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ここ数ヶ月、平沢進の曲ばかり聴いていた。今でも聞いている。
平沢進はわが国のテクノの始祖のように言われ、いまだに音楽の実験に挑戦し続けている人だ。 この人の曲に「UNDOをどうぞ」というのがある。 平沢氏の楽曲の題名はあまり意味を探しても仕方ないものも多く、「UNDOをどうぞ」という題名もわたしは「運動をどうぞ」と読んでしまい、P-MODEL時代の楽曲だと思いこんで聞かずにいたのだ。(平沢氏の楽曲でお気楽な題名がついているのはP-MODELというグループをやっていた頃に多く、わたしはP-MODELにはあまり感銘を受けなかったのだ。) 最近ふと、あっ、UNDOってアンドゥのことやったんや!と気付き、ちゃんと聞き直してみたらとんでもない曲だった。 老人が独り言を呟き、その合間に「アンドゥ ヲ ドウゾ」と合成声が挿入される。 老人が呟く。太平洋戦争中にガダルカナルで「わたしはとんでもない失敗をしてしまった」「実に気だてのいい上等兵だった」「殺して」「喰ってしまった」「それ以外にやりようがなかったからやった」「私の言い分はそれだけ」。 勇壮で重厚な音圧の向こうから声優とも素人とも判じがたい声が語り続けるのだ。 取り返しのつかないことをしてしまった老人に「UNDOをどうぞ」。 なんという残酷な曲だろう。 こんな残酷な曲を作る平沢進から未だに離れられないのだ。 追記: 「QUIT」という曲にもたどたどしい老人の呟きが入る。 「名前、控えておいていただけませんか。」 「さようなら。それだけです。」 この曲を聴くたびに涙が出そうになる。
by sivaprod
| 2006-03-17 07:13
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