【くだらない、無駄な特許が何故出るのでしょうか(?)】
日本の人口とGDPで,年間40万件の特許出願件数は、あきらかに異常です。この1/4ぐらいでも多いくらいです。知財部へ対する会社の評価は、特許の出願件数ありきです、これが基本的な過ちです。だれがそのように仕向けているのかも知れませんが、とにかく特許の出願件数で評価することが最大の過ちです。今や「量」から「質」への転換期にありますが、その「質」がわかっていないから話がややこしくなるのです。また出願件数のノルマの掛け方とノルマを掛ける部署が間違えています
日本人は現象に促われて本質が見えない、つまり錯覚をしていることが結構あります。例えば、いま市場で競争に煽られている商品は一見、まだ成長期にある商品と錯覚をすることです。しかし技術の方は、既に成熟期あるいは衰退期を迎えています。ところが市場での競争が激化していますから、錯覚を起します。営業サイトからの強い要望は他社に負けない「差別化商品」の早期開発です。しかし、差別化すると言っても既にやり尽くしているので、僅かな差別化を求めるしかないです。でも僅かな差別化であってもやらないと市場では負ける、という恐怖の観念に囚われ差別化の為の技術開発をせざるを得ないわけです。この僅かの差別化技術の開発設計を受け持つ部署が「設計開発部隊」または「実用化開発部隊」です。
いま企業のR&D部門といわれる部署で、もっとも技術者の数が多いのが、この「設計開発部隊」です。しかも彼らは大変に忙しい目にあっています。そして開発すべきテーマといえば、今ある商品の改良・応用技術のオンパレードです。この部隊に特許出願件数のノルマを掛けています、だからロクでもない特許、つまり苦し紛れの「もやし特許」ばかりが生まれるのです。
発明提案書を受けたら発明評価なんかせず、即出願をして、件数ノルマを達成させて、ハイおしまい!あとは野となれ山となれです。いったん出願をしたからには「なんとしてでも特許を取る」とムキになります。いま流行の「パチンコサギ」と同じです。まず5万円を払ったらパチンコの攻略法を教える、それでもダメだったら(当然)あと5万円出せば秘訣を教える、更にダメだったら、今度は10万円出せば秘勝法を教える、という具合にエスカレートしてのめり込んでいきます。ここで「知財川柳」をひとつ
①数を出せ、パチンコ好きの、知財マン
その結果特許庁審査官の言うとおり、権利範囲の減縮を重ねて、金を払って「もやし特許」を取って喜ぶしかないです。『もやし特許』をいくら取っても役立たないです。特許を取得した、というステータス、勲章だけです。こんなもの単なる『紙クズ』です。しかも、しかもですヨ!!この『もやし特許』を、そのまま忠実翻訳をして(意味不明文はそうするしかない)外国へ出願をする(?)、いくらなりゆきとはいえあまりにも酷い仕業と思いません(?)莫大な無駄使いをしているのが現状です。幸いなことに(?)上層部も『知財のことは、わからん』ということで無関心です。
知財部門は対投資効果を「見える化」する必要があります。つまり無駄なところに金をかけずに経費削減を、まずすべきです。そうすれば?どこにお金をかけるべきか、かけるべき部分が明確化される筈です。知財部門には経費削減できる部分がたくさんあるのです。つまり、知財部門には抽蔵金があるのです。ここで「知財川柳」を紹介
①登録書、増やすだけが、やりがいだ
②人と金、件数稼ぎで、無駄使い
③出願は、保険と同じ、掛け捨てだ
④中身より、件数評価の、ダメ知財
⑤出願は、何のために出す、予算消化
⑥明細書、質よりカズだ、カスばかり
⑦警告書、きたら和解だ、予算とり
無駄な特許出願を止めさせるには、発明の評価をすることです。次に「(1)発明を開示して特許権を取得すべき技術」と「(2)発明をノウハウとして守秘すべ技術」を明確にすることです。(1)は特許出願します、(2)は先使用権の立証ができる手段を構築すべきです。特許出願をする場合は、発明の開示義務があります。理解を得るためには平明でわかりやすい文章で発明を説明する義務です。しかも「世界で通用する強い特許明細書」へつながる発明仕様書を作成する必要があります。世界で通用するということは戦えるドキュメントです。そのためには強くて厚みのある特許明細書でなければ特許出願をする意味がありません。
今後は、「発明評価調査」というプロセスを入れて、特許出願をする価値がある発明か否かを調査する必要があります。特許評価ではありません、あくまでも発明の評価です。特許評価なんてする必要はないです。良い発明であれば良い特許になるのは当然です。ただしお粗末な特許明細書を作成すれば、発明の評価は一瞬にして下がります。いま出願されている特許は特許評価することはできません。なぜなら意味不明の特許明細書から、つまり「カミクズ」から特許価値を判断することは困難で、神業がいります。
この「発明評価調査」は弊社が考案した方法でやれば正確にできます。しかもコストはかかりません。この「発明評価調査報告書」を発明者への知財教育(アイデアを発明に、発明を特許にするプロセスを身につける)の教材として使えるよう体系化しております。宣伝をしてすみません。(続く:次は知的財産の国際化です:(発明くん2009/03/23)
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