 0.15 - 0.35 | 0.60 - 0.90 | 0.030以下 | 0.030以下 | 0.25以下 | 0.90 - 1.20 |
SCr430 | 0.28 - 0.33 | 0.15 - 0.35 | 0.60 - 0.90 | 0.030以下 | 0.030以下 | 0.25以下 | 0.90 - 1.20 |
SCr435 | 0.33 - 0.38 | 0.15 - 0.35 | 0.60 - 0.90 | 0.030以下 | 0.030以下 | 0.25以下 | 0.90 - 1.20 |
SCr440 | 0.38 - 0.43 | 0.15 - 0.35 | 0.60 - 0.90 | 0.030以下 | 0.030以下 | 0.25以下 | 0.90 - 1.20 |
SCr445 | 0.43 - 0.48 | 0.15 - 0.35 | 0.60 - 0.90 | 0.030以下 | 0.030以下 | 0.25以下 | 0.90 - 1.20 |
出典
- ^ 門間改三『大学基礎 機械材料』実教出版、1982年、85頁。
- ^ a b 坂本卓『絵とき 機械材料 基礎のきそ』日刊工業新聞社、2007年、初版、67-68頁。ISBN 978-4526058479。
- ^ 佐々木雅人『機械材料入門』理工学社、2005年、第1版、62頁。
関連項目
「クロム鋼」の例文・使い方・用例・文例
クロム鋼と同じ種類の言葉
- クロム鋼のページへのリンク