2020年 3月11日 宮城県大和町の波打薬師(穴薬師磨崖仏)

2020年04月01日
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宮城県 仙台都市圏
3月11日はみやぎ鎮魂の日。
松島の西行戻しの松公園で松島の眺望を堪能してからの帰り道です。

以前からgooglemapで見つけて気になっていた波打薬師に寄ってきました。
磨崖仏ということで想像では,岩手県の達谷窟の磨崖仏を想像してました。
ところが実際は・・・!
穴薬師の「穴」ってこういうことだったんですね。
思っていたよりずっとずっとしっかりしていた構造物に驚きました。
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googlemapから場所を掲載します。


由緒の看板が出てました。
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藩政時代まで,これより東の大郷町,大崎市の鹿島台などは暴れ川である吉田川を中心とした大きな遊水池になっていて,田畑にもできない湿地帯が拡がっていたそうです。
仙台市より北側にあるこの地域は南側が富谷市の丘陵,北側が大衡村の丘陵,そして東側が松島町の丘陵に囲まれており,西側の奥羽山脈を起点とする莫大な水量を吉田川だけで受け止められず,高低差の小さい松島丘陵手前の平地に広大な遊水池を形成していたようです。
JR東北本線を仙台から北に向かうと品井沼という駅があります。
沼なのに周囲は田んぼだらけ?そうそう明治期の近代でも遊水池が残っていて,その名残が今の品井沼になっています。
藩政時代から昭和にかけて,長い年月をかけて吉田川を整備し,排水のための川を造成し,松島の丘陵地にも潜穴も掘って川を通し,干拓事業を行ってきました。
これは「わらじ村長」で親しまれている旧鹿島台村長の鎌田三之助氏らを始めとした多くの先達が膨大な時間をかけて作ってきた苦労の賜物とも言えます。
伊達60万石が実質100万石以上あったのはこういった開拓事業があちこちであったからなんですね。

由緒を読むとこの地域まで遊水池?湿地帯?が拡がっていたのが分かります。
しかも汽水域?
これには驚きでした。
私の中にある宮城県の地図が大きく塗り替えられるような出来事です。
遊水池って大郷町や鹿島台地区までかなぁと思っていたのですが,それらよりもずっと内陸部まであったのです。
波打薬師の前は,今ではこんなのどかな田園風景なのですが,以前は遊水池,湿地帯だったのですね。
松尾芭蕉や西行は,どんな風景をみていたようでしょうねぇ。
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ちょいと横道にそれました。
さてあらためて波打薬師を見てみます。
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入り口から中に入ると意外に広くなっています。
パノラマ写真なのでちょっと狭く見えてしまいますが,大人10人程度は入れるような広さです。
中央に祭壇が彫られ,磨崖仏のお薬師さまが鎮座されております。
鎌倉時代末期の作だそうです。
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経年劣化でしょうかねぇ?
お顔がほとんど分かりません。
丸みがあって優しいお姿ですね。
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右側の祭壇には穴の開いた石が奉納されています。
以前,大崎市の氷室薬師堂にお詣りしたときも同じような石があったので,きっと眼病が耳の不調の願掛けなのでしょうね。

左壁にも祭壇が彫ってあります。
こちらには狐や大黒様などがあるので,お社だったのかもしれませんね。
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石の壁には手彫りのノミの跡がしっかりと残されています。
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外に出て周囲を見てみます。
穴薬師を中心として左右の岩肌に石窟が彫られています。
石仏を安置している石窟もあります。
松島の霊場,雄島のようですね。
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周囲には見事な杉木立や立派な桜の木がありました。
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もともとは報恩寺の境内だった場所らしいのですが,お寺だけ上の高台に移転したそうです。
きっと豪族黒川氏の菩提寺になったということもあるのでしょうが,度々の水害のせいもあったのでは?
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昨今の異常気象は,しばらくおとなしかった吉田川を再び暴れさせるようになりました。
どうか今年は穏やかでありますように。
新型コロナも大禍なく終息しますように。
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Snufkin
Posted by Snufkin
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