魂揺さぶるモンゴル相撲 祭典で熱戦、観客くぎ付け

「ナーダム」で取組に臨むモンゴル相撲の力士。タカをイメージして両腕をゆったりと上下させながら入場する=2024年7月11日、ウランバートル(共同)
「ナーダム」で取組に臨むモンゴル相撲の力士。タカをイメージして両腕をゆったりと上下させながら入場する=2024年7月11日、ウランバートル(共同)
2024年12月12日 00時00分

 スタジアムの中央で汗だくになって組み合う2人の男に、会場を埋め尽くす観客の視線がくぎ付けになっていた。
 7月半ば、モンゴル最大のスポーツの祭典「ナーダム」最終日に行われたモンゴル相撲の決勝戦。首都ウランバートルで500人以上が参加して行われたトーナメントを勝ち上がったのは、4回目の優勝を目指すベテラン〝横綱〟と、綱取りを狙う若手のホープ。若い力士の突進を老練な横綱があしらい続けること40分。歓声とブーイングが入り交じる中、若手が脚をすくい上げると、横綱が踏ん張りを利かせて投げを打った。観衆が息をのむ。軍配は横綱。勝者の雄たけびが会場にとどろいた。

(共同=武隈周防)

*写真・記事の内容は2024年7月までの取材を基にしたものです。

モンゴル最大のスポーツの祭典「ナーダム」で、モンゴル相撲が行われたスタジアム=2024年7月11日、ウランバートル(共同)
モンゴル最大のスポーツの祭典「ナーダム」で、モンゴル相撲が行われたスタジアム=2024年7月11日、ウランバートル(共同)

 

モンゴル最大のスポーツの祭典「ナーダム」で行われたモンゴル相撲=2024年7月11日、ウランバートル(共同)
モンゴル最大のスポーツの祭典「ナーダム」で行われたモンゴル相撲=2024年7月11日、ウランバートル(共同)

 「モンゴル人の魂を揺さぶる」と現地の人が表現するこの競技は「ブフ」と呼ばれ、同国の国技だ。大相撲の元横綱白鵬(現宮城野親方)の父はブフの大横綱だった。
 日本の相撲との大きな違いは土俵がないこと。押し出しや寄り切りはないが、手のひらが地面に付くのは認められているため、大相撲にはない技も繰り出される。実力が拮抗(きっこう)すると決着がつくまで時間がかかることも多く、かつて横綱同士の取り組みが5時間に及んだこともあったという。

「ナーダム」のモンゴル相撲で4度目の優勝を果たした〝横綱〟=2024年7月12日、ウランバートル(共同)
「ナーダム」のモンゴル相撲で4度目の優勝を果たした〝横綱〟=2024年7月12日、ウランバートル(共同)

 力士らは年に何度も国内の大会に出場してしのぎを削るが、番付を上げる機会は年に1度行われるナーダムだけ。優勝すると賞金に加え、関係者らから車や家などが贈呈される。ブフの〝小結〟だった元力士は、「ナーダムで勝てば人生を変えることができる。この日のためにみんな命懸けで練習するんだ」と、大きな手で拍手を送った。

「ナーダム」で行われたモンゴル相撲の決勝戦でにらみ合う力士。両脇では行司兼介添人のような役割を持つ人が見守る=2024年7月12日、ウランバートル(共同)
「ナーダム」で行われたモンゴル相撲の決勝戦でにらみ合う力士。両脇では行司兼介添人のような役割を持つ人が見守る=2024年7月12日、ウランバートル(共同)
「ナーダム」でモンゴル相撲の決勝戦を前に盛り上がる観客ら。前列中央はモンゴルのフレルスフ大統領=2024年7月12日、ウランバートル(共同)
「ナーダム」でモンゴル相撲の決勝戦を前に盛り上がる観客ら。前列中央はモンゴルのフレルスフ大統領=2024年7月12日、ウランバートル(共同)

 

 

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