HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

第56回クリスマス音楽会ヘンデル「メサイア」全曲演奏会

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【主催者言】

キリストの生誕、受難、復活までを壮大なスケールでドラマティックに描いたヘンデルの傑作オラトリオ「メサイア」は、世界でもっとも愛されるクラシック音楽とも言われます。大塚直哉による指揮、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、古楽界を担うソリストと県民合唱が歌いあげる、希望に満ちた「メサイア」にご期待ください

【日時】2023.12.10.14:30〜

【会場】神奈川県立音楽堂

【曲目】ヘンデル『メサイヤ』

【管弦楽】神奈フィル

【指揮】大塚直哉

【チェンバロ】廣澤麻美  

【オルガン】徳田佑子

【合唱】

神奈川県合唱連盟/音楽堂「メサイア」未来プロジェクト合唱団

【合唱指揮】岩本達明

【ソリスト】

ソプラノ:藤崎美苗 

Minae Fujisaki, Soprano
<Profile>
 岩手大学教育学部、東京藝術大学声楽科卒業。
同大学院修士課程独唱専攻科修了、同大学院古楽科に学ぶ。第10回友愛ドイツ歌曲コンクール第2位入賞。宗教曲、ドイツリートを中心に活躍している。これまでに、J.S.バッハの4大宗教曲のソロ、ヘンデル《メサイア》、モーツァルト《レクイエム》、フォーレ《レクイエム》をはじめ、多くの宗教曲でソリストを務める。2005年、東京で《結婚カンタータ》をジョシュア・リフキンと共演。また鈴木雅明氏指揮バッハ・コレギウム・ジャパンのメンバーとして公演や録音に参加しドイツ公演《ロ短調ミサ》及び《マニフィカト》、日本では《マタイ受難曲》公演等でソリストを務める。

カウンターテナー:青木洋也

<Profile> 

 東京藝術大学大学院で古楽演奏、エリザベト音楽大学大学院で宗教音楽学を学び、在学中より定期的に渡欧して研鑽を積む。宗教音楽を専門とし、J. S.バッハの《マタイ》《ヨハネ》の両受難曲や、多数のカンタータの独唱をつとめる。バッハ・コレギウム・ジャパンの主要メンバーとして国内外の公演・録音に参加し、2011年ブレーメン音楽祭、2012年ライプツィヒ・バッハ音楽祭および2015年ラ・フォルジュルネ・オ・ジャポンでの《マタイ受難曲》独唱で喝采を浴びた。朝日新聞for your Collectionではソフトで華のある歌唱が往年の名歌手アルフレッド・デラーに例えられる等、好評を得ている。

近年は、合唱指揮者としても活躍して2009年にはライプツィヒ・トマス教会においてBachchor Leipzigによるバッハのモテット演奏会の指揮者をつとめた。 2013年2月ニューヨーク・カーネギーホールにてヴェルディ《レクイエム》、2015年1月にジュネーブ・ヴィクトリアホールにてヘンデル《メサイア》、3月にライプツィヒ・聖ニコライ教会にてバッハ《ヨハネ受難曲》2017年6月にはプラハ・ドヴォルザークホールにてバッハ《ミサ曲ロ短調》を指揮し大成功へと導いた。G.A.ホミリウス『ヨハネ受難曲』(ソロ・指揮)の日本初演のライブCD(オーパス蔵)を発売し、レコード芸術誌において特選盤に選ばれている。

「PURCELL PROJECT」代表。 日本キリスト教団聖ヶ丘教会教会音楽主任および聖歌隊長

○テノール:中嶋克彦

<Profile> 

 福岡教育大学芸術音楽科卒業。東京藝術大学大学院修士課程修了。同大学院博士課程修了、博士号取得。2012年より文化庁在外派遣研修員としてドイツに留学。マインツ音楽大学のバロック声楽コースにてClaudia Eder,Andreas Scholl.Konrad Junghänel,Martin Gester,Ton Koopmanらのもとで研鑽を積んだ。
 第13回日本モーツァルト音楽コンクール第2位入賞。これまでに鈴木寛一、吉田浩之、佐々木典子、吉田由布子、三浦國彦、橋本エリ子、Anton・Tremmelの各氏に師事。
 J.S.バッハ『マタイ受難曲』『ヨハネ受難曲』『クリスマスオラトリオ』『ロ短調ミサ』『マニフィカート』、ヘンデル『メサイア』、ハイドン『四季』『天地創造』、モーツァルト『レクイエム』『ハ短調ミサ』、ベートーヴェン『交響曲第9番』『ミサ・ソレムニス』、メンデルスゾーン『パウルス』『エリアス』『交響曲第2番(讃歌)』、ドヴォルザーク『スターバト・マーテル』、オルフ『カルミナ・ブラーナ』等のソリストとして多数出演している。第53回、54回と2年連続で朝日新聞社主催藝大『メサイア』のテノールソロを務めた。またバッハ・コレギウム・ジャパンのメンバーとして国内外におけるコンサートや録音にも出演している。近年ではドイツを中心に海外でも活躍の場を拡げている。
 オペラでは、第50回東京藝術大学大学院オペラ定期公演モーツァルト『コシ・ファン・トゥッテ』のフェルランド役でオペラデビュー。その後、パイジェッロ『美しい水車小屋の娘』(カロアンドロ)『ニーナ』(リンドーロ)、チマローザ『秘密の結婚』(パオリーノ)、モーツァルト『魔笛』(タミーノ)『ツァイーデ』(ゴーマッツ)『バスティアンとバスティアンヌ』(バスティアン)、シューベルト『サラマンカの友人たち(日本初演)』(ドン・アロンソ)、ロッシーニ『セビリャの理髪師』(アルマヴィーヴァ伯爵)『ブルスキーノ氏』フロルヴィッレ、ドニゼッティ『愛の妙薬』(ネモリーノ)、ヴェルディ『椿姫』(アルフレード)『ファルスタッフ』(フェントン)、千住明『隅田川(初演)』(商人)『万葉集(初演)』(中大兄皇子)、また新国立劇場においても、R.シュトラウス『サロメ』(第1のユダヤ人)、ツィンマーマン『軍人たち(日本初演)』(3人の若い仕官1)、ビゼー『カルメン』(レメンダード)、新国立劇場オペラ研修所公演プーランク『カルメル会修道女の対話』(司祭)などに出演している。

バリトン:萩原潤

<Profile>

東京藝術大学声楽科卒業、同大学院オペラ研究科修了。1999年秋より文化庁在外派遣研修員としてベルリンへ留学。ベルリン・ハンス・アイスラー音楽大学大学院に入学し、最優秀の成績で同大学院を修了。2000 年夏、ラインスベルク音楽祭『セヴィリアの理髪師』フィガロ役に合格し、その後もドイツのみならずヨーロッパ各地で演奏活動行っている。国内においては、二期会公演『フィガロの結婚』(伯爵)、『こうもり』(アイゼンシュタイン)、新国立歌劇場公演『トゥーランドット』(ピン)、『魔笛』(パパゲーノ)などに出演。2003 年五島記念文化財団オペラ新人賞受賞。バッハ・コレギウム・ジャパンのメンバーとして数々のコンサートや録音に参加、また『メサイヤ』、『マタイ受難曲』、『ヨハネ受難曲』、『カルミナ・ブラーナ』、『ドイツレクイエム』などのソリストも務める。二期会会員。日本声楽アカデミー会員。東京藝術大学非常勤講師。

 

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左から中嶋(Ten.)、大塚(指揮)、藤崎(Sop.)、萩原(Bar.)、青木(C-Ten.) の各氏

 

【曲概要】

 題は「メシア」(救世主)の英語読みに由来。聖書から歌詞を取り(ただし、文脈に合わせて人称代名詞を変更している)、イエス・キリストの生涯を題材とした独唱曲・重唱曲・合唱曲で構成されている。ただし、聖書でイエスの生涯を直接描いている福音書から採用されているテキストは少なく、むしろイザヤ書などの預言書に描かれている救世主についての預言を通して、間接的に救世主たるイエスを浮き彫りにする手法が採られている。

 歌詞は欽定訳聖書と『英国国教会祈祷書』(The Book of Common Prayer, 1662)の詩編から採られており、全て英語である。管弦楽の伴奏で合唱・独唱が繰り返される形式を主とし、管弦楽のみのシンフォニアや、通奏低音のみの伴奏によるレチタティーヴォも含む。

 現在ではヘンデルのオラトリオの代表作とされるが、『メサイア』はヘンデルの他の作品とはかなり異なっている。この作品はヘンデルの唯一の宗教的オラトリオであり[1]、また(旧約聖書の題材では無いという意味での)キリスト教に関するオラトリオとしてはこの作品のほかに初期キリスト教殉教者を主題にした1750年の『テオドーラ』があるだけである[2]。音楽の上では(『エジプトのイスラエル人』を例外として)もっとも合唱の割合が高い[3]。

 チャールズ・ジェネンズが受難週の演奏会のために台本を書いた。その後、アイルランドで慈善事業としてのオラトリオ演奏会の計画が立てられ、ヘンデルが招聘された。ヘンデルはこの演奏会のためにジェネンズの台本によるオラトリオを作曲した[4]。速筆のヘンデルはこの大曲の楽譜を1741年8月22日から9月14日までのわずか24日間で書き上げている。さらに翌月には、ヘンデル最大のオラトリオとなる『サムソン』を書いている。

 ヘンデルは1741年11月にアイルランドに長期旅行し、ロンドンに帰ったのは翌年の9月であった。『メサイア』はダブリンで1742年4月13日に初演され、ダブリンの聴衆は熱狂をもって迎えた。その後、ヘンデルの生前何度にも亘って改訂・再演され、現在用いられる楽譜にもいくつかの版がある。後世の編曲の中では、モーツァルトによる編曲(ドイツ語テキストを使用)が最もよく知られている。

 バッハのマタイ受難曲、ヨハネ受難曲と並ぶ、よく知られた宗教的作品である(ただし、『マタイ受難曲』がメンデルスゾーンによる復活上演を必要としたのに対し、『メサイア』の上演はヘンデルの生前から現在まで連続している)。バロック音楽、宗教音楽、声楽曲といったジャンルの中で常に上位に位置付けられる。合唱の効果も秀逸で、第2部最終曲の「ハレルヤ(Hallelujah)」(通称「ハレルヤコーラス」)は特に有名である。1743年、初めてロンドンで演奏された際、国王ジョージ2世が、「ハレルヤ」の途中に起立し、後に観客総立ち(スタンディングオベーション)になったという逸話がある(現在では、史実ではないと考えられている)。これは、かつて英国で全知全能の神を讃える歌が演奏される際には起立する習慣があったことによる。日本のコンサートにおいて聴衆が「ハレルヤ」で立ち上がるのは、この逸話に端を発している。また「ハレルヤ」は、日本の中学校において合唱コンクールや卒業式などで歌われることが多い。

余談だが、とくにアメリカ合衆国ではクリスマス・イブに演奏されることが多いが、『メサイア』の内容がとくにクリスマスと関係するわけではない。 


 【曲の構成】

 3部に分けられ、さらに、それぞれの部が何曲かに分けられる場合が多い。ただし、ヘンデル自身が番号を付けて分けたわけではなく、統一された番号の付け方がある訳ではない。以下に曲の分け方の一例と、その出だしの歌詞を挙げて構成とする。

第1部: メシア到来の預言と誕生、メシアの宣教
序曲(器楽)。ヘンデルは「Synfony」(シンフォニア)と記しているがフランス風序曲である。
Comfort ye...「慰めよ、わが民を慰めよ…(『イザヤ書』40:1-3)」 レチタティーヴォ・アコンパニャート(以下、単に「アコンパニャート」と呼称)(テノール独唱)
Every valley shall be exalted...「もろもろの谷は高くせられ…(『イザヤ書』40:4)」 アリア(テノール独唱)
And the glory of the Lord shall be revealed...「こうして主の栄光があらわれ…(『イザヤ書』40:5)」 合唱
Thus saith the Lord of Hosts...「まことに、万軍の主はこう言われる…(『ハガイ書』2:6-7、『マラキ書』3:1)」 アコンパニャート(バス独唱)
But who may abide the day of His coming...「だが、その来る日には、だれが耐え得よう…(『マラキ書』3:2)」 アリア(アルト独唱)
And He shall purify the sons of Levi...「彼はレビの子孫を清め…(『マラキ書』3:3)」 合唱
Behold, a virgin shall conceive...「見よ、おとめがみごもって…(『イザヤ』書7:14、『マタイ伝』1:23)」 アコンパニャート(アルト独唱)
O thou that tellest good tidings to Zion...「よきおとずれをシオンに伝える者よ…(『イザヤ書』40:9,60:1)」 アリア(アルト独唱)と合唱
For, behold, darkness shall cover the earth...「見よ、暗きは地をおおい…(『イザヤ書』60:2-3)」 アコンパニャート(バス独唱)
The people that walked in darkness...「暗やみのなかに歩んでいた民は…(『イザヤ書』9:2)」 アリア(バス独唱)
For unto us a Child is born...「ひとりのみどりごがわれわれのために生れた…(『イザヤ書』9:6)」 合唱
Pifa (Pastoral Symphony)器楽。「Pifa」という語は辞書に見えないが、イタリア語の「piva」(バグパイプ)と「piffero」(葦笛)に由来するという[11]。12⁄8拍子のシチリアーナであり、後世「Pastoral Symphony」(田園交響曲)の名で知られるようになった。
There were shepherds abiding in the field...「羊飼いたちが夜、野宿しながら…(『ルカ伝』2:8)」 アコンパニャート(ソプラノ独唱)
And lo, the angel of the Lord...「すると見よ、主の御使いがその傍らに立ち…『ルカ伝』2:9-11)」アコンパニャート(ソプラノ独唱)
And suddenly...「するとたちまち、おびただしい天の軍勢が現れた…『ルカ伝』2:13)」アコンパニャート(ソプラノ独唱)
Glory to God in the highest...「いと高きところでは、神に栄光があるように…(『ルカ伝』2:14)」 合唱
Rejoice greatly, O daughter of Zion...「シオンの娘よ、大いに喜べ…(『ゼカリア書』9:9-10)」 アリア(ソプラノ独唱)
Then shall the eyes of the blind be opened...「その時、見えない人の目は開かれ…(『イザヤ書』35:5-6)」 アコンパニャート(ソプラノ独唱またはアルト独唱)
He shall feed His flock like a shephard...「主は羊飼いのようにその群れを養い…(『イザヤ書』40:11、『マタイ伝』11:28-29)」 アリア(ソプラノ独唱またはソプラノ・アルト独唱)
His yoke is easy...「彼のくびきは負いやすく…(『マタイ伝』11:30)」 合唱
第2部: メシアの受難と復活、メシアの教えの伝播編集
Behold the Lamb of God...「見よ、世の罪を取り除く神の子羊…(『ヨハネ伝』1:29)」 合唱
He was despised...「彼は侮られて…(『イザヤ書』53:3,50:6)」 アリア(アルト独唱)
Surely He hath borne our griefs...「まことに彼はわれわれの病を負い…(『イザヤ書』53:4-5)」 合唱
And with His stripes...「彼の打たれた傷によって…(『イザヤ書』53:5)」 合唱
All we like sheep...「われわれはみな羊のように迷って…(『イザヤ書』53:6)」 合唱
All they that see Him...「すべて彼を見る者は…(『詩篇』22:7)」 アコンパニャート(テノール独唱)
He trusted in God...「彼は主にみをゆだねた…(『詩篇』22:8)」 合唱
Thy rebuke hath broken His heart...「そしりが彼の心を砕いたので…(『詩篇』69:20)」 アコンパニャート(テノール独唱またはソプラノ独唱)
Behold, and see...「尋ねて見よ…(『哀歌』1:12)」 アリア(テノール独唱またはソプラノ独唱)
He was cut off out of the land...「彼はいけるものの地から断たれ…(『イザヤ書』53:8)」 アコンパニャート(テノール独唱またはソプラノ独唱)
But thou didst not leave His soul in hell...「あなたは彼の魂を陰府(よみ)に捨ておかれず…(『詩篇』16:10)」 アリア(テノール独唱またはソプラノ独唱)
Lift up your heads...「門よ、こうべをあげよ…(『詩篇』24:7-10)」 合唱
Unto which of the angels...「いったい、神は御使いたちの…(『ヘブライ書』1:5)」 アコンパニャート(テノール独唱)
Let all the angels of God worship Him...「神の御使いたちはことごとく…(『ヘブライ書』1:6)」 合唱
Thou art gone up on high...「あなたはとりこを率い…(『詩篇』68:18)」 アリア(アルト独唱またはソプラノ独唱)
The Lord gave the word...「主は命令を下される…(『詩篇』68:11)」 合唱
How beautiful are the feet of them...「ああ麗しいかな…(『ローマ書』10:15)」 アリア(ソプラノ独唱)
Their sound is gone out into all lands...「その声は全地にひびきわたり…(『ローマ書』10:18)」合唱
Why do the nations...「なにゆえ、もろもろの国びとは…(『詩篇』2:1-2)」 アリア(バス独唱)
Let us break their bonds asunder...「われらは彼らのかせをこわし…(『詩篇』2:3)」 合唱
He that dwelleth in heaven...「天に座する者は笑い…(『詩篇』2:4)」 アコンパニャート(テノール独唱)
Thou shalt break them...「おまえは鉄のつえをもって…(『詩篇』2:9)」 アリア(テノール独唱)
Hallelujah...「ハレルヤ、全能者にして主なるわれらの神は…(『黙示録』19:6,11:15,19:16)」 合唱(※慣例として、この曲の演奏にあたっては独唱者も起立して合唱に加わる場合が多い)
第3部: メシアのもたらした救い〜永遠のいのち編集
I know that my Redeemer liveth...「わたしは知る、わたしをあがなう者は生きておられる…(『ヨブ記』19:25-26、『コリント前書』15:20)」 アリア(ソプラノ)
Since by man came death...「それは、死がひとりの人によってきたのだから…(『コリント前書』15:21-22)」 合唱
Behold, I tell you a mystery...「ここで、あなたがたに奥義を告げよう…(『コリント前書』15:51-52)」 アコンパニャート(バス独唱)
The trumpet shall sound...「ラッパが響いて…(『コリント前書』15:52-54)」 アリア(バス独唱)
Then shall be brought...「そのとき、聖書に書いてある言葉が成就する…(『コリント前書』15-54)」 アコンパニャート(アルト独唱)
O death, where is thy sting?...「死よ、お前の勝利は、どこにあるのか…(『コリント前書』15:55-57)」 デュエット(アルト・テノール二重唱)、合唱
If God be for us...「もし、神がわたしたちの味方であるなら…(『ローマ書』8:31,33-34)」 アリア(ソプラノ独唱またはアルト独唱)
Worthy is the Lamb...「ほふられた小羊こそは…(『黙示録』5:12-13)」 合唱Amen...「アーメン(『黙示録』5:14)」 合唱 (通称「アーメンコーラス」。譜面上は、独立した演奏番号は与えられず、前段の"Worthy is the Lamb..."と一体で記されている場合が多い)

 

【演奏の模様】
コロナ禍の最中は、こうした大規模な合唱曲は、演奏会が中止若しくは自粛されてました。今回何年か振りで『メサイア』を聴くことが出来ました。

 会場は横浜の「もみじ坂」という坂を上った一画にある『神奈川県立音楽堂』です。木のホールで音響が良いとの評判は昔からあります。今年は暖冬のせいか坂に沿って幾つかの木は紅葉の葉を湛えていました。落ち葉のもみじもは舗装の上に押し花の様に影を残していました。
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坂を登ると平らな開けた場所に着き、その一角に、音楽堂があります。建物の前は、駐車場になっていて、その全面には、太いブナの木が一本うえてある。樹齢何年かも何故一本なのかも分かりません。
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会場ホールは、約1000席ある中ホールと言えます。今日の演奏は地元神奈フィルと四人のソリスト達です。

管弦楽は二管編成、弦楽五部1Vn.(5) 2Vn. (2)  Va.(5)Vc.(2) Cb.【5-2-5-2-1】

登壇した合唱団は、女声40人位、男声25人程の合唱団、その他、Trmp.がバンダ用に2本。

【演奏の模様】

 観客には、「メサイア」の歌詞対訳が配布されました。第一部〜第三部の全七ページです。作曲したヘンデルはドイツ人ですが、これを作曲した時は英国に移住していたので、歌詞は英語で書かれました。ヘンデルの英国行きは、当時仕えていた独逸ハノーファー選帝侯が、英国アン女王の後継者としてイギリスの王位継承法によりイギリス国王となったためです。国王について行ったヘンデルは目先の効く人だったのでしょう。偶然でなく、先々まで見通していた節があります。英国に行ってからバリバリ活躍したことは、現在残されている多くの作品からも窺えます。

 さてこのメサイアのテキスト(歌詞)はほとんどが旧約聖書から取られています。テキストを構成したのはシェイクスピア研究家のチャールズ・ジェネンズです。彼は旧約聖書の「イザヤ書」「ハガイ書」「マラキ書」「ゼカリア書」「詩篇」「エレミアの哀歌」「ヨブ記」のテキストを引用し、人称を調整して(IをHeに変えるなど)新約聖書の内容と符合させていきます。また、新約聖書の中からも、「マタイによる福音」「ルカによる福音」「ヨハネによる福音」「ヘブライ人への手紙」「ローマ人への手紙」「コリント人への第一の手紙」「ヨハネの黙示録」を引用しています。これらを繋ぎ合わせて一つの物語を作るという手法は、ジェネンズによる「旧約聖書の正統としてのキリスト教」という思想が強く出たものと考えられます。

 当時論争となっていた「理神論」は、〈預言や奇跡といった人智を超えたものによって神が存在する〉のではなく、〈理性によって神の存在を証明できる〉とする立場です。旧約聖書は紀元前400年までには成立していたと推測される文書群で、それが紀元0年から40年ほどのイエス・キリストの誕生から死までを正確に予言していることを示し、神の言葉が超自然的(奇跡的)であることを主張したのですね。「理神論」を否定した訳です。現在でも神の超自然的力、奇蹟はキリスト教徒によって信じられている訳ですが、その後押しとなる歌詞の文面になっています。(以下第1部の歌詞を参考)
 
 尚、上記【曲の概要】では、読み難く解かり難いので、以下にPart one (第1部)の歌詞を例示しました。

 

No.1   Symphony

No.2   Accompagnato(Tenor)

Comfort ye, comfort ye my people, saith your God. Speak ye comfortably to Jerusalem, and cry unto her, that her warfare is accomplished, that her iniquity is pardoned. The voice of him that crieth in the wilderness, Prepare ye the way of the Lord; make straight in the desert a highway for our God.

No. 3 Air (Tenor) VWH

Every valley shall be exalted, and every mountain and hill made low: the crooked straight, and the rough places plain:

No. 4 Chorus

And the glory of the Lord shall be revealed, and all flesh shall see it together: for the mouth of the Lord hath spoken it.

No. 5 Accompagnato (Bass)

Thus saith the Lord of Hosts; Yet once, a little while, and I will shake the heavens, and the earth, the sea, and the dry land; And I will shake all nations, and the desire of all nations shall come:

The Lord, whom ye seek, shall suddenly come to His temple, even the messenger of the Covenant, whom ye delight in: behold, He shall come, saith the Lord of hosts.

No. 6 Air (Alto)

But who may abide the day or His coming, and who shall stand when He appeareth? For He is like a refiner's fire.

No. 7 Chorus

And He shall purify the sons or Levi, that they may offer unto the Lord an offering in righteousness.

Recitative (Alto)

Behold, a virgin shall conceive, and bear a son, and shall call his name Emmanuel,"God-with-us"

 

No.1    シンフォニー

No.2    レチタティーヴォ (テノール)

「慰めよ、わたしの民を慰めよ」と、あなたたちの神 は言われる。エルサレムに語りかけ、そして呼びかけ よ。「苦役の時は今や満ち、その答は償われた。」と。 呼びかける声がある。「主のために、荒れ野に道を備え、 わたしたちの神のために、荒れ地に広い道を通せ。」

No.3 アリア (テノール)

「すべての谷は身を起こし、すべての山と丘は身を低 くせよ。険しい道は平らに、狭い道は広い谷となれ。」

No. 4 合唱

主の栄光がこうして現れるのを、肉なる者は共に見る。 主の口がそう宣言されたのである。

No.5 レチタティーヴォ (バス)

万軍の主はこう言われる、「わたしは、間もなくもうー 度、天と地を、海と陸地を揺り動かす。

諸国の民をことごとく揺り動かし、諸国のすべての民 に財宝をもたらす」と。

あなたたちが待望している主は、突如、その聖所に来 られる。あなたたちが喜びとしている契約の使者、「見 よ、彼が来る」と万軍の主は言われる。

No. 6 アリア (アルト)

だが、彼の来る日に誰が身を支えうるか。彼の現れる とき、誰が耐えうるか。彼は精錬する者の火のようだ。

No.7 合唱

彼はレビの子らを清める。彼らが主に献げ物を正しく ささげる者となるためである。

レチタティーヴォ (アルト)

見よ、おとめが身ごもって、男の子を産み、その名を インマヌエルと呼ぶ。この名は、「神は我々と共におら れる」という意味である。

 
 (続く)