酒席の二次会で滋賀医大の男子学生3名が、他大の女子学生1名を輪姦して動画撮影をしたことが、暴行や脅迫を加えており強制性交罪にあたると訴えられた刑事事件で、大阪高等裁判所は被告2名に無罪を言い渡した。飯島健太郎裁判長に対する非難及び解任を求める声がフェミニストからあがり、フェミニストに対して裁判官の地位を脅かし、疑わしきは被告人の利益にと言う標語に反する発想だと言う批判がされている。
裁判官の解任を求めるのは、法治主義を脅かす*1ので問題だ。判決文が公開されていない段階で、裁判官の判断を批判するのも拙速だ。しかし、逆転無罪に困惑するのは分かる。
- 男子学生1名は、高裁も有罪
- 男子学生が「これから部屋でオレたち3名であなたを輪姦して撮影して配布したいので、ぜひ来てください」と女子学生に言って、女子学生が同意する情景を思い浮かべるのは困難
- 男性3名の前で女性1名が要求を拒絶するのは、心理的に困難だと想像される
- 報道されている判決理由では「女性が被害申告した主な目的は「(行為を撮影した)動画の拡散防止にあったことは明らか」」としている*2が、強制性交罪に該当することに後に気づくこともありえるし、動画の拡散防止が目的であれば和解で解決しそうである*3
- (本件では女子学生が泥酔していたわけでは無さそうではあるが)同じ酒席後の輪姦事件の京都大学アメフト部レイプ事件(2005年)やリアルナンパアカデミー事件(2020年)を連想させる
本当に異常な判決であれば検察が控訴するので、不正義がまかり通ったと言う話にはならないと思うが、判決文はやはり気になる。国内外でデートレイプが問題になっている昨今なので、性的同意があると看做すべき状況は、男女ともに把握しておくべき必要があるからだ。
*1現在の裁判官弾劾法ではその裁判官が下した判決を理由に弾劾することは許されないが、世論にのって政治家が法改正に走って成功してしまうと、政治家が裁判官に政治的圧力をかける強い手段を持つことになる。
*2性行為動画に「暴行、脅迫認められず」 被害証言に虚偽可能性、男性2人に逆転無罪判決 - 産経ニュース
*3ただし、無罪を確信している被告が和解を申し出なかった可能性もある
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