金子さんは無罪なのでは?
ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」開発で映像データなどの違法コピーを助長したとして、著作権法違反のほう助罪に問われた元東京大助手、金子勇被告(35)=東京都=の第17回公判が5日、京都地裁(氷室眞裁判長)であった。金子被告は、京都府警と京都地検に対して、著作権侵害をまん延させる意図や法律違反のほう助を認めた形になっている書面について「刑事や検事が勝手に書いた作文」などと述べ、真実ではないと主張した。
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金子さんは無罪なのではと思う。
ファイル交換ソフト(P2Pソフト)には、中央サーバ型と純粋型の2種類がある、有名なNapsterは前者。会社化後倒産したが、Roxio社が買収し今は有料音楽配信サービスと成っている。
日本は、中央サーバ型はWinMXが、純粋型はWinnyが現在広く使われている。
中央サーバ型はシステム上、供給側が明確で有ったが、純粋型はソフト利用者が皆供給側になるシステム。言わば、ファイル版のインターネット(WWW)と言えるもの。
今回は著作権法違反の「幇助」罪と成っている。つまり、ファイル交換ソフト自体が違法なのでは無く、幇助が違法なのだとしている訳だ。巷ではファイル交換ソフトそのものが違法で有るかの様なイメージが一人歩きしている。
少なくとも国内の「Winny v2.0b7.2」のファイルダウンロードサイトは姿を消している。が、これは法的に見れば過剰反応だ。
ファイル交換ソフトは違法では無く、利用者のファイルの中に違法なファイルが有り、違法な利用が有る事で初めて違法になる。
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参考として、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)の示した判断基準は...、
1、著作権制度を変えるために、著作権侵害を蔓延させる意図でWinnyを開発・配布した
2、著作権侵害に悪用されていること、将来悪用される蓋然性が高いことを認識しながら、さ らにバージョンアップを繰り返して配布を継続した
3、ゲームソフトや映画といった著作物が公開によって入手され、悪用され、著作権侵害が実行された
...これらが検察側に事実として立証されれば、幇助罪成立。
(NET拾いの画像です) ↑↑
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3、はともかくとして、「1、2、」はどうだろうか?
どうやって、「事実」の証明をするのか??
やはり、当然、取り調べ段階の「自白」や「調書」を主体とした「立件・立証」となるだろう。
金子氏は、研究者や開発者としては優秀だが、恐らく「世間」には疎かったのでは無いかと推測する。法的な知識も恐らく我々同様に乏しかったと思う。
当然、警察・検察から見れば「ネギ鴨」状態だ。「作文したもの」に、「サインしてしまった」
としても不思議は無い様な気がする。
もしも、今回幇助が成立すればとんでもない判例・前例を残す事になるだろう。
事はWinnyに限らず、ファイル交換ソフトCD-ROMを持っているだけ、ファイル交換ソフトをPCに入れているだけ。ファイル交換ソフトの解説書をもっているだけでも逮捕されるかも知れない。
ファイル交換ソフトもその利用も著作権侵害の事柄があるから、違法性云々が発生する、が、ファイルは違法ファイルだけでは無い。著作権フリーの音楽・映像も有る。フリーソフトも有る。個人の公開研究データも有る。Linuxも有る。
今後もどの様に(著作権侵害では無く)発展・利用拡大が進むかも分からないし、良い磨き方をすれば、光り輝く玉に成る様に思う。
警察にはサイバーテロやNET著作権侵害などの専任チームやそれを技術サポートする専任チームなどが存在する様だ。一般的には、現場の刑事連中にはPCのPの字も分からない様なのも多い。取り調べも技術的な仕組みの理解の薄いまま、法的なはめ込み作業が行われてる可能性も高い。
しばらくは、過渡期にありがちな色々な歪みが生じて行くと思うが、過剰な取り締まりの網が張られる事だけは避けて欲しい。