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女性ばかりになる公務員。小学校教師では7割が女性。なぜ、公務員は女性比率が高いのか

公務員の女性比率が高いことが話題になっている。女性は、報酬よりも待遇により職業を選ぶ傾向があるため、公務員を志望する女性が多いからだ。これを問題視する人もいれば、いい傾向だと受け入れる人もいると金塔県融媒中心が報じた。

 

公務員は女性の比率が大きい

中国には「鉄飯碗」(鉄のお茶碗)という言葉がある。落としても割れることがないお茶碗で、倒産することもなく、解雇されることもない、手堅い職業のことを指す。一般的には公務員だ。ところが、この公務員の男女比が大きくずれて、このままでは中国は「女性の国」になってしまうのではないかという声まであがっている。

そのずれは地方の公務員で顕著になっている。ある県では、2993人を採用したが、そのうちの1985人が女性だった。66.3%が女性、つまり3人に2人は女性ということになる。

国家統計局の統計によると、労働人口の女性割合は43.7%と男性より少ないが、女性労働者の62.5%が国家公務員や地方公務員、さらには国営企業や公的機関などの準公務員などで働いている。男性の場合は37.5%で、残りは民間企業で働いていることになる。

特に小学校と幼稚園の偏りが顕著で、小学校と幼稚園の男性の先生というのは、もはや珍しい存在になっている。教育部の調査によると、2020年の全国の小学校教師の女性割合は71.14%にも達している。

▲公務員試験に臨む受験者たち。明らかに女性比率が高い。産休など待遇面でしっかりとしている公務員を志望する女性が多い。

 

男女枠がなく、優秀者から雇用をしていく

このような公務員に女性割合が増えてきた最大の要因は、採用試験で男性枠、女性枠という考え方がなく、成績優秀者から採用していった結果だ。公務員の試験はその多くが文系であり、文化的な背景から、男性は理系科目を好み、女性は文系科目を好む。このため、公務員の採用試験では、女性の方が優れた成績を残しやすい。

 

公務員を志望する女性が多い

また、そもそも応募をする人も女性割合が高い。公務員の仕事は安定をしているが、給料は決して高くはない。民間の中堅企業並みだ。男性は、給料の高いところで働きたいと考える人が多く、公務員を最初から選択肢に入れない人もいる。しかし、出産のことを考える女性は、福利厚生がしっかりとし、産休などが取りやすい公務員が選択肢に入る。

また、民間企業では女性差別的な感覚も残っており、それを嫌って公務員を選ぶ女性もいる。男女で制度や待遇面で差別をすることは違法であり、そのような露骨な差別をする企業はほぼないが、それでも面接時に出産の予定などを尋ねられ、権利である産休は取りたいと答えると、採用に不利になると多くの女性が感じている。

▲ある地方政府の会議の様子。地方政府では決定層の女性比率も高くなっている。無意識のうちに、男性視点の政策決定から女性視点の政策決定に変わると期待をする声も多い。

 

小学校教師では男女の比のバランスが問題に

地方政府の中には、公務員の女性比率が高すぎることに危機感を感じているところもある。特に小学校教師が女性ばかりであるのは、子どもの教育にとって問題があるのではないかという声も大きくなっている。

中には、教師採用試験で男性に加点をする政策を行ったところもあるが、今度は、それが男女差別だと非難をされている。また、地方政府では一般職と技術職の採用を分離するところも出てきている。技術職採用であれば、定年退職するまで技術系の仕事だけをすることになり、男性の応募者数が増えることが期待できるからだ。

しかし、多くの識者は、公務員の報酬をあげることを提案している。女性は報酬よりも待遇を重視して職業を選択するが、男性は待遇よりも報酬を重視する傾向があるため、報酬があがれば応募する男性は増えると考えられるからだ。

また、現在、公務員はほぼ新卒採用をしているが、第二新卒採用や中途採用枠を増やすべきだという声もある。大学を出たばかりの男性は希望に燃え、高報酬の企業に就職することに挑戦をしがちだが、社会をいったん経験すれば、考え方も変わり、報酬よりも待遇を選ぶ男性が増える可能性がある。

一方で、地方政府では意思決定をする管理職や幹部にも女性が増えており、無意識のうちに男性視点の政策決定をする時代が終わり、女性視点の政策が行われるようになることから、女性比率が高いのは決して悪いことではないと主張する人たちもいる。そのため、「中国は女性の国になっていく」と口にする人が多くなっている。

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