「一人負け」日産、ホンダと統合協議へ 消えないゴーン時代の呪縛

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西山明宏 松岡大将

日産自動車ホンダ経営統合に向けた協議入りの調整を進めていることが明らかになりました。長らくライバル関係にあった両社が、いま、なぜ、手を組もうとするのか。日産を取材すると、苦境にあえぐ姿がみえてきました。

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 横浜港を見下ろす日産自動車グローバル本社。10月下旬、この22階建てビルの一室に、社長の内田誠をはじめとした取締役らが顔を並べた。

 「社長の経営責任をはっきりさせるべきだ」「再建計画の中身が不十分ではないか」――。

 複数の関係者によると、内田は翌月に発表する2024年9月中間決算が厳しい数字になると説明。再建計画にも言及した。社外取締役からは内田の責任を問う厳しい声が出た。

 議事録を残す正式な取締役会ではなく、「意見交換」の場だった、という。

「辞任拒否」のメッセージ

 11月7日に発表した中間決算は、黒字こそ維持したが、前年比9割超の減益。従業員9千人と2割の生産能力の削減というリストラ計画もあわせて公表した。

 内田は厳しい表情で言った。「世界13万人以上の従業員とその家族の生活を預かる身として、責任を痛感する」

 そしてこう続けた。「再び日産を成長軌道に戻す。その道筋をつけることが私の社長としての最大の役割であり、果たすべき役目をやり遂げる覚悟だ」。日産関係者は「辞任拒否」のメッセージだと受け止めた。

 約20年にわたり君臨したカルロス・ゴーンの失脚と、その直後の経営危機。再建へのかじ取りを託された内田は、いったんはその役目を果たしたかのようにみえた。

 しかし、21年度以降は上向いていた業績は、いまや海外事業の失速により急降下。トヨタ自動車やホンダと比べても「一人負け」の様相を呈す。

 内田が社長に就いて、今月で…

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