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ウルトラマンアーク 第23話「厄災三たび」感想

真実を前に、走り続ける

ウルトラマンが磔にされているところを見ると「あぁウルトラマンを見ているなぁ」という気分になる複雑なオタク心

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  • 不安が混在する宇宙の行方

 体調が悪そうなユウマを見て不安になってくる今回のアーク。手の震えなどの描写から彼の体がぼろぼろなのではないかと思っていたのも束の間、ユピーを通じて話しかけてきたルティオンの同士「ビオルノ」によって、物語が一気に進む感覚を覚えました。まず長いこと不明だったオニキス(ゼ・ズーゲート)の行方ですが、ユウマの中にあるという事実に度肝を抜かれましたね。はっきりはしていないものの、ユウマの体調不良もそれが原因なのでしょう。この辺りはただ単に長い戦いで疲労が蓄積している、といった過去作とは異なる問題を抱えているのが厄介に感じます。ユウマの体調だけでなく、今後のオニキスの扱いについてもどう対処するのかが大きな課題になりそうです。

 またルティオンの星の問題である恒星ソニアの膨張を解決する目途が付いたこと、しかしその手段は不確定要素が多いことからゼ・ズーが自分の手段を強行していることなども判明。代替案を本当に用意出来たのは素直に感心する一方で、それを飲み込めずにいるゼ・ズー側の事情にどこか生々しいものを感じますね。成功する確率が低い方法よりも、自分が最初から用意した計画を優先したがるという気持ちはわからなくはないです。ソニアが膨張している原因や解決方法の詳細などもわからずじまいなのもあって、両陣営の不安などが間接的に読み取れてきました。どちらが間違っているとも言い切れないので14話の時同様、彼らの宇宙の問題の難しさを改めて思い知った気分です。

 それとはまた別に、今回初登場したビオルノのキャラクターには惹かれるものがありましたね。いきなり出た時点では警戒していたものの、ルティオンをアーク、ゼ・ズーゲートをオニキスと言い換える様子から一気に好感が抱けました。こうした相手側の言い方に合わせてくれるだけで、ルティオン同様誠実な人柄であることが伝わってきます。ルティオンの同志というのも納得の人物であり、少ない描写でもかなり印象に残りました。*1

 

 

  • 仲間のために走る者

 さて今回もう1つの見どころとして、ビオルノの情報やトリゲロスの襲撃など多くの緊急事態が重なる中で戦いに向かうユウマの姿にハラハラさせられました。今回のユウマは一貫して無理をしているのが丸わかりで、前半の時点で空間のひずみの調査に躍起になっているのが目立ちましたね。(これに関してはモノゲロス関連がトラウマになっているのもありそうですが)勇ましく感じる場面も多くあるものの、やはり必至すぎるようにも見えるので心配せずにはいられなかったです。

 それでいてユウマが不安や仲間への想いをシュウに吐露する様子には胸打たれました。「自分だけではどうにもならないことばかり」だと現実に打ちのめされかけていたことなど弱さを口にしてくれるだけでもホッとさせられるものがあります。だからこそ支えてくれた仲間たちへの感謝、みんなを守るためになお走り続ける決意の姿は実に輝いて見えました。何よりこの一連のシーンは後述のシュウ含め、演者の息遣いや表情がより迫真に映っていたのも印象的。ここまでの積み重ねと演出も相まって、本当に見入る場面だったと思います。

 またユウマを守りたい一心だったシュウの動向も見逃せません。ユウマの事情を知らなくとも敢えて追求しなかったり、彼から教わったことをしっかり学んでいたりといった言動がいじらしくて顔が綻んでしまいます。そしてアークのピンチに声を荒げるほど狼狽している姿には驚きましたね。これは恐らく、上述のユウマとのやり取りで彼がウルトラマンアークであることを薄々感づいたのでしょう。そう考えると気付きながらもSKIPメンバーに言えず、助けることも出来ないシュウの悔しさも理解出来ます。お互いに思いやる中でこのような結果になってしまい、視聴者としてもどこかもどかしくなってくる次第です。

 総じて意外な形での正体バレとなりましたが、それでもユウマとシュウの間に確かな絆があることはしっかり感じられました。あとはリンさんや所長たちも含めた仲間全員が、ユウマをどのように支えて助けるのかに期待したいところです。

 

 

 

  • å®™(そら)より現れたるわ、執念纏いし第三の獣

 空間を割って現れた「宇宙獣 トリゲロス」はモノゲロスとディゲロス、そしてザディーメと同じゼ・ズーの刺客たる宇宙怪獣。その通称とビジュアルからわかる通り、モノゲロスたちと同種の怪獣と思われます。ディゲロスと同じ2本のツノに加え、頭頂部にモノホーンそっくりの1本ヅノ、合計3本ヅノとより頭部が厳つくなっているのが特徴的です。それでいてディゲロス同様の直立不動の姿勢、発光体を光らせるといった描写から生まれる不気味さは引き継がれていますね。これらの要素を合わせてゼ・ズー怪獣屈指の恐ろしげなイメージが仕上がっていたと言えるでしょう。

 その戦闘能力はディゲロスから正統進化しており、アークに追従するほどの俊敏性を発揮していました。技や武器に関しても両腕の光る爪や頭頂部のドリルと、より多彩かつ強力になっているのが伺えます。中でも半月状の発光体を追加装備がかなりの万能っぷりで、自分が纏うことで空中を移動したり相手を拘束するといった芸当を可能にしていました。アークを十字架のように磔にしてきた時は、明らかに人為的な技を獲得していると驚きましたね。(またウルトラマンシリーズ伝統「ウルトラマンが磔にされるシチュエーション」が久々に見られてちょっとニヤリときたり……*2)

 そしてトリゲロスについて特筆すべきはアークの動きや技を熟知している点。ルーナアーマーなどの装備も把握しているようで、空中の高速戦闘をはじめとして終始アーク攻撃に対応しきっていました。これは劇中でシュウが言及していたように「アークを倒すために作られた怪獣」だからなのでしょう。アークひいてはユウマの中にあるオニキスを奪うため、これまでのデータを参考に作り出した対ウルトラマンアークの最終兵器として、このトリゲロスの脅威がこれでもかと伝わってきました。ウルトラマンを圧倒する構図といい、よりゼットンっぽくなったなぁ……

 

 

 ちなみに個人的に胸熱だったシーンとして、今回の戦闘で決め手になった一連の流れにも注目したいところ。防衛隊の戦闘機がトリゲロスを攻撃し、その隙をついてギャラクシーアーマーを纏ったアークがブレーザーキューブを使っての新必殺技&ゼロ距離アークファイナライズでトリゲロスを倒すシーンにはテンションが爆上がりしました。アーク動き1つ1つから、決死の攻撃だったことが読み取れたので見ていて手に汗を握らずにはいられなかったです。何よりトリゲロスという強敵をようやく倒せたことにどこか安堵を覚えましたね。(また技が効いたことについては、恐らく流石のゼ・ズーやトリゲロスでもブレーザーの力は把握していなかったのだろうと解釈しています)

 

 

 さてトリゲロスの大爆発でアーク(ユウマ)の安否が知りたいところですが、次回はまたもや特別総集編に突入する模様。ただでさえ今年最後の放送ということもあり気が気でないのに、年明け一発目から関係のない話で思わずズッコケてしまいました。実質本編が3週間後だと思うと結構辛いです……

 とはいえ本作の総集編の主役である中村さんにまた会えるのはちょっと嬉しいですね。色んな分所を転々としながらも前向きに頑張るあの人を見ていると元気になれるので、次の総集編でも中村さんの行方に注目していきたいと思います。(ところでこの人、とうとうハワイにとか配属されていないか?)

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:余談だがビオルノの声を担当した小林親弘さんは、『デュエル・マスターズ』のアニメシリーズでジョリー・ザ・ジョニーなどの主人公の切り札ポジションを演じたこともあり個人的にもお気に入りの声優である。

*2:ちなみにアークが捕まるシーンは『ウルトラセブン』でセブンがガッツ星人に敗北した時を彷彿とさせるものに仕上がっていたと感じている。