2023年 9月16日 秋田県横手市の増田伝統的建造物群保存地区(前編)

2023年10月15日
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秋田県
我が家のドライブは私が主にコース設定とドライバーを担っています。
家内は何が食べられるのかが一番の楽しみ?
今回は横手焼きそば、十文字ラーメン、稲庭うどんで何が食べたいかと問うと、稲庭うどんとの回答でした。
稲庭うどんであれば、湯沢市稲庭町が産地ですが、観光地の横手市増田町も近いから食べられるでしょう。
家内は増田町の内蔵を見たことがないとのことだったので、観光も兼ねて参りました。


3回目の訪問となります。
増田町は葉たばこや養蚕などの産地、秋田県内陸部の物流の要衝として江戸時代から昭和の戦前まで賑やかに栄えていました。
雪深く寒冷地であることから、ここでは町家作りの区割りに大きくて細長い建屋を設け、その中に居住スペースとなる主屋や蔵を併設しているのが特徴的です。
最盛期を迎えた大正~昭和初期には床から柱まで漆塗りにする贅を凝らした蔵まで建設するまでに至りました。
増田の内蔵といわれ、平成25年に重要伝統的建造物群保存地区(伝建地区)に指定されています。
ということで、まずは佐藤養助商店漆蔵資料館へと参りました。

1軒目 佐藤養助商店漆蔵資料館
佐藤養助商店は稲庭うどんを生産・販売する主要な会社の一つです。
増田町の内蔵を譲り受け、見学客への開放を行うと共に食堂も設けて美味しい稲庭うどんを提供していたのですが・・・。
駐車場はガランとしていて見慣れない暖簾が下がっていました。
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見学者への開放は行っていましたが、ここのレストラン部門は営業を止めたようです😲
他の佐藤養助商店のお店はちゃんと続けているようですよ。
ここはレストランを止めた後、様々な形態で事業を模索していたようですが結局は横手市のまんが美術館がマンガの原稿保存の相談施設として後を引き継いだようです。
売店ではうどんの他にマンガ関係のグッズも多く販売されていました。
ここで稲庭うどんが食べられないのはとても残念でしたが、せっかくなので内蔵の見学をさせてもらいました。
建屋の中に黒漆喰の見事な蔵がドンと聳えています。
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側方にまわると、ちゃんと石材による基礎もあって蔵が建屋の中で独立して建っているのです。
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側方は白漆喰、正面は黒漆喰にしており、コーナーではその双方が見事に調和するデザインです。
すげぇよねぇ💦
もともとは増田町一の大地主が建てたものだそうです。
ここまで贅を凝らした物はそんなに多くはありません。
もちろん生活スペースとして利用するのは難しいので重要な客の接待などで使われていたようです。
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蔵の中は床から柱まで漆塗りで、欄間には高級建材の黒柿などがふんだんに使われていました。
以前は1階も2階も佐藤養助商店の資料がびっしりあったのですが、今は全部引き上げられており、贅を尽くした蔵だけにちょっと侘しさが残りました。
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去り際、売店のお姉さんにこの付近で稲庭うどんが食べられるところはありますか?と尋ねると、うちのうどんでなければと前置きをして近くの内蔵の店を紹介してくれました。
損得抜きで客目線の利便性を図ってくれる姿勢に頭が下がりました。
いつかまた復活してくれないかなと勝手なことを考えつつ後にしたのでした。

2軒目 まちの駅・福蔵(ふっくら)
100mも歩かないうちに到着です。
ここも内蔵があって、見学できますがカフェと売店も併設されているんです。
稲庭うどんが食べられるところとして紹介されたのがここでした。
お店の人に声を掛けて、空いてるテーブルに落ち着きました。
カフェですが食事もできるんですよ。
まずはメニューを拝見。
迷わず稲庭うどんのざるを大盛り(200円増)でオーダーします。
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店内は三人でオペしているようです。
お一人は厨房、二人は母子かな?ホール担当のようです。
子と思しき男性店員が、待っている間に内蔵を見ては?と提案してくれました。
お言葉に甘えて内蔵を見学させてもらいました。
実はここ、2016年に初めて訪れたときは、まだ工事中で、特別に内覧させてもらったところです。
今はきれいになって多くの見学客を無料で受け入れています。
内蔵の前には多くの骨董品が並べられていました。
のみの市みたいで楽しいねぇ😊
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内蔵はこちらも黒漆喰の堂々たる貌です。
入り口には当主の家紋があるのが多いようですが、ここの蔵は道路向かいで商売をしていた方が引き継いで入ったので家紋がないのかもしれません。
伝建地区は勝手に建て替えや改変ができないので、実際に住んでいる方は結構大変なんだろうな。
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漆蔵のような美術品ではありませんが、生活の場、あるいは客人をもてなす場として活躍していたのでしょう。
欄間の細工も繊細で内部にも珍しい骨董品が並べられていました。
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見学しているうちに昼食の準備も整ったようです。
つけ汁が高台に載って出され、稲庭うどんがザルで提供です。
妙につけ汁が立派に見える?😅
稲庭うどんは平打ち麺のような形状です。
このうどんの良さはツルンとしたのど越しなんです。
歯ごたえはプリッとした軽い弾力です。
讃岐うどんのようなコシの強さなどとは違う物なのです。
地方によっては冷麦のように見えるかもしれませんね。
ズズッ!ツルツル!ペロッ!といただけるのが稲庭うどんです。
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うどんも美味いのですが、つけ汁も美味いです。
お湯でも提供してくれれば飲み干したかったくらい😅
付け合わせのナス、漬物も自家製でしょうね。
ブドウは横手産でしょうか?
どれもこれも美味かったです😋
店内はテーブルが3つ、窓際のカウンター席、そして奥に座敷席もあるようですよ。
板ガラスによる微妙な歪みが楽しかったです。
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ここの店員さんは実に明朗闊達で母と思しき方はハキハキとしているし、若い男性は親切で老齢の客を次の見学地まで送っていました。
老いも若きも一丸となって町を盛り上げようとする雰囲気がありますね。

3軒目 旧石田理吉家
屋号の方は地元の実力者だったようですが、後の代に病院となりました。
木造建築の三階建ては珍しく、当時は増田町随一の高さだったそうです。
庭園もこぢんまりとしながらも珍しそうな石などが配置されていました。
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見学料300円がかかります。
係の方が説明してくれますが、今回は他の客の対応で忙しいようで、私も2度目の見学ということもあり、家内に記憶の断片を説明しながらの見学です。
主屋の1階部分です。
立派な床の間のある和の客間ですが、その向こうには蔵が建っているという不思議な光景です。
ここの蔵は主に生活スペースとして使われていたのかな。
三階建ての主屋の方がもてなしの場として使われていたのでしょう。
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床の間の横には明かり取りがあって、きれいな細工で作られていました。
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ここでも欄間には高級建材の黒柿が使われていました。
稀少な物なのですが、こんなに普通に使われていると感覚が麻痺しちゃうね😅
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2階へと上ります。
縁側の廊下がガラス張りで採光抜群ですね。
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最初に控えの座敷があり、その隣には立派な応接室があります。
こんな立派な応接室でどんな会談が繰り広げられたのでしょうねぇ。
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さらに3階に上ると通しの座敷になっており、宴会や大勢の人が集まるような場になっています。
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3階から増田町の景色を肴に美酒を嗜んでいたのでしょうね🍶
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蔵巡りの散策は後編へと続きます~。
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Snufkin
Posted by Snufkin
ご訪問ありがとうございます。
気に入ったところは何度でも行っちゃうんです。
どうぞよろしくお願いします。

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