一度パチッと瞬きをしたあとに、スッと瞼が沈むこの表情芝居に胸をグっと掴まれました。前後の間やタイミングも凄く好きですが、一番の理由は青葉が紅葉との関係性を気にする素振りとして、とても良い表情づけだと感じたからです。観ての通り、派手な作画ではありません。 けれど、感情というものは細かな機微にこそ宿り私たち視聴者の記憶により強いイメージを与えてくれるものだと思います。それこそ細かな芝居が多ければ作画する枚数は増え、負担も大きくなるはずです。それでもこうしてちょっとした機微を損なわないよう描くのは、登場人物の想いや気持ちを蔑ろにしないためであることは少なくないはずです。
特に本作においてひふみは口数の少ない人物です。でもそれ以上に表情が豊かな人だとも思います。内気な性格から一つ殻を破りたいと願っていたのは一話の面談シーンで描かれていましたが、それ以降彼女はよく笑うようになりました。これは作中でしずくさんも言及していたことです。けれど、まだぎこちなさが残っていたりもしていて、特に紅葉に話しかけるシーンでは力んでいる様子が見える、溜め・詰めを少し意識した動きになっていたと思います。それも非常にひふみらしいなとは思うのですが、その会話の最後に見せる自然に笑う表情とその際の動きはまた違った彼女の側面を描いてくれていました。ふわっとした動き。優しい目と表情。青葉の時と同じく瞬きのあとに少し瞼を下げる芝居。でもその印象は真逆ですし、感情描写としてもそれは同じだったと思います。もちろん、眉毛や瞼の角度で表現される感情が変化する、というのは多くの作品がやっていることですが、特に今回の話ではそういった芝居づけを強く意識させられました。
ただ、もしかしたらこういった芝居は『NEW GAME!!』全体で意識されていることなのかも知れませんし、今話を視聴した際にそこに注視した結果、そう感じただけ(今回の話に限ったものではない)なのかも知れません。けれど、今話における上に挙げたような芝居づけはとても素敵でした。演出指示なのか、アニメーターのアドリブなのかハッキリとしたことは分かりませんが、感情との同調などを考えれば演出方針の要素もあるのかなとは思います。コウと紅葉の目パチが合ったカットなんかも演出意図がハッキリしていて面白かったですね。そして新しく登場した紅葉は常にきつめの表情。それが今後どう変化し、どの様な芝居がつけられていくのかも今後楽しみだなと思います。
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