えー?何ですって?もう雪ですって?ついこの間まで猛暑の夏ではなかったですか?今日なぞポカポカ陽気の小春日和じゃないですか。暦の上では、もう雪にまつわる日なのですね。歴書によれば、❝小雪は旧暦十月亥の月の中気で、新暦十一月二十二日頃にあたります。まだ市街には本格的な降雪はないものの、遠い山峰の頂には白銀の雪が眺められ、冬の到来を目前に感じさせられます。❞とあります。確かに日中は暖かな日差しがあっても気温はそれ程上がらず、日が沈むと急速に冷え込んで来て、夜間はとても寒さが強まっています。拙宅のベランダから見える富士山は、今朝は真っ白に雪化粧をしていました。今月八日の立冬の日は季節外れの小春(夏)日よりで、十月中旬に降った雪で富士山が初冠雪した姿が一変、全く雪姿が無くなってしまっていました。あの立冬(11/8)の日から二週間程、知らない内に又白銀の富士山に戻っていました。
古来白銀の山々は多くの人々に様々な気持ちを起こさせて、詩(うた)にもよまれてきました。以下の七言絶句は中唐の詩人、李益がよんだもので、真っ白に輝く白銀の天山山脈のふもとを辺境の敵を撃つために派遣された多くの兵士のことを詠んだものです。
天山雪後海風寒
横笛偏吹行路難
磧裏征人三十万
一時囘首月中看
天山(てんざん) 雪後(せつご) 海風(かいふう)寒し
横笛(おうてき) 偏(ひと)えに吹く行路難(こうろなん)
磧裏(せきり)の征人(せいじん) 三十万
一時に首(こうべ)を回(めぐ)らして月中に看(み)る
兵士たちは一様に進んで来た道の方を振り返って見て、故郷の中原(唐の都のあった地域)を思い出しているのです。
これは今から1200年も前の詩ですが、現在でも世界の何処かでは、同じ思いで故郷を顧みる兵士たちがいるであろうことを考えると胸が痛みますね。