ミニ特集:中国について読む本 その3
『日中は異文化だから面白い 言語と文化のプロたちが綴るエッセイ集』
『北京を知るための52章』
『世界史のなかの中国 文革・琉球・チベット』
『中学生に教えたい日本と中国の本当の歴史』
『日中は異文化だから面白い 言語と文化のプロたちが綴るエッセイ集』
相原茂 編 現代書館
●日中の語学学習に携わる講師さんたちが日々経験したおもしろエピソードを思い思いにご紹介。
軽く読める友好の書です。
岸弘子 ”中国の人も「買うなら白い車」と言います。黒い車を買ったら、結婚式や葬式がある度に借り出され、赤い車なら、祝い事の度に借用されてしまうからだそうです。”
芳沢ひろ子 ”中国語の「以上」「以下」は『現代漢語詞典』によるともともと方位詞で、それぞれ「ある一点の上にくる」「ある一点の下に来る」ということで、「nを含むかどうか」など数学的な定義付け用語ではない。曖昧なのが当然なのかもしれない。”
問題集をやるとき「以上」「以下」という日本語に引っかかった。中国語の感覚によると、「5人以上=6人から」で「小学生以下=まだ小学生になっていない子供」だと認識しているが、どうも日本語だと違うから本当に困ってる
— ほんこーん (@hongkooong) 2013年9月1日
この中国語の「以上」「以下」の話はソフトウェアのオフショア開発界隈では有名なことで、この取り違いは決定的なミスとなるため、仕様には記号で記述するなど言葉を使わないのが当たり前となっています。
— けろっと (@kerotto) 2016年5月24日
『北京を知るための52章』
エリア・スタディーズ
櫻井澄夫/人見豊/森田憲司/編著 明石書店
●研究者や当事者など複数の人たちがあれもこれもと盛り込んだ北京本。
自由闊達、率直かつ濃厚な北京今昔話が面白い。
中国の古文書市場の話、職場、日常、名所など話題が盛りだくさんで、北京に転勤になる人には心強いよね。
大上智子 ”「妊娠が分った女性は出産休暇が終わるまで解雇できない」「出産前後6ヵ月の有給休暇」「数割支給の準有給育児休暇の延長を会社が認める義務」など、日本より女性に優しいルールがいっぱいある。”
櫻井澄夫 ”食としての家禽(アヒル、鶩)自体は中国の社会で長い飼育の伝統と歴史がある。しかし料理として完成された北京ダックの歴史は、張競氏も『中華料理の文化史』(ちくま新書1997年)で指摘するように、百年ちょっとのものである。”
松木民雄 ”天安門の重要さを見きわめるシンボルとして、天安門の軒先に連なる小動物の置物(走獣)の数によって判別できる。走獣は四方の下り棟に整然と並んでいるが、この数字(奇数が基本)が多いほど宮殿建築のランクが高いことになる。”
故宮の大和殿と中和殿。大和殿の最も走獣が多い屋根は、この建物が中国で最も権威高いものである象徴。映画ラストエンペラーで、一般庶民となった晩年の愛新覚羅溥儀が玉座の下に筒を隠していて、開けるとキリギリスが出てくるシーンを思い出す。 #故宮 pic.twitter.com/z0z0rHJReF
— 小林悟志 (@iwana68) 2017年6月21日
『世界史のなかの中国 文革・琉球・チベット』
汪暉 青土社
●中国のエリートが、中国国内向けに、中国の国際的体面について、優等生的に言説を編み上げた本。
きっちりウラを読み解くことができるだけの知識量が要求される、かなり高リテラシーな人向けの内容。
こちらで紹介
『世界史のなかの中国 文革・琉球・チベット』
『中学生に教えたい日本と中国の本当の歴史』
黄文雄 徳間書店
●異国の把握は、異国人と知り合うこと、異国に滞在してみること、そして定評のある書籍を複数読み通すことが大事(2〜3冊程度じゃ無理)。
本腰を入れて多角的に見ないとうまくいかない。
こちらで紹介
『中学生に教えたい日本と中国の本当の歴史』
『ミニ特集:中国に民俗を見る本 その1』
『ミニ特集:中国に民俗を見る本 その2』
『ミニ特集:中国の科学について読む本』
『ミニ特集:科学技術大国「中国」2016』
『ミニ特集:中国ソシャゲ用資料』
『ミニ特集:中国について読む本 その1』
『ミニ特集:中国について読む本 その2』
『ミニ特集:2010年代の中国』