水を飲むことはホントに健康にいいの? 18件の研究論文を分析
人の体は、体重の約60%が水分で構成されています。体重が70キロの成人であれば、体内の水分量は42リットルです。体の水分は、血液や細胞構造の維持だけでなく、栄養素や老廃物の運搬、体温調節、関節の動きを滑らかにする潤滑作用など、さまざまな役割を担っています。そのため、こまめな水分補給は、体の機能を正常に保つうえで重要です。しかし、水分の積極的な摂取が健康状態にどのような影響をもたらすのかについて、質の高い研究データは限られていました。そのような中、水分の摂取と健康状態の関連性を検討した研究論文が、米国医師会のオープンアクセス誌に2024年11月4日付で掲載されました。
この研究では、23年4月6日までに報告された水分摂取に関する医学論文を網羅的に収集し、個々の論文で報告されている研究データを体系的に分析しています。最終的に18件の研究データが分析対象となりました。このうち、肥満者を対象に体重変化を調査した研究データによれば、食前に500ミリリットルの水を摂取することで、統計学的にも有意な体重減少を認めました。
また、1日に1.5リットルの水分を摂取することで、片頭痛による生活の質の悪化を抑える可能性を報告した研究データもありました。さらに、水分の摂取は女性における膀胱炎の再発リスクを低下させたり、腎結石(腎臓にカルシウムの結晶ができてしまう病気)の発症リスクを低下させたりする可能性も報告されていました。
論文著者らは、最適な水分摂取量に関する知見は確立されていないとしつつも、「いくつかの研究データは、水分摂取が体重減少や腎結石の予防に効果的である可能性を報告している」と結論しています。