明晰夢工房

読んだ本の備忘録や日頃思ったこと、感じたことなどなど

2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

【感想】田中優子・松岡正剛『江戸問答』

江戸問答 (岩波新書 新赤版 1863) 作者:田中 優子,松岡 正剛 発売日: 2021/01/22 メディア: 新書 2章の浮世問答の「学問のオタク化と多様化」がおもしろい。明治維新は江戸時代の「学び」から出ているが、江戸時代の学びとは「実」と「遊」の間にあるものだ…

【感想】今村翔吾『くらまし屋稼業』

くらまし屋稼業 (時代小説文庫) 作者:今村翔吾 発売日: 2020/05/15 メディア: Kindle版 松永久秀を主人公とする『じんかん』で話題になった今村翔吾の人気シリーズの第一作。希望する者を江戸の外に逃がす「くらまし屋」を裏家業とする堤平九郎が主人公。『…

【書評】古代蝦夷の入門書として最適の本:工藤雅樹『蝦夷の古代史』

蝦夷の古代史 (読みなおす日本史) 作者:雅樹, 工藤 発売日: 2019/05/17 メディア: 単行本 古代日本を語るうえで、蝦夷の存在は欠かせない。奈良時代から平安時代初期にかけて、律令国家はかなりの力を傾けて「征夷」をおこなった。蝦夷はそれだけ日本にとっ…

【書評】蝦夷が武士の成立に与えた影響とは?桃崎有一朗『武士の起源を解きあかす』

武士の起源を解きあかす ──混血する古代、創発される中世 (ちくま新書) 作者:桃崎有一郎 発売日: 2018/11/23 メディア: Kindle版 この本の著者、桃崎有一朗氏によれば、武士がどこからどう生まれたのか、という問いに日本の歴史学界は答えられていないのだと…

ソクラテスの妻クサンティッペの「悪妻伝説」はどのように生まれたか

ソクラテス (岩波新書) 作者:田中 美知太郎 発売日: 2019/11/28 メディア: Kindle版 ソクラテスの妻クサンティッペは「悪妻」だったといわれる。彼女はときにソクラテスに水を浴びせかけたり、上着をはぎ取ったりしたという。そんな扱いを受けてもソクラテス…