地下鉄が交錯する銀座の地下を横切る新たな道路トンネルの建設が現実味を帯びてきた。国指定重要文化財の日本橋(東京都中央区)の上空に架かる首都高速道路の地下化に併せ、ルートを変更する首都高都心環状線だ。有力だった「KK線」の既存高架橋を補強する対案は、高架下の約360の商業施設で営業休止などが必要になることが判明したため、採用が難しくなっている。
国土交通省や首都高速道路会社などでつくる「首都高都心環状線の交通機能確保に関する検討会」(座長:池田豊人・国土交通省道路局長)が2019年5月27日に開いた会合で、2つの代替ルート案の課題を明らかにした。今後、具体的な事業費の試算や事業スキームの検討を進めて最終案を決める。
都心環状線のルート変更は、日本橋エリアを含む江戸橋ジャンクション(JCT)―神田橋JCT間の地下化決定と同時に浮上した問題だ。通行する車両が多い江戸橋JCTを都心環状線から切り離して、同JCT付近の慢性的な混雑を緩和する。ルート変更後の都心環状線は、神田橋JCTから既存の首都高八重洲線のトンネルを通り、西銀座JCTから高架のKK線を経由することになる。
ところが、1959年に供用を開始したKK線は、当時の基準で車1台の重量を現行の規定より5t少ない20tで設計している。幅員やカーブの曲率半径も、現在の道路構造令が定める大型車の通行基準を満たしていない。ルート切り替えによってこの区間を通れなくなる大型車は上下線合わせて1日1600台と見込まれ、一般道の混雑は避けられない。