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本シリーズ記事は、写真用交換レンズの発売年代別で 対戦を行っている。勿論、全て所有(現有)品であり 借りてきた機材や、既に処分してしまった機材等では、 絶対に評価を行ってはならない点は、本/旧ブログでの 強いルール(取り決め、持論)である。 (他者のWeb等で、「借りてきた機材」「宣伝の為に 供与された機材」「いずれ買うと言っているが買わない」 「レビュー記事を書いた後、購入機材を直ぐに手放す」、 「そもそも、一切所有してもいない機材」(→製品写真 とカタログスペックに対する解釈が乗っているだけ)や、 「他人(ユーザー)の評価を、まとめて転記しただけ」 「単なる憶測や噂話を書いているだけ」「欲しい商品を 書いているだけ」「既存の、他の文言/文章を(勝手に) 引用しているだけ」等の様相が見られた場合、そうした 記事等は一切読まず、絶対に参考にもしない持論だ。 あくまで、自身で機材への対価を支払い、その機材を 十分に使った場合のみに、評価が可能となるだろう) 今回第4回記事においては1993年~1998年の期間に 発売されたレンズ群、計8本での対戦を行う。 この期間は、世の中では、バブル経済が終焉し、また、 阪神淡路大震災の発生等で消費が冷え込んだ時代である。 これを「アフターバブル期」と銘打つ事とする。 なお、当該期間の後半では、消費者層は新製品の一眼レフ への興味を減退させてしまい、「第一次中古カメラブーム」 が始まっていた。また、高級コンパクト機や新規格の APSカメラのブームもあった、という、カメラ市場に おいては、やや特殊な世情の時代である。 ただ、これら中古ブーム等について説明していくと キリが無い、それらの歴史は他のシリーズ記事等でも 詳しく記載している為、本記事では、純粋に、紹介 (対戦)レンズから見た世情、のみの説明に留めておく。 今回の紹介(対戦)のレンズは、全て銀塩AF一眼レフ 用(のマウント品)であるが、AFレンズのみならず、 特殊な用途でのMFレンズが3本含まれている。 なお、この時代はズームレンズが普及し、かつ高性能化 した時代ではあるが、前述の特殊な世情、及び個人的な 好みもあって、本記事では単焦点レンズの紹介(対戦) が主体となる。 紹介順は、発売年代に拘らず任意(順不同)とする。 ---- では、まずは1本目のアフターバブル期レンズ。 レンズは、smc PENTAX-FA 43mm/F1.9 Limited (新古品購入価格 40,000円相当)(以下、FA43/1.9) カメラは、PENTAX *istDs (APS-C機) 1997年に発売された、AF準パンケーキ型変則焦点 距離標準レンズ、 PENTAXでは初の「Limited仕様」レンズである。 ただし「Limited(仕様)とは何か?」と聞かれても 答えるのは難しい、恐らく明確な定義は(メーカー側 にも)存在していない事であろう。 基本的には、高品位、良質なデザイン、高い描写力 を持つ高付加価値型(=若干プレミアムな)レンズ だ、と言えると思う。 (注:「プレミアム」とは、本/旧ブログでは、元来の 意味の「無駄に高価な」又は「不条理に高額な」等の ネガティブ(否定的)な意味である。なお、近年での 世間で言われている「プレミアム=高級品(良いモノ)」 という定義は、本来の語源的には有り得ない解釈だ。 個人的には「プレミアム」と称する商品やサービスは 気に入らず、基本的に「購入しない」事としている) 最初に、PENTAXの、この「アフターバブル期」での カメラの展開を振り返ってみよう。 まず、バブル期に企画されたと思われる、高機能型 銀塩AF一眼レフの「Zシリーズ」(例:Z-1、1991年、 銀塩一眼第17回記事)は、およそ1995年頃まで製品 展開が継続されたが、従前のバブル崩壊(1992年頃) で、消費者層の価値観やニーズは、バブル期とは ずいぶんと異なるものとなっていたと思われる。 バブル期では「ともかく凄いもの」が各市場分野で 求められたが、アフターバブル期では、そうした華美 な仕様の商品は消費者ニーズとはマッチしていない。 PENTAXは、Zシリーズでの、やや「バブリーな仕様」 (→ユーザーが必要としないまでの、無駄な高機能等、 これぞ、今の時代での「プレミアム」と同様であろう) を改め、続く「MZシリーズ」(例:MZ-3、1997年、 銀塩一眼第21回記事)においては、不要な迄のレベル の過剰なスペックを廃し、写真撮影の基本に忠実な 使い易いカメラを目指して企画されたと思われる。 MZシリーズは、1995年末(注:阪神淡路大震災の年) ~2000年代初頭頃(銀塩時代末期)まで展開された。 交換レンズであるが、Zシリーズの発売に合わせて 刷新されたFA系レンズが、依然この時代でも主流だ。 FA系レンズでは、高機能化を目指して、カメラ側との 通信プロトコルの拡張が行われていたが、課題として やや大柄であった事(ただし、これは描写性能を 高める措置だったと思われる)そして、鏡筒デザイン (意匠)が、野暮ったく、古臭い点だ。 まあ、デザインにはユーザーの「好み」もあるだろう が、従前の1980年代末頃からの、プラスチック成型 技術の進歩により、製品デザインの自由度は格段に 上がっていた(例:CANON T90、1986年。の曲線的 デザイン等)のだが、反面、プラスチッキーで、高品位 には思えない事は、やむをえない。そして、直線基調の デザインでは、ますます野暮ったく感じてしまう。 勿論、この課題は、PENTAX側でも認識していたので あろう。新規のFA~Limitedシリーズのレンズでは 小型化とともに流麗で高品位な鏡筒デザインを採用し 続くデジタル時代(2000年代前半~)のDAシリーズ レンズ群でも、基本的には、同様の企画設計思想に なっている。(DA~Limitedも数機種存在している) まあ、ある程度、課題が、はっきりしている方が、 メーカー側としても思い切った改善措置が出来る、 という実例であり、カメラ界での他の例では、 この時代(か、やや前)では、CANON製の一眼レフ のシャッター(や連写)音が、非常にうるさかった のを改めて、「サイレントEOS」設計思想により、 カメラの静音化を図っている。 (例:EOS 100 QD、1991年、現在未所有) (注:対して、NIKONでは、1988年のNIKON F4 より、近代2010年代に至るまで、銀塩/デジタルの 高速連写型一眼レフの連写音が極めてうるさく、 かつ、品の無い音質である事に対して、何の対策も 施していない。まあ、残念ながら、メーカー側に、 そうした問題認識が全く無い事が、改善が進まない、 という重大な課題となってしまっている) また、MINOLTAでは、この時代前半でのxiシリーズ 高機能AF一眼レフ(バブル期の企画だ)が、操作系/ 操作性が煩雑になりすぎていた使い難さを改善し、 α-507si(1995年、現在未所有)あたりから 後の機種では、大幅な「操作系」の改善が図られた。 (1つの通過点として、この時代のMINOLTA α-9 1998年、銀塩一眼第23回記事、があると思う) さて、という状況で、本FA43/1.9であるが・・ MZシリーズの登場に合わせて企画されたレンズで あろう。 小型軽量・高品位・高描写力と、一見、文句は無い のだが、問題はその価格だ。 発売時定価は、6万円台だったと記憶しているので、 これを「小口径(F1.9)標準レンズ」と見なした場合 他の同等スペック品の2~3倍も高価である。 43mmという焦点距離は、当時のPENTAXにおいては 「35mm判フィルムの対角線長と同じ、だから自然な 画角である」と言っていたのだが・・ それに関しての論理的な根拠は存在していない。 (注:PENTAXでは、その真の製品企画コンセプトを 公表しずらい場合、過去にも、こうした「もっとも らしい理由」(=方便)を発表する事があった。 その実例は、特殊レンズ第38回記事のPENTAX SMC TAKUMAR 120/2.8の紹介項目に記載してある) 恐らくだが、50mmにしてしまうと、他の小口径AF 標準レンズの価格帯と、モロに比較されてしまい、 割高な印象が否めないから、あえて、他には無い 43mmの焦点距離で設計したのではなかろうか? 根拠の無いキャッチコッピー(宣伝文句等)は、 値段を吊り上げる為の「方便」の付加価値と思え、 当初「これはブルジョアレンズだ!」(金満家層 等に向け、美辞麗句を並べ立て、高価に売る)と 私は見なし、これに反発心すらあったのだが・・ だが、1999年頃のある時、写真仲間の若い女性が 本レンズを所有していて、高野山への撮影旅行の際に 短時間だけそれを借りて、自分のカメラに装着して 写してみると、現像後に高い描写表現力に感嘆した。 「ただ値段が高いだけのレンズでは無かった・・」 という事で、従前の悪印象は解消され、ここで 「どうしてもLimitedレンズが欲しい!」となって しまった(汗) 後に、MZ-3 SE(1998年、銀塩一眼第21回)と 本FA43/1.9がバンドリングされた、マニア向けの セットを適価で入手し、そこからしばらくの間は Limitedシリーズ(銀塩時代には計3本が発売された。 又、準LimitedとしてPENTAX LX2000にバンドリング されたsmc PENTAX-A 50mm/F1.2 Special(未所有) がある)に、私はハマってしまう事になる。 現代の感覚では、AF性能や解像感等に若干の不満を 持つかも知れない。ただまあ、今回、あえて PENTAXでは最古参の部類のデジタル一眼レフの *istDs(2004年)を母艦としているのは、 「AFをすっぱりと諦めて、MFでの使用に特化する」 という弱点回避法を実践する意味合いもある。 現代においても、発売20年を超えて、FA~Limited シリーズは生産が継続されている(いた)。 (注:2021年に、ようやく後継型のHD Limited型に 3本ともリニューアルされた) ロングセラーにつき、中古流通も勿論豊富なのだが・・ まず、2000年代においてはPENTAXのデジタル機が 全てAPS-C機であった為、画角が伸びてしまう印象 があったからか? FA-Limitedは、やや不人気で 中古相場も低廉ではあった。 しかし、2010年代前後にPENTAXが、HOYA、そして RICOHと何度も親会社が変わるたびに、FA-Limited レンズも少しづつ値上げされ、定価に連動して 中古相場も上昇した。 さらに2010年代後半には、PENTAX K-1系等の フルサイズ機が初登場。しかし市場でのPENTAXの レンズの主力はAPS-C機対応のDA型であった為、 フルサイズ対応のFA系レンズの見直しが始まり、 現代においては、FA-Limitedの中古相場は、やや 割高な印象がある。 まあ、ロングセラーレンズなので、一部の流通店舗 では、新品在庫品の値引率が非常に高いケースもある。 場合により、新品で購入してしまうのもアリだろう。 ---- では、次のレンズ。 レンズは、NIKON AiAF DC-NIKKOR 105mm/F2D (中古購入価格 70,000円)(以下、DC105/2) カメラは、NIKON D500(APS-C機) 1993年発売のDC機構搭載型AF大口径中望遠レンズ。 (注:DC=Defocus Control、球面収差の発生状態 を手動で制御でき、前景または背景のボケ質を 改善させることができる機構。この系統のNIKKOR 以降ではDC環は廃止されたが、2021年よりCANONが 「SA環」で、同等の機構/原理を復活させている。 ただ、原理理解と使いこなしが困難な為、DC環や SA環に対する正当な評価は、ほとんど見当たらない。 これは機構自体の課題では無く、機材オーナー側の 使いこなしの問題の比重が大きいと思われる) NIKONであるが、1980年代後半に、銀塩一眼レフと 交換レンズ群のAF化を既に完了している。 ただし、AF交換レンズ群は、それまでのAi(~S) 仕様の光学系を、(この慌しいAF変遷期において) ほぼそのままAF化し、Ai AF銘としたものも多い。 折りしも、このアフターバブル期では、消費者ニーズ も、ずいぶんと変化する事が事前(バブル崩壊前)に 予測できたと思う。 NIKONとしても製品企画上での様々な新機軸が必要だ。 で、銀塩MF時代でのNIKKORレンズは、解像力を優先 するあまり、ボケ質の固いものが多かった。 それは、米国のフォト・ジャーナリストである 「D.D.ダンカン」氏が1950年代にNIKKORの描写力 を褒め、世界の報道関係者に、その評価が広まった 事(本シリーズ第1回記事参照)が、ある側面では、 功罪(良し悪し)あったと思われる。 報道分野の他、学術分野においてもNIKKORは評価され そうした撮影分野では、ともかく、「主要被写体が、 くっきり・はっきり写っている必要がある」為に、 1970年代~1980年代のMFのNIKKORは、ある意味 「カリカリ描写」な、過剰な解像感となっていた レンズも多数ある。 NIKKORレンズの、この描写傾向は、一般(趣味)撮影、 アート分野、ファッション分野等では、使い難いケース もあるだろう。他社(MINOLTAやCANON、CONTAX等) では、NIKKORの、この弱点を意識してか?例えば ボケ質等にも配慮した総合的高描写力レンズの開発が、 AF時代以降(1980年代後半~)に進んでいく。 ただ、NIKKORでも旧来MF時代からボケ質が良いレンズ も存在していた。しかし、その機種数は多くなく、 概ね、中望遠~望遠の大口径レンズに限られている。 (参考:レンズ・マニアックス第69回「Ai NIKKOR 大口径望遠」編記事→旧ブログ) そして、これらのレンズは三重苦(大きく、重く、高価) でもあった為、あまり一般的に流通していたものでは 無いだろうし、入手したとしても、他のNIKKORのような シャープな描写傾向が感じ難い為、当時においては、 あまり好評価は得られ無かったかも知れない。 で、本DC105/2(や、姉妹レンズのDC135/2、1991年~、 未所有)は、そうした状況に対応する為、企画上で あるいは販売戦略上で、明確に「ボケ質が良くなる」 点を主張したレンズであった。 本DC105/2の出自は、そんな感じである。 昔から、本ブログでは、何度も何度も紹介している 名レンズであるし、そのDC環や軟焦点化の効能や特徴 等も、何度も紹介しているので詳細は割愛しよう。 近年の記事では、旧ブログ、レンズ・マニアックス 第63回「三次元的ハイファイ」編等にも詳しい。 なお、近年に、超ロングセラー(約27年間)を 終えてディスコン(生産完了)となっているので、 今後の入手性は低まってくるかも知れない。 --- さて、3本目のレンズはMFの特殊レンズである。 レンズは、MINOLTA STF 135mm/F2.8[T4.5] (新品購入価格 118,000円) カメラは、SONY α99(フルサイズ機) 1998年に発売された、世界初の「アポダイゼーション 光学エレメント」搭載型、MF望遠レンズ。 「アポダイゼーションとは何か?」については、 本/旧ブログでは何度も解説しているので今回は割愛する。 例えば、特殊レンズ超マニアックス第0回記事 「アポダイゼーション・グランドスラム」編を参照 していただければ良いと思う。(→旧ブログ) まあ、簡単に言えば「ボケ質が大変良くなるレンズ」 である。 で、この時代(アフターバブル期)のMINOLTAで あるが・・ 1985年の「αショック」以降の数年間は、 MINOLTAはAF一眼レフ分野では独走状態であった。 だが、バブル期に企画された、α「xiシリーズ」の 機種群は、自動化を極端に推し進めたコンセプトであり これらが1991年頃から発売され始めると、その バブリーな仕様は、消費者ニーズとの乖離を引き起こし 加えて、1992年頃のバブル崩壊、さらに悪い事に、 通称「ハネウェル特許訴訟」と呼ばれた特許訴訟に MINOLTAは巻き込まれてしまって、市場での「α」の ブランドイメージを大きく落としてしまっていた。 本記事の時代(1993年~1998年)の大半は、 MINOLTA αには不遇の時代であり、マニア層においても この時代のMINOLTAに何が起こったのか?を正確に理解 していないながら、ではあるが、「αは買うな!」等の、 まるで「呪いのカメラ」でもあるようなネガティブな 噂が、まことしやかに囁かれている状況であった。 だが、そうした逆境の中でも、MINOLTAはカメラの 原点に立ち返る企画を進めていて、その成果が顕著に 現れたのは、1998年発売の新鋭旗艦機「α-9」 (銀塩一眼第23回記事:旧ブログ)であっただろう。 MINOLTAの状況の詳細、そしてα-9の凄さは、その記事 等に詳しいので、今回は割愛するが、まあ、当時の私も、 ちょっと、それまでのα機を敬遠していた事を後悔した 位の、インパクトのある名機がα-9であった。 で、カメラだけ凄くても意味が無い訳であり、α-9の 発売の前後において、いくつかの高性能レンズが 新発売されている。 具体的には、ぴったりの1998年ではAF35mm/F1.4G や、本STF135/2.8であるが、まあ、これらはα-9と 組み合わせる事が前提であろう、α-9の1/12000秒 高速シャッターは、F1.4級大口径レンズでも、殆どの 撮影条件において、シャッター速度オーバーには ならないし、α-9の優秀な光学ファインダーは、 STFのMF操作を苦にしない。(注:ただし、さらなる MF性能の向上を意図し、α-9のオプション部品である M2(Ⅱ)型スクリーンに換装してしまうと、それは 相当に暗くなる為、STFのT4.5と暗いT値(=実効F値) では、ややピント合わせがしんどくなる。 この問題への対策の為、私は、α-9は大口径(F2以下) レンズの専用機とし、STFや小口径レンズは、後年の α-7で、ノーマルスクリーンのままで使用していた) (注:上写真は母艦をSONY α65としている。 フルサイズ機での使用の他、APS-C機を母艦としても 望遠「準」マクロ的な用法が得られる点も特徴だ) さて、本STF135/2.8については、描写力上の不満は 皆無である。何も文句のつけようが無い稀有なレンズ ではあるが、重箱の隅をつつくように言うならば・・ 「あまりに描写力が高すぎ、誰が撮っても同じように 綺麗に撮れる為、テクニカル的なエンジョイ度が低く、 他者との差別化要因が少ない」という贅沢な不満も 出てきている。 現在、MINOLTA/SONY α、Aマウントはカメラも レンズも全て生産完了である。本レンズも今後は 入手し難い状態になっていくだろうが、中上級の マニア層であれば、必ず入手しておくべきレンズだ。 --- では、4本目のレンズ。 レンズは、SIGMA AF MACRO 180mm/F2.8 (中古購入価格 37,000円)(以下、SIGMA180/2.8) カメラは、PANSONIC DMC-G6 (μ4/3機) 発売年不明、恐らくは1990年代に発売と思われる 1/2倍AF望遠マクロレンズ。 正式名称も不明、前回第3回記事「AF初期」編でも 書いたように、この時代でのレンズメーカー製の レンズは、AF対応である事をアピールする為に、 レンズ上等に「AF」と大きく書いてある事も多かった のだが、AF型番は、既にMINOLTAが、αで使用して いた為に、型番被りになるか、ならないか?の曖昧な 名称となっていて、正式名もまた曖昧だ。 さてSIGMAであるが、勿論、この時代以前のMFレンズ の時代から交換レンズを販売していたが、MF仕様の レンズには、近接撮影を可能とするものはあったが、 純粋な「マクロレンズ」は無かったのではなかろうか? 少なくとも、私の記憶している範囲では存在せず、 SIGMAからMACROが発売されたのは、この1990年代 のAF時代からであったと思われる。 AF50mm/F2.8、90mm/F2.8、そして本180mm/F2.8 のSIGMA製マクロは所有している(いた)のだが、 他の焦点距離のマクロがあったかどうか?は不明。 また、90mm/F2.8は、既に著名であったTAMRON社 のSP90mm/F2.5(52B系列、1979年~)と、 比較の対象にされてしまうからか? (注:当該SIGMA90/2.8は所有していたが、描写力 が気に入らず、短期間で処分してしまっていた) この時代以降のSIGMA製品では、90mmのマクロは 存在せず、70mm/F2.8と、105mm/F2.8の製品 ラインナップに分化している。 (→TAMRONとの直接対決を避けたと思われる) さて、という訳で、本SIGMA180/2.8は、SIGMAと して最初期のMACROレンズと言う事になるのだが・・ ・・まあ、それにしても重いレンズである。 重量は、実測で1569g(三脚座込み、この三脚座は 取り外し不可?)もあり、手持ち撮影における ハンドリング(取り回し)の限界を少し超えている。 EOS EFマウントで購入しているが、この時代1990 年代のSIGMA製EFマウントレンズは、2000年以降の EOS 銀塩/デジタル一眼レフでは、プロトコルエラー となって使用できない。よって、その課題もあるから 今回は軽量のμ4/3機に装着し、システムの重量低減を 図ってはいるが、それでも限界はあり、あまり実用 的では無い。 加えて、EF→μ4/3用の機械絞り羽根内蔵型マウント アダプターでは、実際のレンズ内の絞り(開口絞り) とは効能が異なる為、実写における描写特性も(厳密に 言えば)変わってしまうし、手ブレ対策もあるから、 ほぼ絞り開放でしか撮る事が出来ない。 まあ、あまり厳密な評価が出来ない状態、という事だ。 なお、プロトコルエラーの課題に関しては、近年に これを解消する裏技を発見している。 これは、1990年代のSIGMA製EFマウントレンズを、 いったんCANON「EF-EOS M」電子アダプターを介して、 ミラーレス機のCANON EOS M機に装着する事である。 一部の1990年代のSIGMA製レンズであれば、これで プロトコルエラーにはならず、絞り操作や、運が 良ければAFも動作する場合もある。 ただし、全てのレンズ、またはシステムにおいて、 この対処法が上手くいく保証は無い。私の所有範囲 のシステムでも、結果はまちまちだ。 ユーザー側として、よほど困っていたら、自己責任で 試してみるしか無いとは思うが、でももう、さすがに 1990年代のSIGMAレンズを実用としているユーザー の実数は、極めて少ないか、皆無であろう。 なお、この時代のSIGMA製レンズは、上記のプロトコル エラーの問題の他、レンズ自体においても経年劣化で 内外部のクモリが発生しやすい課題がある。 本レンズも、今回の使用では若干のコントラスト低下が 発生している様子が見られる、そろそろ寿命という 感じかも知れない。 まあ、色々と課題のあるレンズなので、本レンズに 関しては、このあたりまでで・・ --- では、次は本記事では唯一のズームレンズである。 レンズは、TAMRON AF200-400mm/F5.6 LD [IF] (Model 75D)(中古購入価格 29,000円) カメラは、SONY α700(APS-C機) 1994年に発売された、開放F値固定型AF(超)望遠 ズーム。 本レンズは異マウントで2本所有していて、1990年代 での中古入手価格は、それぞれ29000円、26000円 となっていた。(発売時定価は、約7万円) 超望遠(=本ブログでは、400mm以上と定義)の ズームとしては、最も安価な類の中古相場であり 2000年代において、周囲の知人(ビギナー層等)が 「望遠レンズが欲しい」と言った際には、当時、 さらに中古相場が下がって2万円前後となっていて 買い易かった本レンズを、ほぼ必ず推奨した。 その結果、この型のレンズの中古を、大阪を中心に 買い尽くした形となってしまい、都合7~8本も 買ったであろうか?その後、めっきり中古市場から 見なくなってしまった。 本レンズを欲しくて探していた他の人達には、悪い 事をしたかも知れない(汗) ・・・と言うのも、 本レンズは製造年代が古い事もあって、AFの動作が 遅く、本レンズをちゃんと使いこなすには、直進式 ズームの利点(一種のワンハンド構造)を意識して、 MFでの使いこなしが必須であったからだ。 また、焦点距離変動(ズーミング)でF値が変わらず、 シャッター速度の変化も殆ど無いという仕様は、 大きなメリットではあるが、その際に、直進ズームで 変動する重心と、そのバランス維持には注意が必要だ。 勿論、手ブレ補正機能等は、搭載前の時代であるから、 NIKON機やCANON機では(銀塩でもデジタル一眼でも) 手ブレ限界シャッター速度を強く意識する必要がある。 まあつまり、全般的に使いこなしが難しく、ビギナー層の 手におえるレンズではなかった訳であり、その結果 本レンズを推奨した、周囲の何人ものビギナーユーザーは、 本レンズを使いこなせず、死蔵してしまった訳だ。 なのでまあ、廻りであれこれと言って、撮影機材を推奨 したとしても、それを買った本人が使いこなせるか? あるいは、本当にその機材が、購入者のニーズに合って いるか否か? そんな事を考えてしまい、それ以降は あまり自分の(私の)判断基準や価値感覚で機材を 周囲に推奨する事はなくなっている。 本/旧ブログの記事中で、機材を評価し、推奨する場合も 中級層向けとか、上級マニア層向けとかと良く書くのも そういう理由からだ。消費者のニーズや目的やスキルに 一致しない機材を、他者の言うがままに購入してしまう 事は、とても不幸な事である、と実感したからである。 さて、で、本75Dレンズであるが、個人的には非常に 長期間に渡り、屋外日中でのスポーツ競技撮影、および 趣味的な動物園撮影等で、大変重宝したレンズである。 (故に、予備レンズを含め、2本所有している) まあ、現代においては同じ400mm級超望遠ズームでは、 SIGMAおよびTAMRON社から、いずれも2017年に発売 された100-400mm超望遠ズームが優秀であるから、 選択するならば、まず間違いなくそれらであるのだが、 生憎、中古相場は5万円以上と、やや高価である。 本75Dであれば、うまく見つかれば1万円前後の 格安相場であり、超望遠ズームとしてのコスパは 最強クラスではあるのだが・・ まあ、使いこなしが やや難しいレンズなので、あまり推奨は出来ない。 --- さて、6本目は特殊レンズ(ピンホール)である。 ピンホールは、KENKO ピンホール レンズ 02 (新品購入価格 3,000円)(以下、PINHOLE 02) カメラは、PENTAX K-01 (APS-C機) 発売年不明、記憶によれば1990年代から、店舗用の カメラ用品の厚いカタログに載っていたと思うが、 確かでは無い。 正式名称は上記の通りだが、ピンホールは、正確には 「レンズ」では無い為、本ブログでは、従前より適宜、 「PINHOLE 02」等と記載している。 それと、近年では「盗撮用超小型カメラ」の事を 俗称で「ピンホール(カメラ)」と呼ぶ模様だが、 それらは、このピンホール(針穴)とは全く異なる モノであり、そもそも「盗撮用」の機材であるから、 別の意味で問題だ。 スペックは、「穴径φ0.2mm」、これだけである。 (開放)F値の計算は、この穴径で、フランジバック長 (注:カメラのマウント毎に異なる)を割れば求まる。 今回使用のPENTAX K-01は、ミラーレス機ながら、一眼 レフと共通のKマウントであり、さらに、M42マウント アダプターを介して装着しているので、この計算で使う フランジバック長は(PマウントをM42と同等と見なせば) 45.5mmである。 よって、口径比(≒F値)は、45.5mm÷φ0.2mm= 約F227に相当する。 なお、本ピンホールの説明書等にある、F250という 仕様表記であるが、KENKO純正のPマウントアダプター を用いて、これをNIKON FおよびCANON EF機に 装着した場合は、恐らくフランジバック長が50mmに 標準化されて、50mm÷φ0.2mm=F250となる のだと思われる。 で、この原理から言えば、ピンホールで開放F値を 明るくしようとすれば、フランジバック長を短く 取れば良い訳だ。よってデジタル一眼レフ用よりも ミラーレス機用の市販ピンホールの方が、F値が 明るいものもある(例:RISING = F100以下) また、自作工作が出来るならば、ミラーレス機に 向け、自作ピンホールをマウント面から奥まった 位置に置く「埋め込み型ピンホール」とすれば、 F40程度まで明るくする事は出来るであろう。 ただし、この場合では、恐らくだが口径食が発生し、 画面周囲がケラれると思う。 (詳細は、特殊レンズ第23回「ピンホール特集」 記事を参照されたし。旧ブログ) ピンホールの描写だが、穴径に依存するものの、 基本的にはパンフォーカス(全てピントが合う)だ。 ただし、全体的にボケボケの写りにはなる。 穴径を小さくすれば、ややシャープに写るが、 工作上の限界はあり、F値も暗くなり、場合により 小絞り(回折)ボケの心配も出てくる。 また、世間一般的には「針穴写真は、画面周辺が 暗くなる」(周辺減光、または口径食が発生する)と 誤解されているケースが多いが、一般的なピンホール では、画面周辺まで均一の光量で写る。 まあ、ピンホールは、ノスタルジックな描写傾向が 特徴であり、銀塩時代から特定のファン層は多い。 しかし、銀塩時代の低感度フィルムでは、長時間露光 となり、三脚(又はカメラを置いて固定する)が必須 となる。加えて、露出値の計算も、銀塩カメラでの 露出設定も、やや面倒だ。 デジタルでは、晴天条件では、概ねISO25600以上の 機体であれば手持ち撮影を可能とし、かつ絞り優先 AEでの撮影が出来るのだが、今度は、センサー面の ゴミが大変良く写ってしまう(注:一般レンズでも、 絞り値を大きくすると、センサーのゴミが写る)為に 撮像センサーの事前のクリーニング、及びアフター レタッチでのゴミ取り編集作業は必須だ。 --- さて、7本目も特殊レンズである。 レンズは、ニコン おもしろレンズ工房 ぎょぎょっと20 (Fisheye Type 20mm/F8) (中古購入価格 レンズ1本あたり7,000円相当) カメラは、NIKON Df (フルサイズ機) 1995年に限定発売された(注:2000年に再生産あり) 特殊なスペックのレンズ3本セット商品の中の 1本である。 「おもしろレンズ工房」の3本セットとは、 1)「ぎょぎょっと20」(本レンズ) 20mm/F8の、対角線魚眼タイプの描写が得られる 絞り値固定、ピント位置固定の特殊レンズ。 2)「ぐぐっとマクロ」(120mm/F4.5) および、レンズの手動組み換えにより、 「ふわっとソフト」 (90mm/F4.8) 、 「さらにぐぐっとマクロ」(仕様不明) の3つの形態に変化させる事が可能な特殊レンズ。 ピントリングは存在するが、絞り値は固定である。 3)「どどっと400」 (400mm/F8) 超望遠画角となるレンズ。 入れ子構造をユーザーが組み立てて使用する。 ピントリングは存在するが、絞り値は固定である。 これらについて詳しく述べていくと長くなるので、 詳細は、特殊レンズ第13回「ニコン おもしろレンズ 工房」編記事(旧ブログ)等を参照されたし。 ただし、相当に特殊な出自である事は確かだ。 (注:この特殊な出自と、特殊な仕様の為、本記事 ではNIKON製のレンズを2本紹介(対戦)している。 本シリーズでは、同一記事(時代)においての 紹介レンズは、「製造メーカーが重複しない事」 という基本的ルールを設けてはいるが、ごく稀に、 こうした例外が発生する事は、避け難い状況だ) そして、現代、この「ニコン おもしろレンズ工房」 は、セミレア品となっていて、入手が困難な事が 大きな課題だ。 あまり、いまさらあれこれと書いても、下手をすると 「投機対象商品」になってしまう恐れもある。 (事実、2000年代に、一時期相場高騰していた) 適正な相場感覚値を述べておく。2010年代後半に 大阪の中古専門店で、本レンズセットの元箱つき AB級品を見かけた際には、9,800円の売価であった。 「ああ、いい感じの値付けだなあ」と思った次第だ。 --- では、次は今回ラストのレンズ。 レンズは、CANON EF50mm/F1.4 USM (中古購入価格 25,000円)(以下、EF50/1.4) カメラは、CANON EOS 7D(APS-C機) 1993年発売の大口径AF標準レンズ。 USM(超音波モーター)仕様であり、CANONで言う 「フルタイムマニュアルフォーカス」操作が可能で、 AFからMFに随時移行できる。 (参考:当該用語は、CANON製品の場合のみなので、 本/旧ブログでは「シームレスMF」と呼ぶ) 本シリーズ第3回記事で紹介した、CANON EF50/1.8 (1987年。さらに、史上初のエントリーレンズと 言えるⅡ型が1990年の発売)よりも後の時代に 発売された(銀塩)EOS用AF標準レンズだ。 小口径F1.8版は、初期EOSの市場シェアを磐石と する為の重責を担ったレンズであったが、まあⅡ型 も発売され、「エントリー戦略」も順調、となれば、 遅ればせながら、「50mm標準と言えば、やはり F1.4だよね」という市場ニーズに対応したものと 思われる。 ちなみに、F1.8版(Ⅰ)の後はバブル期であった為、 1989年には、「とんでも無いレンズ」として、 「EF50mm/F1.0 L USM」が発売されている。 こういう驚くようなスペックの商品が求められていた 時代であった訳だ。(後年に、中古品を購入しようか と迷い、高価であったので常連の中古店からレンタル して試写してみたのだが、収差が非常に大きい模様で 描写傾向が好みでは無く、購入は見送っていた) 本F1.4版は、そんな、とんでも無いレンズでは無く オーソドックスなスペックだ。だが、50mm/F1.4では あまりに凡庸な仕様である事と、描写力は他社の 大口径標準と、ほとんど同等。その割には、他社の 同等品に比べて高価であったので、個人的にはコスパ が悪いと見なし、あまり高く評価していないレンズだ。 だが、とは言うものの、既に20年以上もの長期に渡り 様々な銀塩・デジタルのEOS機で使用しつづけている レンズであるので、「実用性は高かった」と見なす 事も出来るだろう。 まあ、2010年代後半以降では、新設計の高付加価値 型標準レンズ(例:SIGMA 50mm/F1.4 DG HSM | ART) 等をメインとして使用するようになり、だんだんと 本EF50/1.4USMの出番が無くなってきている。 たまに、こうした記事で取り上げ、定期的に使って あげるのも良いか、と思っている次第だ。 なお、本レンズは現行商品であり、既に発売後 30年近くとなる超ロングセラーレンズである。 詳しく調べた訳では無いが、全ての交換レンズの中 でも、確実に上位に入る、長い販売期間であろう。 ---- さて、最後に、このアフターバブルの期間での 最優秀(優勝)レンズを、独断で決めておく。 優勝: *MINOLTA STF 135mm/F2.8[T4.5] 評価: 世界初のアポダイゼーションレンズとして、歴史的 価値が極めて高いSTF135/2.8ではあるが、 発売後20年を超えても、まだ第一線の描写表現力 (というか、常に全レンズ中でのトップクラス) を持ち続けている事には、驚きを隠せない。 まさしく、真の「レジェンド」レンズであろう。 ---- では、次回の本シリーズ記事は、 「年代別レンズ選手権~銀塩時代末期編」の予定。
by pchansblog2
| 2022-08-28 08:07
| 完了:年代別レンズ選手権
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