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ウルトラマンアーク 第23話「厄災三たび」感想

真実を前に、走り続ける

ウルトラマンが磔にされているところを見ると「あぁウルトラマンを見ているなぁ」という気分になる複雑なオタク心

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  • 不安が混在する宇宙の行方

 体調が悪そうなユウマを見て不安になってくる今回のアーク。手の震えなどの描写から彼の体がぼろぼろなのではないかと思っていたのも束の間、ユピーを通じて話しかけてきたルティオンの同士「ビオルノ」によって、物語が一気に進む感覚を覚えました。まず長いこと不明だったオニキス(ゼ・ズーゲート)の行方ですが、ユウマの中にあるという事実に度肝を抜かれましたね。はっきりはしていないものの、ユウマの体調不良もそれが原因なのでしょう。この辺りはただ単に長い戦いで疲労が蓄積している、といった過去作とは異なる問題を抱えているのが厄介に感じます。ユウマの体調だけでなく、今後のオニキスの扱いについてもどう対処するのかが大きな課題になりそうです。

 またルティオンの星の問題である恒星ソニアの膨張を解決する目途が付いたこと、しかしその手段は不確定要素が多いことからゼ・ズーが自分の手段を強行していることなども判明。代替案を本当に用意出来たのは素直に感心する一方で、それを飲み込めずにいるゼ・ズー側の事情にどこか生々しいものを感じますね。成功する確率が低い方法よりも、自分が最初から用意した計画を優先したがるという気持ちはわからなくはないです。ソニアが膨張している原因や解決方法の詳細などもわからずじまいなのもあって、両陣営の不安などが間接的に読み取れてきました。どちらが間違っているとも言い切れないので14話の時同様、彼らの宇宙の問題の難しさを改めて思い知った気分です。

 それとはまた別に、今回初登場したビオルノのキャラクターには惹かれるものがありましたね。いきなり出た時点では警戒していたものの、ルティオンをアーク、ゼ・ズーゲートをオニキスと言い換える様子から一気に好感が抱けました。こうした相手側の言い方に合わせてくれるだけで、ルティオン同様誠実な人柄であることが伝わってきます。ルティオンの同志というのも納得の人物であり、少ない描写でもかなり印象に残りました。*1

 

 

  • 仲間のために走る者

 さて今回もう1つの見どころとして、ビオルノの情報やトリゲロスの襲撃など多くの緊急事態が重なる中で戦いに向かうユウマの姿にハラハラさせられました。今回のユウマは一貫して無理をしているのが丸わかりで、前半の時点で空間のひずみの調査に躍起になっているのが目立ちましたね。(これに関してはモノゲロス関連がトラウマになっているのもありそうですが)勇ましく感じる場面も多くあるものの、やはり必至すぎるようにも見えるので心配せずにはいられなかったです。

 それでいてユウマが不安や仲間への想いをシュウに吐露する様子には胸打たれました。「自分だけではどうにもならないことばかり」だと現実に打ちのめされかけていたことなど弱さを口にしてくれるだけでもホッとさせられるものがあります。だからこそ支えてくれた仲間たちへの感謝、みんなを守るためになお走り続ける決意の姿は実に輝いて見えました。何よりこの一連のシーンは後述のシュウ含め、演者の息遣いや表情がより迫真に映っていたのも印象的。ここまでの積み重ねと演出も相まって、本当に見入る場面だったと思います。

 またユウマを守りたい一心だったシュウの動向も見逃せません。ユウマの事情を知らなくとも敢えて追求しなかったり、彼から教わったことをしっかり学んでいたりといった言動がいじらしくて顔が綻んでしまいます。そしてアークのピンチに声を荒げるほど狼狽している姿には驚きましたね。これは恐らく、上述のユウマとのやり取りで彼がウルトラマンアークであることを薄々感づいたのでしょう。そう考えると気付きながらもSKIPメンバーに言えず、助けることも出来ないシュウの悔しさも理解出来ます。お互いに思いやる中でこのような結果になってしまい、視聴者としてもどこかもどかしくなってくる次第です。

 総じて意外な形での正体バレとなりましたが、それでもユウマとシュウの間に確かな絆があることはしっかり感じられました。あとはリンさんや所長たちも含めた仲間全員が、ユウマをどのように支えて助けるのかに期待したいところです。

 

 

 

  • å®™(そら)より現れたるわ、執念纏いし第三の獣

 空間を割って現れた「宇宙獣 トリゲロス」はモノゲロスとディゲロス、そしてザディーメと同じゼ・ズーの刺客たる宇宙怪獣。その通称とビジュアルからわかる通り、モノゲロスたちと同種の怪獣と思われます。ディゲロスと同じ2本のツノに加え、頭頂部にモノホーンそっくりの1本ヅノ、合計3本ヅノとより頭部が厳つくなっているのが特徴的です。それでいてディゲロス同様の直立不動の姿勢、発光体を光らせるといった描写から生まれる不気味さは引き継がれていますね。これらの要素を合わせてゼ・ズー怪獣屈指の恐ろしげなイメージが仕上がっていたと言えるでしょう。

 その戦闘能力はディゲロスから正統進化しており、アークに追従するほどの俊敏性を発揮していました。技や武器に関しても両腕の光る爪や頭頂部のドリルと、より多彩かつ強力になっているのが伺えます。中でも半月状の発光体を追加装備がかなりの万能っぷりで、自分が纏うことで空中を移動したり相手を拘束するといった芸当を可能にしていました。アークを十字架のように磔にしてきた時は、明らかに人為的な技を獲得していると驚きましたね。(またウルトラマンシリーズ伝統「ウルトラマンが磔にされるシチュエーション」が久々に見られてちょっとニヤリときたり……*2)

 そしてトリゲロスについて特筆すべきはアークの動きや技を熟知している点。ルーナアーマーなどの装備も把握しているようで、空中の高速戦闘をはじめとして終始アーク攻撃に対応しきっていました。これは劇中でシュウが言及していたように「アークを倒すために作られた怪獣」だからなのでしょう。アークひいてはユウマの中にあるオニキスを奪うため、これまでのデータを参考に作り出した対ウルトラマンアークの最終兵器として、このトリゲロスの脅威がこれでもかと伝わってきました。ウルトラマンを圧倒する構図といい、よりゼットンっぽくなったなぁ……

 

 

 ちなみに個人的に胸熱だったシーンとして、今回の戦闘で決め手になった一連の流れにも注目したいところ。防衛隊の戦闘機がトリゲロスを攻撃し、その隙をついてギャラクシーアーマーを纏ったアークがブレーザーキューブを使っての新必殺技&ゼロ距離アークファイナライズでトリゲロスを倒すシーンにはテンションが爆上がりしました。アーク動き1つ1つから、決死の攻撃だったことが読み取れたので見ていて手に汗を握らずにはいられなかったです。何よりトリゲロスという強敵をようやく倒せたことにどこか安堵を覚えましたね。(また技が効いたことについては、恐らく流石のゼ・ズーやトリゲロスでもブレーザーの力は把握していなかったのだろうと解釈しています)

 

 

 さてトリゲロスの大爆発でアーク(ユウマ)の安否が知りたいところですが、次回はまたもや特別総集編に突入する模様。ただでさえ今年最後の放送ということもあり気が気でないのに、年明け一発目から関係のない話で思わずズッコケてしまいました。実質本編が3週間後だと思うと結構辛いです……

 とはいえ本作の総集編の主役である中村さんにまた会えるのはちょっと嬉しいですね。色んな分所を転々としながらも前向きに頑張るあの人を見ていると元気になれるので、次の総集編でも中村さんの行方に注目していきたいと思います。(ところでこの人、とうとうハワイにとか配属されていないか?)

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:余談だがビオルノの声を担当した小林親弘さんは、『デュエル・マスターズ』のアニメシリーズでジョリー・ザ・ジョニーなどの主人公の切り札ポジションを演じたこともあり個人的にもお気に入りの声優である。

*2:ちなみにアークが捕まるシーンは『ウルトラセブン』でセブンがガッツ星人に敗北した時を彷彿とさせるものに仕上がっていたと感じている。

2024年秋アニメ&特撮簡易感想 その22

 

 

 

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 来年4月に放送予定のオリジナルアニメ『プリンセッション・オーケストラ』についての情報が先日公開され、日曜朝に放送される事実に衝撃を受けました。(詳しい放送時間と放送局は未発表)如何にもなニチアサテイストのキャラデザとストーリーですが、まさか本当にニチアサ枠としてで放送されるとは思いもしなかったです。『プリキュア』シリーズや『ひみつのアイプリ』など日曜の女児向け作品には既に強力な対抗馬が存在している中で、本作は堂々と入ろうとしているのですから驚きかずにはいられません。

 しかし企画原案の金子彰史氏や製作総指揮の上松範康氏など、『戦記絶唱シンフォギア』シリーズのスタッフたちが揃っているのは地味に楽しみなところ。「歌を力にして戦う」という設定もシンフォギアを彷彿とさせますし、それらの要素で上述の作品たちとの差別化を図っていくのでしょう。(ちなみに制作側のコメントによると「本作は全年齢向けを想定している」のだとか)令和の時代に新たなニチアサの息吹を吹き込もうとしている本作について、ちょっと気になってきましたね。

 

 

 というわけで以下、今週の簡易感想です。

 

 

 

 

 

 

BLEACH 千年血戦篇ー相剋譚ー

第37話「SHADOWS GONE」

 VSリジェ戦完結編。花天狂骨枯松心中を喰らっても復活してみせた怪物を相手に、京楽さんと七緒の2人が力を合わせる構図に胸が高鳴りました。何と言っても花天狂骨の中に隠されていた伊勢家の斬魄刀「神剣・八鏡剣(しんけん・はっきょうけん)」の存在、そして七緒の両親の過去を交えた2人の微妙な関係が明かされたのが最大の見どころでしたね。兄とその妻をはじめとして、多くの人たちから色んなものを託されてきた京楽さんの心中は察するに余りあります。それはそれとして黒髪メガネの性癖が兄嫁発祥だったり七緒ちゃんに向けた感情が姪に対するソレとは明らかに異なっている辺り罪深いなぁこの総隊長。

 それ故京楽さんの荷を少しでも軽くしようと、自ら戦いの場に赴いた七緒の覚悟が光ります。京楽さんも黙ってみているわけではなく、彼女を後ろから支えることで共に戦ってみせるがまた素敵でした。当初は守る側と守られる側だった2人の関係でしたが、土壇場での境地を経て“呪い”なんか知らないとばかりに並び立てるようになった展開に感動が止まりません。(前回もそうでしたが、隊長1人では仕留めきれない敵を副隊長と力を合わせることで撃退する構図が素晴らしいですね)

 そして「罪深ゆるるんバード」とか「汚いポッチャマ」とかがファンの間で定着してしまったリジェ最終形態に関してですが……あのイケメンがどうしてこうなったというのが正直な感想。以前の彼とは面影が全く異なっており、この時点でリジェの人格そのものは失われてしまったのではないかとも思いました。甲高い声色(この声を出せる日野聡さんスゲェ)もあって不気味な印象マシマシだったので、最後に倒せた時は本当にホッとしましたね。まぁ原作通りならこの後も出てくるんだけどな!

 

 

ラブライブ!スーパースター!!(3期)

第11話「スーパースター!!」

 ラブライブ全国大会を前に、かのんがまさかのウィーンに直行。元々留学する予定だったとはいえ、下見がてら招待されてすぐさま向かうハイテンポぶりにギョッとせずにはいられなかったです。しかしウィーンでの思い出を得ながら、自分の夢に関して改めて考えるくだりには非常に見入りました。トラウマだった思い出の頃の自分と再び出会い、「11人だからこそ歌える曲」を見出す場面はある意味でかのんらしい欲張りっぷりでしたね。総じて歌とスクールアイドル、双方の夢を見据える澁谷かのんの物語でここで完成したのだと実感させられます。

 かのん以外のLiella!メンバーの今後もそれぞれ描かれていましたが、注目すべきはやはりマルガレーテでしょう。Liella!に残る選択は納得すると同時に、彼女の成長を感じられるささやかな決意の表れとなっていました。打倒するべき敵として見据えていた存在に自分もなることで、徐々に価値観が変わってきたのがこれまでの描写込みで伝わってきますね。説得していた冬毬がマルガレーテの宣言に朗らかな笑顔を見せるシーンと合わせて、1年生組の進路が決定したことにもホッとさせられる場面になっていました。

(ラブライブの結果に関しては、史上初の連覇があっという間に達成されたのでちょっとびっくり。思った以上にアッサリ気味ですが、3期の本筋は大会そのものにはないのでこの構成もまぁ理解は出来ますね)

 

 

ぷにるはかわいいスライム

第11話「スプーン一杯のクリスマスをすくって」

 前回ラストから分裂したりと大忙しなぷにるのクリスマスは、まずみんなの持ち寄ったケーキを食べるシーンのトンチキさが印象に残ることに。紙ねんどで作ったケーキだろうが硬すぎだろうが見た目が可愛ければOK!という、ぷにるらしい価値観が地味に発揮されていましたね。望んでいるケーキのイメージが大好きなクリームソーダな辺りも、そんなぷにるの“好き”に正直なスタイルがこれでもかと出ていたと思います。ここまでくると最早ぷにるの可愛いへの追及に感嘆すら覚えてきました。

 その一方でコタローはぷにるとの2人きりのクリスマスにドギマギしっぱなしで可愛いこと可愛いこと。クリスマスの雰囲気に流されてしまわないよう必死になっているのがいじらしい反面、過去のトラウマからくるぷにるとの関係の変化に切ないものを感じました。友達のぷにるを「可愛くない」と言ってしまった手前、可愛いと認めさせようとしてくることに意固地になって否定しているのがモヤモヤさせられるところではあります。コタローにとってのぷにるは、微妙な狭間に置かれていることを改めて実感しました。

(あと余談ですが、寿司の大将や大根を雪のようにおろす謎の不審者などいつにも増してモブキャラが濃くて笑いが止まらなかったです。まさかこいつらのためにCパートまで用意されているとは……)

 

 

来世は他人がいい

第11話「成長したら飼えない獣」

 霧島VS翔真、狂犬同士による本気のケンカがついに勃発。吉乃の父の墓参り自体は和やかな雰囲気が残っていたものの、後述の蓮二とのやり取りを経てからの両者の殴り合いには思わずハッとさせられました。はじめて対面してからずっと溜まっていたフラストレーションが、ここにきてついに爆発したような印象を受けましたね。両者刃物まで持ち込んできてドンドン殺し合いに発展しつつあったので、吉乃の仲裁がなかったらどうなってしまっていたのか気が気でなかったです。

 そんなケンカを巻き起こした霧島の、子どもっぽい態度が今回の印象的なポイント。いつになく翔真に突っかかっていましたが、発端が以前の吉乃の服の感想だったと知った時は思わずはぁ!?と声が出てしまいました。翔真のそっけない態度とそれを受け入れる吉乃の関係に、拗ねた感じで嫉妬してくるので肩の力が抜けてしまいます。ただ恋愛関係とはまた異なる絆が築かれている2人の間に、並々ならぬ危機感や焦燥を抱いていたのもわかるのでどこか可愛く見えてきますね。

 また吉乃の祖父にして組長「染井蓮二(そめい・れんじ)」の描写も見逃せません。嬉々として昔話などを孫娘たちに語る愉快な爺さんから、地下室でのドスの利いた態度にシームレスで変化する過程には中々にゾッとさせられます。霧島を容赦なくボコボコにしておきながら吉乃を託す光景ははたからみると狂っていますが、ある意味で最もヤクザらしいとも思えてきますね。そんな彼がここまでして吉乃を守っているのは単なる過保護からなのか、それともこの先起こる“何か”に備えてなのか……その辺りも気になるばかりです。

 

 

ちびゴジラの逆襲

第51話「理想の温泉」

 自然大好きちびガイガンが秘境の湯を発見……するものの入れないことが判明して若干同情せずにはいられませんでした。その結果「温泉見るマニア」という、キャンプ場を眺めているだけでキャンプした気分に浸っているような人みたいになっているのは笑っていいのかちょっと迷いましたね。とはいえいつにも増して口うるさいキャラになっており、理想の秘湯を汚すな!とばかりに文句を言いまくるのはウザかったのですが。

 あとはきれいなヘドさんがまさかの再登場を果たしたのが意外でしたね。お風呂に入ろうとした時点で察したものの、こんな簡単に村瀬歩ボイスになる衝撃は地味に大きかったです。(この調子だとちょっとしたことでまた出てきそう)相変わらずコンプラを意識させてくるダルい詰め寄り方をするうえ、すぐに論破されるちびガイガンとの相性が抜群で何とも笑いが止まりません。

 

 

ウイングマン(ドラマチューズ!)

第9話

 正体バレからの世間からの非難、ヒーローものでは割と定番の展開がついにやってきてしまいました。一般人から非難される絵面は覚悟していても胸にくるものありますね。さらに敵のボスである「リメル」も襲来したうえ、総理を操って健太を差し出すよう脅してくる、健太たちにとっての逆境がこれでもかと描かれていました。(劇中でも言及されていましたが、『電磁戦隊メガレンジャー』の終盤を彷彿とさせるものがあります)

 しかしそれ以上のインパクトをもたらしたのがキータクラー。これまで何度も裏で健太たちを助けたり操ってきましたが、とうとう本性を表した時の衝撃は凄まじかったです。というか健太に向ける感情がとにかく気持ち悪くて、宮野真守さんのねっとりとした演技も相まって鳥肌が止まりませんでした。ドリムノート完成のために利用していたものの、いつのまにか広野健太本人への興味が尽きなくなっていた……こう書くと中々に変態で面白いキャラになってきたなと感心します。

 といったかつてない大ピンチの中で、記憶を消すことを躊躇する健太の葛藤も目に留まります。アオイの力の消耗を心配するものの、部のみんなに上手く説明出来ずに逃げ出してしまう様子には胸が締め付けられました。こうした動揺が走る辺り、彼もまだ若者であることを実感しますね。キータクラーへの啖呵は一転してカッコよかっただけに、彼が普通の高校生はいられなくなっている状況を苦々しく感じてしまいました。

 

 

 プリオケに関しては他にもタカラトミーによるなりきり玩具の発売も予定しているとのこと。上のPVではその変身おもちゃらしきものは確認出来ないので何とも言えませんが、バンダイとはまた異なるテイストになりそうでこれまた注目したいところ。そしてタカトミ繋がりでデュエマとコラボしたりして……なんて妄想もつい考えてしまいますね。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

2024年アニメ映画簡易感想 その2

 

 

 2024年もあとわずかとなり、やり残した多くのことを片付けている人もいるかと思われます。かくいう僕もそうした「やり残し」に目を向けている真っ最中です。特に映画の感想に関しては個別感想で取り上げた作品を除いて、大分溜まってしまいました。

 ここらで暇なうちに一気に感想を書き上げ、各作品への想いを残しておきたいところ。そのため今回は既に公開を終えた映画ばかりを取り上げますが、それらを観たことがある方々に読んでいただければ嬉しい限りです。

※ここから先は映画の内容に触れているのでネタバレ注意!!

 

 

 

 というわけで以下、今回の映画感想です。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 


映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記

 去年から夏に公開することとなった『クレヨンしんちゃん』の劇場版。今年は「恐竜」というクレしんとしては珍しいモチーフの映画ということで以前から注目していた作品です。(どちらかといえば恐竜というと『ドラえもん』のイメージがありますからね)そしてそれ以上に野原家の愛犬・シロが久々のメインで、本作のカギを握る恐竜「ナナ」との友情に見入ることとなりました。コミカルなシーンも例年通り満載で、要所要所でクスっとくるので気軽に見られたのもありがたかったです。(中盤のマサオくんのダンスシーンで映画館の子どもたちの笑いがドッと湧いたのは良い思い出)

 そんな映画の見どころは上述の通り、シロとナナの友情が大部分を占めています。1人ぼっちだったナナをシロがこっそりお世話をし、野原家で飼ってもらえるようになる前半は特に2匹のやり取りに魅せられました。この辺りはセリフが全く無くても声色と動きだけで何を考えているのかわかる、両者の声優さんの演技も魅力を引き出すのに一役買っていたと思いますね。何よりしんのすけがシロを拾ってきた時のエピソードを引用することで、ナナが家族の一員になっていくまでを丁寧に描かれているのが素敵なポイント。かつてしんのすけに助けられたシロが彼のようにナナを助けてみせる構図が、昔のクレしんを知る人ほど目頭が熱くなるものに仕上がっていました。

 それでいてナナが狂暴な恐竜であることを強調し、違う種族同士の友情が成り立つのか?にフォーカスしたストーリーが展開されたのも大きな特徴。頭に血が上り周囲を傷付けてしまうナナが度々描かれ、彼女が「恐竜である」ことを否が応でも印象付けてくるので見ていて何度も胸がザワつきました。同時にナナは劇中に登場するただ1匹の恐竜として、孤独な存在であるかのように触れられていたのも目に付きましたね。ただだからこそ、ナナを友達として受け入れようとする終盤のしんのすけとシロの姿が頼もしく見えてきたのもあります。難しいことはわからないけれど、怖いところも寂しいところもひっくるめて一緒にいて楽しい仲間として認識してくれる「子どもの理屈」に救われる作品でもありましたね。

 それだけにナナがしんのすけたちを庇って亡くなるラストには本当に愕然としました。直前までしんのすけ&シロ&ナナの友情がハッピーエンドに帰結する雰囲気だっただけに、それをぶった切るかのようにナナの死亡を描いたことに唐突感を覚えずにはいられなかったです。これからも一緒に暮らしそうなナナをしんのすけたちから切り離す必要があるというメタ的事情は理解出来るものの、もう少しやりようがあったのではないかと考えてしまいます。過去の映画『嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』でもそうでしたが、アニメクレしんのほんわかとした世界観にいきなり“リアルな死の概念”を持ち込むのは止めてほしかったですね。(個人的には戦国大合戦のラスト事態にも長年疑問を覚えていますし)ナナとの友情が非常に良かっただけに、このラストで一気にガッカリしてしまった印象は否めません。

 他の要素に関しては本作の敵キャラである「バブル・オドロキー」が印象的。恐竜ロボトットで恐竜を現代に蘇らせたとホラを吹き、世間から大バッシングを受けてから暴走を始める様子は胸にくるものがありました。周囲の期待を一身に受け、新しいことを次々と実現させなければならないという強迫観念に駆られていたのが回想シーンなどから伝わってきます。それ故オドロキーは「哀しき悪役」としてのイメージが強く、「ビリー」と「アンジェラ」という2人の子どもまで巻き込んでしまう家族のエピソードが悲しく映りました。そして子どもたちが自分のやりたいことと向き合い、その時の想いを蘇られせていくのも味わい深かったですね。最後にオドロキーが同じように初心に戻れたのも含めて、どこか目の離せない存在感を放っていました。

 

 

インサイド・ヘッド2

 ディズニー・ピクサーの長編アニメーション映画の新作。2015年に公開された『インサイド・ヘッド』の続編として、「感情の擬人化」という題材の面白さは健在でした。感情の世界とライリー視点の外の世界が平行して進んでいくストーリーは、ワンダフルな世界観と緊迫した現実のバランスが見事で見ていて実に楽しかったです。そして同時に体の主であるライリー・アンダーソンに訪れた“思春期”についてを克明に描いており、羞恥を覚えながらも共感が得られる内容に仕上がっていたと思います。

 何と言ってもヨロコビたちを中心とした感情のグループに新たに「シンパイ」といった新入りが加わり、物語をかき乱していったのが印象的。新しい環境に馴染ませるためとはいえ、ライリーの過去やヨロコビたちを追放する排他的な行動にはフラストレーションが溜まりました。ただシンパイたちなりにライリーのことを考えていたのもしっかり描かれており、彼女たちもまたライリーにとって必要な感情(前作におけるカナシミと同じポジション)であることを印象付けてくれたのは流石といったところ。片方を否定するのではなく、ポジティブとネガティブ双方があってこそ自己形成は成り立つことを改めて見せてくれていました。かなり身に迫るものがあるので、思春期という感情からアイデンティティ確立までの流れを、わかりやすく描いてみせたことには感嘆せずにはいられません。

 新しい感情の動向だけでなく、既存の感情たちの成長と変化も大きな見どころでした。仕切りたがりのヨロコビは柔軟性を覚えた一方、みんなの前で前向きでいなければいけないという想いが先走っていたのは相変わらず。(乾いた笑顔から発狂したかのようにプッツンキレるシーンには本当にびっくりしましたね)それ故前作と似たような失敗をしてしまいますが、そこから立ち直る過程もキチンとあるので彼女への愛おしさを覚えます。都合の悪いことを排斥していた点ではシンパイと同じだったことを反省する場面も同様、上述の自己形成に繋がる目を逸らしてはいけない過程として深く刺さりました。

 またヨロコビ以外の感情たちの活躍が多かったのが個人的に評価したいポイントですね。「ハズカシ」との友情を築くカナシミや思慮深くなったイカリなど、それぞれの魅力が一気に掘り下げられていたのは驚くべきことです。他にもビビリやムカムカにも見せ場が用意されており、前作以上に5人の一体感が強調されているように感じました。良くも悪くもヨロコビとカナシミがメインだった前作から、感情各々に活躍の機会をもたらした点はある意味で正統進化と言えるでしょう。そのため本作は「全ての感情が主役足りえる」ことを、これらの描写ではっきり示してくれました。

 あとはライリーの感情の中に登場する感情以外のキャラクターについても外せません。中でも秘密の保管庫に入っていた、ライリーの好きなキャラクターたちには思わず吹き出してしまいました。教育番組的表現を多用する「ブルーフィー」やどう見てもFFⅦのクラウドな「ランス・スラッシュブレード」は、それぞれセル画のカートゥーンだったり少し粗いポリゴンだったりと画質が全くの別物の時点でおかしかったです。(この中で1番出番が多かったのがポーチという)さながら違う漫画の作品同士の共演のような趣があるほか、当人たちのキャラも濃いので見ていて飽きなかったですね。本筋以外でこうしたお遊び要素を込めていく点も非常に好みでした。

 

 

 

風都探偵 仮面ライダースカルの肖像

 平成ライダーシリーズの1作『仮面ライダーW(ダブル)』の正統続編である『風都探偵』の劇場アニメ。原作漫画における6巻を主軸としたアニメ化であり、同時にかつて公開された『ビギンズナイト』や『仮面ライダースカル メッセージforダブル』を再構成した仮面ライダーダブルの補完的な作品となっていました。そのうえ何と言ってもおやっさんこと鳴海荘吉/仮面ライダースカルを中心としたストーリーということもあり、当時おやっさんに魅了された身としても見逃せなかったです。(アニメの津田健次郎さんのボイスのおやっさんを魅せつつ、主題歌で吉川晃司さんのおやっさんを意識させてくれるのが良い……!)

 そんな本作は翔太郎がときめにおやっさんにまつわる過去を話す構成になっているものの、本筋はおやっさんの視点で進んでいくのが最大の特徴。それ故当時の翔太郎たちでは知る由もなかった情報や、その時のおやっさんの心の内が判明していくので特撮の方を知る人ほど大きな驚きがあったと思います。特に少年時代の翔太郎に対しての、おやっさんの心情が見逃せません。やんちゃで向こう見ずな翔太郎に手を焼きながらも、優しく真っ直ぐな彼の心根を誰よりも評価していたことがわかるシーンの数々は胸にくるものがありますね。翔太郎の中でおやっさんの存在が大きかったように、おやっさんにとっても翔太郎は眩しい存在だったことが伝わってきます。

 そしておやっさんの“弱さ”を描いていたのも見逃せないポイント。回想が始まった時点で探偵業をやめかけていたおやっさんですが、親友(マツ)を手にかけてしまったショックを引きずっているという理由には納得しかありません。同時に仮面ライダーとしてドーパントを倒すことにも躊躇しており、序盤はどこかヘタれてしまっている様子に心配せずにはいられませんでした。しかしだからこそ表向きは突っ張って、周囲を不安にさせまいとするおやっさんのカッコよさが強調されていたと言えます。まさに本作でも流れた挿入歌「Nobody's Perfect」を体現していましたね。強いと思われた鳴海荘吉のそうではない部分は、実にNobody's Perfect(誰も完璧ではない)でした。

 本筋以外のアニオリ要素も「大嶋凪/オーシャン・ドーパント」との戦闘など盛りだくさん。こちらは翔太郎とフィリップの活躍を用意する場面として適切でした。(何より冴子の大嶋への扱いの悪さが予想通りで同情を覚えます)また最大のサプライズだったのが「仮面ライダーダブル サイクロンスカル」ですね。シュラウドが想定していた、フィリップとおやっさんの2人で変身した場合のダブルを独自のデザイン付きで公開してきた時は度肝を抜かれました。ちょっと独特な「お前の罪を数えろ」ポーズやスカルボイルダーに跨る姿など、様々なカットを1分以上たっぷり見せてきたことにも舌を巻くばかり。ダブルのオタクの妄想を叶えてくれたかのようで、正直感嘆せずにはいられません。総じてダブルファンにはたまらない、ファンサービスに満ちた映画だったと思います。

 

 

 仮面ライダーの映画といえば、毎年恒例となっていたライダー冬映画は今年は制作しないことが先月辺りで確定した話にも触れておきたいですね。『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010』から10年以上続いていたシリーズですが、それが無くなってしまったのは非常に残念です。ただ撮影スケジュールの過酷さや東映の制作体制の見直しといった事情を考慮すると、この決断も仕方ないと納得出来ます。現在放送中の『仮面ライダーガヴ』も余裕を持って撮影しているようですし、それが後の作品にも続くのであればそれらを尊重したいところです。

 また風都探偵の映画が公開された年に冬映画が終わったのが面白い話。思えば仮面ライダースカルは上述のMOVIE対戦2010で初登場したライダーであり、いわば冬映画の始まりのライダーとも言える存在。それが主役のアニメ映画と共に冬映画の歴史が幕を閉じるというのは、何とも感慨深いですね。スカルから始まりスカルで終わったライダー冬映画の思い出に浸りつつ、新しいライダー映画の在り方などが開かれる可能性も楽しみになってきました。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

仮面ライダーガヴ 第15話「脱走グラニュート!」感想

信じたいけど果たせない

やめろー!闇菓子は人を無理やり幸せにして作るものじゃない!それを証明するためにも俺とヒトプレスバトルしろ!(ホビーアニメ的文脈)

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  • カニとハサミは使いよう?

 クリスマスシーズンということでサンタにトナカイ、プレゼントといった華やかな要素が散見された今回のガヴ。しかしストーリー自体はどこか切なくなる要素が多く、少々苦々しい展開になってしまった印象です。というのも次回予告でも描かれていた「改心したグラニュート」について、結局嘘だったという答えが示されたからですね。例の可児(ロジョー)の胡散臭さは理解していたものの、こうして描かると正直ショックを受けずにはいられませんでした。

 何より可児の視点で何かを企むシーンから始まったので、この男が全く改心などしていないことが早々にわかってしまったのが絶妙。ショウマの選択を前に迷わず降伏し、これまでの行いを悔いたり大変だった言動を見せても全て演技であることが判明しているので、視聴者からするとかなり滑稽に見えるものとなっていました。(それでいてジープにエージェントを貸してもらうなど妙に用意周到なのが鼻につきます)同時に可児の言葉を信じたいショウマの気持ちが無下にされているせいで、彼が必死に庇う姿にいたたまれないものを感じてしまいました。

 総じて反省したと見せかけて実際はそうでもなかった、というバイトの悪辣さが印象に残る回でした。20年以上バイトを続けているうだつの上がらない奴の姑息な作戦、という点でもどうしようもなさが出ており、可児に対するガッカリ感が半端なかったです。しかし彼らバイトが人間を材料としか見ていないこと、そして報酬を求めるほど闇菓子の中毒性が高いことがわかったのはちょっとした収穫と言えるでしょう。タチの悪い闇バイトとしてのイメージがドンドン強くなってきているように思えますね。あと今後もし本当に改心したバイトのグラニュートが出てきたとしても、ショウマに一度は疑われることになるのは明らかなのが何だか可哀想……

 

 

  • すれ違いながらも「思いやり」は届くのか

 さて上述の可児の策略によって、ショウマと絆斗の間に小さくない亀裂が入ってしまったのも今回の見どころ。信じたい前者とそうでもない後者のすれ違いに胸を痛めずにはいられなかったです。何と言っても最大のポイントとして、ショウマが自分がグラニュートである事実を伏せているのがすれ違いの大きな要因になっていました。前回姉を倒したというのもあり、グラニュートを倒す必要がないならその道を選びたい……そんなショウマの気持ちが視聴者には痛いほど伝わってきます。

 しかしその事情を絆斗に知らせていない以上、全ては打ち明けられないのが何とも切ない話。絆斗の復讐心も理解出来るだけに、互いの気持ちが伝わりそうで伝わらない構図は本当にもどかしかったです。しかも絆斗が可児に捕まってしまうという、ショウマの選択が結果的に裏目に出たラストにもため息が出てしまいそうになります。(絆斗は絆斗でショウマの意見に異を唱えながらも、彼を気遣う様子なので余計に何とも言えない気持ちが湧いてきます)そうした要素もあって2人がここまでの関係のままで協力していけるのか、ある意味でここが彼らの分水嶺になる可能性を覚えました。

 一方で冒頭で絆斗にプレゼントを贈りたいショウマの想いと、オー・ヘンリー作の小説『賢者の贈り物』のエピソードがリンクしているような描写が興味深かったですね。*1「とある夫婦がそれぞれ相手に送ったクリスマスプレゼントは無駄になってしまったものの、「お互いを思いやる気持ち」は通じ合った」という物語から、いつもお世話になっている絆斗に「思いやり」を届けたいと考えるショウマのいじらしさに思わずほっこりします。今のところは絆斗への気持ちが空回りしていますが、ここから如何にしてその思いやりが伝わるかに期待したいところです。

 

 

  • 引き出される幸福の価値とは

 他にも今回衝撃を受けたのが、人間界に送り込まれたラーゲ9の動向。人間に擬態した姿も登場し、本格的に物語に関わってくることに不思議と興奮させられます。マブシーナ「こんな気だるげな兄様を見たのは初めてです……」そうして始めたのが裁判所での一斉ヒトプレス化ということもあり、とてつもないインパクトを残していきました。しかもクラゲの毒らしきもので人々を無理やり笑顔にしてから回収するという、これまでの常識を覆す手段を取ってきたことに驚きを隠せません。(カメラなどが持ち込めない閉鎖空間で秘密裏に行動を起こした点にも舌を巻くばかり)

 恐らくは特殊な薬で相手の幸福感を引き出しているのでしょうが、そんな方法がアリな事実には本当に度肝を抜かれました。ある意味で薬漬けにしているも同然なので、そのやり方で回収したヒトプレスで闇菓子を作ってもいいのか?(品質が落ちてしまわないのかという意味合い)とつい疑問を抱いてしまいます。何より美味しいケーキを作ったりロマンス詐欺にかけたりと、あの手この手で人々の幸せを引き出してきたバイトたちの頑張りは何だったのかと思わずにはいられなかったです。画期的な方法ながら、他のバイトのグラニュートへの同情を禁じ得ない事態にもなっていました。

 そんなラーゲ9のやり口は十中八九ランゴの目論見ですが、こんな手段を取るほどに大量の闇菓子を必要としているということでしょうか。これまでも富裕層を取り込もうとしていることが言及されていたものの、やり方が性急すぎる気がしてきます。そういえば13話でも可児が「社長がランゴ様になってから注文がうるさくなった」という旨の発言をしていましたし、ランゴが何か焦っているのかもしれませんね。シータの死にもドライな反応を見せていたランゴですが、その胸中には何が渦巻いているのでしょうか。

 

 

 今回の戦闘シーンですが、ケーキングのホイップ兵が少しだけパワーアップを果たしたのが印象的。ザクザクチップスゴチゾウで「ザクホイップ兵」、チョコダンゴチゾウで「チョコホイップ兵」とこれまでのフォームの武器を装備しているのが面白かったです。(武器だけでなく、肩部などもモチーフのお菓子の装甲が追加されているのが芸コマ)ケーキにポテチとか正直トッピングとしてはどうなんだ?などと思いつつも、こうしたフォームの活かし方は見ていて非常に楽しいですね。

 そして前回ラストで対面した酢賀とニエルブに関してですが、予想通り以前から協力関係にあることが判明。(普段は置き配で情報共有し合っていたみたいですね)グラニュートの器官の出どころなどが大まかに判明したことで、目下この2人が最も厄介な連中だとわかったのは大きかったです。というか現状、ショウマと絆斗の事情を視聴者と同じくらい把握しているのがこのマッドサイエンティスト2人という事実に苦笑いせずにはいられません。

 またニエルブが酢賀から貰ったプリンで何かの実験を始めようとしている描写が目に付きました。ショウマたちのことを研究していることから、新しいライダーシステムを構想しているのは間違いなさそうです。つまり3号ライダーはプリンモチーフなのでしょうが、変身者については未だに不明なので気になるところですね。(ニエルブの言う「彼」とはやはりラーゲ9なのでしょうかね?)

 

 

 さて次回は可児に囚われた絆斗を救い出すため、奔走するショウマが描かれる模様。2人の間に溝が出来つつある中で、果たして和解は出来るのか?両者の思いやりと真心が試される事態になると予想出来ます。とはいえ年内最後の放送でしょうし、そこまで険悪にはならないでしょう。ヴァレンの新フォームのお披露目共々、あまり身構えずにチェックしておきたいと思います。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:余談だが本作はクリスマスを舞台とした演目としても有名であり、『クリスマス・キャロル』などと並んでクリスマスの演劇に採用されることが多い。

2024年秋アニメ簡易感想 その21

 

 

 

 毎年恒例の『クレヨンしんちゃん』の映画の情報が先日到着。タイトルは『映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ』になるとのことです。インドを舞台にした踊りがテーマの内容ということから、ダンスが非常に長いインド映画テイストのギャグが見られそうな予感がしますね。陽気なノリはある意味でクレしんにぴったりだと思います。

 しかしそれ以上に目に留まったのが上のビジュアル。しんのすけの友人の1人であるボーちゃんが大きく描かれており、「さよなら、しんちゃん。」というセリフ付き……これだけで本作がボーちゃんをメインとした作品になることが読み取れます。思えばかすかべ防衛隊にスポットが当たる映画は数あれど、個人にスポットが当たる例はあまり見られませんでした。(せいぜい風間くんが実質的な主役の『謎メキ!花の天カス学園』くらいでしょうか)しかも普段得体の知れないボーちゃん個人の描写は余計に珍しいので、彼が主役というだけでワクワクが止まりません。来年夏もクレしん映画を楽しみにしたいと思います。

 

 

 というわけで以下、今週の簡易感想です。

 

 

 

 

 

 

ポケットモンスター レックウザライジング

第77話「ランドウ、故郷(ふるさと)へ帰る」

 ランドウのじっちゃんもとい、マイティG回がまさかの再来!!相変わらずの謎の筋肉と劇画的作画に笑いつつ、ウパーたちを華麗に助ける様に圧倒されました。同時にじっちゃんの意外な過去も明かされたのが見逃せないポイントで、かつては「ギンジロウ」という映画スターだった事実には度肝を抜かれましたね。(相棒のサメハダーも、B級感満載の「サメハダー映画」に出演しまくっていた頃からの付き合いらしいのがちょっと面白い)それ故どういった経緯で現在に至ったのか余計に気になってくるので、かえってこの老人に関する謎が増えたようにも思える不思議な身の上話となっていました。

 その一方で時の変化の切なさを覚えながらも、広い心でそれらを受け入れる姿勢が描かれたいのも今回の特徴。ランドウのじっちゃんが故郷のアサギシティの変わりよう(行きつけだった店がいつの間にか別の店になっていたとかあるあるすぎる……)に最初こそ残念がっていたものの、そうした諸行無常を敢えて楽しんでいたことに感心させられます。時間の流れが早く感じるようになるほどこれらの話には共感を覚えるので、じっちゃんの在り方には思わず頷かされますね。ギンジロウのファンである「マモル」爺さんが、昔のギンジロウ以外は認めなかった態度を改めるくだりもコミカルながらグッとくるものが多かったです。つくづく本作の老人キャラは多くが良い歳の取り方をしていると思いますね。

 

 

ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインⅡ

第11話「ピトフーイの突撃」

 強敵NPC攻略のために、出場チーム全員による共同戦線が開幕。ほぼいつもの面々が揃っているので正直新鮮味はありませんが、ビトレイヤーズ以上のドリームチームになっているので何だかんだ見ていて盛り上がりますね。作戦自体は大多数の陽動&少数による潜入とシンプルで、レンたちそれぞれの活躍を見やすくなっているのも爽快でした。そして捕虜にされたレンが、頭突きで1回死ぬラストは少々ショッキング。残機制とはいえ、銃で撃たれるよりも難しそうな手段を迷わず取る主人公のイカレ具合が伝わってきます。

 また謎に包まれていたNPCに描写が入りましたが、前回とは一転しておよそゲームキャラらしくない様子を見せたのが気になりましたね。翻訳されているセリフといい実際の人間を思わせる挙動で、いずれも機械的ではなくプレイヤーたちと変わらない印象を受けます。これは彼らがNPCではなく実際の人間なのか、はたまた高度な新型AIなのか……(「自分を人間だと錯覚するほどの高精度AI」は本家『SAO』で前例がありますからね)いずれにしても、今回の大会はただのゲームではない可能性が出てきて高揚感を覚えてきます。

 

 

アイドルマスター シャイニーカラーズ 2nd season

第11話「私にできること」

 終盤はノクチル回に見せかけたまさかの透と真乃のエピソード。前回ラストの透の写真がバズったという結果にはホッとしたものの、イマイチ乗り気ではない透にどこか不穏なものを覚えました。憂いを見せた表情が印象に残りますが、その詳細が明かされないのもあって少々不安になってきます。ただ初登場時から一貫している気だるげな様子からして、透は今もなおアイドルをやっている自分に疑問を抱いたままなのかもしれないとも思えてきました。

 そんな透の異変を感じ、彼女のために何か出来ないかと行動する真乃も印象に残りました。考えすぎな癖は相変わらずですが、自分から積極的に行動する辺りに彼女なりの全身を感じます。そして「わからないままでも頑張ることで見えてくるものがある」という言葉は、良くも悪くも真乃の在り方に通じるものがあったと言えます。目標がないまま始めたことでも、次第に大きな目標へと繋がっていくという意味合いが何となく読み取れますね。そんな真乃こそアイドルだと認識した透の、アイドルとしての自覚を持つ過程が今回のキモだったのかもしれません。

 

 

ブルーロック VS. U-20 JAPAN

第34話「教えた感情(コト)」

 発情悪魔・士道の覚醒に息を飲んだ前半。冴からのサポートを十全に受け思うがままに動いていた彼が、困難に直面することでFLOWへと突入したことに目を剥かずにはいられませんでした。傲慢極まりないプレーがより洗練され、あり得ないシュートでゴールしてみせた時の衝撃は半端ではなかったです。また士道なりの「生きる理由」がモノローグで語られたのも印象的で、生きた証を残すためのサッカーをしているとわかったのは彼のキャラクターを掴む要素として大きかったですね。その結果「俺にとってゴールは受精」とかいうパワーワードが生まれましたが……まぁ本作らしいといえばらしいでしょう。

 しかしブルーロックイレブンもただではやられず、馬狼という最終兵器を投入してきたので見ているこちらのテンションも最高潮に。仲間からすらボールを奪い取るような馬狼のプレーが、定石に慣れきったプロに刺さるという作戦はなるほどと膝を打ちましたね。他にも「雪宮剣優(ゆきみや・けんゆう)」のストリートドリブルや愛空の直感による防御など、敵味方問わずFLOWの覚醒へと至りつつあるので見ていて興奮が止まりません。何より明日のことなどどうでもいい、今目の前の試合に勝たなければ意味がない!という、剥き出しのエゴを潔たちが発揮してみせるシーンがグッド。自分の望む勝利に貪欲な、絵心の理想的なエゴイストに育っていることがわかりニヤリときます。

(また潔たちに発破をかけるためとはいえ、「ブルーロックは既に勝っている」と今後の展望を語る絵心には驚かされましたね。自分がサッカー界から追放されることは承知のうえで、理想的なストライカー育成に全てを捧げているのが伝わってきます)

 

 

チ。-地球の運動について-

第12話「俺は、地動説を信仰してる」

 迫りくるノヴァクからバデーニを逃がすため、立ち上がるオクジー。これまでのおろおろした態度とは打って変わって、覚悟を決めて戦いに向かう彼の姿は非常に勇ましかったです。これまでずっと考えていたであろう「後を託していく」ことの意味を彼なりに考え、バデーニに託すことで答えを得たことが読み取れます。その強さがノヴァクの語る「死ぬ覚悟のある奴」に通じているのも痛快で、以前彼と対峙した時の弱々しいオクジーとは別人のよう。彼がここまで迷いを打ち払えたことに感動を覚えますね。その一方で逃げ出した兵のマヌケな死に方には笑っていいのか迷いましたが……

 そしてオクジーが訴えた学問の在り方がこれまた興味深かったです。どこまでも傲慢なバデーニに対し、異なる意見を持つ他者の存在が真理を深めるという考えをぶつけるのは見ていてスカッとするものありますね。何より自分を疑い続け、他人について考えてることで上述の答えに至ったのだと思うと胸が熱くなってきます。これまで天国への希望や信仰にネガティブな執着を見せていたオクジーですが、真理を解き明かそうとする者たちと共にいたことでここまでポジティブに捉えられるようになるのかと大いに感心しました。

 

 

遊☆戯☆王ゴーラッシュ!!

第138話「時間パワー」

 ユウディアスVS遊飛オーティスのラッシュデュエル中にまさかの総集編突入。しかしタイムマシーンの時間パワーが流れ込む形で、前作『SEVENS』のエピソードも交えた変則的な内容になっていたのが面白かったです。よりにもよってユーガメンと珍妙な仲間たちを彼らが最初に見ることになるとは……各々が自分の子孫らしきキャラを認識するくだりも愉快だった(子孫に文句を言いつつ褒めちぎるロヴィアンがここすきポイント)中、未来にも宇宙人がいることを知るなど本作においては割と重要な要素が散見されていたのも斬新な構成だったと思います。少なくとも「ゴーラッシュ!!の世界は着実にSEVENSの未来に帰結しようとしている」ことが伺えますね。

 肝心のデュエルパートに関しては、遊飛オーティスによる連続フュージョン召喚が印象的。3体以上素材を必要とするフュージョンを、セブンスロードや名称変更で代用する柔軟性には思わず舌を巻きました。その結果魔導竜騎士-セブンスギアスをはじめとしたセブンスロードのフュージョン体が勢揃いするという、さながら主人公のようなムーブをかますので驚かずにはいられません。最後に我々がよく知るオーティスの姿に変貌してしまった点も含め、遊飛が主人公補正込みでオーティスになりつつあることが帰って絶望的な状況に映っていたと思います。

 

 

 クレしん映画に関する個人的な好みの話ですが、野原一家以上にかすかべ防衛隊がメインのエピソードがお気に入りだったりします。はじめて映画館で観た作品が『嵐を呼ぶ! 夕陽のカスカベボーイズ』だったこともあり、しんのすけたち5人の友情にフォーカスした内容には何かと楽しみにしているところがありますね。そのため今度の映画でも、彼らの愉快で泥臭い絆の深さを魅せてくれることを期待したいです。

 

 

 ではまた、次の機会に。

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