悪魔の子守唄! アナベル 死霊館の人形
ええっと、ここ数日ちょっと色々ありすぎて気持ちが落ちているわけですが*1、そんな中でも細々と映画を観ておりました。久々に劇場で映画3本はしご!という強行スケジュール。前回の「エクソダス」をミュージカル映画「アニー」とホラー映画「アナベル」の二本の「アニー」で挟むという何の脈絡も共通性もないラインナップ。ちょっとづつ感想書いていきたいと思います*2。とりあえず今回は「死霊館」のスピンオフホラー、「アナベル 死霊館の人形」の感想を。
物語
これは「死霊館」冒頭でウォーリス夫妻が手がけたアナベル人形の事件の物語…
ジョンとミアのゴードン夫婦は待望の第一子の出産を控えていた。ある夜、ミアは隣のヒギンズ夫妻の悲鳴を聞く。ジョンが確かめに行くと家の中で夫妻が殺されていたという。自宅に避難するミアをジョンがプレゼントした人形を抱えた女と男が襲う。駆けつけた警官によって男は射殺、ミアの部屋に立てこもった女は自殺していた。女はヒギンズ夫妻の娘アナベルで男は恋人。カルト宗教にはまり、悪魔を呼び出すために実の親を殺したのだという。
ミアは重症を負ったものの幸い赤ちゃんと母体には問題はなかった。しかし自宅では怪異な現象が頻発。ミアは女が抱えていた人形を捨てるようジョンに頼むのだった。ある時ジョンの留守中に火事が起こるもののミアは無事女の子を出産、リアと名付けられる。夫婦は家を出てジョンの勤め先の病院に近いアパートに引っ越すのだった。しかしそこには捨てたはずの人形が…!
一応、「死霊館」の前日譚だけれど直接の関係は無し、劇中ウォーレン夫妻と思わしき人物にも言及されるが登場はしない。また邦題だと副題として「死霊館の人形」となっているが、前作の時点でセイラムでの幽霊屋敷事件とこのアナベル人形の事件は別物で「死霊館」の方に言及されるわけでもないのでこの邦題はちょっとウソかな。大体今回は家じゃなくて人形の話なので引っ越しても追ってくる(ただ最初のほうで家に問題があると主人公夫婦が推測する描写はある)。
さて、僕はジェームズ・ワンのホラー映画にはあまり興味はなかったのだけれど、なんといっても「死霊館」の感想は(おそらく)2013年秋から2014年いっぱいにかけて最もアクセス数が多かった記事(何度も書いてますがそのほとんどは「三角絞め」さんからのリンク)。今でもそれなりに多く読まれているようだ。そういうわけで、これは是非見に行かねばなるまい、と思ったのだった。ただ世界観を同じ(一応両方共実際にあった事件の映画化!という触れ込み)くしても監督が変わり、「死霊館」の登場人物も出てこないのでそれほど「死霊館」とリンクしている印象は受けない。僕はてっきりウォーレン夫妻を演じたパトリック・ウィルソンとヴェラ・ファーミガがまた主人公として出てくるのかな、と思ったのだが。
アナベル人形の事件は前作の冒頭でイントロダクションとして語られて、「人形が勝手に動きまわったりして調べてもらったらアナベルという女性の幽霊が取り憑いていると言われた。でも更に調べたら、取り憑いていたのは幽霊ではなく悪魔だった!」という旨語られる。そしてウォーレン夫妻の自宅に封印される形で飾られ、メインの物語ではないけれど要所々々で登場して恐怖感を煽っていた。ポスターなんかでも登場して映画のイメージキャラクターみたいになっていた。
映画は「ローズマリーの赤ちゃん」の現代版(とっても舞台となる事件は「ローズマリーの赤ちゃん」と同時期の1969年)といってもいい出来栄えで、チャールズ・マンソンと彼の「ファミリー」が起こしたシャロン・テート事件*3も影響を与えているか。冒頭ではミアがマンソンの事件の報道をTVで見るシーンなんかもある。
事前にもは「死霊館」に出てきたアナベル人形の話、というぐらいしか知らなかったのでどんなキャストが出ているか分からなかったのだが(ウォーレン夫妻としてパトリック・ウィルソンとヴェラ・ファーミガが出てくると思ってた)、はっきり言うとあまり有名なキャストは出ていない。映画が終わりクレジットが出てきたとき、「アナベル・ウォリス」と出てきて一瞬「正式なタイトルかな?」と思ってしまったが、これがミアを演じた女優さんの名前。「アナベル」を巡る話の主演をアナベルさんが務めている形である意味最後の大オチであった。まさか名前でキャスティングされたわけではないだろうが、でもこの人は美人で芯が強く、でもどこか神経質そう、というホラー映画にはぴったりの女優さんでした。
夫のジョン役のワード・ホートンはなんでしょうね。ハンサムだし優しいし、色々理解もあるんだけれど、どこか頼りなさそうなオーラが全身から漂う人でした。
助言をくれる隣人のアルフレ・ウッダードは多分この中では一番の大物で僕は「スタートレック ファーストコンタクト」で21世紀においてゼフレム・コクレーンのワープ飛行の開発を手伝ったリリー(この映画におけるピカード艦長のお相手)役で認識。
ホラーの演出としては意外と堅実というか直接見せたり、あからさまに人形が自律移動したりはしない。オーソドックスな牧神パンっぽいデザインの悪魔が黒子よろしく人形を動かしたりする。この辺「インシディアス」や「死霊館」のジェームズ・ワンのイメージを連想すると拍子抜けするかも。それでもミシン作業をしながらミアが視線を他に向け、ミシンで怪我するんじゃないか?と観客をビクビクさせるところとか、ホラー・サスペンスの演出としてはとても手堅いものとなっております。
エピローグでは(今現在も)ウォーレン夫妻のところで封印されているアナベル人形を映して終わります。でもね、一番の問題点はアナベル人形特に幽霊だ何だと問題になる前から十分怖いデザインなんですよ。一応こっちも「死霊館」の時に、軽く調べてその時もネタにしたけれど、実際のアナベル人形はとてもファニーなデザインなわけです。
映画的にはこのぬいぐるみ感溢れる人形より映画で出てくる陶器か木製か、あのちょっとリアルなクラシックドールの容貌のほうが恐ろしいのも分かるけど、こっちはこっちで観てみたかった気も。この2作は60年代から70年代を舞台にした実録ホラーという形式をとっているので、さすがにこれ以上の広がりはないかな、と思うのだけれど(それこそウォーレン夫妻が調査に携わったという「アミティヴィル・ホラー(「悪魔の棲む家」のモデルになった事件)」の話を「実は悪魔でもなんでもありませんでした!」という物語という結論で映画化とかになってしまうような)、ただウソも有り!という前提だとウォーレン夫妻を主人公にした心霊ものは観てみたいかも。今回も実はウォーレン夫妻が事件に関わる前の持ち主の物語で、どこまでが実際の話しに基づくものなのかは実際は怪しい。
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こちらが前作。本作はこれの前日譚という形を取りますが、直接の関係はないです。
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あー、でも一番の恐怖はチャールズ・マンソンがまだ獄中で健在って事かもしれないなあ(最近も獄中にいながら結婚詐欺にあったとかあわなかったとか話題になりました)。
あと!本編開始10分後ぐらいにぞろぞろ喋りながら入ってきて僕の後ろの席に座り、「これ怖いやつ?」「吹替じゃないのかよ」「やべ!コンタクト忘れた」とかいつまでもくっちゃべってた高校生ぐらいの4〜5人ぐらいの集団!お前ら全員呪われよ!
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*1:なんとなく察してもらいたいですが応援している某アイドルグループで色々ありました。落ち着いたらなんか書くかも
*2:まだ「アメリカン・スナイパー」も観て感想書いてない状態。なんだかイーストウッド作品は想いが色々深すぎて逆に躊躇しちゃう
*3:女優で映画監督ロマン・ポランスキー(「ローズマリーの赤ちゃん」の監督!)の妻でもあるシャロン・テートとその友人4人がマンソンの命令のもと彼の信者たちに拠って殺された事件