「銀行・信金を合わせた総貸出平均残高」のグラフを見て、「アベノミクス以降、明らかに貸出が増えてる」『「銀行にブタ積み」というのは誤報』と主張するページ*1が流れてきた。リフレーション政策の推進者が書いたらしい。しかし、グラフを見ても安倍内閣発足のはるか前の2011年に底を打っているように見えるし、貸出量を見たところでブタ積(=不要な日銀当座預金)の量が分かるわけではない。グラフを描き直して再検討してみよう。
1. 貸出量が底を打つのは2011年前半
まず銀行貸出量の推移を見てみるが、最尤法で単純に構造転換点を探すと2011年6月、プロットした期間中の最低値は2010年11月となっている。大雑把に2011年前半に、貸出量が底を打ったと言っていいであろう。アベノミクスに関係ない。
2. 黒田バズーカでブタ積みは急増
グラフを見て一目瞭然だが、黒田バズーカでブタ積み(=日銀当座預金残高-法定準備預金額*2)は急増している。推定では2013年1月が構造転換点になるが、これは線型推定の誤差のためだ。増加を丁寧に見ていくと2013年4月から急増している。
3. グラフは丁寧によく見ましょう
アベノミクスやリフレーション政策の是非以前に、グラフはよく見たほうが良い。どこかで大雑把に結論して主張するわけだが、ここまで来ると主義主張で目が曇っているように思える。
*2RTGSとは言え、ある程度は余裕をもって決済性資金を日銀当座預金に残しておく必要があるので、この定義のブタ積みは過剰評価している面はある。
1 コメント:
素晴しい視点です。
やはりデータをもとに考えることは大切ですね。
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