岸田文雄首相は今国会中の衆院解散を見送る方向で最終調整に入った。首相は23日に会期末を迎える今国会中に解散に踏み切って総選挙で勝利し、9月の自民党総裁選で再選するシナリオを描いてきたが、党派閥による裏金事件やその後の対応で内閣支持率は低迷し、解散総選挙を行えば自民が劣勢に立たされる公算が大きいと判断。事実上、解散断念に追い込まれた格好だ。今国会の会期は延長せず、政権の立て直しに専念する。
3日、複数の政権幹部が明らかにした。首相が今国会中の成立を掲げた政治資金規正法改正案は、自民、公明両党の賛成多数で週内に衆院を通過し、今国会での成立が確実となる。首相は法案成立のめどが立つことで裏金事件に一定の区切りがつくと判断し、今後は政権浮揚を図る。今月開始の定額減税の着実な実施や「デフレ脱却」に向けた経済政策、主要7カ国(G7)首脳会議などの外交政策、保守層の支持する憲法改正の論議などに力を入れる。
首相はもともと4月の訪米成…