東京ビッグサイトで開催された「テロ対策特殊装備展'16」では、様々な方式でのドローン検知システムが展示されていた。今回は、その中から日本通信エレクトロニックと独・ローデ・シュワルツ社の2社がそれぞれのブースで、展示していたシステムを紹介していこう。■ドローンからロケット弾まで検知! 日本通信エレクトロニックが出展していた「Sバンドパルスドップラーレーダー RPSシリーズ」は、イスラエルのRADA Electronic Industriesによる製品で、ドローンはもとよりあらゆる飛翔体やミサイルなどを検知する対空監視レーダーシステムとなっている。 1つのユニットで90度仰角に対応するため、全方位をカバーする場合は4個必要となる。レーダーの大きさにより検出できる距離は異なり、価格は数千万円クラスで正確な数字は非公表となっている。 全天候型で遠方の飛翔体を検知できることを最大の特徴としていて、展示されていた「RPS-42」では、極小サイズのドローンで約3.5Km、ダイレクトアタックロケット/ミサイルで約6.5Km、ショートレンジロケットで約5Kmの範囲で検出する事ができる。■ジャミングも可能なドローン検知システム 続いては、独・ローデ・シュワルツ(ROHDE&SCHWARZ)の「R&S ARDRONIS ドローン自動検出ソリューション」。 同ソリューションは、ドローンをコントロールする電波から検出、照合、識別を行い、警備側が制御やジャミングを行うことを可能とするシステムだ。 施設の屋上などにアンテナを設置することで、約1Km~3Km範囲のドローンを検出することができる。アンテナが1基でも受信レベルでおおよその位置が特定でき、使用される半導体チップ毎のドローン制御信号をデータベースと照合することで、ドローンの種別を特定して対応することが可能だ。 ソリューションとしての提供となり価格は非公開。ジャミングなどを国内運用するには、電波法などの法的な問題をクリアにする必要があるため、官公庁などでの利用を想定したものとなっている。■お国柄を反映したドローン検知システム 今回は、イスラエルとドイツのメーカーが手がけたドローン検知システムを紹介したが、それぞれの国が抱える問題を反映した機能を有しているのが興味深い。 パレスチナとの間で緊張状態が続くイスラエルでは、ドローンに加えてミサイルやロケット弾に対応し、自動車産業が盛んなドイツでは、自動車メーカーのテストコースをドローンで盗撮するといった産業スパイ行為に対抗するといった目的があるという。 ちなみに日本では、パナソニックが飛翔音とネットワークカメラを使ったドローン検知システムを発表しており、異なるテクノロジーを組み合わせたシステムだというのは、ある意味で日本らしい。 2019年のラグビーワールドカップ、2020年のオリンピック・パラリンピックなど国際的なイベントによる訪日外国人の増加に向けて、国内でもドローン犯罪を阻止する体制の確立をすべく官民一体となった取り組みがを求められているといえるだろう。>>Amazonギフト券10,000円分が当たる!「ホームセキュリティアワード」投票受付中<<