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男のなかの男3

※この記事は2016年2月23日に公開した記事の再録です。


 男のなかの男シリーズ3回目は自分が個人的に好きなかわぐちかいじの海自三部作を取り上げたいと思う。

 海自三部作一作目の『沈黙の艦隊』は登場人物が全員男という、萌えアニメ全盛時代の昨今では考えられないほど男くさい話である。『沈黙の艦隊』のもうひとりの主人公でもある深町は、容姿からしてむちゃくちゃ男くさいまさに男のなかの男である。片や主人公の海江田は深町とは対照的につるんとした容姿だが、容姿とは裏腹に海江田は見た目にはそぐわず作中では最も男のなかの男として描かれている。
 何故そのように思ったかというと、海江田には従来の男らしさに対する執着がまったく感じられないのである。性別をも超越した鋼鉄のメンタリティは逆説的に男のなかの男を感じさせる。
 海江田四郎という名前は四方の海を股にかける男である。



 この性別をも超越した鋼鉄のメンタリティはその後の作品にも受け継がれていくことになる。



 『ジパング』は21世紀のイージス艦がミッドウェー海戦下にタイムスリップする話で、海自版戦国自衛隊ともいわれてるが、ミッドウェー海戦は戦国時代ではなく昭和である。
 『ジパング』の主人公角松もまた深町同様男くさい男だが、若干絵柄が変わったせいか深町と比べると、角が取れて丸みのある容姿となっている。名前は「門松」なのに。
 一方のもうひとりの主人公ともいえる、海軍の若き将校草加はやはり海江田と似た容姿の男だが、明治の男というだけあって、気骨ある男のなかの男として描かれている。ただしここで重要なのは明治生まれの男であるにも関わらず作中では「性別をも超越した鋼鉄のメンタリティを持った」男として描かれていることである。
 明治といえば、とかく男とはかくあるべしとか、女とはかくあるべしとか、性別にがんじがらめにされていた時代である。そんな時代に「性別をも超越した鋼鉄のメンタリティを持った」男のメンタリティを獲得しているとは完全に超人である。

 草加拓海という名前も「日下」つまり日の下の国日本の海を拓く男である。

艦娘みらい2

 ジパングは終盤がグダグダだったせいか、連載終了後はファンの話題に上ることもなく、完全に埋もれた大作になると思われたが、近年の艦これブームで人気再燃したのか、最近はコンビニでもペーパーバックを見かけるようになった。
 艦これ人気でジパングは腐女子と萌え豚の両方の読者がいる稀有な作品になったが、まさに艦これさまさまである。それにしてもかわぐちかいじって何故か妙に運がいいよな。
 萌え豚と腐女子の両方に人気のあるマンガやアニメといえばエヴァンゲリオンくらいしか知らないが、そういえば両方とも終盤グダグダだったな。



 現在連載中の『空母いぶき』の主人公秋津は、ルックスが深町で中身が海江田のハイブリッドである。だから海江田と草加に相当するキャラクターは出てこない。
 代わりに登場するのは新波というキャラクターである。新波は海自三部作の登場人物のなかでは最も等身大のキャラクターだが、秋津の超越性を際立たせるために敢えて等身大のキャラクターに仕立てあげられたように思える。いわば主人公補正の逆補正がかかったようなキャラクターである。新波に主人公補正がかかれば『太陽の黙示録』の柳弦一郎になる。
 秋津竜太は一見ありふれた名前だが、日本神話では日本を秋津島と称している。秋津島の竜ということは日本の竜ということである。まさに男のなかの男ではないだろうか。 
 かわぐちかいじの海自三部作を見ていると、時代が下るほど主人公が若々しくなっているのがわかる。
 沈黙の艦隊の海江田と深町はハッキリいっておっさんだが、空母いぶきの秋津はせいぜい30前後の若者である。
 海江田、草加のふたりは老獪なイメージがあったが、秋津は無垢な少年のような眼差しの青年として描かれている。
 昔はゴツい主人公ばかり描いてたのに、最近のかわぐちかいじのマンガの主人公はいずれも無垢な少年のような眼差しの青年ばかりだが、かわぐちかいじは歳を取ってから、少年趣味にでも目覚めたのだろうか。

艦娘いぶき

 かわぐちかいじのマンガはかれこれ20年ほど見ているが、男はまあカッコいいと思うけど、女が壊滅的に可愛くない。女が可愛くないマンガ家の筆頭には必ずかわぐちかいじとカイジの作者がワンセットで挙がってるくらいだ。
 最近は女より男の方が可愛いくらいだし、最近はおっさんを描いても目が可愛いのはいいんだけど、相変わらず女が可愛くない。最近は徳子より義経の方が可愛いくらいである。義経は長髪で女と見紛うような美青年なのに、ただでさえ可愛くない徳子は尼さんになって坊主頭になっちゃうし、もう義経と徳子の性別反対にしても全然違和感ないよな(´;ω;`)

 かわぐち先生、せめて艦娘のやまとたんや、みらいたんや、いぶきたんくらい女の子可愛く描いてください(´;ω;`)

※追記にて拍手コメントへの返信をしています。 
 marronさん、拍手コメントありがとうございました(^∇^)ノ
 自分以外にもかわぐちかいじのジパング読んでた人がいて嬉しいです(^o^)




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No title

困難な時代の中にあっても
メンタルが強いというだけで
それは強力な武器ですよね

普通は逆になりそうですよね
若いときほどかわいい系で年輪とともに
それ相応のキャラにといった感じで

No title

荒ぶるプリンさん、こんばんわ(^-^)

そうですね。逆境においては頑強なメンタリティは最も強力な
武器になりうると思います。
特に現代のハイテク戦において指揮官は、腕っぷしの強さよりも
頑強なメンタリティの方が重要になってきますしね。

ですよねー、普通は年齢相応になると思うのですが、かわぐち
かいじは沈黙の艦隊を描いてた頃はまだ自分が若いから、自分と
歳の近いキャラクターを主人公にしてたと思うのですが、歳取って
からは、若者を愛でるような趣味に目覚めたように思います。

そうですね~
冷静に戦況を見極めて
指示や作戦を組み立てる感じですよね

逆にそれだけ年輪を経たから
できるんでしょうね~
ただ重ねるだけじゃなくて
意味のある感じがしますね

No title

荒ぶるプリンさん、こんばんわ(^-^)

そうですね。冷静沈着に作戦を組み立てるのは、指揮官にとって
最も必要とされるものですよね。

秋津は30前後の青年だと思いますが、その若さで一等海佐で指揮官
というのはもう超人だと思います。

No title

30前後でその役職は
なかなかすばらしいものがありますね

私ならず~っと下っ端でみんなのお布団直しが
関の山ですね~
そしてたたみ方がきたないとおこられる~><

No title

荒ぶるプリンさん、コメントありがとうございます(^-^)

『空母いぶき』は近未来の話なので、秋津は昭和末期か平成生まれ
かと思わるので、プリンさんと同じくらい世代かと思われますが、
それにしても30前後で海軍大佐に抜擢されるのは、相当有能なの
だろうと思います。

布団直しという役職は無かったと思いますが、海上自衛隊なら
炊事係がそれに相当すると思います。
腹が減っては戦ができませんしね。

こんばんは

男の中の男ですか。
世の中そんな感じの人とかもなかなかいないですからねぇ(・。・)

No title

よしおさん、こんばんわ(・∀・)ノ

そうですね、自分の持論では男らしさにしがみつかないと男らしさを保てないと
思っている男は、本当の意味では男らしくないと思うのですが、
男らしさにしがみつかなくても雄々しい男って見たことないですねー。
自分の父親も母親におんぶ抱っこで父親の威厳とやらを振りかざすクソジジイですしねー( ̄▽ ̄;)

そうゆう男ってある意味超人かもしれませんねー(´・ω・`)

おとこまえ

男らしさ ですかぁ。
MMとは、真逆のトコですねー。
でも最近では、性別を超えた
鋼のようなメンタルの
女の方がいたりして…
おとこまえな女子が増えたような。
男の子が弱くなっちゃったような。

No title

男を男らしくというのは、
作品の魅力の一つですもんね(´∀`)
かわぐちかいじ氏の作品はあまり読んだ事はありませんが、
『空母いぶき』はCMで見かけたりして気になっていました。

No title

MMさん、こんばんわ(・∀・)ノ

そうですかねー、MMさんて内面は結構男っぽいと思いますよ。
女装趣味のある男性のなかには、自分が女装した写真をオカズにできるという人もいると聞きますし。
そうですね、女は自分の弱さを認めてますが、自分の弱さを認められない男は結構多いですから、内面は女の方が男前だと思いますよ。
男が弱くなったというより、男が弱いのがバレちゃったという感じですよね。
男が大和撫子を好むのは自分の思い通りにできそうに見えるといったものがあるようですが、実際の大和撫子は内面は結構男前だと思いますよ。
弱い男が大和撫子を自分の思い通りにしようとするのは、貧乏人が馬飼うようなものだから、かなり難易度が高いと思います。

No title

ツバサさん、こんばんわ(・∀・)ノ

そうですね、やはり男が強い話の方が魅力がありますよね。
たしかにかわぐちかいじの劇画には、ツバサさんの好きな美少女はまず出てきませんしねー。
男の方がキレイだったりすることもあるので、そちらの趣味のある人にはウケるかもしれませんねー(´・ω・`)
空母いぶきのCMなんてやってたんですかー。見たかったなー(´・ω・`)

おはよう

でも、人によっては男らしいってイメージは違ってきそうだね。
自分は親父のようなタイプのやつは男らしいって風には思わないですからねぇ(ーДー)
イメージの感じ方も関わってきそうだね。

No title

よしおさん、こんにちは(・∀・)ノ

たしかに人によって男らしさはちがってきますよね。
肉体的な男らしさを求める人もいれば、精神的な男らしさを求める人もいると
思いますが、自分は男らしさという副え木がなくても自立してる男が強くて
男らしいと思います。
自分も癇癪ばかり起こして家族に甘える父親を、男らしいなんて思ったこと
一度もないです(-_-#)

こんばんは^^

『沈黙の艦隊』、めちゃくちゃカッコいいですよねぇ^^
男しか登場しない世界・・・本当に、稀有の作品ですね^^
『ジパング』は前に、ようつべでチラッと観た事があります。
『SBDドーントレス』で急降下爆撃を加えようとしたら、いきなり対空ミサイルが飛んで来てビックリ!
・・・てシーンでした^^
確かに、今の海上自衛隊護衛艦が、ミッドウェー海戦の最中にタイムスリップしたら、ビックリしますよね^^;

かわぐちかいじと言えば昔、海自とは全く関係ありませんが、『アクター』という作品を読んだ事があります。
こちらも主人公は男性ですが、こちらは女性っぽい感じで描かれてましたね^^
ただ、感じは『可愛い』というよりは、『神々しい』様な、そんな感じでした^^

No title

ジュディ伍長、こんばんわ(・∀・)ノ

ええ沈黙の艦隊カッコいいですよねー(*´∇`*)
近年の萌えアニメ全盛時代では考えられないほど、無茶苦茶男くさいというか男だらけの硬派な劇画だったと思います。
ジパングはつべで見たことあるんですね。たしかに21世紀のイージス艦がミッドウェー海戦に出現したら、誰でもびっくりしますよねー。
21世紀のイージス艦が大戦中にタイムスリップするという話からしてSFだと思うのですが、かわぐちかいじが描くと政治的要素の方が強いせいか全然SFに見えなかったですねー(^_^;)

アクターは連載中に自分も見てましたねー。他にはレオナルド・ダ・ビンチのマンガも描いてましたが、レオナルド・ダ・ビンチも女装が似合う美少年に描いてありました(^_^;)
九郎義経が主人公のマンガでも徳子より義経の方が美男子に描いてあるし、かわぐちかいじはあの歳で少年趣味に目覚めたのかと思ってしまいますね(^_^;)
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Author:ASDponch
地上最強の芸術の場外乱闘者を目指し日々孤軍奮闘する自閉症スペクトラム障害(ASD)ponchの自堕落な日常と、社会からはみ出したアウトサイダーの駄話を書いています。
最近はすみっこぐらしにもハマってます。すみっこ仲間絶賛募集中ッッ\(^o^)/

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