軽やかでファンキーなヴォーカルと、トータルな音づくりで人気の朝日美穂が、新曲「夢落ちる」をリリース。プロデューサーに高橋健太郎、マスタリング・エンジニアにはtoeの美濃隆章を迎えて制作された本作は、伸びやかなヴォーカルが際立つ、彼女のシンガーとしての魅力を堪能出来る作品に仕上がりました。本作をHQD(24bit/48KHzのWAVファイル)で3月25日から4月1日までフリー・ダウンロード出来ます。さらに昨年8月からototoyで提唱しているHQD(High Quality Distribution、24bit/44.1khz以上の高音質音源)の聴き方を紹介する高音質音楽配信攻略ガイドブック「HOW TO ENJOY HQD ?」も同時に配布。この機会に是非一度HQDに触れてみてください。
→「夢落ちる」のフリー・ダウンロードはこちらから(期間 : 3/25〜4/1)
朝日美穂 / 夢落ちる
作詩・作曲 : 朝日美穂、高橋健太郎
朝日美穂 : vocal、electric piano
戸田和雅子 : chorus
千ヶ崎学 : electric bass、trombones
楠均 : drums
高橋健太郎 : acoustic guitar、organ、electric sitar、synthesizer
recorded、mixed & produced by 高橋健太郎
mastered by 美濃隆章
何度も描写される"あなた"と"わたし"の鬼ごっこ
朝日美穂は不思議なアーティストだ。ハスキー・ヴォイスでクールな曲を歌いのけたかと思いきや、しっとりとしたピアノの曲には甘い声が乗る。ポップな曲の時にはガーリーでおちゃめな声が出るし、Pizzicato Fiveの様な東京の休日を思わせるシティ・ポップもお得意。ポピュラー・ミュージックばかりかと思いきや、音響派シンガーとしてジム・オルークからの絶賛も受けている。曲によってころころと別人に生まれ変わる彼女の声や音楽は、一体どれが本当なのだろう? どれもこれも本当の姿だと言わんばかりに、それぞれの楽曲のクオリティが高く、オリジナリティも確立されている。ジャンルに縛られず、奔放なセンスを解放させているだけだ。
音楽性だけでなく、岡村靖幸のトリビュートを企画すべく直枝政広(カーネーション)と漫画家・江口寿とビキニ・レコードを立ち上げたり、川本真琴ともりばやしみほ(hi-posi)とコーラス・ユニット、ミホミホマコトを結成するなど、活動もかなり自由奔放だ。そんな彼女の周りには、彼女に魅せられたアーティスト達が集まり、彼らと共に音楽を作る事で、彼女はまた自分の幅を広げていくのだろう。
そんな彼女が、また新しい顔を見せた。新曲「夢落ちる」は、The Beatlesの「Strawberry Fields Forever」を連想させる、穏やかなまどろみと不安定な音色で始まる夢の中に居る様な曲。心地よい陽だまりの中で、自分が起きているのかまだ眠りの中なのか、起きた所なのか眠りに落ちる瞬間なのかも分からない。まあいいや、「春眠、暁を覚えず」を言い訳にして、そのまま昼まで眠りに落ちていよう。そんな抜け出しがたい心地よさがこの曲にはある。水の中を歩く様にゆっくりと進む曲調と、曇りガラスの向こうのぼやけた景色の様な歌詞。その中で"あなた"を追いかける"わたし"の目線で景色の描写が流れ、楽器の主張が強くなる程に意識がはっきりしていく。徐々に、目覚めに誘われていく。
曲の後半になると、曲調も歌詞の世界もぼんやりとしたまどろみの中にはもう無く、代わりに切なさを帯びてくる。夢の中で何度も描写される"あなた"と"わたし"の鬼ごっこは、きっと現実でも続いているのだろう。追いつけないままに置き去りにされる"わたし"の足のもたつきを、焦りを、その切実なメロディから感じる。女性の弱さを景色の描写と繊細な音色を使ってここまで美しく聴かせるこの曲で、朝日美穂の感性の底の無さをまた思い知らされた。(text by 水嶋美和)
DISCOGRAPHY
夏のトレモロ
ミホミホマコトでもおなじみ朝日美穂が、配信限定でリリース。なんと、キリンジ堀込高樹作曲による、ポップで迷宮な夏ソング! しかもゲスト・ギタリストには、青山陽一がスペシャル参加。決め細やかなサウンドと、朝日さんの優しい唄の世界は、タイトル通り、夏の夕暮れにぴったり。
Jav Jav〜レインブーツでおいで
高橋健太郎(G,Key)、千ヶ崎学(B)、楠均(Dr)をバンド・メンバーに迎えてレコーディングされた作品。ステップを踏むかのような軽やかなリズムと力強さが混在している、実にポップでファンキーな仕上がり。
PROFILE
1996年ミニ・アルバム『APEIRON』でデビュー。翌年ソニー よりメジャー・デビュー。軽やかでファンキーなヴォーカルとトータルな音づくりで、音響派シンガー・ソング・ライターとも称される。2002年より、自身のレーベル、朝日蓄音をスタート。現在は主にピアノ・トリオ編成でライブやレコーディング活動を行っている。2006年にはピアノ・トリオで演奏したセルフ・カヴァー・アルバム『Classics』を発表。 自身の活動の他にも、岡村靖幸トリビュート・アルバム『どんなものでも君にかないやしない』(2002) のトータル・プロデュースや、もりばやしみほ (hi-posi) と川本真琴とのコーラス・ユニット、ミホミホマコトのリリース (2006) などでも話題に。9月12日大阪生まれ、東京・千葉育ち。乙女座B型。
- official site : http://blog.livedoor.jp/asahi_chikuon/
LIVE SCHEDULE
- 4/29(木、祝)@京都・新善光寺(泉涌寺 山内寺院)
※ 「夏のトレモロ」のジャケットのドローイングを担当したスペイン在住の画家、加藤力之輔の個展の中でのライブです。加藤さんの個展は、4/29〜5/9(10:00〜16:00、5/7は午後のみ)まで開催されます。
- 6/12(土)@上野水上野外音楽堂
前売 / 3000円
w / 高橋徹也 / ゲントウキ / S▲ILS / SPANOVA
まどろみの中の歌声
BLIND MOON / SAKANA
ポコペン(ボーカル、ギター)と西脇一弘(ギター)によるデュオ、さかな。2000年にリリースされた本作は、名曲「Blind Moon」含む、全11曲を収録。シンプルでブルージーなサウンドにのって、ポコペンの伸びやかなヴォーカルが心地良く響きます。
SAKANA インタビュー
メロディ / 空気公団
2007年に活動10周年を迎えた空気公団。同年に発表したリアレンジ音源集『空気公団作品集』を一区切りとしたあとで作られた、強くて優しい10曲のメロディ。今までとこれから、今日と明日。日常にちらばる空気公団的世界観を改めて感じられる音源は、ふと読み返したくなる手紙のように、シンプルな暖かさを届けてくれます。
パヌー / mmm
若き才女が織り成す未知なる世界パヌー! 麓健一「美化」(kiti-001)をリリースするkiti 第2弾。 CD-R作品ですでにCRJ-Tokyoチャートでは初登場一位を獲得するなど話題を集めていた、その若さに不釣合いなほどに薫り高いうたを紡ぐ注目の女性シンガーmmm(ミーマイモー)。 HOSE、かえる目、などの活動で異彩を放つ音楽家、宇波拓全面プロデュースにより豪華録音メンバー(宇波拓、中尾勘二、江崎將史、河崎純、下田温泉、千葉広樹、上江州佑布子)を迎えた初の公式フル・アルバム。他の追随を許さない、一筋縄ではいかない、感傷と笑いを同時に誘う、とても不思議でバラエティに富んだ作品が完成しました。
mmm インタビュー