アニメ芝居
*1 『葬送のフリーレン』1話。これはフリーレンが新たな旅立ちに足を向けるシーンのラストカットですが、BOOK処理され画面奥からせり上がってくる丘の風景がとてもエモーショナルで良かったです。新しい冒険の始まりを "新しい風景の提示" と同期させ、演出…
幾人かの友人達に「観てみて」と言われていた『サイバーパンク:エッジランナーズ』をようやく観ました。一言で言えば後味に苦みのある耐え難き心境を迎えているわけなんですが、そんな今の感情が落ち着きを取り戻し凪いでしまう前に一度文字に起こしておき…
「目は口ほどにものを言う」とはよく言ったもので、それは物語を描くアニメーションの世界においても決して例外ではありません。言葉はなくとも表情や仕草で伝わるコミュニケーションの妙。それをより良く体現しているのが瞳の存在であり、それを取り巻く目…
「成長って正直なところよく分からない」。そんなひとりのモノローグと一連の流れから差し掛かるワンシーン。住宅街であろう道に煌めく看板と自動販売機の中を淡々と歩くぼっちの姿は、そんな変わり始めていく景色の中で心だけが追いついていかないその心境…
『明日ちゃんのセーラー服』7話。体育館の下窓から零れる光がフットライトの替わりとなって二人を照らしていたのが印象的でした。逢瀬。密会。秘密の共有。そもそもが各々の秘密を知り合う構成の話ではあっただけに、こういうカットが描かれたのは納得しかな…
ファーストシーンにおけるままならさ、孤独感、色褪せた世界の質感。そこへひとりの語りも合わさることで、このシーンから彼女の出自や当時の感情を知るのはかなり容易なことであったように思います。"独り" であることへの鬱屈とした想い。それを多角的な方…
「死にたかった」という強烈なワードが印象に残りこびりつく、22/7の新曲『曇り空の向こうは晴れている 』 。しかし、その実情は "いつかはそこへ光が指す" ことを鮮明に記した生きるための道標 (みちしるべ) そのものでした。何処かで誰かが抱えているであ…
本作の要ともなる存在、セーラー服。作品タイトルとしても使われるそれがどれほどの意味を帯びているのかということを知らしめていたのが本話において描かれた着替えのワンシーンでした。母親から手渡される制服に静かに伸ばされる手と、向けられる視線。大…
最近と言うよりは、昨年末に観て印象に残ったものについて少し。まず『王様ランキング』9話。ドルーシとヒリングの過去が描かれる回想シーン。ドルーシの台詞にあったようにそれまでは不器用で、どこか子供に対しても高圧的な印象が抜けないヒリングの姿が描…
*1 『その着せ替え人形は恋をする』5話。五条君が喜多川さんに惹かれ始めていることを示唆するシーン。契機となったのはこれより前に描かれていた喜多川さんがにひっと笑うカットだったと思いますが、個人的により印象に残ったのはこちらのカットでした。当…
アニメーションから感じる躍動感と感情、それらが総合し伝わってくる生命力。そういった言葉にしてしまえばとても陳腐で漠然とした、けれど確実に心を揺さぶられてしまう瞬間が私はとても好きです。画面の向こう側に居る登場人物たちがその世界の中で身体性…
本来は先日の記事でまとめて書くつもりだったんですが、2話について書きたいことが多くそれなりの分量になってしまったので記事を分けました。基本は前回書いたことの延長です。ようは真剣な会話をするうえで向き合うことって大切だけど、それを映像からも丁…
終始芝居が良かった11話。中でも特に気になったカット、シーンについて。まずはAパート頭のお風呂のシーンですが、瞬間瞬間でドキッとするような端正な顔立ちが描かれていたのがとても良いなと思いました。元々のデザインが可愛らしく良い意味で情報量が多く…
冒頭で描かれた肉子ちゃん、波乱万丈の半生。そういった物語とは打って変わり、本編で描かれたのは徹底した生活風景とその中で巻き起こる感情の起伏、そして関係の変化でした。特に多かったのは船内での母子生活。寝転んだり、料理をしたり、食べたり、トイ…
全編に渡り芝居づけや表情などの作画、演出が素晴らしかった本話。観ていて本当に良いなと思えるシーン・カットばかりだったのですが、その中でも特に気になったものについてふれていきます。まずはこのカット。最初の手の芝居がとても好きで、何度も繰り返…
*1 『Vivy -Fluorite Eye’s Song-』1話。AIであるヴィヴィと人との違いを感じさせない芝居。序盤のシーンではありますが、ここでこの芝居が描かれる意味って自分の中では凄く大きかったなと思います。人の感情と呼べるものに対しまだ鈍い反応をみせる彼女で…
『やくならマグカップも』3話。全体的にシリアスな空気感の中で話が進んでいく回でしたが、こういったロングショットで登場人物たちの中に流れている時間を共有させてくれたのが凄く良いな、と感じました。奥から手前に歩いてくる二人、他愛もない会話。緊張…
先日『のんのんびより のんすとっぷ』1話のアバンを観返していて、この間の持たせ方とか雰囲気の出し方って、この作品の特別な色にすらなってるよなとか、そんなことを考えていたんですが、改めて1期や2期を振り返っても記憶にあるのはやはり同様のFIX(カメ…
一度着てしまうとその身に不幸をもたらすワンピース。そんな代物に心奪われてしまう少女たちの群像劇を描いた作品が『呪いのワンピース』でした。今年になってようやく配信が開始された作品であり、監督・作画監督を木上益治さんが担当されていることを知っ…
先日、久しぶりに『あの日の彼女たち』を観返したわけですが、映像から溢れ、受け取れるものの多さに改めて感動させられました。環境音を使いBGMをなくすことで、そのシーンを特定の感情へ誘い込むことをしない。けれど、BGMがないからこそ受け手へ緊張感が…
以前から触れたいと思っていた挿話がありました。それが22話終盤のシーン。「尚文様は居なくならないですよね?」とラフタリアが尚文に問いかける場面でした。 ラフタリアが抱いていたこういった感情はこれまでも何度か描かれ、話が進むごとにその深刻さは増…
静かな朝から始まるオープニングフィルム。静寂な曲調の中に織り交ぜられるフェティッシュなカットが非常に素敵で堪りませんでした。女性特有のシルエットに含まれる艶美さと可愛らしさ。それだけでもグッと引き付けられてしまう魅力に溢れていますが、撮影…
自分自身が “何者” でもなかったこと、特別な何かになったつもりで、その実なに一つ成長してはいなかったことを突き付けられた霊幻。そんな彼の帰路を映した終盤シーンが本当に素晴らしく、モブとのやり取りとそれを切り取ったカメラワークには強く胸を震わ…
おそらくはTV版9話以来となった山田エルフ主役の回。普段の高飛車な振舞とは違い、本心に触れられてしまうとどうしようもなく戸惑ってしまう彼女の心情が丁寧に描かれていて非常に胸に迫るものがありました。特にAパートは本心をぶつけられないエルフの寡黙…
麻衣さんとかえでの楽しげな会話も束の間、続くシーンの冒頭でガラリと変化した空気と質感には思わず息を飲みました。例えるなら、ここまで平熱を保ち続けていた*1フィルムがついに熱を帯びだしたような。ガラス越しに見つめる自身との対峙、その視線を捉え…
独特な間合い、印象的なカッティング、そこに託された心情と関係性。少女たちの内面を寡黙に映すことを美徳とするかのような今シリーズの演出スタンスは健在でありながら、day04佐藤麗華編で描かれた関係性と対となるような見せ方で構成されていたのがとても…
グリッドマン同盟なるものの発足の傍らで鬱々とした表情を見せる少女、宝多六花。一話における戦闘の影響でクラスメイトが居なかったものとされてしまったことへのショックは隠し切れるものではなく、その心情を汲み取るレイアウト、陰影、距離感が非常にう…
表情変化や歩き芝居に始まり、抱き寄せる芝居、ものを運ぶ芝居、屈む芝居、掃除をする芝居など、おおよそ生活の中で見られるであろうアニメーションを徹底して描き出した今作。日々人が営む中で起こす動きを描くというのは非常に難しいことですが、それを終…
7話から描かれ続けてきたあおいとひなたの擦れ違い。おそらくは、あおいの成長、交友関係の広がりに対して “遠ざかっていくような感覚” をひなたが覚えてしまったことが原因の一つになっていたのでしょう。どこへ行くにしても常に傍にいた存在が少しずつ “自…
月に向かい手を伸ばし「まだまだ遠いな」と呟くみおをエモーショナルに切り取ったラストシーン。月灯りに照らされる質感がとても良く、モチーフやレイアウトなどカレンやラブミーティアに交錯した感情を抱いていたみおの内心をとてもよく描き出してくれてい…