2018年01月17日
【化学】センター試験(2018年)オリジナル解説
【2018年センター試験シリーズ】問題、解答は「センター試験2018|解答速報2018|予備校の東進」を参照。
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《第1問》
【1=②】
ア=S2-、イ=Cl-、ウ=Cl、エ=K+、オ=K、カ=Ca2+であるから、陰イオンのうち質量数が最も大きいのはイである。
【2=①】
①アルカリ土類金属(2族)は遷移元素ではなく典型元素である。誤り。
②典型元素(1、2族、12~18族)の中には、Znのように酸とも強塩基の水溶液とも反応して塩を作るような両性元素が含まれる。
③遷移元素の単体は全て金属なので、遷移元素はしばしば遷移金属とも言われる。
④原子が陽イオンになる性質を陽性と言い、陽性を持つ元素を陽性元素と言う。周期表の左下、つまり1族で周期が大きくなるほど、陽性は強くなる。
⑤Mnを例にとると、過マンガン酸カリウムKMnO4では酸化数が+Ⅶだが、マンガン酸カリウムK2MnO4では酸化数が+Ⅵとなる。
【3=②】
層Aにおける原子数=(1/2×120/360×2+1/2×60/360×2)×2=1(個)。層Bにおける原子数=1個であるから、合計2個となる。
【4=③】
飽和蒸気圧が外圧と等しい時に沸騰する。外圧が1.0×105Paよりも小さい時は沸点は100度よりも低くなり、1.0×105Paよりも大きい時は沸点は100度よりも大きくなるため、③か⑥に絞られる。水の温度と蒸気圧の関係を表したグラフを見ると、80度における蒸気圧は0.5×105Paであるから、(0.5×105Pa, 80度)の点を通る③が正解。
【5=⑤】
溶液1ℓの重さは1000d(g)、溶液1ℓに含まれる溶質はCM(g)であるから、1000d-CM(g)が溶媒の重さである。溶液1ℓに溶けている溶質はCであるため、求める質量モル濃度はC/(1000d-CM)/1000となり、整理すると1000C/(1000d-CM)となる。
【6=⑤】
⑤過冷却が起きた時、液体の状態で凝固点より低い温度になることがある。
《第2問》
【1=②】
C(黒鉛)+O2(気)=CO2(気)+394kj・・・①
O2(気)=2O(気)-498kj・・・②
CO2=C(気)+2O(気)-1608kj・・・③
①-②+③より、C(黒鉛)=C(気)-716kjとなる。
【2=③】
反応速度は、v=k[A][B]で表されるから、Aのモル濃度[A]が2倍になると反応速度は増加する。また、与件文より、A+B→Cの反応に係数をつけると、2A+2B→Cとなる。ここで、Aの濃度を2倍の0.080mol/ℓにしても、Bと反応するのは0.040mol/ℓであり、結果的に生成されるCの濃度は0.020mol/ℓで変わりがない。
【3=④】
希硫酸の滴下量が0mLから25mLまでの間、水溶液中のイオン数は減少するため、電気伝導度は減少する。滴下量が25mLの時、イオン数はゼロであるから電気を通さない。滴下量が25mLより多くなると、今度は水溶液中のイオン数が増加するため、電気伝導度は増加する。
【4=②】
水酸化バリウムBa(OH)2のモル濃度をx(mol/ℓ)とすると、Ba(OH)2のOH-の濃度と希硫酸H2SO4のH+の濃度が等しくなるから、x×2×50/1000=0.10×2×25/1000が成立する。これを解くと、x=0.050。
【5=②】
流れた電気量は0.30×19300=5790(C)。ファラデー定数9.65×104C/molより、流れた電気量をモル換算すると、5790/9.65×104=0.060。化学式より、メタノールの物質量はモル換算した電気量の1/6であるから、0.060/6=0.010。
【6=⑤】
Kb=[NH4+][OH-]/[NH3][H2O]・・・①
Kw=[H+][OH-]/[H2O]より、[H2O]=[H+][OH-]/Kw・・・②
Ka=[H][NH3]/[NH4+]より、[NH4+]=[H][NH3]/Ka・・・③
②③を①に代入して整理すると、Kb=Kw/Ka
《第3問》
【1=①】
①ルビーやサファイアは、コランダム(鋼玉、Al2O3〔酸化アルミニウム〕)の変種である。
【2=④】
次亜塩素酸HClOのClの酸化数は-Ⅲ。塩化水素HClのClの酸化数は-ⅠでHClOの塩素の酸化数より大きい。よって、HClOのClの酸化数はClが取りうる最大の酸化数ではない。
【3=②】
塩化ナトリウムと濃硫酸の反応は、NaCl+H2SO4→2HCl+Na2SO4、硫化鉄(Ⅱ)と希硫酸の反応は、FeS+H2SO4→H2S+FeSO4であるから、気体AはHCl、気体BはH2S。
①HClは無色で刺激臭がする。H2Sは無色で腐乱臭がする。
②気体をPb2+を含む水溶液に通すと、PbCl2、PbSが沈殿する。正しい。
③HClは水に溶けやすいが、H2Sは水に少ししか溶けない。
④鉄を濃硝酸に浸すと、その強力な酸化力によって表面には緻密な 酸化鉄(III) 層が生じ、腐食速度が低い不動態になる。HCl、H2Sとは無関係である。
【4=④】
「同素体(※同じ元素の単体で、性質が異なる物質が2種類以上存在する時、これらを互いに同素体と呼ぶ)をもつ個体であり、その中には空気中で自然発火するものがある」に着目する。これはリン(P)のことである。リンには黄リンと赤リンという同素体があり、黄リンは空気中で自然発火する。周期表でPの1つ上に位置する同族元素の単体はN(窒素)である。
【5=③】
硫酸塩と水酸化物を生じることから、Ca、Mg、Naのいずれかである。Naの水酸化物NaOHは水によく溶けるのでNaは除外される。Mgの硫酸塩MgSO4は水によく溶けるが、水酸化物Mg(OH)2は水に溶けにくい。一方、Caはアルカリ土類金属であるため、硫酸塩CaSO4は水に溶けにくいが、水酸化物Ca(OH)2は水に少し溶ける。
【6=⑤】
(MSO4・nH2OとMSO4の質量の差):(MSO4・mH2OとMSO4の質量の差)=1.80:0.36=5:1である。nとmは7以下の整数であるから、n=5、m=1と解る。
Mの質量をxとすると、MSO4の質量は96+x、MSO4・5H2Oの質量は96+x+5×18=186+xである。(96+x):(186+x)=3.02:4.82より、x=55。よって、MはMnである。
《第4問》
【1=④】
【2=②】
【3=③】
①アセトンCH3COCH3は常温・常圧で液体である(沸点56度)。
②アセトンは水とよく混じり合う。
③2プロパノールCH3CH(OH)CH3の酸化によって得られる。
④ケトン基-C=Oには還元性がないため、フェーリング反応は起きない。アルデヒド基-CHOには還元性があり、フェーリング反応が起きる。
⑤この時の反応は、CH3COCH3+4NaOH+3I2→CHI3+CH3COONa+3NaI+3H2Oであり、ヨードホルムCHI3の黄色沈殿を生じる(ヨードホルム反応)。
【4=③】
アルコールAの質量をxとする。
アルコールAとナトリウムを反応させる反応は以下の通り。
2C10Hn-1OH+2Na→2C10Hn-1ONa+H2・・・①
アルコールA1molに対して水素がmmol付着するとすると、
C10Hn-1OH+mH2→C10Hn-1+2mOH・・・②
ここで、①について、アルコールAと水素の物質量の関係から、
x/{12×10+(n-1)+16+1}×1/2=0.125 ∴ x/(136+n)=0.25・・・③
また、②について、アルコールAと水素の物質量の関係から、
1:m=x/{12×10+(n-1)+16+1}:0.5 ∴ x/(136+n)=0.5/m・・・④
③④より、0.25=0.5/mとなり、m=2
アルコールA1molに対し水素が2mol付着することから、Aには二重結合が2つ存在する。一般に、CpHqにおいて、二重結合が全くない場合、p=2q+2が成立し、二重結合がr個存在すると、p=(2p+2)-2rが成立する。よって、求めるnの値は、(10×2+2)-2×2=18。
【5=⑤】
サリチル酸にメタノールを加えるとアセチル酸メチルが、無水酢酸を加えるとアセチルサリチル酸が生じる(みくあす化学館「サリチル酸」より)。
【6=①】
①サリチル酸に塩化鉄(Ⅲ)FeCl3を加えると紫色に発色する。しかし、アセチルサリチル酸はサリチル酸のヒドロキシ基-OHがアセチル基CH3CO- に置換された構造を持つため呈色しない。このことを利用して、反応後にサリチル酸の有無を確認し、アセチルサリチル酸が精製されたかどうかを調べることができる。
②フェノールフタレイン溶液は中和滴定で用いる溶液である。
③炭酸水素ナトリウム水溶液NaHCO3を加えると、サリチル酸がサリチル酸ナトリウムになると同時に、アセチルサリチル酸がアセチルサリチル酸ナトリウムになるため不適。
④水酸化ナトリウム水溶液NaOHを加えると、サリチル酸がサリチル酸二ナトリウムになると同時に、アセチルサリチル酸がアセチルサリチル酸ナトリウムになるため不適。
⑤サリチル酸に酢酸を加えると副生成物として水が生じる。すると、アセチル化の逆反応であるエステルの加水分解が起こるため、正反応と逆反応の平衡状態が生じてしまう。
《第5問》
【1=②】
②ポリ酢酸ビニルは、エチレンC2H4と酢酸CH3COOHから生成される酢酸ビニルを付加重合して生成する。ポリ酢酸ビニルは下図のように表され、カルボキシ基-COOHを持たない。
【2=③】
③アミロースはでんぷん粒を構成する主成分の1つである。グルコースが長い鎖状に連なったもので、水に溶ける。ヨウ素を加えると青藍色になる。
《第6問》
【1=①】
熱硬化性樹脂には、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂(ユリア樹脂)、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミドなどがある。熱可塑性樹脂には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、テフロン — (ポリテトラフルオロエチレン)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂などがある。
【2=③】
図中の各元素の数を数えると、C:8+x、H:14+2x、O:2、N:2であるから、物質量は12×(8+x)+(14+2x)+16×2+14×2=170+14xである。ここで、(170+14x)×100=2.82×104が成り立つから、これを解くとx=8。
《第7問》
【1=⑤】
⑤例えば「生卵」の白身の部分は透明だが、加熱して「ゆで卵」にすると白身の部分は白く固まる。 これをタンパク質の熱変性と言う。 通常ではタンパク質の熱変性は不可逆的で、一度熱変性したタンパク質は元に戻らない。
【2=④】
スクロースは還元性を示さないが、加水分解の生成物であるグルコースとフルクトースは還元性を示す。加水分解して得られるグルコースとフルクトースの物質量は等しいので、それぞれ3.6/2=1.8(mol)である。元のスクロース水溶液に含まれていたスクロースの物質量をx(mol)とすると、未反応のスクロースはx-1.8=4.0となる。よって、x=5.8。