都心タクシー「プチバブル」早くも終焉の業界事情 稼げる状況に転職者が一時殺到も事業者側が苦境に

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(撮影:尾形文繁)

「もうね、限界まできていますよ」

今年に入ってから、中小規模のタクシー事業者からこんな連絡が入ることが度々あった。コロナ禍ではその多くがドライバーや現場サイドからではあったが、当時との違いは“限界”を感じているのが経営者や運営側からのものだということだ。

帝国データバンクの調査によると、2023年度のタクシー業界の倒産は33件。過去10年間で最多の水準となる。さらに今年に入り、経営統合や身売りの動きも活発になっている。

事実、今年に入り中堅規模のタクシー事業者も経営権を手放し、大手に買収されるという実例も相次いでいる。また、水面下でも会社の売却交渉が進んでいるという話も入ってきているように、おそらく今後も事業者の再編は進んでいくだろう。

なぜドライバーではなく、タクシー事業者が苦しい状況に陥っているのか。その実情に迫る。

運賃値上げを求める動きが相次ぐ

タクシーの燃料であるLPガス(プロパンガス)の価格高騰は経営を大きく圧迫している。

国交省もその状況を見越して、価格高騰相当分の支援を行うなど対策をしているが、事業者は未だ苦しい状況が続く。

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もう1つ、採用費の高騰により思うようにドライバーを確保できず、やむなく稼働できない車両を多く抱える会社が多いことも理由の1つだ。

これらの状況や、政府の賃上げの意向を受けて「タクシー運賃改定」、つまり運賃値上げを求める動きが業界内では活発化していた。高知県、山梨県、奈良県、熊本県、神奈川県の小田原地区などで今年は値上げが実施された。その他の福岡市やその近郊地域でも、「迎車料金」を導入し、客単価の底上げを図る動きも全国的に広がっている。

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