「アジアの女には性的虐待をしたって構わない」コロナ感染再拡大で欧州に広がるアジア人差別、手を出された被害者も
欧州の中では最も早く2度目のロックダウンを発表したフランスは、アジア人差別が顕著だ。フランスのSNSではアジア人への差別を訴える声が広がり、ネット上では「コロナを広めたアジア人狩りをしよう。アジア人は制裁を受けるべきだ」「アジアの男には暴力を振るい、アジアの女には性的虐待をしたって構わない」といったような衝撃的な言葉が並んでいるという。日本でも、欧州在住のとある日本人が、パリでアジア人を見かけたら殴ろうというデモが起きているとTwitterで報告し、多くのリツイートを集めて話題になっていた。パリ在住の元フジテレビアナウンサーの中村江里子氏も、自身のブログで夫のオフィスにいるアジア人の同僚が電車で新型コロナウイルスの感染拡大を理由に恫喝されたことや、差別の被害に遭わないために娘に外では極力、日本語は使わず、できるだけフランス語で話すように伝えたと綴っている。それほど現地の事態は深刻なようだ。
フランスに続いてロックダウンを発表したイギリスでは、フランスほどではないものの、ロックダウン以降、アジア人が嫌がらせを受けたという声がある。アジア人家族の家の前にゴミが置かれていたり、アジア人が電車で知らない人に「コロナは出ていけ!」と言われたりと、少なからず被害はあるようだ。
「イギリスはもともと多くの人種がいて、差別することには敏感でもあるので、フランスのようにSNSでアジア人を潰せというような運動は今のところ展開されていません。ですが、心ない言葉を発する人は一部でいます。私の周りでは手を出された日本人はいませんが、みんな、外でコロナの話はしないなど、警戒はしています」(イギリス在住日本人)
一方で、あまり差別が感じられないというのがドイツだ。ドイツはフランスと同日にロックダウンを発表したが、ロックダウンそのものには反発がありデモなどが行われているものの、新型コロナウイルスの流行をアジア人と結びつける人は少ない。田舎の方では知らない人に「お前のせいでまたロックダウンになった」と言われたアジア人がいたという話は聞いたことがあるそうだが、ドイツ在住の日本人の声を聞くと、現地はそこまで深刻ではないという。
「そもそもドイツではロックダウンをしてもあまり生活に支障がないと思っている人が多いです。娯楽施設や飲食店は閉まっていますが、飲食店ではテイクアウトもできるし大きなスーパーも開いているし、ロックダウン自体をそこまで窮屈に感じていないという声が多いですね。ロックダウン後、子どもと近所を散歩しましたが、知らない人が挨拶をしてくれますし、いつもと変わらない光景です。とは言え、ロックダウンに反対する人は一定数いるので、フランスのようにアジア人差別を呼びかける運動がいつ始まってもおかしくないなと怯えてはいます」(ドイツ在住日本人)
新型コロナウイルスがもたらした弊害は、差別にまで及んでいるようだ。