カテゴリ
最新の記事
最新のコメント
最新のトラックバック
以前の記事
フォロー中のブログ
岡田栄造のデザイン日誌 にぶろぐ@無人店舗 ワイネフマガジン『悩マシ... 薫のハムニダ日記 Chupika Szpinak 救世主Yの独白 ミクロネシアの小さな島・... BLOG BLUES Kiring Field リサイクルアートGOOD... 検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
最後のキハ52に乗った。
といっても鉄道に興味のない人にはなんのことやらだけど、国鉄時代に1000両以上作られ日本中で通勤客や旅行客を乗せてた車両が今や大糸線糸魚川~南小谷区間に3両だけ残り、それもこの3月で引退するのだ。 まだJRが国鉄と呼ばれ国民の持ち物だった頃、カニ族(完全に死語ですね。デカイキスリングザックを担いで列車に乗り込むので通路を横歩きでしか移動できず、その姿をさして今でいうバックパッカーを当時そう称したのでした。)だった私は周遊券なる格安乗車券(当時は大阪〜北海道間一ヶ月乗り放題2万円、なんて貧乏で暇のある向きにとって素晴らしい切符があったのです。)を利用して鈍行や普通急行を乗り倒していたので、かのキハ52に乗り込むとあの頃の国鉄車両の何度も塗りなおした窓枠や座席枠のペンキのツンとした匂いとか侘しい室内灯のまたたきとか小卓や床に残る先客のこぼしたジュースのベタベタなどのカニ族時代のモロモロの記憶がみるみる蘇って来て。短い時間ではあったけど何とも言えない穏やかで優しいひとときを過ごしたのだった。 でも。そのキハ52に揺られていた時間に感じたなんとも言えない穏やかな気分というのはどうも郷愁だけではないような気がしたのだね。なんだろう、「国鉄」というものに対して当時人々が抱いていた信頼感、あるいは安心感のようなものがキハ52を通して伝わってきたとでもいうか。老夫婦一組しか乗り降りしない駅を無くさないでいた空気とでもいうか。 昨今夜郎自大なナショナリズムが勃興し”世界に誇る日本文化”などとやたら胸張ってる向きもあり、どころか他国の”文化”を見下すことを隠さないバカの声も大きくなってるようだけど、各駅列車の車窓からこの国の景色を眺めていたら「何が”日本文化”だよ、クソッタレが!」って無闇に叫びたくなったのですね。コンクリートで埋め尽くされた海岸線や50年も経てばゴミになるような住宅で埋め尽くされた街やコンビニとラーメン屋と焼肉屋とホームセンターしかない国道。ゴミ溜めとハリボテと自殺者だらけのこの国で何が「世界に誇る日本文化」だよ、なんなんだよ、「日本人」ってさ。 なんて非常に厭世的な気分に陥ってたのだけど。 キハ52が「いやいや、日本人もわりかし捨てたもんじゃないかもよ。」って教えてくれたような気がして。列車を時間通りに走らせるために黙々と働いていた人々と列車が時間通りに来ることを信頼して待つ人々の、「国家」だの「文化」だのに関係なく、ただ誠実であろうとしてる「にほんじん」の姿をキハ52が見せてくれたように思えて少しだけ落ち着いたのでした。 ![]()
by sivaprod
| 2010-01-18 05:34
| 乗る
|
ファン申請 |
||