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2025年冬アニメ簡易感想 その3

 

 

 

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 高橋一生さん主演のドラマ『岸辺露伴は動かない』シリーズの新作『岸辺露伴は動かない 懺悔室』の情報が先日発表されました。何と一昨年の『岸辺露伴 ルーブルへ行く』と同じく劇場映画として公開するとのことで、また映画化されたという事実にまず驚かされます。イタリア・ヴェネツィアロケを敢行していたようですし、気合の入りようが伺えます。(もしや映画として出した方が予算が出て海外ロケしやすいからこうなっているのか……?などと邪推してしまったり)

 それはともかく、今回取り上げるエピソードが念願の『懺悔室』というのは見逃せませんね。ジャンプ作家たちが読み切りを描き上げる企画にて作られ、岸辺露伴を主役としたシリーズの原点となった作品こそこの懺悔室。それがようやく実写で見られるというのは、シリーズを密かに追っているファンの1人として非常に嬉しいです。

 原作の内容は露伴がタイトル通り本当に動かない&そもそも読み切りなので非常に短いなど2時間近くある映画には向いていなさそうですが、そこは本作のシリーズのスタッフが素敵な改変を施してくれるでしょう。露伴が劇中に出てくるポップコーンのゲームをやらされる羽目になりそうですし、他にもイタリアが舞台ということでジョジョ5部のエピソードを引用するのもあり得そうですね。金髪のコロネ頭に荷物をパクられる露伴とか超見てぇ……これまでの作品同様の、原作の持ち味を活かした独自の実写化に期待していく所存です。(下に続く)

 

 

 というわけで以下、今週の簡易感想です。

 

 

 

 

 

全修。

第1話「始線。」

 『SHIROBAKO』のような始まりから異世界転生(?)のノリを引っ提げてきたMAPPA制作のオリジナルアニメ。若手の売れっ子アニメ監督がかつて好きだったアニメ映画の世界にやってきて、数々の鬱展開を回避していくというストーリーのようです。主人公が絵コンテを描き上げることで手描きの何かを召喚する能力を持っているのは、アニメーターらしさに詰まっていて斬新ですね。(出来上がったのがどう見ても巨神兵なのがまた面白い)戦場のど真ん中で机展開してコンテを描くシーンは、中々にシュールながらこの作品ならではの“味”と言えるでしょう。

 主人公の監督「広瀬ナツ子(ひろせ・ナツこ)」に関してはまず貞子のようなビジュアルに面食らいますね。そして良くも悪くもアニメへの情熱を抱えているのがわかる反面、やや強引で独善的な一面も抱えているのでそれらの問題との向き合い方が早速気になってきます。アニメ世界の主人公である「ルーク・ブレイブハート」との関係も現状最悪ですが、ここからどのように信用を得るのかも楽しみになってきている次第です。(ルークもルークでちょっと性格悪いし)何よりこの世界の筋書きを変えてもいいものなのか、どこか不安も覚えてくる始まりでもありました。

 

 

天久鷹央の推理カルテ

第3話「閃光の中へ」

 次なる事件は「呪いの動画」を見てしまった双子の話。流行っている動画を見た女子高生が本人の意志に関係なく自殺未遂を図る、字面だけでも奇怪な事件にどこか惹かれました。その呪いの動画はグロテスクなサブリミナルを挿入しているだけといいつつも、双子がそれぞれ死にかけたということもあり不気味な印象を与えてきます。事件に巻き込まれた少女たちの困惑した様子もある意味で不安を煽っていましたね。

 とはいえ真相は割と単純なもので、てんかん発作による自動歩行症という診断にはちょっと膝を打ちました。(ようはポリゴンショック「テレビを見る時は部屋を明るくして離れて見てね!」ですね)呪いの動画の点滅の多さが原因というのも、現実で発生した事件などを知っているだけに実感が湧いてきます。前回と比べて早いテンポで終わりましたが、特に引きずりすぎる解決してみせた点は1話完結ならではの爽快感に繋がっていたと思います。

 それはそれとして天久先生の問題児っぷりが早くも明かされたのも大きな見どころ。精神科医の「墨田淳子(すみだ・じゅんこ)」に嫌われている理由が、誤審を指摘&勝手に患者を処方すると納得のいくものばかりで笑いつつも頭を抱えてしまいました。これは優秀でも敬遠されるのも当然とばかりに、現状の天久先生の立ち位置がよくわかる回でもあったと言えます。それだけにどんなに無下に扱われても付き合ってくれる小鳥先生の優しさが胸に沁みますね……

 

 

グリザイア:ファントムトリガー

第2話「マザーズクレイドル#2」

 クリスこと鯨瀬・クリスティナ・桜子について多くが知れた今回。まず彼女の幼少期の回想から始まりましたが、爆破テロに巻き込まれたという過去から今では爆弾の専門家になっている皮肉めいた話に苦笑してしまいます。しかしそれ以上に母親から手を離されるシーンがショッキングでしたね。父親との関係からして、クリスは母からは本当に愛されていなかったのだろうといった考えも浮かんできました。(両親の遺体が自分そっちのけで抱き合っているのがまたエゲつない……)クリスの演じている母親キャラも、そんな母に対しての複雑な心境が絡んでいるのかもしれません。

 話は戻って現代。カルト武装集団の病院ジャックに巻き込まれたタイガ様を救うため、命令違反で単身乗り込むクリスの勇ましさに少々興奮を覚えました。タナトスをエリンギ呼ばわりしつつ協力させるなど、普段からは考えられないほど強引な一面を覗かせていたのが面白いところです。銃の腕もそこまでないのに突っ込む無謀さと合わせ、彼女が意外と感情的な人間である認識出来ました。何よりそこまで焦るのはタイガを想ってのが伝わってくるので個人的には好感度が一気に上がりましたね。

 クリス以外のA組の面々が従順なフリをしながら無茶な作戦に打って出ようとしている展開がこれまた素敵。自分たちが政府の道具であると言いながらも、仲間のために動ける辺りに彼らの情の熱さが伺えます。ケンカしながらも仲間のためなら一致団結出来るマキグミコンビや、仙石家への嫌がらせも兼ねて作戦を許可してくれる学園長と、ここまで描かれてきたキャラクターがしっかりを活かされているのがわかって準備段階でも十分にワクワクさせられました。……ところで有坂先生は何で突然竹槍持って特攻かまそうとしてたの?

 

 

ちびゴジラの逆襲

第54話「デートはドキドキ」

 まさかまさかのラブコメ回。ちびモスラがちびメカゴジラを誘って2匹きりでのお出かけに花を咲かせるかと思いきや、例によって周囲の騒がしさにかき消されていくのがおかしかったです。特にビオ姉さんの入れ知恵のせいで、何が何でも決闘させたがるちびゴジラがやかましくて変な笑いが出てきましたね。(あとは客がどんなにクレームを言っても微動だにしなかったちびガバラの謎メンタルにビビったり)

 それでいて最後には体育座りする2匹の微笑ましさにキュンときました。自分の正体を知ってから落ち込んでいたちびメカゴジラを元気付けようとしていた、ちびモスラの健気さには思わずときめいてしまいます。横のちびゴジラの文句が耳に入らないほど、2匹だけの世界に没入していたのも驚きですね。本作では珍しいロマンチックなオチだったと思います。

 

 

 上の懺悔室の発表と同時に制作陣のコメントも公式アカウントにて公開された話にもちょっと触れておきたいところ。監督の渡辺一貴氏や脚本の小林靖子氏、泉鏡花役の飯豊まりえさんといった面々の作品に対する意気込みなどが伺える文章に思わずニヤリとさせられました。(特に小林氏の「幸運という名の災難」という言い回しが露伴らしさを表わしていて最高の一言。流石靖子にゃんだぜ……!)その中でも異彩を放っていたのが露伴役の高橋一生さんのコメントなのですが……

 

 

 何かびっしり書かれている……他の方のコメントがせいぜい10行前後なのに対して、この文章量の多さには少々たじろいでしまいます。内容に関してもルーヴルでの時に感じたモノや本作に抱いている“熱”などをこれでもかと語っており、高橋さんの勢いに圧倒されましたね。それほどまでに露伴に全力を注いでくれているのがわかるので、何だかんだでとてもほっこりしてくるコメントであったと思います。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

『デュエル・マスターズ WIN』第6巻を読む

 

 

 『Duel Masters LOST』や『ドラゴン娘になりたくないっ!』などここ最近様々なメディア展開に挑戦しているデュエル・マスターズ。その結果例年よりも注目されることが多くなっていることもあり、色々と驚かされる今日この頃です。いくつか問題もあると感じる部分はあるものの、これは新しいやり方を模索している最中として納得出来るところもあるので暖かく見守っている今日この頃を過ごしています。

 しかし最も多くの人に触れてほしい『デュエル・マスターズ WIN』本編に関してはテレビアニメの放送終了に伴い、やや影が薄くなっていることに少しだけ寂しさを覚えています。原作である漫画ではウィンとカイザがどうなったのか、CMなどで名前の挙がるサバトが何者なのか知らない人も多いので、昨年は何かとヤキモキすることが多かったです。(とはいえ週刊コロコロコミックで配信が始まり、試しに読んでみる人も多くなってきたのは嬉しい話ですが)

 

www.corocoro.jp

 

 特に昨年からの漫画の新展開は個人的にも胸熱な要素満載で非常に面白く、デュエマのストーリーの本家ここに在りといったものを感じ取りました。こんな面白い漫画を読んでもらえないのは非常にもったいないと思いますし、僕自身ここ数カ月の漫画に関する感想をもっと書き出したいという衝動にも駆られている真っ最中です。(ふせったーで毎月簡単な感想を書いていますが、やはりまとまった感想も残しておきたい心情)ということで今回はそんなデュエマ漫画の単行本第6巻までの範囲の感想を軽く書いていきたいと思います。

 

 

  • 愛なき邪悪な月の使途

 デュエマWIN6巻の最初の見どころとしてはやはり「忌神サバト(いみがみ・サバト)」率いる「月軍」の襲来。前5巻にてウガタをそそのかし《DARK MATERIAL COMPLEX》を解放したノンノの本隊として出てきた月軍は、初っ端からドローン軍団でマイハマ学園を破壊してくるバイオレンスっぷりでインパクトを残していきました。さらに《悪魔神バロム》の力でジャシンの体を切り刻むシーンの衝撃も絶大の一言。この良くも悪くも圧倒的な暴力で周囲を混乱に陥れる月軍は、悪役のイメージを読者に与えるにはこれ以上ないデビューを果たしたと言えるでしょう。

 その中でも月軍第1教団リーダーを務めるサバトの得体の知れなさはかなりのもの。目的のために淡々と儀式を進めていく面と、カイザへの恨みつらみを発散させようとする面それぞれが異常者としての風格を醸し出していました。興味のないものには冷淡ながら特定の個人に対しては粘着質、とでも言うべきでしょうか。そういった異質なキャラ造形が見えてくるのでサバトが出てくるたびに鳥肌が立ってきます。ちなみに元D4の一員だったという過去を持つサバトがカイザとどんな因縁を抱えているのかについては……ここでは割愛しますが、中々に狂っているので余計に怖かったですね。

 そんなサバトのドライな部分がわかるのがこの巻でのカイザVSノンノのデュエルで、《暗黒剣 フラヴナグニル》が決めた特殊ルールの無法さにはビビりました。「カードを使用するたびに自分のシールドが1枚焼却されていく(シールドが0枚の場合はプレイヤーが燃やされる)」という、速攻デッキや【邪王門】くらいしか喜ばなさそうなルール、加えてデュエルの勝敗に関係なくカイザを燃やして始末しようとする魂胆からは彼のデュエマへの興味の無さが伝わってきます。戦っているノンノもバレエで鍛えた柔軟性で謎ポーズをキメ挑発してくる性格の悪さが滲み出ており、月軍全体がデュエマを嘲笑ってくる辺りが良い意味で憎たらしかったですね。

 またこの月軍の連中は、個人的には勝舞編のザキラ率いるガルドに通じる「悪の組織」感があるので結構気に入っています。(ノンノは謎ポーズからしてシズカを彷彿とさせますし、作者の松本しげのぶ大先生がある程度セルフオマージュを入れているかもしれません)自分の欲望のために他者を踏みつけることに何の躊躇も遠慮もない、まさに邪悪な軍団として申し分ないのでかえって清々しさすら覚えますね。まぁザキラの過激派ファンとしてはザキラと比べるとデュエマへの愛情もカリスマ性もないサバトには一歩劣る印象を抱いていますが、そこは上述の狂気に満ちたキャラクターで異なる魅力を出していくのだろうと考えていく所存です。

 

 

  • 愛を燃やす終炎の皇子

 そんなサバトに立ち向かい、衝撃的な退場を果たしたのが我らがプリンス・カイザ。6巻の最大の見どころはやはり彼の戦いぶりで、闇のマナ云々で隔離されてしまったウィンの代わりに主役として大活躍していました。サバトを始末するためにヘリコプターを激突させて殺そうとする強引さには笑ってしまうものの、その根底には愛する学園や街を守ろうとする確固たる意志と使命感があるので何だかんだで好感が持てましたね。でもヘリの自爆特攻に付き合わされたファルゴはカイザに怒っていいと思う。

 何よりこの巻のカイザは終始デュエマへの「愛」を語っているのが最大の特徴。前巻でのウィンとの全力対決を果たしたことでデュエマが好きな気持ちを思い出せたことから、上述のデュエマへの愛なきサバトに憤る姿が印象に残りました。命がけのデュエルも「楽しい」と笑う姿ははたから見ると異常ですが、「デュエマは楽しんでやるもの」というメッセージが伝わってくるのでどこか爽やかにも感じます。ホビー作品のおいて重要とも言える「そのホビーを遊びとして楽しむ精神性」を、愛という一言で語るのはかえってロマンチックにも思えますね。これをそれまで張りつめていたカイザが言うのですから感動ものです。

 相棒のボルシャックもカイザの覚悟に応えるために戦い抜いたのがこれまたカッコよかったです。新形態《終炎の竜皇 ボルシャック・ハイパードラゴン》が、《ハイパー・キャストオフ》で装甲を脱いだハイパーモードへと変貌を遂げるシーンは見開きの迫力もあって圧巻もの。ハイパーキャストオフ!チェンジ、ハイパードラゴン!!ウンメイノー最終的には燃え尽きてしまったものの、カイザが遺した意志はしっかりボウイたちに伝わったという形で終わるのが美しいとも感じましたね。彼の愛はウィンたち次なる仲間に託された……とばかりに鮮烈な退場を遂げたカイザに敬礼を贈りたくなる巻でした。

 あと余談ですが、見返し表紙にはウルっとさせられましたね。カイザとウィンが砕けた態度で楽しそうにデュエマをしている一枚絵は「ありえたかもしれない光景」として、あまりにも胸にくるものになっていました。特にカイザが少し余裕そうな笑顔を浮かべているのが嬉しいような切ないような……この光景を本編でも実現してほしいので、歴代ライバルの如くカイザの復活を願うばかりです。……いつものデュエマの展開から復活すること前提で考えていますけど、カイザは復活しますよね大先生!?

 

 

 とまぁ最早カイザが主人公のようになっていたデュエマWIN第6巻ですが、その結果ウィンが割を食ってしまったのがちょっとした不満点。単行本などで一気読みするとそこまででもないのですが、月刊ペースで読んでいるとウィンがず~っと深海に隔離されっぱなしのまま話が進むので非常にもどかしかったです。(ちなみに下の読者の応援コメントに「ウィンがんばれ」と書いてあるけど肝心のウィンはずっと出番ないんだよなぁ……と余計にシュールに感じます)あと彼の新切り札である《邪魂の王道 ジャシン帝》が中々出てこないので、主人公のカードの販促的にもどうなのか?と思わずにはいられなかったですね。その分この先の展開でウィンには活躍してほしいものです。

 その他気になる要素を簡単に箇条書きにすると……

 

  • イノシシのようなツノを付けているサバトの車の『マッドマックス』感が凄まじい
  • ジャシン帝が黒い穴からどんな仲間を呼び出そうとしたのかが地味に気になる
  • バラバラにされたジャシンを見て「どろろだ」とか「エクゾディアだ」とか思ったのは内緒
  • そういえばD4ってみんな家が大金持ちの設定だということを思い出した……
  • 学園長「あなたは特定危険デュエリストになったの」←まず特定危険デュエリスト is 何?
  • 技の先生である「マゼンタ」先生の格好ってこれビキニアーm(ry
  • カイザが見つけた《暴徒-da-bummer》と《ビシャモンス・デーケン/「深淵より来たれ、魂よ」》のコンボは後で調べて感心したなぁ
  • この巻のファルゴはヘリ云々で酷い目に遭いまくっているな……
  • サバトの過去を知れば知るほど「あの時のことは詫びる」と言えるカイザの優しさが沁みる
  • カイザがボウイに期待を寄せているのも素敵だし、それをイッサが本人にコッソリ教えてあげるシーンが地味ながらここすきポイント
  • 《光喜の夜 エルボロム》は漫画でも不気味で怖い
  • ハイパードラゴンがハイパーモードになった瞬間の見開きでカイザが楽しそうな笑みを浮かべているのもここすきポイント
  • 心の先生「ターコイズ」のドジっ子ぶりには苦笑い

 

 といった感じでした。単行本のおまけページなどがないのは残念だったものの(まぁLOSTとかウルスパとかあまりにも多忙すぎて書く暇がないのでしょうね)、やはりデュエマ漫画は面白い!と感じられる内容でした。次の7巻は早くて来月辺りに発売されるかもしれないので、その時を楽しみにしていたいと思います。

 

 

  ではまた、次の機会に。

仮面ライダーガヴ 第17話「カラメる触手は幸福味」感想

甘美な毒をご賞味あれ

不穏と動揺を織り交ぜながら、物語は新たな展開へと突入する

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  • 気だるげバイトの甘い密約

 新年最初のガヴはお正月ムードの中で、いつも通り謎の失踪事件からグラニュートの影を追うショウマたちが描かれました。しかし同時に進行していくラーゲ9の動向が個人的にはまず気になるところ。今度は特殊詐欺セミナーの教室を襲うなど、確実かつ効率的にヒトプレスを収穫していく手際の良さにも最早感心すら覚えます。今回のグラニュート「チョール」のやり方が地道すぎるのもあって向こうが気の毒になるレベルですが、むしろ彼ら一般バイトをを囮にして大量に稼ぐために用意されているのがかえって伝わってきました。

 それでいて闇菓子には気にも留めず、ヒトプレス集めや普段からの態度が終始気だるげなのがラーゲ9の特徴的なポイント。ヒトプレスの扱いもそこまで良くはない辺り、今やっていることはストマック社に近づくための手段に過ぎないことがわかりますね。彼の正体は未だに不明(ただ後述の実力の高さなどからして、訓練された戦士の可能性がありそうです)ながら、何かと「だるい」と口にする態度もあって今のバイトや人間たちには全く興味を持っていないことが伺えました。これだけで彼がこれまでのグラニュートとは明らかに異なる異質な人物であることが読み取れます。

 そんなラーゲ9とニエルブが「秘密のバイト」という名の契約を行うシーンは一転して、待ってましたと言わんばかりに乗り気に見えたのがまた面白いところです。闇菓子以外の報酬を要求してくるなど、こうなることを見透かしていたかのようでゾクゾクしましたね。対するニエルブも彼の慇懃無礼な本性を気に入りつつ、自分の新しい発明の実験台にする気満々な模様。フレンドリーに見えて、実際は互いに相手を利用するつもりなのが視聴者視点でも丸わかりでした。今後腹の探り合いを繰り広げそうなこのコンビには、思わず緊張感を抱いてしまいそうになります。

(余談ですが今回のニエルブは上手いなぁ~、と思ったところが「ランゴたちの邪魔をせずに自分の目的を果たそうとしている」ところ。双子のように隠し事をしていながらも、グラニュートハンターを倒すというむしろストマック社の利益になる行動で本来の目的をカバーしている点にこの次男のやり手ぶりを感じましたね)

 

 

  • ぷるぷる+カラメル!蕩ける触手で組み伏せよ

 

ヴラスタムギア!

 

カップオン!

 

プティング!!

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ヴ ラ ム シ ス テ ム

VRAMSYSTEM

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 ラーゲ9がニエルブ開発の「ヴラスタムギア」に「どっプリンゴチゾウ」をセット、中身を押しだすことで変身した姿「仮面ライダーヴラム プリンカスタム」。ついに現れた本作の3号ライダーです。ガヴやヴァレンが肉体の改造手術によって変身する力を得たのに対して、こちらはヴラスタムギアという外付けの変身ベルトを装着するタイプになっている模様。従来のライダーシリーズではありふれた方式ですが、改造が基本の本作においてはかえって斬新になっているのが面白いですね。

 見た目に関してはプリンモチーフということで、カラメルがかかったプリンの意匠が上半身を中心に施されています。(胸や肩、膝のカラメルが垂れている部分が食欲を湧かせてくるのでここすきポイント)アーチのように繋がったプリンの装甲以外は比較的軽装で、全体的にスリムでスタイリッシュなビジュアルに仕上がっているのが面白いところ。というか黒と銀のアンダースーツに、黄色と茶色のプリンがここまでマッチしていることに驚かされます。またプリンを掬うためのスプーンが側頭部に突き刺さり、ヘッドフォンのアンテナのようになっているのもオシャレです。

 そんなヴラムの戦闘力ですが、まずラーゲ9の固有能力である触手を使ってきたのが特徴的。変身前の力も使用可能というのはこれまた珍しいですね。しかしそれ以上に目を引いたのがヴラム自身のバトルセンスで、ガヴとヴァレンの攻撃を華麗に避けて圧倒する姿には思わず惚れ惚れしました。中でもヴァレンを組み伏せるシーンの自然な動作には息を飲むばかり。赤子の手をひねるかの如く容易くねじ伏せる辺りで、ラーゲ9の試合巧手ぶりが伺えました。元から異様に強い変身者の戦闘力を、さらに底上げしてきたのがこのヴラムの力ということなのでしょう。描写的にもわかりやすい強敵出現に高揚が止まりません。

 

 

  • 隠し事と目的の違いはどこへ誘う?

 今回もう1つの見どころとしてショウマたちの行方不明者探しが繰り広げられましたが、その過程でショウマと絆斗の若干のすれ違いが発生していたのが印象に残りました。何より心配だったのが前回のことでショウマが隠し事をしていることを絆斗もハッキリ認識してきたようで、少しだけ怪しむようになってくる様子にこちらも思わずドキドキしてしまいます。絆斗なら頭ごなしに否定してこないだろうと思う反面、ショウマが臆病になる理由も理解出来るので複雑な心境を抱かずにはいられません。

 ショウマもショウマで正体を隠す動機に関して「自分のことしか考えていない」と自責の念に駆られているので見ていて辛かったですね。他人のことを十分に考えているのに自己肯定感が低すぎるので、むしろもっと自分のことを考えていいんだよ……!と声をかけたくなってきます。(ただこのショウマの考えは常に誰かの笑顔のために一生懸命になれる幸果が隣にいるのも原因のように思えますね。聖人すぎる彼女と比べて自分を卑下してしまうのも無理はないかも……?)

 またチョールが化けたスカーフの女性の手口に対して、2人の行動の違いが出てきたのが印象的。幸果の身の安全を真っ先に考えるショウマとグラニュートを倒すために追いかける絆斗の対比は、そのままこの2人の目的の違いを表わしているようにも見えました。「人間をグラニュートから守る」と「グラニュートを一匹残らず潰す」は似て非なるものなので、優先するモノが異なってしまうのも仕方ないのかもしれません。現状は絆斗もわかってくれたものの、この違いがいつか重要な場面で爆発してしまうのではないかと改めて気が気でなくなってきます。今回はそんな表面化してきたショウマたちの問題が提示された回とも言えるでしょう。

 

 

 さて次回はVS仮面ライダーヴラム後編。グラニュートハンターのハンターとして立ち塞がってきた強敵に、ガヴとヴァレンはどこまで喰いついていけるかが楽しみなところです。(一方チョールは用心棒を得たと調子に乗って大胆な策に出る模様ですがまぁそれはいいでしょう)また絆斗がショウマの隠し事について言及してくるようですが、果たしてショウマは自分の正体についてどこまで話すのか……2人の関係の行方についても注目していきたいです。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

映画 はたらく細胞 感想

だからこそ手にする幸せ

約37兆個もの細胞たちが働く、世界最小の物語をここに。

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 清水茜氏原作の細胞擬人化漫画『はたらく細胞』。初登場時から大きな話題を呼び、アニメ化や数多くのスピンオフ作品を輩出してきた人気作です。細胞や細菌・病気についてをコミカルに学べる作品として何かと取り上げられていた本作が実写映画化したということで、僕自身以前から注目していました。

 

metared19.hatenablog.com

↑映画初報時の感想については上の記事を参照。

 

 年末は忙しく観に行く暇がなかったのですが、2025年を迎えた元日にようやく映画館に足を運んで鑑賞しました。その結果、凄まじい原作へのリスペクトに興奮しつつと衝撃的な展開に愕然となりました。あの細胞の世界を見事に再現しながらも、原作では敢えてやらなかったシビアでハードな要素の数々に触れていく大胆な改変のインパクトはあまりにも絶大。コメディ映画だと思って行くと面食らいますし喪失感も半端ないのですが、その分医療要素に真摯に向き合った証明でもありました。というわけで今回はそんな実写版はたらく細胞の感想を書いていきたいと思います。

 

※ここから先は作品の内容に触れているのでネタバレ注意!!

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  • 独自に描かれるワンダーランド

 まず本作の特徴の1つである「原作の世界観の表現」について。原作でも印象的だった「細胞の世界」を、どこか不思議なファンタジーランドのように表現してみせたことにまず唸らされます。元々が団地のような風景だったのに対してこちらは中世ヨーロッパを彷彿とさせるもの*1でしたが、大量の細胞たちがひしめき合う絵面などで細胞の世界であることを一気に印象付けてきました。細胞たちのアニメチックなビジュアルも、こうした馴染みの薄いファンタジーテイストだからこそ違和感なく溶け込んでいたと思います。おかげで血小板ちゃんやキラーT細胞といった各細胞の個性豊かなキャラクターを、本作でも堪能することが出来ました。

 他にも個人的に気に入っているのが戦闘シーンのクオリティ。肺炎球菌や化膿レンサ球菌といった雑菌とのバトルシーンはかなり気合が入っており、縦横無尽に動き回る白血球たちにはかなり驚かされました。(中でも白血球のアクションは実写版『るろうに剣心』のアクションシーンとの既視感を覚えるものがチラホラあったのでニヤリときたり……)CGといったVFXもこれまた違和感なく馴染んでおり、ある種特撮作品としても見ることが出来ます。特撮作品が大好きな身としては、ここまで見応えのあるバトルが見られただけでも嬉しい限りです。

 総じて細胞たちを擬人化しているという点を上手く意識させて、こちらに彼らの世界へとすんなり入り込めるようになっているのは見事の一言。原作の世界と似たようで異なっている点も「人間の数だけ細胞たちの世界がある」と考えれば納得がいきますし、むしろその設定を活かしているからこその世界観を構築していると漢字ました。(そもそも原作のスピンオフの時点で大概フリーダムですし)原作漫画を読みこんでいるからこそ出来る、独自の世界観は最初に評価しておきたいところですね。

 

 

  • 人間と体内のリンクの面白さ

 そして実写の挑戦的な要素として、宿主である「人間の世界」が描かれていた点も見逃せません。原作では敢えて触れてこなかった領域に踏み込んだことには最初こそ不安を覚えましたが、蓋を開いてみれば人間の世界があるからこその演出で大いに楽しませてもらいました。何と言っても人間側の描写と細胞側の描写がリンクしているシーンの数々が秀逸で、人間からしてみれば大したことのない擦り傷が体内では大爆発と大穴として表現されるギャップには思わずクスっとさせられます。宿主の人間がどういった状況にあるのかを見せることで、体内での出来事もスッと入り込めるようになっていましたね。

 またメイン登場人物である親子の片方を使ってスピンオフ作品である『はたらく細胞BLACK』ベースの世界を同時に用意しており、良い意味で意表を突かれる点になっています。これまた原作とは異なる世界観ですが、主人公の父親が持っている持病の数々がこれまた体内でリンクしてくるので不思議な臨場感が出ていましたね。肛門のシーンは下ネタなどクドいところもあって人を選びそうですが、現実なら悲惨な症状をある程度コミカルに仕上げていたのは個人的には好感が持てました。

 そのため劇中に登場する人間たちにも愛着が持てたのが嬉しい誤算。基本の世界の宿主である「漆崎日胡(うるしざき・にこ)」と父親の「漆崎茂(うるしざき・しげる)」、それぞれの細胞たちの働きと共に彼らのドラマもしっかり描かれていました。不摂生な生活で一度は倒れる茂には笑いつつもゾッとしましたし、さらに後述の展開で日胡が衰弱していく様子は辛くて見ていられなかったです。だからこそ支え合う親子関係や共にいてくれる日胡の彼氏の存在に救われますし、彼女たちが生きていけるよう頑張ってくれた細胞たちのありがたみも間接的に伝わってきました。まさに人間がいるからこそ出来る作品作りには感心するばかりです。

 

 

  • ショッキングな結末、だからこそ見事

 さて本作で最も衝撃をもたらした後半の展開ですが、本当に胸がザワつきましたね。健康優良児であった日胡が突然倒れた原因として、白血病が出てきた時の恐怖は計り知れなかったです。遺伝子に異変が見られた骨髄芽球が白血病細胞へと変貌するのは予想通り*2でしたが、その結果体内が徐々に荒廃した世界へと変貌していく様子は怖くて仕方がなかったです。キラーTやNK細胞もあっさりと殺されていくので、見ている最中は本当に気が気でなかったです。原作と似て非なる世界観とはいえ、愛着のあるキャラクターを情け容赦なく全滅させていく展開には本当に思い切ったことをしたものだと感じました。

 同時に人間側の描写も深刻になっていくのが恐ろしいところ。徐々に衰弱していく日胡の様子はこちらの胸が締め付けられましたし、「何で俺じゃないんだ」と涙を流す茂のシーンにはこちらも涙ぐんでしまいます。また日胡が受けた抗がん剤や骨髄移植のための放射線治療の描写が、体内では細胞が消えていく要因にもなっていたのでかなりショッキングでしたね。(綺麗なオーロラ(放射線)によって細胞たちが服だけを残して消滅していくシーンは結構なホラーです)必要なことなのはわかりますし仕組みも理解出来て勉強になったものの、細胞たちが無情にも消されていく光景は恐ろしくも美しく映りました。

 原作やアニメのコミカルな内容を期待していると絶句すること間違いなしの結末ですが、それがかえって「体のために働く細胞たちのドラマ」に繋がっていたのは素晴らしかったです。健康な体にも異常が発生して惨状を引き起こしてしまっても、どんなに絶望的な状況でも体を生き延びらせようと戦う細胞の懸命さに胸打たれました。闘病生活を送る日胡たちの描写もまた密接にリンクしており、笑ったことで免疫力が高まり白血球が立ち上がるといった物語が続いていく過程もまた絶妙。医療作品としても真面目に作られていることが伝わってきますし、細胞たちの生き様を丁寧に描いてたと言えるでしょう。消えた赤血球と白血球そっくりの2人が出会うラストがちょっとした救いになっている点*3も含め、心穏やかではいられないもののしっかりとした作品に仕上がっていました。

 

 

 というわけで実写版はたらく細胞の感想でした。いやぁ原作とは別物の展開が待ち受けていましたが、ちゃんと面白かったので何だかんだ満足度はかなり高かったです。人間側の描写や細胞たちの一時全滅エンドなど、原作ではなかったことに挑戦していますが、それは決して原作を蔑ろにしているわけではないというのが伝わってきましたね。むしろ原作への理解があるからこそ、実写ならではの形で1つの作品に昇華してみせたのでしょう。こうしたリスペクトに溢れた作品は個人的にも大いに評価したいです。

 同時に自分の体をもっと労わってやろうといった意識も湧かせてくるので、「笑えて泣けてためになるエンターテインメント」として十二分の働きをしてくれたことにも感服させられます。年明け早々凄まじいものが観れて、楽しいひと時を送れた次第です。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:ちなみに体内のパートで使われたロケ地は和歌山県にあるテーマパーク「ポルトヨーロッパ」(https://www.marinacity.com/porto/)とのこと。

*2:ただし原作漫画では「がん細胞」が体を脅かす敵になっていたため、原作同様がん細胞が出てくると思っていた身としては白血病細胞は意外なサプライズであった。

*3:余談だがこうした「登場人物が全滅した後に主人公たちのそっくりさんが再開を果たす結末」はそこまで珍しいものではなかったりする。(有名な一例としては『ジョジョの奇妙な冒険 第6部 ストーンオーシャン』がある)

2025年冬アニメ&特撮簡易感想 その2

 

Fate/strange Fake -Whispers of Dawn-

Fate/strange Fake -Whispers of Dawn-

  • 花澤香菜
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 昨年の大晦日に放送された「Fate Project 大晦日TVスペシャル2024」内にて 『Fate/strange Fake』のアニメ情報が一気に解禁。第1話の先行放送の後、2025年にテレビシリーズの放送されるという嬉しい情報まで発表されました。テレビスペシャルから実に長いこと待たされたのもあり、スノーフィールドの聖杯戦争がようやく本格的に見られることに高揚感を覚えてきます。

 

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↑一昨年放送されたテレビスペシャルについては上の記事を参照。

 

 というわけで第2話の予告も番組内にて発表。1話ラストに登場した聖堂教会の神父「ハンザ・セルバンテス」を筆頭にクセの強い面々が一気に動き出すことが予感出来ます。というか映像を確認した限りだとハンザVSジェスターの人外バトルの皮切りまで描かれそうなのが驚きですね。原作序盤の山場をドンドン描いていくつもりらしい点に期待せずにはいられません。これまで同様、凄まじい作画で見られるであろう戦いが今から楽しみです。(特番の感想に関しては下に続く)

 

 

 というわけで以下、今週の簡易感想です。

 

 

※今週の『ポケットモンスター レックウザライジング』『遊☆戯☆王ゴーラッシュ!!』はお休みのため感想はありません。

 

 

 

 

 

Fate/strange Fake

第1話「英霊事件」

 というわけで特番内にて先行放送されたFakeの第1話ですが、最も鮮烈だったのはやはり突如召喚された謎のセイバー。その後のFGOでのガチャで真名がネタバレされたけどね!狂信者のアサシンをエクスカリバーで打ち払うだけならまだいいとして、警察に逮捕されながら演説を始めるシーンのインパクトは絶大でした。市民に自分の非を詫びたうえで汚名を雪ごうと宣言する姿は、奇天烈ながら勇ましく王たる風格すら感じられます。魔術の秘匿も何もあったものじゃないものの、見ていて気持ちの良い人物であることがこの時点で読み取れますね。

 そんなセイバーたちの戦いに巻き込まれた少女「アヤカ・サジョウ」も忘れてはいけないポイント。(『prototype』の主人公である沙条綾香(さじょう・あやか)にそっくりですがそれもそのはず……)現状謎多き少女ながら、どこか不憫なイメージが既に付きまとっていましたね。正体不明の「赤ずきん」から逃げてこの街までやってきて、その矢先に聖杯戦争に関わることになったことが何とも気の毒に思えてきます。高らかに叫ぶセイバーとは対照的に、心底うんざりした態度で車に乗り込むラストも印象に残りました。彼女に施された“呪い”とは何か、その問題に関する展開にも注目していきたいところです。

 

 

チ。-地球の運動について-

第15話「私の、番なのか?」

 「鬼の目にも涙」とばかりに人間味溢れる一面を見せてきたノヴァクに胸が締め付けられた今回。ヨレンタが異端として処刑された事実に打ちひしがれ、残された手袋を前に項垂れる光景があまりにも悲痛で見ていられなかったです。何より彼の過去回想も描かれましたが、良き父として懸命に振る舞っていた姿がまた突き刺さります。神への信仰を遵守しながらも、それ以上に娘を第一に考えていた子煩悩な父親像が見えてきました。

 同時にヨレンタに対しての負い目のようなものが感じられたのが興味深かったですね。審問官の仕事を隠していたのも、優しく聡明な娘を傷付けないために距離を置いていたのだろう……といった考えも浮かんできます。それだけに今回の結果は、これまで娘と正面から向き合ってこなかったツケを支払われたようにも見えるのがまた切なかったです。それだけに悼むフリをして内心ほくそ笑んでいそうなアントニがめちゃくちゃ憎たらしい~~!!

 一方後半ではバデーニが遺した仕掛けが判明。貧民たちの頭部に文字の刺青を施していた事実には衝撃を受けつつ吹き出してしまいました。(なるほど効果的な手段とはいえ、予想の斜め上をいったのでどうしても笑いが先に出てしまいますねハイ)またクラボフスキさんが想いを託される場面も印象的で、自分の行いへの罪悪感から次なる使命に複雑な心境を抱く姿に親近感が湧いてきます。柄にもなくお願いをしてきたバデーニのためにも、この人が引き継いでいくことは容易に想像出来ますね。

 

 

メダリスト

第1話「氷上の天才」

 以前から話題になっていたフィギュアスケートを題材にした漫画のアニメ化。プロからドロップアウトした「明浦路司(あけうらじ・つかさ)」が、才能に溢れた少女「結束いのり(ゆいつか・いのり)」のコーチとして彼女を氷上の世界に送り出す内容に早速惹かれました。導入自体はありふれたものながら、登場人物の真剣さが伝わってくるので“王道”の良さが感じられた次第です。

 何と言ってもいのりと司それぞれの夢中になれるものが繋がっていく展開が素晴らしく、挫折した選手が次なる世代に夢を託す構図はそれだけで胸にくるものああります。またいのりもスケートなら輝けると信じているひたむきさが描かれているのがここすきポイント。学校でも私生活でもダメダメだけど、ここでなら自分を好きになれるかもしれないと一生懸命になる姿は見ていて応援したくなってきますね。

 このように夢への挑戦を謳っている一方で、フィギュアスケートの世界の過酷さにも触れている点も見逃せません。お金がかかるのはもちろんのこと、失敗した時の苦しさなどもいのりの姉の話を通じて伝わってくるのが秀逸でした。特にいのりの母の反対する気持ちも理解出来ますし、「娘に惨めな思いはさせたくない」という言葉も切実なのでどれだけの覚悟が必要なのかがこれでもかと感じられますね。それでいて要所要所にギャグが入るので、重すぎず軽すぎずの塩梅で見見られるのが大変好みです。(「5歳からバリバリ練習出来る子なんてそういないんですよ!」は見も蓋もなさすぎて爆笑してしまいましたよえぇ)

 

 

ウルトラマンアーク

特別総集編③「SKIP星元市分所のみなさまへ」

 新年最初のアークは3度目の総集編。このシリーズでお馴染みの中村さんがまたまた登場しましたが、太平洋・サンボン島なる分所所長になっている光景に愕然としました。とうとう日本ですらない海外にまで飛ばされたのは気の毒に感じますが、それはそれとして割と楽しそうにしているのでほっこりしましたね。今回のAIロボ「マリンピー」もカタコトがうっとおしい反面ノリが良く接しやすいですし、今までで最も充実した環境のように思えます。

 その後前回爆発に巻き込まれたアークを労う妄想をするなど微笑ましい一面も描かれていましたが、中村さんが「黒いアーク」について言及してきた時は思わず二度見してしまいました。彼の言う黒いアークは来月公開予定の映画にて登場するギルアークのことを指しているのは間違いないでしょう。何より映画の出来事が既に本編内に組み込まれている事実は、これまでの「ニュージェネ映画は本編の後日談」というイメージを真っ向から破壊してきたので本当に衝撃を受けましたね。しかも記憶が曖昧なのがこれまた不穏……

 振り返り内容に関してはヘルナラク関連からトリゲロスとの決戦までが紹介されました。ウルトラマンブレーザーやギヴァスとの胸熱な共闘に、当時見た時の興奮を思い出すことが出来ました。さらに『ブレーザー』のOPである「僕らのスペクトラ」が流れたのが見逃せないポイントで、総集編だからこそ可能な粋な演出に大満足の一言です。(あと余談ですが、冒頭のナレーションにモグルドンが出てきたのが個人的に嬉しかったり)

 

 

 さて昨年のFate特番ですが、初っ端からスノーフィールドのニュース番組に切り替わる演出からして非常に凝っていましたね。要所要所で流れるCMも本格的で、さながら本物のテレビ番組とCMのようにも錯覚しました。メインが『strange Fake』だからこそ「フェイク」に溢れた番組作りという話も大いに納得出来ます。こうした遊び心満載の小ネタは個人的にも大好きなので、今年の大晦日もやるであろう特番でも似たようなモノがないかと既にワクワクさせられました。

(『藤丸立香はわからない』のアニメはラストのアルトリア大集合が愉快でお気に入りです。川澄さんの演じ分けは本当にすごいですよね……)

 

 

 ではまた、次の機会に。

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