2020年12月15日

ちばり節

ちばり節
ちばりぶし
chibari bushi
がんばれ節
語句・ちばり<ちばゆん。がんばる。の命令形。がんばれ。


歌 喜屋武繁雄
作詞 島本耕二
作曲 喜屋武繁雄



一、結びかたみらな 島美らくなさな 世や変てぃ居てぃん人や情
むしびかたみらな しまちゅらくなさな ゆーやかわてぃうてぃん ひとぅやなさき
mushibi katamirana shima churaku nasana yuu ya kawathi wutiN hitu ya nasaki
団結して仲間になろう 故郷を美しくしよう 世は変わっていても人は情けなのだ
語句・むしび<むしぶん。むすぶん。どちらも使う。「結ぶ。結婚する」【琉球語辞典(半田一郎)】(以下【琉辞】と略す)。・かたみらな<かたみゆん。は「担ぐ」という意味もあり古くから「仲間になる」という意味も含まれていた。現在では「かためる」との共通語の意味も含まれる。「むすびかたみらな」は「団結して仲間になろう」と訳した。



朝夕ちがきてぃうみはまてぃ老てぃ若さん サーチバティ行かな
あさゆー ちがきてぃうみはまてぃ ゐーてぃわかさん さーちばてぃ いかな
'asayuu chigakiti 'umihamati yiiti wakasaN saa chibati 'ikana
毎日励み一生懸命働いて 老いて若くなる さー気張って行こう
語句・あさゆー 一日中。「朝と夕方」だけではない。朝も夕方も、つまり一日中。・ちがきてぃ<ちがきゆん。はげむ。「ち」は「気」、「かきゆん」は「掛ける」。・うみはまてぃ「没頭する、励む」【琉辞】。・いかな 行きたい。行こう。どちらの意味もある。自分の希望、意思を示すと同時に呼びかけのニュアンスも含む。



ニ、人ぬ行く道や 坂ぬ下り上い 苦しみや楽ぬ むとぅいとぅむり
ひとぅぬいくみちや ひらぬういぬぶい くるしみやらくぬ むとぅいとぅむり
hitu nu 'iku michi ya hira nu 'ui nubui kurusimi ya raku nu mutui tumuri
人の行く道は坂の降り登りと同じ 苦しみは楽の元と思え
※(繰り返し)
語句・ひら坂。「ふぃら」とも発音する。ヤマトの古語で坂を「ひら」と言った。古事記に出てくる「黄泉平良坂」(よもつひらさか)は「黄泉の国」と現世の間にある坂のこと。「ひら」も「さか」も同じ坂を表す。・とぅむり<「ト思ヒヲレ」【琉辞】から。と思え。命令形。



三、国守て立ちゆるうみ童でむぬ道迷いしみな親ぬ心
くにまむてぃたちゅるうみわらびでむぬ みちまゆいしみな うやぬくくる
kuni mamuti tachuru 'umi warabi demunu michi mayui shimina 'uya nu kukuru
国を守って立っている愛する子どもだから道を迷わせるな それが親の心だ
※(繰り返し)
語句・うみわらび愛する子ども。「うみ」は「想ゆん」(愛する)から。・でむぬだから。・しみな<しみゆん。させる。否定、命令形。させるな。



四、昔名に立ちゃる守礼ぬ国でむぬ手とてうきちがな民ぬ血筋
んかしなにたちゃる しゅれーいぬくにでむぬ てぃーとぅてぃうきちがな たみぬちすじ
Nkashi naa ni tachuru shuree(i) nu kuni demunu tii tuti 'ukichigana tami nu chisuji
昔有名であった守礼の国であるぞ 手を取り合って受け継ごう 民の血筋を
※(繰り返し)
語句・なにたちゅる有名な。・しゅれーい 守礼門は「しゅれーもん」と共通語の読み方をする。「守礼之邦」は守礼門にある扁額。「明の神宗が詔勅(1579年)の中で琉球を『足稱“守礼之邦”』と嘉[よみ]した句から」【琉辞】。「しゅれー」と発音するが唄い安く「しゅれーい」としてあるのだろう。



ちばり節
マルフクレコード「喜屋武繁雄 健児の塔/ちばり節(民の血筋)」に収録されている。




2020年12月20日のNHK「民謡魂」という番組で首里城の復興を願ってよなは徹さんがこれを熱唱された。
力強い歌と三線に観た人は心打たれた違いない。
その番組の放映数日前にNHKのディレクターからこの歌の訳詞が欲しいとの電話が私にあった。
それで上の訳詞を遅らせてもらい番組で使っていただいた。役に立てただけでも幸いである。

なお工工四が欲しい方は私までメールを。


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Posted by たる一 at 07:13│Comments(0)た行沖縄本島
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