明晰夢工房

読んだ本の備忘録や日頃思ったこと、感じたことなどなど

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

かつて日本人が「猫食い」をしていた時代があった──真辺将之『猫が歩いた近現代──化け猫が家族になるまで』

猫が歩いた近現代―化け猫が家族になるまで 作者:真辺 将之 吉川弘文館 Amazon 現代ほど猫が愛されている時代もない。テレビをつければ岩合光昭が野良猫にカメラを向ける姿が映り、ツイッターを開けば「我が家の黒い妖怪」といった一文とともに日夜猫画像が流…

【書評】総勢31人の武人の生涯から南北朝時代を俯瞰できる『南北朝武将列伝 南朝編』

南北朝武将列伝 南朝編 戎光祥出版 Amazon 楠木正成や新田義貞・北畠顕家など有名どころから、南部師行・諏訪直頼などちょっとマイナーな人物まで南朝を支えた人物を網羅した本。「武将列伝」なので後醍醐天皇や後村上天皇の列伝はないが、執筆陣は全員が日…

【感想】道尾秀介『雷神』

雷神 作者:道尾秀介 新潮社 Amazon 「ラスト1ページの衝撃」を売りにするミステリはけっこう見かけるが、この一文はこの作品にこそふさわしい。道尾秀介が「これから先、僕が書く作品たちにとって強大なライバルになりました」と自負する『雷神』は、ラスト…

末摘花はソグド人の血を引いていた?八條忠基『「勘違い」だらけの日本文化史』

「勘違い」だらけの日本文化史 作者:八條忠基 淡交社 Amazon 源氏物語のヒロインのなかでも末摘花が不器量だったことはよく知られている。末摘花のモデルは醍醐天皇の四子・重明親王の子源邦正だと考えられているが、この人物の容姿は末摘花に酷似している。…

【感想】修道女フィデルマシリーズ長編第一作『死をもちて赦されん』

死をもちて赦されん (創元推理文庫) 作者:ピーター・トレメイン 東京創元社 Amazon 若くて美貌、学識豊かで弁護士資格を持ち頭脳明晰……と超ハイスペックな修道女フィデルマが難事件を解決するフィデルマシリーズの第一作。本作『死をもちて赦されん』ではイ…