中国文化がメイン『死体は誰のものか 比較文化史の視点から』
風水など中国風俗に詳しい先生が、さまざまな文化における「死体」の扱い、意味、ケーススタディを繰り広げる、エッセイ風味のおいしい読み物。
中国では、清代の刑法を見るかぎり、親族を殺害までして死体を作り、みずからの要求を押し通そうとする事件が多発していたことをうかがわせる。
現在日本の喪服は、黒が一般的だが、明治のころまでは白が普通だった。また、日本の結婚式における花嫁の白無垢姿を見ると、漢族はギョッとする。頭を覆う白い角隠し、白無垢の着物は、漢族の喪服を想起させるからである。
漢族社会において、嫁ぎ先で虐待された女性が自殺するとき、それは単なる当てつけではない。死後に自らの死体を用いて、実家が婚家に対して恨みを晴らしてくれるに違いない、といった確信を抱いているものと思われる。
インターネットの解説などで、キョンシーはミイラ化した死体だと述べているものもある。これもまた、間違いである。キョンシーは屍蝋(しろう)化した死体なのである。
フランケンシュタインで思い出した。中国語でゾンビって僵尸なんだけど、キョンシーも同じく僵尸なのは納得いかないんだよねー。まあ同じく元気な死体なんだけど・・いわゆるゾンビは腐人とかでいいのにな。ちなみにミイラ的なカサカサのは乾屍っていうらしい。キョンシーはふっくらして毛も長い。
— 櫻花妹@ぺりお🐼『既来之,则安之』 (@yinghuamei2) 2016年11月28日
腐敗屍骸像は、トランジ(transi)と呼ばれる。「通り過ぎる」という意味をもち、死から始まるプロセスを指している。カトリックに基づく解釈では、肉体の腐敗は罪さらの証とされる。その姿を石に刻んで人前に曝すことで、その罪を告白しているのだと考えられた。
14世紀ごろから17世紀ごろのヨーロッパにおいて建造された腐敗屍骸(トランジ)像についての研究書「死と墓のイコノロジー」
— 幻想系古本屋 Doris (古書ドリス) (@info_doris) 2018年9月22日
トランジ像とは、従来の理想化された死者の肖像にかわって、死による肉体の崩壊をあらわに表現した特異な美術。122の図版を収録。https://t.co/aWW8dllkBS pic.twitter.com/WZjq2FpFox
上田信『死体は誰のものか』(ちくま新書)実に楽しい読書でした。洋の東西を問わない学識の深さ、現代日本への眼差し、全てが美しく調和した作品です。これだけの学識があったら見える世界が違うんだろうなぁ、羨ましい。 pic.twitter.com/yTttqXzkHA
— 東洋史の院生bot (@Toyoshi_Toyoshi) 2019年5月24日
【筑摩書房 近刊情報5/9発売】上田信『死体は誰のものか―比較文化史の視点から』(ちくま新書)
— 筑摩書房 (@chikumashobo) 2019年5月4日
死体を忌み嫌う現代日本の文化は果たして普遍的なのか。チベット、中国、ユダヤ・キリスト教から古典落語に登場する死体、臓器移植をめぐる裁判まで。来るべき多死社会に向けて日本人の死生観を問い直す。 pic.twitter.com/tNKxadgONe
上田信『死体は誰のものか』
— 汁粉 (@redbean2218) 2019年7月10日
漢族・チベット族・ユダヤ・キリストと日本の事例を読み解きながら、死体というものの捉え方がそれぞれの地域・時代ごとに違うことを示している。
果たして昔から考え方は変わっていないのだろうか。自分達の捉え方は普遍ではないという当たり前のことを考えさせられる。 pic.twitter.com/nqLfJQDhKz
『死体は誰のものか 比較文化史の視点から』
上田信
ちくま新書
筑摩書房
中国では、大事な死体をわざと放置することによって、公的権力への異議申し立てをしちゃったりするもんで、新型コロナウイルス騒ぎのときも、けっこう路上に死体が放置されまくり。
中国メインで死体を語るとなると、当然キョンシーも登場いたします。
チベットの儀式をフィールドワークした時の思い出も語られて、気負わず読める異文化比較。
死体は誰のものか、という比較文化史の本を読み始めたのだが大変興味深い。中国の死体を用いた脅迫、図頼の凄まじさ。この激しさがあったからこそ、中国で暮らす人々の要求を通すための力、意思は苛烈だと分かる。タイトルに興味を引かれて読んだのだが、これはとても面白い。
— ハチ@通販なう_(:3 」∠ )_ (@8_8_neko) 2020年1月7日
ちくま新書の『死体は誰のものか』を読了。死生観や死体観は宗教や文化によって相当異なっているようで、興味深い。終章において、死体は物なのか、相続の対象となるのかという議論がされていて、それはそれで学問的に面白いなと思った。
— 酒事 怠け猫@読書家 (@nekohoumu) 2020年1月12日
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