2012年12月16日
上の山節
上の山節(一名 桑むい節)
うぃーぬやまぶし(くゎーむいぶし)
'wii nu yam bushi (kwaa mui bushi)
〇上の山の唄(別名 桑を採る唄)
久米島民謡
一、(女)桑むいになじき 山登てぃうらば 里や草苅いになじき 忍でぃいもり ツォンツォンヤーツォン 山んじ里前に真心語らば骨なてぃ骨なてぃ いちゃならわんまま
くゎーむいになじき やまぬぶてぃうらば さとぅやくさかいになじき しぬでぃいもり(つぉん つぉん やーつぉん)やまんじさとぅめにまぐくるかたらばふになてぃくちなてぃ いちゃならわんまま
kwaa mui ni najiki yama nubuti uraba satu ya kusakai ni najiki shinudi 'imoori (tsuoN tsuoN yaa tsuoN)yama 'Nji satumee ni magukuru kataraba huni nati kuchi nati 'ichanarawaN mama
〇私は桑の葉採りのふりをして山に登っているから 愛しい貴方は草刈りのふりをして忍んで来てください (囃子言葉以下省略)山であなたに真心を伝えれば骨になり遺骨になっても(死んでも)どうなっても一緒よ
語句・くゎーむい 桑(の実または葉。ここでは実とした。)もぎ。<くゎー 桑+むい<むゆん 実などをもぐ。 ・なじき「ふり、そぶり〔表向きよそおうこと〕、口実」【琉球語辞典】。・んじ で。場所を表す。・くち 遺骨。 「ふに」は「ほね」から、「くち」は「こつ」からの変化(三母音化)したもの。・いちゃらならわん どうなっても。<いちゃら<いちゃる いかなる。 +や は。融合したもの。 + <ならわん<ば+も。 ・まま 「一緒」【琉辞】。
二、(男)草苅いになじき 山登てぃいちゃい 無蔵とぅ恋ぬ奥山に思い語ら ツォンツォンヤーツォン山うてぃ染みなち 比翼ぬ鳥なてぃ 紺地ぬ色なさ
くさかいになじき やまぬぶてぃいちゃい んぞとぅくいぬうくやまに うむいかたら やまうてぃすみなち ひゆくぬとぅいなてぃ くんじぬいるなさ
kusakai ni najiki yama nubuti 'ichai Nzo tu kui nu 'ukuyama ni 'umui katara yama uti suminachi hiyuku nu tui nati kuNji nu 'iru nasa
〇草刈りのふりして山に登ってきたよ お前と恋の奥山で恋を語ろう 山で愛を深め比翼のオシドリのように仲良く 紺地の色のように濃く染めあおう
語句・ひゆくぬとぅい 中国の伝説上の鳥で 「雌雄それぞれの目と翼が一つずつで 常に雌雄一体で飛ぶという中国の伝説上の鳥」【琉辞】。
三、(女)蚕糸(かいくいとぅ)ひかち 七ゆみにかきてぃ イヤヨあけず羽ぬ御衣にしゃびら ツォンツォンヤーツォン 深山にかくりてぃ 忍ぶ恋路ぬ 他所目に知りらば 闇路ぬ恋船 うち乗りてぃいちゃい 後生ぬ港に いちゃならわんまま 思切り第一
かいくいとぅひかち ななゆみにかきてぃ いやよ あけずばぬんしゅにしゃびら みやまにかくりてぃ しぬぶくいじぬ ゆすみにしりらば やみじぬくいぶに うちぬりてぃいちゃい ぐそーぬんなとぅに いちゃならわんまま うみちりでーいち
kaiku 'itu hikachi nanayumi ni kakiti 'iyayo 'akezuba nu Nshu ni syabira miyama ni kakuriti shinubu kuiji nu yusumi ni shiriraba yamiji nu kuibuni 'uchi nuriti 'ichai gusoo nu Nnatu ni 'ichanara waN mama 'umichiri deeichi
〇蚕から絹糸を引いて七読みほどの細かい目の上等の織物を織って(イヤヨ 囃子言葉)トンボの羽のように薄くて美しい着物にしましょう 深い山に隠れて忍ぶ恋路を他人に知られたら 闇夜の恋舟に乗って行こう あの世の港に どうなっても一緒だから 死ぬ覚悟です
語句・ななゆみ きめの細かい織り方。 干瀬節を参照。「読」(ゆみ)とは「織り幅に入る縦糸の本数を段階的に表示した(布目の密度の)単位で、一[ひと]ヨミは(計算上)糸80本;目の粗い七[なな]ヨミ〔560本〕から、(上布など)目の細かい廿[はた]ヨミ〔1600本〕まである」(琉) 「読」とは「数え」と同義。 普段着用の七読み、と上布用の二十読→「七読」は付け足しで、ここでは上布を意味するという説もある。(島袋盛敏氏) 琉球語辞典では「(ふだんぎ用に)七読み[ななよみ]や(上布用に)廿読[はたよみ]で、織る糸を」というように両方、あるいはいろいろ用意して、という意味に解釈しているものもある。 ・あけずば とんぼの羽。文語。薄くて美しい御衣の例え。「あけじ」「あーけーず」「あーけーじゅ」とも。
四、(男)羽御衣や無蔵が染みあぎてぃからや イヤヨいひん片時ん離りぐりしゃツォンツォンヤーツォン 三月遊びん うり着ち遊ぶさ 秋なてぃ真中ぬ月見ん 又くり夕暮時分の 親にんかくりてぃ 忍でぃちゅーくとぅ 山うてぃ待っちょり (女)言ちゃんどーや 変わんなよーや 待ちかんてーどん しみんなよーや
はにんしゅやんぞがすみあぎてぃからや いやよ いひんかたとぅちんはなりぐりしゃ さんぐゎちあしびん うりちちあしぶさ あちなてぃむなかぬちちみんまたくり ゆまんぐぃじぶのーうやにんかくりてぃ しぬでぃちゅーくとぅやまうてぃまっちょーり いちゃんどーや かわんなよーや まちかんてーどんしみんなよーや
hani Nshu ya Nzo ga sumiagiti kara ya ih(w)iN katatuchiN hanarigurisha saNgwachi 'ashibiN uri chichi 'ashibusa 'achi nati munaka nu chichi miN mata kuri yumaNgwi jibunoo 'uya niN kakuriti shinudi chuu kutu yama uti machoori 'ichaN doo ya kawaNna yoo ya machikaNteedoN shimiNna yoo ya
〇(男)美しい着物を愛しいお前が染めあげてくれたので すこしも片時も離れずらいよ 三月遊びもそれを着て遊ぶよ 秋になって十五夜の月を見てまた来れば夕暮れ時には親に隠れて忍んで来るから山で待ってくれよ(女)言ったわね それなら心変わりしないでね 待ちかねるなんてさせないでね
うぃーぬやまぶし(くゎーむいぶし)
'wii nu yam bushi (kwaa mui bushi)
〇上の山の唄(別名 桑を採る唄)
久米島民謡
一、(女)桑むいになじき 山登てぃうらば 里や草苅いになじき 忍でぃいもり ツォンツォンヤーツォン 山んじ里前に真心語らば骨なてぃ骨なてぃ いちゃならわんまま
くゎーむいになじき やまぬぶてぃうらば さとぅやくさかいになじき しぬでぃいもり(つぉん つぉん やーつぉん)やまんじさとぅめにまぐくるかたらばふになてぃくちなてぃ いちゃならわんまま
kwaa mui ni najiki yama nubuti uraba satu ya kusakai ni najiki shinudi 'imoori (tsuoN tsuoN yaa tsuoN)yama 'Nji satumee ni magukuru kataraba huni nati kuchi nati 'ichanarawaN mama
〇私は桑の葉採りのふりをして山に登っているから 愛しい貴方は草刈りのふりをして忍んで来てください (囃子言葉以下省略)山であなたに真心を伝えれば骨になり遺骨になっても(死んでも)どうなっても一緒よ
語句・くゎーむい 桑(の実または葉。ここでは実とした。)もぎ。<くゎー 桑+むい<むゆん 実などをもぐ。 ・なじき「ふり、そぶり〔表向きよそおうこと〕、口実」【琉球語辞典】。・んじ で。場所を表す。・くち 遺骨。 「ふに」は「ほね」から、「くち」は「こつ」からの変化(三母音化)したもの。・いちゃらならわん どうなっても。<いちゃら<いちゃる いかなる。 +や は。融合したもの。 + <ならわん<ば+も。 ・まま 「一緒」【琉辞】。
二、(男)草苅いになじき 山登てぃいちゃい 無蔵とぅ恋ぬ奥山に思い語ら ツォンツォンヤーツォン山うてぃ染みなち 比翼ぬ鳥なてぃ 紺地ぬ色なさ
くさかいになじき やまぬぶてぃいちゃい んぞとぅくいぬうくやまに うむいかたら やまうてぃすみなち ひゆくぬとぅいなてぃ くんじぬいるなさ
kusakai ni najiki yama nubuti 'ichai Nzo tu kui nu 'ukuyama ni 'umui katara yama uti suminachi hiyuku nu tui nati kuNji nu 'iru nasa
〇草刈りのふりして山に登ってきたよ お前と恋の奥山で恋を語ろう 山で愛を深め比翼のオシドリのように仲良く 紺地の色のように濃く染めあおう
語句・ひゆくぬとぅい 中国の伝説上の鳥で 「雌雄それぞれの目と翼が一つずつで 常に雌雄一体で飛ぶという中国の伝説上の鳥」【琉辞】。
三、(女)蚕糸(かいくいとぅ)ひかち 七ゆみにかきてぃ イヤヨあけず羽ぬ御衣にしゃびら ツォンツォンヤーツォン 深山にかくりてぃ 忍ぶ恋路ぬ 他所目に知りらば 闇路ぬ恋船 うち乗りてぃいちゃい 後生ぬ港に いちゃならわんまま 思切り第一
かいくいとぅひかち ななゆみにかきてぃ いやよ あけずばぬんしゅにしゃびら みやまにかくりてぃ しぬぶくいじぬ ゆすみにしりらば やみじぬくいぶに うちぬりてぃいちゃい ぐそーぬんなとぅに いちゃならわんまま うみちりでーいち
kaiku 'itu hikachi nanayumi ni kakiti 'iyayo 'akezuba nu Nshu ni syabira miyama ni kakuriti shinubu kuiji nu yusumi ni shiriraba yamiji nu kuibuni 'uchi nuriti 'ichai gusoo nu Nnatu ni 'ichanara waN mama 'umichiri deeichi
〇蚕から絹糸を引いて七読みほどの細かい目の上等の織物を織って(イヤヨ 囃子言葉)トンボの羽のように薄くて美しい着物にしましょう 深い山に隠れて忍ぶ恋路を他人に知られたら 闇夜の恋舟に乗って行こう あの世の港に どうなっても一緒だから 死ぬ覚悟です
語句・ななゆみ きめの細かい織り方。 干瀬節を参照。「読」(ゆみ)とは「織り幅に入る縦糸の本数を段階的に表示した(布目の密度の)単位で、一[ひと]ヨミは(計算上)糸80本;目の粗い七[なな]ヨミ〔560本〕から、(上布など)目の細かい廿[はた]ヨミ〔1600本〕まである」(琉) 「読」とは「数え」と同義。 普段着用の七読み、と上布用の二十読→「七読」は付け足しで、ここでは上布を意味するという説もある。(島袋盛敏氏) 琉球語辞典では「(ふだんぎ用に)七読み[ななよみ]や(上布用に)廿読[はたよみ]で、織る糸を」というように両方、あるいはいろいろ用意して、という意味に解釈しているものもある。 ・あけずば とんぼの羽。文語。薄くて美しい御衣の例え。「あけじ」「あーけーず」「あーけーじゅ」とも。
四、(男)羽御衣や無蔵が染みあぎてぃからや イヤヨいひん片時ん離りぐりしゃツォンツォンヤーツォン 三月遊びん うり着ち遊ぶさ 秋なてぃ真中ぬ月見ん 又くり夕暮時分の 親にんかくりてぃ 忍でぃちゅーくとぅ 山うてぃ待っちょり (女)言ちゃんどーや 変わんなよーや 待ちかんてーどん しみんなよーや
はにんしゅやんぞがすみあぎてぃからや いやよ いひんかたとぅちんはなりぐりしゃ さんぐゎちあしびん うりちちあしぶさ あちなてぃむなかぬちちみんまたくり ゆまんぐぃじぶのーうやにんかくりてぃ しぬでぃちゅーくとぅやまうてぃまっちょーり いちゃんどーや かわんなよーや まちかんてーどんしみんなよーや
hani Nshu ya Nzo ga sumiagiti kara ya ih(w)iN katatuchiN hanarigurisha saNgwachi 'ashibiN uri chichi 'ashibusa 'achi nati munaka nu chichi miN mata kuri yumaNgwi jibunoo 'uya niN kakuriti shinudi chuu kutu yama uti machoori 'ichaN doo ya kawaNna yoo ya machikaNteedoN shimiNna yoo ya
〇(男)美しい着物を愛しいお前が染めあげてくれたので すこしも片時も離れずらいよ 三月遊びもそれを着て遊ぶよ 秋になって十五夜の月を見てまた来れば夕暮れ時には親に隠れて忍んで来るから山で待ってくれよ(女)言ったわね それなら心変わりしないでね 待ちかねるなんてさせないでね
久米島民謡を続けている。
参考にしている音源は「久米島の歌全集」(古謡から新作まで) マルフクレコード。
この唄はコンビ唄としてもよく歌われている「桑むい節」(くゎむいぶし)の元曲だと思われる。
若い男女の逢引きを歌ったもの。
次回はこの「桑むい節」を。
参考にしている音源は「久米島の歌全集」(古謡から新作まで) マルフクレコード。
この唄はコンビ唄としてもよく歌われている「桑むい節」(くゎむいぶし)の元曲だと思われる。
若い男女の逢引きを歌ったもの。
次回はこの「桑むい節」を。
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